常識外れのモンスター社員 今すぐ解雇できる?

人事部長は見た! ほんとにあった怖い話
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常識外れのモンスター社員
第 8回
今すぐ解雇できる?
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とある会社で実際にご相談を受けた事例です・・・
そのモンスター社員は、ある会社のレストランの接客業に従事していました。入社してかれこれ
20年以上になりますが、数年前に会社の業績が悪化していることから、整理解雇を行うことにな
り、その社員にも整理解雇の通知をしたところ、徐々に問題行動を起こすようになりました。まず、
労働組合に駆け込み、権利ばかりを主張して、業務命令に従わなくなりました。具体的には、勤務
時間中に、酒を飲んだり、タバコを吸ったり、読書をしたり、時にはお店で食事をしても支払をせ
ずに帰ってしまうこともありました。それだけでなく、接客態度も悪いため、お客様とトラブルに
なり、お客様からクレームがくることもありました。このような状態であるため、他の社員も困惑
しており、社内の雰囲気はとても悪く、仕事を続けられないと自ら辞めてしまう社員も後を絶ちま
せんでした。
今までの会社の対応
そのような問題ばかり起こす社員ですが、今までの会社の対応としては、口頭で注意したり、注
意書を渡す位の処分しかしておらず、それ以上の処分は全くせず放置していました。そのため、本
人はいくら問題行動を起こしても、解雇されることはないと思い込み、益々調子に乗るといった、
悪循環に陥っていました。
解雇できるケースと、できないケース
このような問題社員の場合、一発解雇することは非常に難しいといえます。判例を見てみると、解
雇が無効と判断された判例では、協調性の欠如はそれほど悪質、顕著なものではなく、改善可能であ
ったとして解雇は無効と判断されたケースがあります。一方で、解雇が有効と判断された判例では、
一つ一つにしてみれば大したことがなくても、その積み重ねがあり、程度を超えれば職場の秩序を乱
したといえるので、解雇もやむを得ないと判断したケースもあります。
今回のケース
今回のケースでは、今まで様々な問題行動がありましたが、会社としてきちんと懲戒処分を行っ
ていなかったことが最大の問題点といえます。今後の会社としての対応は、問題が発生した場合、
きちんとその内容を書面に残し、本人に指導書を渡すようにすることにしました。それでも改善が
見られないのであれば、減給にするなど、徐々に懲戒処分を重くし、それでも無理なら解雇といっ
た、一連の流れを整備することにしました。また、それとは別に、本人が駆け込んだ労働組合と交
渉して、金銭で解決する方法もあるとアドバイスしました。
今後モンスター社員が出てきたら
近年、インターネットの普及等により、労働者は労働関係に関する情報を簡単に集めることがで
きるようになり、権利者意識が強くなってきています。また、終身雇用制度や年功序列型の賃金体
系が崩壊していることから、労働者の先行き不安から労働組合に駆け込むケースも増えています。
会社としては、未払い残業など、労働者に突っ込まれたら太刀打ちできないような問題はすぐに解
決する必要がありますが、必要以上に怖がることなく、毅然とした態度で立ち向かう姿勢が重要と
いえます。
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電話:03-6266-2551 人事労務指導部 須貝・松村・渡邉・丸山
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