術前オリエンテーションの 見直し ーDVD作成を通してー

術前オリエンテーションによる
不安の軽減
ーDVD作成を通してー
医療法人恵生会 恵生会病院
2階病棟
○藤井 真優美 岸本 真理子
山根 美 香 前川 綾 子
はじめに
周手術期患者への術前オリエンテーションは、術後の合
併症予防とともに手術に対する理解を深め、不安を軽減
させる目的で行う。
医療や麻酔技術の進歩により、高齢者の手術適応も増
える中、幅広い年齢層に応じた術前オリエンテーションが
求められる。そこで新たにDVDを作成し、従来のパンフ
レットを用いた方法との効果を比較・検証した。
調査・研究期間
平成20年6月28日~12月13日
調査対象・調査方法
全身麻酔下での手術予定患者で、パンフレット・
DVD視聴可能な患者(緊急症例・認知症患者は
除く) 自記筆アンケート用紙を配布し、本人が記
入困難な場合は家族が代筆。
第1次調査
パンフレットでのオリエンテーションに対する調査
術前・術後にアンケート配布・回収
DVD作成
第1次調査での結果を踏まえて、パンフレット内容に
準じた動画を撮影し、DVDとして編集
第2次調査
DVD視聴でのオリエンテーションに対する調査
(パンフレット併用)
術前・術後にアンケート配布・回収
アンケート内容
第1次・2次調査
共通項目
・手術経験回数
・術前訓練の理解度
・看護師の説明について
・手術にあたり不安なこと
・オリエンテーション前後の
不安の程度
・追加説明してほしいこと
第1次調査に追加
・手術室のイメージ
・パンフレットについて
第2次調査に追加
・手術室の映像について
・DVDについて
・パンフレットと
DVDの必要性
第1次調査対象内訳
男性21名、女性17名 計38名 年齢20~88歳(平均62歳程度)
初めて手術を受ける患者は全体の53%
第2次調査対象内訳
男性19名、女性14名 計33名 年齢5~84歳(平均51歳程度)初め
て手術を受ける患者は全体の63%
第1次・2次調査を通しての症例数
調査期間全体の全身麻酔症例数は83件、調査対象は
71件で全体の86%
術後せん妄に陥った患者は、パンフレット使用症例で
男性3名、女性0名 DVD使用症例では、男性・女性
ともに0名
パンフレット
①手術予定日
②術前訓練内容
(呼吸・排痰訓練など)
③必要書類について
④必要物品
⑤手術までの流れ
⑥術後について
白黒で計8ページ
イラストで表記
DVDの内容
術式に応じて計5種類を作成
オルゴール調の曲を挿入し約15分に編集
①外科用
②整形外科全般用
・術前訓練方法
(パンフレットに準じる)
・主治医からのIC
・必要書類の提出
・手術室入退室方法
・手術室内の様子
・家族待機場所
・術後の部屋
①②の内容に追加して…
③頸椎手術用
・体位変換方法
・カラーの必要性
④腰椎手術用
・体位変換方法
・コルセットの必要性
⑤大腿骨頚部骨折用
・体位変換方法
・ヒップグリップの必要性
調査結果①
術前訓練の理解度
よく理解できた
難しかった
看護師の説明
よく理解できた
難しかった
不安の程度
不安が軽くなった
変わらない
不安が強くなった
第1次 第2次
61% 94%
31%
0%
第1次 第2次
64% 97%
11%
0%
第1次 第2次
56% 62%
22% 20%
22% 17%
調査結果②
パンフレットについて 第1次 第2次
よく理解できた
58% ※※※
難しかった
17% ※※※
DVDについて
第1次 第2次
よく理解できた
※※※ 85%
難しかった
※※※
3%
手術室映像について 第1次 第2次
みておいてよかった ※※※ 59%
どちらともいえない ※※※ 41%
みない方がよかった ※※※
0%
調査結果③
術後に不安なこと
①術後の経過 ②術後の安静 ③痛み ④麻酔
⑤排痰や排泄がうまくできるか など
手術室のイメージ
①怖い ②想像できない ③冷たい
④きれいな場所 など
第1次調査での患者の意見
・すべておまかせします。
・理解しているかは別として、患者は何でも
「ハイハイ」と聴いてしまう。
・術前は痛みが強く練習できなかったし、
聞いたこともよく覚えていない。
・看護師の説明にばらつきがあって不安になった。
・目が悪くてパンフレットを読めなかった。
・説明はパンフレットを羅列的に読まれてるだけの
ような気がした。
第2次調査での患者の意見
・繰り返しDVDをみて練習したかった。
・手術室の映像をみていたので恐怖心がなかった。
・以前に手術をした時の復習になった。
・流れを知っていても余裕はなかったがみていて
よかった。
・親切な配慮だと思った。
・手術室の映像が流れだした途端に子供が
DVDをみなくなった。
考察
パンフレットでのオリエンテーション
看護師の補足説明が重要なポイント
紙面からはイメージがつきにくく理解しづらい
看護師の力量により説明方法に差が見られる
多くの不安を抱えながらも、
高齢者ほど「お任せします。」と
不安を表出できずに悩む場合も多い
言葉だけを鵜呑みにせず患者の些細な変化や
表情にも注意を払い精神的な援助が必要
DVDでのオリエンテーション
イメージがつきやすい
活字に比べ記憶に残りやすい
看護師の説明の統一が可能となり
患者の不安が軽減
整形外科の術前患者で痛みが強く体位変換の
練習ができなくても術後に生かされた
15分程度の視聴時間に対し、
76%の患者が「ちょうどよい」と回答
DVD導入後
患者が家族とともに視聴する症例が多く
術後に患者の含嗽・排痰援助をする家族が増加
家族の援助は大きな安心感であり、
術後の経過促進につながった
DVDには主治医や看護師が出ており
緊張緩和の効果もみられた
現在のオリエンテーション
①DVDで体位変換などのイメージ化
②体位変換や含嗽、排泄の練習を実施
③パンフレットで復習
術前から患者のみならず家族を含めて視覚的にわ
かりやすいオリエンテーションを行った。結果的に以
前より深い安心感が提供でき、より親密な信頼関係
の構築が可能となった。
今後の課題
難聴や身体的な問題を抱えた患者、小児にも
対応できるよう改善を重ねていく必要がある。
ご清聴ありがとうございました。