2012 年 7 月 20 日 ジャカルタ ジャパン クラブ 会 員 各 位 ジャカルタ ジャパン クラブ 邦人安全対策連絡協議会 本協議会から、最近の治安状況等についてお知らせいたします。会員各位ならびにご家族、また 関係のご出張者におかれましては治安状況等に十分ご留意いただき、掲載の事件・事故と同様の 被害に遭われないよう十分ご注意、ご周知ください。 *JJC邦人安全対策連絡協議会 TEL:315−0418(担当:事務局長 清水 力) FAX:3192−5902 *在インドネシア日本国大使館 TEL:3192−4308 1.大使館より ラマダン、レバラン休暇が迫っており、大使館からはお知らせのかたちで注意喚起、JJCから も注意喚起を行っていただいているが、事件や事故に巻き込まれないよう、十分に気をつけてい ただきたい。 2.最近の政治・治安情勢 テロ情勢 6 月 21 日(木)、2002 年のバリ島爆弾テロ事件に関与したとされるジュマ・イスラミア(JI) のウマル・パテックに対する判決が出された。検察側の無期懲役の求刑に対して、裁判所は、懲 役 20 年の判決を出した。バリ島爆弾テロ事件のほか、2000 年に発生した教会連続爆破事件や 2010 年のアチェにおける訓練施設設置にも関与したと認定されたが、他方で、被害者に謝罪して いるなど反省も見られるとの判断で、今回の判決となった。原告・被告ともに上告しなかったた め、これで刑が確定する見込みである。 同被告は昨年 1 月にパキスタンで拘束され、8 月にインドネシアに移送、その後捜査が進めら れ、本年 2 月に裁判が始まったが、当初、JI最後の大物として、その裁判での主張などによっ て、過激化するグループがいるのではないかと懸念されたが、そうした動きは結果として見られ なかった。同氏は雑誌のインタビューにも答えているが、公判を通じても、自分はあくまでも爆 発物製造の専門家に過ぎず、バリ島爆弾テロ事件についても、反対したのに当時の上層部に受け 入れられず、爆弾製造の作業の一部を行わされたとの主張を展開、バリ島を始めインドネシアは ジハードを実践する場所でなく、ジハードを行いたければアフガンやパレスチナに行くべきと主 張しており、最近の国内での自爆テロなどについても否定的な姿勢を示していた。 パプア情勢 先月もご報告したが、5 月 29 日(火)、ジャヤプラの海岸において外国人が襲撃された事案以 降、兵士や市民に対する何者かによる銃撃事案が連続して発生している。 また、ミミカでも交通事故に起因した村落間の対立が断続的に発生しており、数名の死者と多 数の負傷者が発生しているほか、OPM(パプア自由運動)関係者が警察に射殺された事例や何 者かに射殺される事案などが発生している。7 月 1 日(日)のOPMの設立記念日には、厳重な 警戒のせいもあり、大きな混乱は生じなかったがものの、依然として不安定な状態が続いている。 労働デモ 7 月 12 日(木)、労働組合が適正生活水準の改訂や請負労働(アウトソーシング)の禁止などを 1 訴えるデモをジャカルタや各地方で展開するとしている。最低賃金の引き上げを求めた1月のデ モの成功体験を有する労働組合は、工業団地や高速道路などを封鎖するデモを展開するおそれも ある。デモの規模が極めて大きなものになると、警察や軍が出動してもデモを完全に規制してし まうことは不可能であり、前回の場合でも、むしろ「ガス抜き」のような形で放置している場合 もあった。違法な行為があれば、取り締まるというのが原則であるが、これが追いつかない場合 やかえって強硬な取締りを行うことにより、より混乱が拡大するおそれすらあることから、慎重 な対応となりがちである。被害を受けた場合などは、まずは最寄りの警察署に申し出ていただき、 併せて大使館にもご連絡いただくようお願いしたい。 ジャカルタ州知事選 7 月 11 日(水)、ジャカルタ特別州知事選が行われる。投票時間は 7 時から 13 時であるため、 各社有権者のスタッフが投票に参加できるよう、配慮が必要と考えられる。20 日(金)までに開 票結果が確定するが、過半数に達する候補がいない場合は 1 位と 2 位の決選投票となる。決選投 票は 9 月 20 日(木)、特別州知事任命式は 10 月 7 日(日)である。 3.医療事情 季節性インフルエンザのワクチンについてお話したい。季節性インフルエンザのワクチンは、 新型インフルエンザの予防ワクチン、いわゆるパンデミックワクチンと同義ではないので間違い のないよう注意願いたい。 インフルエンザワクチンは、北半球南半球それぞれ、その冬に流行するウイルス株を予測して 製造され、2010 年の南半球用以来、北用・南用が5回連続して同じ内容になっていたが、この冬 の 2012∼2013 年北半球用は久しぶりに新しいウイルス株が選択されたために、簡単に紹介する 次第である。 ヒトがかかるインフルエンザウイルスは種類が多いため、その全てを網羅するワクチンは製造 不可能である。現在存在するインフルエンザワクチンは、過去に大流行したことのあるインフル エンザウイルスの中から3種類に的を絞っており、つまり、A型インフルエンザの中のH1N1 亜型、H3N2亜型、B型である。言い換えれば、ヒト用のインフルエンザワクチンは三価 (tribalent)である。 インフルエンザワクチンに使うウイルスの株は、年 2 回、北半球用・南半球用に分けてWHO が決定・公表する。今回は、3つあるウイルス株の中でH3N2亜型とB型のワクチン株の二つ が変更になった。これは、今度の冬は私達にあまり免疫が無い新顔のウイルス株によるインフル エンザの流行が起きるのではないかと予測されたため。予測が外れることもあるが、この冬に向 けてワクチン接種をおすすめする。 (なお、三つあるワクチン株のうち、H1N1亜型についてだ けは、2009 カリフォルニア7というウイルス株で変更ない。これは、2009 年から世界的に大流 行している通称・豚インフルエンザに対するものである。 ジャカルタ在住で予防に熱心な邦人の中には1年に2回、北用と南用のインフルエンザの予防 接種を受けてきた方もあろうかと思われるが、一般に同じ内容のワクチンを二度三度と接種すれ ば、ある程度はブースター効果が生じ、効果持続期間も長くなる。しかし、今回はワクチンの中 身が新しくなり、接種希望者が多ければその分ワクチンの品薄・供給不足も予想されることから、 早過ぎるかとも思うが、本日話題に挙げさせていただいた。 最後になるが、外務省本省や在外公館からは、夏休み前に感染症の予防を含めて安全情報が発 出される予定である。インドネシアであれば、肝炎、狂犬病・デング熱、場所によってはマラリ ア等も心配であるため、楽しく健康な休暇となるように、今度の安全情報も是非ご一読をお願い したい。 4.邦人に関わる最近の事件・事故報告 当地で報道されている主な事件・事故については、配布資料をご参考にしていただきたい。 イスラム歴の 9 月はラマダンとよばれ、イスラム教徒にとっては神聖な月である。日の出から 2 日没まで断食を行う。在留邦人の皆様におかれては、イスラム教徒の断食を尊重し、事故やトラ ブルに巻き込まれないよう、注意していただきたい。またこの時期、交通事故が増えたり、仕事 の効率が落ちる傾向があることをご承知いただきたい。また、酒にも敏感になるため、カラオケ・ ナイトクラブの利用については控える配慮が必要である。レバランは日本でいえば正月とお盆の ようなものであるため、物入りの時期である。窃盗等にも十分お気をつけいただきたい。 5.質疑応答、各社(団体)からの報告等 (報告) 6 月にもブカシ地区にて労働問題を巡り、大規模なデモが行われ、今月 12 日(木)には、アウ トソーシングの禁止を要求する労働者デモが予定されている。このような状況から、来年は最低 賃金交渉が更にエスカレートするのではないかと懸念している。各企業で対応することが非常に 困難であるため、邦人保護の観点からも是非大使館に協力いただきたい。 (報告)大使館 当地警察から得た情報によると、12 日(木)に予定されているデモについては 4 万人規模のデ モ隊が届けを出しているが、実際には 1 万人程度が参加するものと考えられている。大統領府や 労働移住省、タムリン通りやスディルマン通りを行進すると報告されている。12 日のデモについ ては、一両日中にホームページに「お知らせ」を掲載し、情報提供したいと考えている。今回の 海外邦人安全対策連絡協議会は第 230 回である。この 20 年間を第 1 回からご出席されている黒 田様に振り返っていただきたい。 (ご意見) 1967 年にインドネシアで外資導入法が制定されたのを機に、商社以外の日系企業も進出するよ うになった。インドネシアは国土も広く、人口が多いため、投資をすればすぐに発展すると期待 してインドネシアにやって来たものの、実際には当時は貧しい国であり、今思い返せば、発展す るまでに 40 年かかったといった印象である。国民の生活は貧しく、文化も大きく異なり、日系 企業の方は大変な苦労をした。異文化の他、反華僑運動、外資が導入されても儲けるのは華僑だ けだと訴えた学生運動等、1974 年 1 月 15 日に起こったマラリ事件、イスラム強硬派によるハイ ジャック事件等様々な事件が多発した。 特に製造メーカーは苦労をした。工場の機械を一時も止めてはならないにも関わらず、従業員 は一日 5 回礼拝で席を外してしまう。最終的には業務などやむを得ない事情であれば 3 週間に 1 度礼拝をすれば問題ないとの解釈を自分が知り得たことでシフトに工夫を凝らすなど、一つ一つ 解決していった。 1992 年当時のインドネシアでは、デマが飛び交い、在留邦人に対する統一した安全協議会とい うものがなかったため、当時の総領事が中心となって始めたのが、海外邦人安全対策連絡協議会 である。はじめは 2∼3 ヶ月に 1 度のペースであったが、自分の提案で月 1 回会議が開催される こととなった。歴史を振り返ると 98 年スハルト政権末期に暴動が起き、2004 年以降はアチェに 於ける津波・大地震を始めとする天災に襲われた。日インドネシア外交樹立50周年を祝うため に 2008 年に秋篠宮同妃両殿下がインドネシアをご訪問したり、日インドネシアEPAが発効さ れて以降、両国の関係には明るい兆候が見え始めた。同協議会で今日は何も議案がありませんと いうのが最も望ましい状況であり、そのためにも、この協議会を 300 回、500 回と重ねることが 邦人の安全の糧になると考える。継続は力なりだと思っている。 (ご報告) ラマダンの時期は入り用となるので紙幣の偽造や怪しい電話が増える。中央銀行でマネーロー ンダリングを監視する機関の名前を使い、口座番号やその他個人情報を聞き出す等の手口が見ら れる。会社のスタッフに不審な電話に応えないように指導したり、会社のレターヘッドを知らな い者に渡さないよう注意していただきたい。 3 (質問) デモの届け出は4万人であるとのことだが、実際には1万人ほどが参加すると予想されるとの こと。これはインドネシア警察からの情報か。 (大使館より、その通りであると回答)。 (質問) アウトソーシング禁止を訴えるデモが12日に予定されているとのことだが、これはいわゆる パートなのか、派遣社員なのか。 (回答) 問題の発端は 2003 年に企業が職員の退職金の負担をすることと、当地の労働法に定められた ことである。企業が職員の退職金を負担するのを避けるため、有期雇用にしようという流れがで きた。今回のデモでは、非正規職員を色分けせず、正社員にすることを主張している。 (質問) ジャカルタ州知事選について、もし決戦投票が行われた場合、投票日である 9 月 20 日(木) も州の休日になるのか。 (大使館より、なると思われる旨回答。) (質問) 12 日(木)のデモに関して、空港と市内間を閉鎖する計画があるのか。 (山岸領事部長より、同デモが高速道路を封鎖するといった極端なことはないものと見られてい る旨回答。) また、ラマダンの時期に、入国審査や税関で金銭を要求する事案が増えてくると思われる。特 に、機内で酒を飲み、入国審査で酔っぱらっていて心証を害され、入国拒否になることも予想で きる。各企業におかれては、出張者等にご注意いただきたい。 (大使館) これに関連して、外国人が入国の際、入国審査の担当官がわざとかは不明だが、入国印を押さ ず、出国時になって「入国印がない」と難癖をつける例がある。入国時に押印されているか、し っかり確認していただきたい。 (報告) ある邦人旅行者が、迎えの車が来ていたにも関わらず白タクに乗ってしまい、空港から市内ま で 90 万ルピアを要求され支払った。出張者やご友人には、運転手名、車種、車の色、ナンバー を事前に確認していただくよう周知していただきたい。 (報告)JJC スーパーマーケットであるグランドラッキー周辺で、5 キロの米を2つ購入し、両手に抱えて 歩いていた邦人が、4人組の男に襲われかけた。男らは両手がふさがっている同邦人のポケット に手を入れようとし、邦人が大声をあげたところ「No Problem」といって立ち去った。 両手がふさがっている状態で外を歩くのは襲われやすいため、十分気をつけていただきたい。 4 日、ジャラン・ラヤ・ブカシにて、邦人がパンク強盗にあった例が報告された。隣を走って いたオートバイが傘の骨を鋭利なものに替え、空気銃のようなもので発射させてタイヤをパンク させたものと見られる。パンクの状態を見ようと邦人が車から下りたところ、反対側のドアをあ けられ、財布やKITASの入った鞄を盗られた。渋滞の中での出来事だったとのこと。車のマ ニュアルロックを徹底したり、貴重品は座席でなく足下に置くようにしていただきたい。 JJCの医療相談室であるが、来週火曜日に開催される医師会と保健省の定期会議にて、日本 4 からの医師について議題に取り上げる了承を取り付けた。外国人医師の就労認定のために、医師 免許のコピーやその他必要な書類を用意しているところであることをご報告させていただく。 次回の海外邦人安全対策連絡協議会は 8 月 14 日(火)午前 11 時から。 安全に関する参考情報 (現地報道ぶり2012年6月) 1. 一般犯罪 3.23 ATM 強盗が多発している。3日に東ジャカルタ・パサレボのジャランラヤボゴール通 りで、Mandiri 銀行の ATM 機から現金2億ルピア、23日には、スルポンのポンドックジャグン 通りで6億ルピアが強奪された。 5.プロガドゥンのチピナンの住宅で、日本出身の女性が殺害されているのが発見された。 7.インドラマユ警察は、当地でヒューマントラフィッキングの摘発を行った。容疑者は売春目 的で、2人の女を日本に送ろうとした疑い。女ら6ヶ月で2億5千万ルピアを渡す契約をしてい た。 9,東ジャカルタのチピナンで、武器を所持した4人の男がコンビニ(ミニマーケット)に押し 入り、店員を縛り付け、強盗を行った。 15.ブカシにて、5人の男が偽札を偽造していたとして、逮捕、機材を没収された。 28.東ジャカルタのポンドック・コピの川沿いで、袋に包まれた23−25才と思われる女性 の遺体が発見された。 29.タンゲランで、55歳の会社経営者が24歳の従業員に殺害された。犯人は、原因は解雇 されたことに対する恨みであると供述している。 2. 麻薬関係 2.西ジャカルタのチェンカレン、カンプンアンボンのカフェが麻薬取引で有名となっている。26名の若者 が逮捕された。 6.ジャカルタのカリバタアパートにて、覚醒剤ディーラーが逮捕された。 12.南ジャカルタのトゥベットで大麻の売買を行っていた者が逮捕された。大麻は、黒いプラスチックの 袋で、新聞紙に包まれていた。 15.バリの空港にて、コカイン990グラムを所持していたブラジル国籍の男が逮捕された。 28.スカルノ・ハッタ空港で、ナイジェリア国籍の男のスーツケースの中から1.8キロの覚醒剤が発見 された。 18.西スマトラ州パダン市にて、覚醒剤を製造している疑いがあると民家に強制捜査が入り、家の所有 者が逮捕され、道具はドイツから入手していることが発覚した。 26.特殊部隊であるデタッチメント88が、「麻薬の売買がテロの財源になっている可能性がある」旨述 べた。 3. 保健・衛生関係 6.東ジャワのジュンベルで、HIV 感染者数が拡大している。今年1月から5月までで新たに7 5名が感染したことが分かった。覚醒剤を使用際の注射針から感染したとみられている。 5 4.報告されている犯罪件数 2012 年 5 月 2012 年 6 月 強盗 30 42 誘拐 3 0 中央ジャカルタ1,北ジャカルタ2, 殺人 31 19 西ジャカルタ3,南ジャカルタ3, 11 6 東ジャカルタ7、ブカシ6, 偽紙幣発行 1 3 バンテン9,デポック1, 密輸 3 4 ボゴール4、西ジャワ2、中部ジャワ1 麻薬 22 13 南スマトラ1 北スマトラ1 自殺 5.大使館からのお知らせ ジャカルタ首都特別州知事選挙に関する注意喚起 http://www.id.emb-japan.go.jp/oshirase12_12.html 6 *報告されている強盗事件の発生場所:
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