豊かな人生を作る一言集 豊かな人生を作る一言集

人生の羅針盤
2008 年 12 月
豊かな人生を作る一言集
豊かな人生を作る一言集
[どう考える 幕僚幹部論文が巻き起こした波紋]
麻生首相の支持率が急降下しています。数々の失言、KY(空気も漢字も読めない)
、発言し
たことが実行に移らないなどから、
国民の支持が離れる一方のようです。
(失礼ながら)確かに、
首相としては、教養に不安、資質が不十分などを感じさせますが、余りにも批判の声が大きす
ぎるのも問題です。野党はともかく、身内である自民党内からも激しく批判の声があがってい
ます。首相は、実効的には自民党が選出しています。
(国民が選出したわけではありません。
)
自分達が選出した首相を、2~3 ヶ月ほどで、公然と国民よりも激しく批判するというのは、ど
のような感覚なのでしょうか。いろいろな意見、考え方はあって当然です。ただ、党内におけ
る批判、反論、議論などは党内で行うのが原則のはずです。
自分が正義を代表しているかのごとく、激しく批判する人たちは実行力がありそうです。強
力なエネルギーで何かをやってくれるように見えます。ところが、実際にはそんなことはあり
ません。これらの人たちは、エネルギーのほとんどを、自分にとって最も安全な方向に向けて
いるだけの人です。
批判は、最初は共感を覚えることがあっても、繰り返されると不快になります。批判自体は
何も生産的なものを生み出しません。一方、信念を持った主張には、その正当性や論理性が不
完全でも、どこか惹きつけるものがあります。
最近、まさに、そのように感じさせた人がいます。元航空幕
僚長の田母神俊雄氏です。
田母神氏は、自衛隊の幹部でありながら、アパグループ主催
の『
「真の近現代史観」懸賞論文』に、「日本は侵略国家であっ
たのか」という論文を投稿しました。この論文の中で展開され
ている主張(侵略国家は濡れ衣である)が、日本政府の公式見
解と異なるとのことで、
政府、
野党などは問題ととらえました。
一方、田母神氏の主張については、支持の声もあります。田
母神氏の論文について、識者から歴史認識、事実関係に誤りが
あり、論理の展開が稚拙との指摘があります。確かにその通り
なのでしょう。それとは別に、この主張は、多くの日本人に共
感を与えたようです。ある調査では、共感できるが 61%、共感できないが 33%(その他は 6%)
です。
筆者は、支持はできないにしろ、田母神氏には強力な磁石のような吸引力を感じます。確か
に、日本は過去の一時期、侵略に近い行為があったと思います。そうだとしても、過去、ヨー
ロッパ諸国が東南アジアの国々を次々と植民地化、米国がアフリカから連れてきた黒人を家畜
のように働かせた奴隷制度などは何なのでしょう。それらに目をつぶって、日本が侵略国家だ
ったというのは、
我々の先輩、
先代の人たちだけを極悪人呼ばわりしているような気がします。
心情的には、とても受け入れ難いものがあります。
日本が被害を受けた事件もあります。北朝鮮に最愛の娘を拉致され、今なお、未解決という
横田夫妻がいます。母親の早紀江さんは声をあげています。
「日本は、国民が誘拐されているの
に、何一つできない国なのか。
」首相をあれだけ批判するエネルギーがある政治家やマスコミで
す。その中の誰か一人でも、北朝鮮に乗り込んで、力づくでもめぐみさんを救出しようとする
気概のある人はいないのでしょうか。
日本人であるならば、もっと日本という国を愛すべきです。そして、自国の不利益には断固
たる態度で臨むべきでしょう。国を代表している政治家が、国内で首相や対立党派などを激し
く批判しながら、海外では弱腰、媚びを売っているようでは何の国益にもなりません。国内で
批判し合うエネルギーがあるのであれば、それを北朝鮮の拉致問題、北方領土の返還問題、韓
国との竹島問題、中国との尖閣諸島問題などの解決に向けてほしいと思います。国益を確保し
利害を調整する相手は、国内ではなく諸外国です。
田母神氏に対する扱いは、更迭、そして定年退職の扱いで幕引きされました。ただ、引き起
こした波紋は、まだ、治まってないようです。今、自衛隊内部では、関連施設での教育内容調
査、自衛官個人のアパグループとの関連調査などが行われているとの噂があります。
(事実関係
はわかりません。
)そうであるならば、(近隣諸国に気を遣って?)政府見解なるものを押し付
ける言論弾圧につながる可能性があります。
日本は民主主義の国です。言論の自由が保証されているはずです。いろいろな意見、主張が
あって当然です。国内で人畜無害の対象を批判しているエネルギーがあるのであれば、多様な
意見、主張を吸い上げ、諸外国に向けて必要なことを主張、議論することが、はるかに重要な
ことのように思います。
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