1 - Ⅰ 水稲 実況 1 2008年産種子の状況 2008年産

Ⅰ
水稲
実況
1
2008年産種子の状況
2008年産種子の状況については、前月の報告を参照する(籾千粒重(=千籾重)は前年
よりもやや大きい傾向、農試での発芽試験の結果では、発芽勢や発芽率で、特に大きな問
題はないようである)。
籾の状態によって播種量は異なってくるので、それぞれ籾千粒重を測定して、播種量を
算出することが望ましい。
表1
品
種
2008年産水稲種子の籾千粒重(g)
名
2008年産
2007年産
2006年産
ハナエチゼン
28.6
26.3
27.9
コシヒカリ
26.5
25.8
25.7
イクヒカリ
27.9
27.1
27.8
五百万石
31.8
31.2
32.6
注:数値は、各品種とも1~5か所の種子場の数値の平均値(水分15%補正済)
表1から、2008年産種子の播種量の目安は、稚苗箱育苗で箱あたり4,600粒~4,700粒播
種すると仮定して、ハナエチゼンで130~135g程度、コシヒカリで120~125g程度、イクヒ
カリで130g、五百万石で145~150g程度(いずれの品種も乾籾、箱あたり播種量)となる。
2
育苗期の病害虫予測
(詳しくは、病害虫発生予察予報第1号(平成21年3月)を参照)
(1) 馬鹿苗病
発病最盛期は4月下旬、被害程度は微発、局少発、育苗期の発生量は平年比少、前年
並の予測。種子更新率は高く、種子消毒は徹底されているが、4月の気温は高いという
予測で、高温だと発病には好適となる。
(2) 苗いもち
初発は4月中旬、発生程度は少発、育苗期の発生量は平年比少、前年比多の予測。保
菌率は低いと思われるが、4月が高温だと発病には好適となる。
(3) 苗立枯病(糸状菌)
初発は4月中旬、発生程度は少発、発生量は平年比少、前年並の予測。ピシウムは低
温で発病に好適となる。
(4) 細菌性苗立枯病(褐条病、籾枯細菌病、苗立枯細菌病)
初発は4月中旬、発生程度は少発、局中発、発生量は平年比少、前年比多と予測。4月
が高温だと発病には好適となる。はとむね催芽器を用いる場合、褐条病の発病に注意を
する必要があり、また、温湯消毒を行う場合、褐条病への効果が不十分となるので注意
する。これらの細菌性立枯病害では、発病後の防除薬剤はないので注意が必要である。
- 1 -
対策
1
良質米生産のために
(1) 「コシヒカリ」の品質向上対策
コシヒカリの品質低下要因で大きいのは、白未熟粒と胴割粒であり、いずれも登熟期の
高温や登熟期の稲体の活力低下に由来するものである。
品質低下を抑制するためには、①高温登熟を避ける、②稲体の活力を登熟後半まで低下
させない、ことが大切となる。
そのため、現時点では、出穂期を遅らせ、暑い時期(7月末~8月初め頃)に出穂や登
熟初期とならないようにすること、籾数を過剰としないこと、下層まで根を張らせること、
および登熟期間の肥効を安定化することがポイントである。これらは、いわゆる「基本技
術」を実践することである。また、これらの基本技術に加えて、登熟期に高温が予測され、
登熟期の葉色低下が大きくなると懸念される場合には、一括施肥でも穂肥の施用を奨励し
たい。施肥時期は、1回目穂肥時期と2回目穂肥時期の中間から2回目穂肥時期となると思
われる。胴割粒発生予防には早めの施用が効果が高いという知見がある。さらに登熟期間
の水管理も重要である。高温登熟を回避し、収穫直前まで稲体の活力を維持するよう管理
する。
(2) 「ハナエチゼン」の課題
ハナエチゼンについても、基本技術を守って栽培することが大切である。ハナエチゼン
の格落理由で大きいものは斑点米である。カメムシ類の発生と防除について(耕種的防除
も含めて)注意することはいうまでもない。そして、最近、ハナエチゼンの施肥が乱れて
いないかに注意して欲しい。土壌条件(地力の高低や前作物の影響など)に応じた基肥と
なっているか?また、コシヒカリにつられて、施肥量が減少していないか?などである。
昨年も7月中旬頃にハナエチゼンの葉色がかなり淡くなるものがみられた。早生のハナエ
チゼンは暑い時期に成熟期を迎えることとなるので、登熟期の葉色の極端な低下は品質低
下を招くので、注意が必要である。深耕や水管理についても、基本的なことが守られてい
るか、確認して欲しい。
(3) 「イクヒカリ」の課題
やはり基本技術の励行が大切であることはいうまでもない。イクヒカリに限ったことで
はないが、注意することは、以下の点である。
・5月中旬以降の田植えまたは直播栽培による高温登熟の回避
・深耕+土づくり+全層施肥で根を深く張らせる
・幼穂形成期以降、葉色を濃く保つ
また、穂数で収量をとる品種ではないので、穂数はコシヒカリよりもやや少なめとす
るよう、中干し時期は遅れない。
・適期収穫(葉は緑でも籾は熟している)
イクヒカリは短稈で止葉よりも穂が低く、葉や稈の緑色に惑わされて、籾が黄化して
いるのがわかりにくい。必ず、籾の黄化程度や籾水分を確認して、適期収穫に努める。
・病害虫防除(紋枯病、カメムシ類を中心に。いもちの発病にも注意)
(4) 「あきさかり」の栽培上の留意点
- 2 -
平成21年から一般栽培となった「あきさかり」は、出穂期や成熟期が、コシヒカリと日
本晴の中間となる晩生品種である。普及対象は、稲作の作期分散を必要としている大規模
稲作農家や生産組織を想定している。短稈の良食味品種であるが、イクヒカリとは異なり、
穂数をやや多くして籾数を確保し、穫る品種である。そのため、基肥窒素量を確実に施肥
して茎数を増加させ、穂肥窒素も基準量投入する。地力によっては中間追肥が必要な場合
もある。病害虫には特別強いわけではないので通常の防除が必要となる。特に、紋枯病や
ニカメイチュウなどに注意が必要と思われる。また、収穫時期が遅いので、周囲圃場の水
稲収穫後に害虫が集中加害することがあるかもしれないので注意する。収穫直前までの水
管理も、他の品種と同様、必要である。収穫時期頃まで茎葉が緑色を保ち、収穫時期の判
断を誤ることも考えられるので、籾水分や籾の黄化程度をよく見て刈り遅れないようにす
る。
2
土づくり
近年の高温傾向に耐えられる稲体づくりということで考えたときに、下層までしっかり
と張れる根群を形成すること、収穫直前までの稲体の活力を維持するために肥料だけに頼
らず、土壌からの天然養分供給を増加させること、が大切となる。
表面的な作業の効率化だけをいうのでなく、品質向上のためには、深耕による作土深の
確保、有機物施用による地力向上を見直して欲しい。
3
水管理
水管理は水稲栽培上、その重要度が大きくなっている技術である。
(1) 漏水対策
移植栽培圃場も当然であるが、直播を予定している圃場では、よりいっそうの漏水対策
の徹底を図る。特に畦の大きい中山間地や排水よりの部分に注意が必要である。周知の通
り、除草剤の効果を高めるためには水持ちが良好であることが絶対条件であるため、代か
き前の時点から気をつけたい。特に、モグラ等小動物が畦に穴を開けている場合があり、
そこから漏水する場合があるので圃場の周囲を見回って穴がある場合はふさぐ。また、圃
場からの漏水を気にしすぎて代かきの掻き過ぎとなる場合があるが、土壌の酸欠を助長し、
初期生育を悪くするので、代かきだけで対応するのは避ける。特に粘土が強い圃場での代
の掻き過ぎは厳禁である。
(2) 本田の初期管理
移植後に圃場の高低差がよくわかる圃場が多い。移植後は浅水管理が基本であるが、薄
播きにより苗質が向上したこと、転作により圃場がかつてより酸化的となっていること、
側条施肥の普及により活着や初期生育が良くなってきたことなどから、以前に比べると浅
水の必要性は小さくなってきている。年次によっては気温の上昇も大きい。
除草剤の効果を十分発揮させることや成分の流亡を少なくするために、移植後~除草剤
散布直後はしっかりと湛水したい。藻類の発生が多い場合や活着が著しく不良な場合は例
外である。しかし、深水期間が長くなると、稲の徒長や分げつ発生の遅れなど良好な生育
の妨げとなるので、生育状況の観察と生育に応じた管理が必要である。
過剰生育をさせない、肥効の発現をコントロールする、根の伸長を促すなど中干しの効
- 3 -
果は大きい。しかし、初期生育が早すぎて6月初めから中干しとなる状態は決して芳しく
ない。いわゆるラグ期(最高分げつ期から幼穂形成期までの期間)が長くなり、根の機能
低下など登熟期間の凋落につながる可能性がある。気温に応じて湛水深を変更し、発育が
進みすぎないようコントロールすることが重要である。
(3) 中干し
目標とする茎数を確保できたら、中干しに入る。中干しの目的は、過剰分げつの抑制、
根の健全化、地耐力の向上等である。昨年は、初期生育の遅れから初期の茎数増加が緩慢
で、6月に茎数が増加し、茎数確保できたにもかかわらず、中干し開始が遅れた圃場が目
立った。また、毎年、直播栽培で過剰分げつがみられる。中干しについて、その重要性を
再認識して、水稲の生育に応じて遅れずに実施して欲しい。
(4) 中干し以後~出穂頃
中干し以後幼穂形成期になっても落水状態を続け、灌水日以外は土が固く乾燥気味の圃
場がみられる。幼穂形成期以降は節間伸長等稲体の急激な生長のために多量の窒素が必要
で、速効性穂肥や一括肥料の穂肥分の肥効発現が必要である。窒素が土壌溶液中に溶出す
ることが窒素吸収の前提である。少なくともくるぶしまで足が沈むくらいに土を軟らかく
したいところである。
(5) 登熟期間
幼穂形成期間同様に、出穂後20日程度は土を軟らかくしておきたい。特に基肥一括側条
施肥の肥効安定のためには水分が必要である。用水量が十分にあるなら、灌水は昼間より
も夜間に灌水するほうが品質が良くなる傾向がみられる。
玄米の品質向上(白未熟粒や胴割粒の発生抑制や大粒化)のためにも登熟期間の水管理
は重要である。
4
育苗について(5月初旬移植の場合)
春先は気象状況の変化が大きい年がみられるので、育苗時には生育状況と気象情報に十
分注意し、管理作業を行う。
最近は、育苗関係で大きな失敗はみられないが、一部で苗の徒長や葉焼けがみられてい
る。慣れによる見落としや、逆に不慣れ、あやふやな知識を基にした作業等で失敗するこ
とがあるので、手順を確認し、失敗を防ぐ。
(1) 種子準備(浸種~催芽)
種子で、薬剤吹付処理がなされている場合は、浸種からとなる。種子消毒等が必要な場
合は、防除基準を参考に種子消毒を行う。
【浸
種】
浸種は、種子籾に十分に吸水させ、その後の催芽で斉一な鳩胸状態とすることが目的
である。浸種は水温と日数に注意し、吸水の不十分や吸水ムラを防止する。
処理薬剤の効果低下を防ぐため、浸種開始後3日間は、水を換えない。その後、必要
に応じて水を換える。
浸種が終わりに近づいたら籾の様子をよく観察し、吸水ムラになっていないか確認す
る。
- 4 -
表2
浸種温度と日数の目安
水温(℃)
浸種日数の目安
10
10日
15
7~8日
注:水温が10℃未満や20℃を超えないよう注意。
(吸水不良となる)
(吸水ムラの場合あり)
品種により芽の出方に差があるので、注意
して種子の状態を観察する
【催
芽】
催芽温度は30~32℃を守る。
鳩胸状態で揃える。芽や根を伸ばし過ぎると、播種時に種子が引っかかって、均等に
播種できず、播種ムラを生ずるので、注意が必要である。
(2) 播
種
目的とする床土量や播種量、灌水量、薬液量、覆土量となるように播種機を調節する。
揃った健苗育成のために、厚播きはしないこと。また、均一な播種に努め、播種ムラが少
なくなるようにする。
播種機の取扱説明書を良く読んで、適切な播種作業を行う。作業の途中でも播種状況を
確認し、目的とする播種量となっているかを確認し、ずれている場合は調整する。
(3) 出
芽
出芽温度は、30~32℃に設定する。
出芽期間は、2~3日であり、芽を伸ばしすぎないように注意する。
(4) 緑
化
出芽苗を育苗ハウスに並べる。苗箱の上に被覆資材を掛け、急に強い光が当たらないよ
うにする(白化苗発生防止)。苗が黄色~黄緑色となったら、被覆資材は外す。
また、育苗ハウスに苗箱を出したとき、箱の土がよほど乾いていない限り灌水はしない。
できれば、被覆資材を外した後、箱の土の状態をみて灌水する。覆土が持ち上がっていた
り、種子が露出したりしている場合は、灌水後に覆土の手直しを行う。
育苗ハウスでの育苗管理は、温度管理と水管理がその大部分である。必ず、ハウス内の
苗の近傍に温度計を設置し、稲の状態と温度、気象情報に注意して、管理を行う。
表3
育苗ハウスの温度管理の目安
時期
昼間
夜間
備考
緑化
20~25℃
15~20℃
10℃以下や32℃以上にしない
硬化
15~20℃
10~15℃
5℃以下や32℃以上にしない
馴化 移植3日前頃強風や低温時以外は外気にならす、5℃以下や32℃以上にしない
4月の育苗では、苗が低温に遭遇する危険が高いので、温度には十分注意する。そこで、
育苗箱を並べる前には、育苗ハウスの床面の地表温を保持すること、床面の表面を良く均
して育苗箱が浮かないように努めること、さらに、ネズミ等が苗を囓ることがあるので、
- 5 -
ネズミ駆除対策にも留意すること、などにも注意する。
(5) 硬化、馴化
【温度管理】
育苗ハウス内の温度を確認しながら、ハウスの開閉を行う。
気象情報で、霜注意報など低温が予想される場合は、ストーブをたくなどして、保温
に努める。夜間に被覆資材を掛ける場合は、翌朝低温の危険が過ぎたら必ず外す(好天
時の被覆は葉やけの原因となる)。
育苗ハウス内の育苗箱の位置によって生育差が生ずることもある(入り口付近等で生
育が遅れるなど)ので、差が大きくなるようであれば、育苗箱の位置を入れ替えるなど
して生育差を小さくする。
また、育苗箱の底面と育苗ハウスの床面の土との間に隙間があるとその部分だけ生育
が劣るなど生育差が生ずることがあるので、育苗ハウス内の床面を良く均して隙間がで
きないように努める。
【灌
水】
朝、ハウスを見回り、葉先に露を持っている場合は、灌水しない。露が見えないとき
や育苗箱の縁の土が白く乾いているときは、灌水する。苗の様子を良く観察することが
大切となる。灌水は晴れた日の午前中に行い、1回あたりたっぷりとやり、少量の水を
ちょこちょことやるような灌水はしない。また、午後3時頃以降の灌水は、よほど苗が
水不足とならない限り行わない。
【馴
化】
移植3日前頃となったら、苗を外気にならすように、ハウスの横面のビニールを大き
く開ける。早朝に霜が降りるような低温とならない限り、なるべく低温にならすように
する。
(6) 移植前の薬剤苗箱処理
本田での病害虫防除のために、薬剤苗箱処理を行う場合は、防除基準を守る。
また、水稲育苗後に育苗ハウスを利用して跡作物を栽培する場合は、跡作に苗箱処理薬
剤の影響を出さないように、薬剤苗箱処理実施にあたっては、よりいっそうの注意が必要
である。
5
湛水直播について
直播栽培により、出穂や成熟を遅らせ、登熟向上を図ることが可能となるが、播種時期
が早すぎると、その効果が発現できないことが多い。また、出芽時期が低温のため出芽苗
立ちが不安定となる場合もある。極端な早播きは避ける。
- 6 -
Ⅱ
麦、大豆等
実
況
1
大麦
(1) 気 象 と 生 育
気温は 1 月下旬以降 3 月上旬まで高く経過し、大麦の生育の進みは早い。3 月 5 日
現 在 の 生 育 基 準 圃 の 生 育 は 下 表 の と お り で あ る が 、 茎 数 が 非 常 に 多 く 過 去 6 年 (平 成
15~ 20 年 )平 均 に 比 較 し 3 割 多 く 、葉 色 も 濃 い 目 で あ る 。幼 穂 長 も 大 き く な っ て お り 、
3 月 19 日 に は 福 井 市 の 平 坦 部 で 20mm と な っ て い た 。 現 在 、 大 麦 の 生 育 は 平 年 に 比
較 し 7~ 10 日 程 度 早 い 。
平成21年産麦作期間平均気温の推移(福井)
平成21年産麦作期間降水量の推移(福井)
140
120
平年
本年
20
降水量(mm)
15
10
5
100
80
平年
本年
60
40
20
地区
福井
坂井
奥越
南越
丹生
二州
若狭
平均
21.3
811
5/
上
4/
上
3/
上
2/
上
上
1/
上
12
/
上
10
/
47.3
茎数の年度比較
茎数(本/㎡)
生育基準圃の越冬後生育状況
草丈
茎数 葉色(SP) 幼穂長 調査日
cm
本/㎡
mm
月/日
19.8
759
40.0
4.0
3/5
21.9
890
44.0
3/3
17.4
860
50.8
4.0
3/3
20.4
818
53.8
3.7
3/3
21.6
808
3.5
3/5
26.6
730
48.1
7.0
3/3
上
0
4/下
5/中
3/中
4/上
2/上
2/下
12/下
1/中
11/中
12/上
10/上
10/下
0
11
/
平均気温(℃)
25
4.4
900
800
700
600
500
H21
H20
H19
H18
H17
H16
H15
平均
400
300
200
100
0
越冬前
越冬後
穂数
(2) 分 施 施 肥 栽 培 の 追 肥 施 用
基 肥 一 括 施 肥 栽 培 が 増 加 し 、現 在 分 施 施 肥 栽 培 が 行 な わ れ て い る の は 3 割 程 度 で あ
る。
ア
越冬後追肥
平 坦 部 の 早 い 所 で 2 月 7 日 か ら 施 用 さ れ 、遅 い 奥 越 地 区 で も 3 月 8 日 頃 ま で に 施
用 さ れ た 。 施 用 さ れ た 期 間 が 例 年 に 比 較 し 幅 広 い 。 施 用 量 は N 成 分 で 2~ 3kg/10a
である。
イ
穂肥
第 1 回 穂 肥 は 平 坦 部 の 早 い 所 で 、3 月 10~ 15 日 に か け て 施 用 さ れ た 。施 用 量 は N
成 分 で 2kg/10a で あ る 。 生 育 の 遅 い 奥 越 地 区 は 3 月 20~ 9 日 の 見 込 で あ る 。
第 2 回 穂 肥 は 平 坦 部 の 早 い 所 で 、3 月 20~ 25 日 に か け て 施 用 さ れ る 見 込 で あ る 。
施 用 量 は N 成 分 で 1.4~ 2kg/10a で あ る 。 生 育 の 遅 い 奥 越 地 区 は 3 月 29 日 ~ 4 月
12 日 の 見 込 で あ る 。
-7-
(3) 基 肥 一 括 施 肥 栽 培
本 年 は 越 冬 後 の 茎 数 が 過 剰 (過 去 6 年 平 均 比 3 1 % 増 )で あ る が 葉 色 が 濃 い こ と 、 緩
効 性 肥 料 の 穂 肥 部 分 ( LPS30) の 溶 出 が 平 成 1 9 年 産 並 み で あ る が 大 麦 の 生 育 が 進 ん
でいることの2点から、基肥一括施肥栽培の追肥指導は行なわないこととした。特に
葉色が淡い圃場以外は追肥を行われなかった。
対
策
1
大麦
(1) 排 水 対 策
4月に入ると稲作準備が始まって用水に通水されるが、この時に用水路や隣接水田
等からの漏水が起こりやすいし、パイプラインでは水栓の閉め忘れで圃場に水が入る
こともよくある。1か所の閉め忘れや漏水でもやがて広範囲に浸水してしまうので、
用 水 に 通 水 し 始 め た ら 圃 場 を 見 回 っ て 浸 水 か 所 が な い か 確 認 し 、漏 水 防 止 処 置 を 施 す 。
(2) 除 草 ( カ ラ ス ノ エ ン ド ウ )
圃場内に多発している雑草を除草
するのは無理だが、これから大きく
なってくるカラスノエンドウを放置
すると収穫した麦に異物として混入
してしまう。カラスノエンドウは圃
場周辺部に多い傾向があるので、圃
場を見回って収穫までに抜き取る。
草が大きく育ってしまうと麦に絡
みついて取りにくいので、遠くから
目立ち始める前に早めに除草する。
畦畔のカラスノエンドウ
圃場周縁の雑草は刈り取るか、登
録のある除草剤を散布して除草する。
(3) 病 害 虫 防 除 対 策
幼 穂 長 か ら 予 測 す る と 、 出 穂 期 は 平 年 よ り 早 い 4 月 12~ 15 日 頃 と な る 見 込 み の た
め、早めに防除の準備をしておき、適期防除に努める。
赤かび病:開花期から1週間以内に降雨があると発病が多くなるので、穂揃期(開
花 期 ) と そ の 7 ~ 10 日 後 の 2 回 防 除 を 徹 底 す る 。
雲形病:局部発生であれば防除の必要はない。発生が多い場合は止葉抽出期にバイ
レトン水和剤、チルト乳剤を散布する。
病害の中でも特に赤かび病には注意が必要で、発病した麦は有毒なので絶対に発病
さ せ な い よ う 2 回 防 除 を 徹 底 す る 。出 穂 後 の 気 温 が 高 く( 平 均 気 温 18~ 20℃ 以 上 )雨
が多い年は発生しやすくなる。
-8-
Ⅲ
野菜
実
況
1
施設野菜
果菜類
(1) 大玉トマト
福井地区では早いところで、2月下旬から定植を開始しており、ピークは3月上中旬であった。
南越地区ではRW栽培で1月下旬から定植されており、土耕栽培は3月中旬に定植されている。活
着は良好である。奥越地区では昨年に比べ早い3月下旬に定植が予定されている。若狭地区では、
1月下旬から2月中旬まで定植が行われ、2~4段目が開花している。一部で灰色カビ病、葉カビ
病が少発である。
(2) ミディトマト
ハウス無加温栽培では、3月中旬より定植が始まっている(福井、坂井、南越、若狭地区)
。
(3) キュウリ
若狭地区では2月上旬~3月中旬まで順次定植され、3月下旬から出荷の予定である。福井地区
では昨年よりやや早く3月 10 日に定植が終了した。南越、丹生、二州地区では昨年同様3月下旬か
ら定植が予定されている。
(4) スイカ
砂丘地及び丘陵地は、3月 15 日から順次定植されている。苗の生育はやや早まる傾向で、温度が
高く、日照不足傾向から葉色はやや淡く、徒長気味である。丘陵地では本年から‘春のだんらん’
が作付けされている。
(5) メロン
丘陵地のプリンスメロンは3月中旬から順次定植されている。マルセイユメロンは昨年より5日
早い2月 20 日から播種され、3月 16 日から定植されている。アンデスメロンやアールス系メロン
は、3月 20 日頃から定植が行なわれる予定である。また、南越地区のマルセイユメロンは3月3日
から播種されている。
(6) 高設栽培イチゴ
全般的に暖冬であった昨年同様、第2果房収穫終盤で、第3果房が肥大~収穫中である。うどん
こ病が一部で多~微発、灰色カビ病、アブラムシ、チビクロバネキノコバエ、ハダニ類が少~微発
である。
(7) 一寸ソラマメ
坂井地区では生育が昨年より早く、開花もピークを過ぎている。
葉菜類
(1) 軟弱野菜
ホウレンソウやコマツナの生育は早く良好である。一部でアブラムシやホウレンソウケナガコナ
ダニが少発である。
根菜類
(1) ダイコン
-9-
砂丘地では2月 20 日~3月中旬にかけて播種されている。
(2) コカブ
砂丘地では生育良好で、順次出荷中である。若狭地区では1月下旬から出荷が始まり、2月下旬
~3月上旬がピークとなった。
2
露地野菜
果菜類
(1) 一寸ソラマメ
若狭地区では 3 月上旬からトンネル除去が始まった。早いところで4~5段開花し、積雪が少な
い地域では生育は平年よりやや早い傾向となっている。坂井地区では3月上旬から開花が始まって
いる。一部でアブラムシが微発である。
(2) スイカ
丘陵地では3月上旬から、南越地区では3月 20 日から播種が開始されている。
葉菜類
(1) ツケナ類
勝山水菜は気温が高いため生育が早く、3月上旬が出荷ピークとなった。
(2) キャベツ
秋まきの作型では積雪の影響がなかったことから、福井、坂井地区とも生育良好で、結球開始期
~早いもので球径 14 ㎝となっている。
(3) ブロッコリー
若狭地区では2月中旬から順次播種され、3月下旬から定植予定である。福井地区では2月下旬
から、南越地区では3月上旬から播種されている。
(4) ネギ
奥越地区では発芽苗を育苗する生産者に3月 11 日から苗を配布している。4月上旬から5月中旬
にかけて定植予定である。二州の敦賀市では2月 24 日から、三方地区では3月下旬に播種の予定で
ある。若狭地区では2月 10 日から播種され、4月上旬から定植の予定である。
根菜類
(1) ダイコン
福井市白方地区では前年より1週間早い3月6日から播種が開始され、4月上旬まで続く予定で
ある。砂丘地では3月 10 日から播種が始まっている。
(2) タマネギ
永平寺町では積雪が少なく生育が過剰気味である。
(3) ニンジン
砂丘地では3月1日から、丘陵地では3月 12 日から順次播種されている。
(4) ニンニク
永平寺町では生育は良好である。
(5) カンショ
あわら市では2月7日にウイルスフリー苗が苗床定植された。
- 10 -
対
策
4月は、前半に気温の変動が大きいので、施設野菜の温度管理やトンネルの換気に十分留意する。
また、遅霜や春先の強風も野菜に被害を及ぼすことが多いので注意する。
トマト黄化葉巻病については、‘ふくいアグリネット’の‘農業技術情報’‘防除だより’№228 号を
参考とする(インターネットで‘ふくいアグリネット’を検索する)
。
1
施設野菜
果菜類
(1) トマト
3段花房開花期に追肥開始となるので、草勢をみながら追肥の時期を決める。なお、草勢が強す
ぎる場合は灌水だけを行って追肥を数日遅らせるが、追肥を省略するとその後の草勢低下が大きく
なり、上段の着果が悪くなるので留意する。
3段花房開花期以降の追肥は、液肥を用いる場合には各段花房の開花期に窒素成分1~2kg/10a
程度を、灌水を兼ねて施用する。なお、一度に多量の追肥を行うと、スジグサレ果等の発生を助長
するので注意する。
マルハナバチを導入して交配着果を行う場合は、夜間の低温によって花粉の発現が悪くなるので
最低気温が 12℃を下回らないように保温を徹底する。また、ハチは高温に弱いので、ハウス内気温
25℃を目安に、晴天日にはハウス換気を徹底する。なお、マルハナバチの導入後も、バイトマーク
が確認できなければホルモン処理を行う。
着果数は、1~2段花房は3~4果、3段花房以上は4~5果を目安にし、奇形果や変形果等を
幼果のうちに摘除して、草勢の維持に努める。
(2) ミディトマト
5葉より下に着いた花房を摘除する。また、2本整枝とする場合は、主枝と一番下の花房直下か
ら発生した強い腋芽を伸ばして仕立てる。なお、2本の枝の生育が異なる場合は、生育の早い枝を
やや倒して、茎頂部の高さを揃える。着果促進のためホルモン処理を3~4日間隔で行うが、奇形
葉の発生を防ぐためホルモン剤が周囲の葉にかからないようにする。
(3) キュウリ
主枝6~7節位までの雌花と4節までの側枝を早めに摘除して初期生育を促す。なお、草勢が弱
い場合には主枝8~9節位までの雌花を摘除して、着果による負担を軽減する。
主枝の着果数は 10 本程度を目安とし、ダブル着果で主枝の着果数が多くなりすぎる場合は、草勢
低下を防ぐために1果を摘除する。
主枝は 20~22 節程度で摘心する。また、側枝は1~2節で摘心する。
外気温が 10℃以上になる頃までは内張カーテンを利用し、午後早めにハウスを閉めて最低気温
12℃程度を目標に保温を徹底する。しかし、夜温が高すぎると初期収量は多くなるものの、草勢低
下が大きくなり、中段での側枝の発生が悪くなって総収量を低下させるので注意する。
追肥は収穫開始と同時に始め、その後は 400~500kg/10a 程度を収穫する毎に窒素成分で1~
1.5kg/10a 程度を追肥する。
(4) スイカ
大玉生産に必要な着果節位までの生育量を確保するため、ハウスを早めに閉めて保温を徹底する。
- 11 -
なお、トンネルは霜害防止のため、晩霜の心配が無くなる 4 月中旬頃まで残しておく。
2本整枝の場合は、子づる3~4本が 30~40cm に伸びた頃に揃った子づる2本を残して他の子づ
るを摘除する。また、子づるが1m程度に伸びたら、孫づるを摘除しながらつる先を揃えるように
子づるを引き戻す。さらに、子づるの先端部 18~20 節位に雌花が確認できるようになった頃(開花
1週間程度前)に、着果節位までの孫づるを摘除する。なお、草勢が弱い場合は、やや早めに孫づ
るの摘除を行い、開花までに草勢を回復させておく。
(5) メロン
ア
プリンスメロン
生育の揃った主枝3本を残し、孫づるを5節まで早めに摘除しておくが、草勢が弱い場合は6~
7節まで孫づるを摘除して着果節位を上げ、着果させる孫づるは開花前に2葉を残して摘心してお
く。灌水は、根群の発達を促すため晴天日の早朝に行って地温を回復させ、夜間低地温にならない
ようにする。また、開花後は果実肥大を促進するため、やや多めに灌水する。
イ
アールス系メロン
定植時の地温確保のため、定植2~3日前に灌水して地温を回復させておき、定植時には早朝地
温を測定して 18℃以上であることを確認する。
定植後は日中 25~30℃を目安に換気を行うとともに、夜間の保温を徹底する。
ウ
マルセイユメロン
最低地温 16℃以上を目安に定植後も暖かい日が続く日を選んで植える。本葉 2.5~3枚が展開
する頃が定植適期である。本葉3枚を残して早めに摘心する。
(6) 高設イチゴ
温度の上昇に伴い、開花から収穫までの期間が短くなり糖度が低下しやすい時期となるので、ハ
ウス内の換気を十分に行う。また、アブラムシ・ハダニ、うどんこ病の発生が多くなるので、初期
防除の徹底を図る。
葉菜類
(1) 軟弱野菜(ホウレンソウ、コマツナ)
温度の上昇とともに葉が伸びやすく収穫適期幅が短くなるので、収穫遅れや品質低下を防ぐため
収穫労力を考慮して播種面積を決め、計画的に播種するとともに、播種密度をやや低くくする。
ホウレンソウはべと病予防のため抵抗性品種を用いる。また、灌水を控えてハウスの換気を行う
とともに、防除薬剤の予防散布を行う。
2
露地野菜
果菜類
(1) スイカ、メロン、ナス
スイカ、メロンは4月上中旬、ナスは4月下旬以降に定植時期になる。活着や初期生育が遅れな
いようにするため、圃場準備を早めに行う。
また、トンネルを設置して地温を高めておく。定植は、晴天日の午前中に行い、速やかにトンネ
ルを閉じて保温を徹底する。なお、苗は定植1週間程度前から徐々に外気に馴らしておく。
(2) 一寸ソラマメ
- 12 -
土壌水分を確保するとともに、草勢を見ながら追肥を行ない、莢の肥大を促す。
葉菜類
(1) 春キャベツ
結球始期に追肥、中耕を行って結球の肥大を促進する。追肥が遅れると裂球の原因になり、圃場
の乾燥は心腐れ症の原因になるので注意する。
根菜類
(1) ダイコン
発芽促進や抽台防止のため、播種までに十分地温を確保するため圃場準備を早めに行う。また、
播種後好天が続くことが予想される日を選んで播種する。
トンネルは、生育前半は抽台防止のために密閉するが、トンネル内部の水滴の付着が悪いと葉焼
けを発生しやすいので、適宜灌水を行う。換気は急激に行うと葉が著しく萎れて葉焼けを発生させ
るので、徐々にトンネルの換気穴を多くしたり、裾の開度を大きくする。
(2) タマネギ、ニンニク
タマネギ、ニンニクは、球の肥大が始まる4月中旬頃までに追肥を行う。遅い追肥は、葉を過繁
茂にして病害等の発生を多くするとともに貯蔵性を悪くするので行わない。
4月からさび病の発生が見られるようになるので、早期防除を徹底する。
- 13 -
Ⅳ
花き
実
況
1
キ
ク
秋 植 え 夏 ギ ク の 作 況 で は 、 奥 越 地 域 の 芽 立 ち 数 で 「 宝 の 山 」、「 小 鈴 」 で 不 良 と な っ て
い た が 、現 在 の 芽 立 ち は 良 好 で あ り 、春 植 え ギ ク の 準 備 と し て 、6a の 親 株 ハ ウ ス で 採 穂
が始まっている。
若狭では、前年と同様に芽立ち数が少なく、草丈は昨年並みである。8 月咲き「くれ
ない」は特に芽立ちが悪かった。8 月咲き親株にアブラムシがみられた。若狭キク部会
の苗は一部を個人委託されるが、大部分は個人育苗される予定である。春植えの主要品
種 は 、丹 生 で「 は じ め 」、「 小 雨 」、「 小 鈴 」、「 翁 丸 」、「 花 絵 」、
「 恋 心 」で あ り 、1.1ha に 作
付 予 定 。 定 植 は 3 月 19 日 ~ 4 月 15 日 に 予 定 し て い る 。 二 州 で 3 月 23 日 か ら 「 山 手 白 」、
「 広 島 紅 」、「 小 鈴 」、「 山 手 白 」、「 広 島 紅 」、「 小 鈴 」 の 挿 芽 が 行 な わ れ た 。 敦 賀 、 美 浜 地
区 120a に 定 植 予 定 で あ る 。若 狭 地 域 で は「 く れ な い 」、「 さ き か ぜ 」、「 翁 丸 」が 栽 培 さ れ
ている。福井の平坦部では、春植え8月咲きギクの定植が 3 月下旬~4月上旬に行われ
る予定。一部の圃場で天候不順による定植の遅れがみられる。
2
ユ
リ
奥 越 の 1 月 14 日 播 種 の シ ン テ ッ ポ ウ ユ リ 「 オ ー ガ ス タ 」 は 、 本 葉 第 1 葉 が 2~ 3cm 程
度となっている。
L A ユ リ の 県 育 成 品 種 「 福 井 ユ リ 」 は 、 福 井 市 、 春 江 、 鯖 江 、 敦 賀 市 等 で 約 24000 球
作 付 け さ れ て い る 。 そ の 多 く が 12 月 定 植 の 季 咲 き 栽 培 で あ る 。 春 江 の 栽 培 で 、 11 月 下
旬 定 植 で 「 レ ッ ド 」 11.3cm、「 イ エ ロ ー 」 8~ 14cm、「 ピ ン ク 」 3~ 8cm で あ っ た 。 福 井 東
南 部 、永 平 寺 (4 月 16 日 )で は 、11 月 下 旬 ~ 12 月 上 旬 に 定 植 さ れ た 。「 ラ イ ト ピ ン ク 」が
草 丈 10.4~ 18.2cm、「 レ ッ ド 」 で 5.6~ 34.6cm、「 イ エ ロ ー 」 の 9.3~ 25.7cm で あ っ た 。
福 井 ユ リ「 リ リ 」シ リ ー ズ は 、敦 賀 地 区 3a で 作 付 さ れ て お り 、「 レ ッ ド 」12cm、「 イ エ
ロ ー 」 11.5cm、「 ピ ン ク 」 4.5cm の 出 芽 長 で あ っ た 。
3
トルコギキョウ
南 越 地 区 で は 、「 ア ク ロ ポ リ ス 」、「 ロ ジ ー ナ 」、「 北 斗 星 」の 二 度 き り が 栽 培 さ れ て い る 。
奥 越 地 域 で は 、3 月 17 日 に ピ ッ コ ロ シ リ ー ズ (早 生 小 輪 一 重 )の ア プ リ コ ッ ト 、ホ ワ イ ト 、
ブルーピコティが旧盆出荷用に播種された。播種、3 月上旬定植の彩シリーズ、ピッコ
ロシリーズがみられる。
二州では「ロジーナ」シリーズ、「エクスカリバー」シリーズ、「北斗星」が3
月 17日 に 播 種 さ れ た 。 5月 下 旬 に 美 浜 町 新 庄 2aに 定 植 予 定 で あ る 。 3月 23日 か ら 「 ア
ロハブルーライン」、「あすかの舞姫」、「サマースモールキング」が敦賀、美浜
地 区 7aに 定 植 予 定 で あ る 。
4
ストック
二 州 の 3 月 咲 き 作 型 で は 、「 早 麗 」、「 早 華 」、「 マ リ ー ブ ル ー 」が 3 月 上 中 旬 か ら 出 荷 さ れ
た。坂井の 3 月 5 日収穫終了した。
5
その他
永 平 寺 の ヒ マ ワ リ「 サ ン リ ッ チ パ イ ン 45」、「 サ ン リ ッ チ オ レ ン ジ 」は 3 月 中 旬 に 播 種
- 14 -
された。
対
策
1
キクのハモグリバエ類とカスミカメムシ類の防除
(1) 4 ~ 5 月 に キ ク の 暮 れ 植 え 栽 培 の 株 や 、 葉 肉 の 厚 い 品 種 に 発 生 す る た め 、 薬 剤 防
除を予防的に行なう。例年被害が目立つ品種は、オルトラン粒剤等を用いて、前も
って防除しておく。
(2) 5 月 ま で は ナ モ グ リ バ エ 、 6 月 以 降 に 発 生 す る 種 は マ メ ハ モ グ リ バ エ と 優 占 種 が
遷移するため、多くの種に効果がある薬剤を選定する。殺卵効果のあるダントツ水
溶 剤 、ア ク タ ラ 顆 粒 水 溶 剤 、2齢 幼 虫 に 対 す る 効 果 が あ る ア フ ァ ー ム 乳 剤 が 有 効 と 考
えられる。
(3) 5 月 下 旬 ~ 6 月 中 旬 に か け て 、 カ ス ミ カ メ ム シ 類 が 発 生 す る 。 優 占 種 は コ ア オ カ
ス ミ カ メ と ウ ス モ ン ミ ド リ カ ス ミ カ メ で あ る 。薬 剤 は 表 1を 参 照 と す る が 、5 月 下 旬
の防除はハモグリバエと共通に登録があるものを散布できる。
( 4) 幼 虫 が 入 っ た 葉 は 二 次 発 生 と 細 菌 感 染 の 原 因 と な る た め 、 下 葉 か き を か ね て 除 去
する。被害がひどい場合は、落とした下葉も圃場から除去する。
2 トルコギキョウの管理
(1) 定 植 後 の 灌 水 は 、 活 着 と 初 期 生 育 を 促 進 さ せ る た め 、 根 が 張 る ま で 十 分 に 灌 水 す
る 。 特 に 、 花 芽 分 化 が 始 ま る 本 葉 8 対 ( 草 丈 が 15~ 20cm) 頃 ま で に 水 分 や 肥 料 が 少
な い と 切 り 花 の ボ リ ュ ー ム が 不 足 す る 。 二 度 切 り 栽 培 は 、 草 丈 が 10~ 20cmに 達 し た
時 点 で 、 生 育 が 良 い 株 を 1~ 2本 残 す 選 り を 行 な う 。 多 く 枝 を 残 す と 、 ネ ッ ト と 枝 が
邪魔で収穫がしにくい。
上葉が小さくなるうらごけがみられる場合は、圃場排水に努め、生育状況をみな
がら、液肥を施肥する。チップバーンが出やすい品種はカルシウム入り液肥の葉面
散布を行うとよい。
(2) 春植えは、活着後の生育の状態を見ながら液肥(OKF-1の500~1000倍など)を中心に追肥
する。
(3) 定植後に生育が停滞し、葉が淡黄色になって枯れる場合がある。これは主に塩類濃度( 最
適 E C 0 . 3 ~ 0 . 5 m S ) 1 . 0 m S 以 上 と 高い場合に発生する障害の可能性があるため、定植前に灌
水による塩類の流亡または床の表土を削り落とすとよい。
( 4) 土壌酸度が低い時も同様な障害が発生する。pHは 6 .5前 後 が よ く 、酸 性 土 壌 で は マ ン ガ
- 15 -
ン過剰の症状、上位葉先端や周縁部に黄白斑点、新芽の萎縮が見られる。
低 pHに は 薄 い 石 灰 水 ( マ グ エ ー ス な ど の 石 灰 資 材 を 100g/ 水 10㍑ に 溶 か す ) 10
㍑ を 3 ㎡ に 土 壌 施 用 す る 。こ れ で 石 灰 を 1 0a 当 た り 30k g 施 用 し た こ と に な る 。効
果が不十分であれば再度施す。
( 5) 立 枯 病 は フ ザ リ ウ ム 菌 と ピ シ ウ ム 菌 に よ る も の が 主 で あ る 。フ ザ リ ウ ム の 病斑は
灰白色粉状のかびが密生する。耕種的防除として過湿を防ぎ丈夫に育て、発病株は抜取り焼
却する。
(6) 葉 先 枯 れ 対 策 に は 、 日 中 に 換 気 を 十 分 行 い 、 軟 弱 徒 長 気 味 の 生 育 を さ せ な い 。
ま た 、雨 や 曇 天 が 続 い た あ と の 好 天 で 発 生 し や す い の で 、雨 や 曇 天 の 日 は 、扇 風 機
や 暖 房 機 の 通 風 運 転 で 施 設 内 の 空 気 を 常 時 動 か す よ う に す る 。ま た 、サ イ ド 際 の 降
雨の雨滴による灰色かび病や立枯れの発生に注意する。
3
ヒマワリの播種と育苗管理
(1) 天 幅 90cm の 50m 畝 で 種 子 量 は 5 ㎗ ( 約 4000 粒 ) を 必 要 と す る 。
催 芽 処 理 と し て 、播 種 前 に 種 子 を ガ ー ゼ で 包 み 、水 に 浸 漬 し て 48 時 間 冷 蔵 庫 に 入 れ 、
水 が 腐 ら な い よ う に す る た め 、 24 時 間 後 に 水 を 替 え る 。
(2) 200 穴 の セ ル ト レ イ に 播 種 す る 。 覆 土 後 は 新 聞 紙 で 覆 い 、 十 分 灌 水 す る 。
(3) 発 芽 温 度 は 、20℃ 以 上( 発 芽 適 温 26℃ )を 確 保 す る 。低 温 で 発 芽 揃 い が 悪 く な る と 、
その後の生育にも影響する。低温時は不織布でベタガケする。
(4) 3 ~ 4 日 で 発 芽 が 始 ま る の で 、 新 聞 紙 を 取 る 。 発 芽 時 に 子 葉 に つ い て い る 種 皮 が 取
れないようであれば手で取り除く。
(5) 苗 は 、 最 初 の 本 葉 が 展 開 し た 頃 ( 播 種 10 日 後 ) に 遅 れ な い よ う 定 植 す る 。
(6) 4 月 下 旬 に 播 種 し て 6 月 中 旬 に 開 花 す る が 、「 サ マ ー サ ン リ ッ チ パ イ ン 」、「 マ ン ゴ
ー 」「 オ レ ン ジ 」 の 順 に 開 花 す る 。
- 16 -
Ⅴ
果樹
実
況
1
ウメ
(1) 生育状況(園芸試験場)
「紅サシ」の開花始期は2月4日で、平年より 16 日、前年より 27 日早かった。開花盛期は2月 23
日で平年より 18 日、前年より 23 日早かった。開花終期は3月 11 日であり、開花期間は 37 日とほぼ
平年並であった。強風で花弁の散りは早かったが開花盛期から終期までの日数は 16 日と長く、灰色
かび病が発生しやすい条件となっている。葉芽の発育も早く、展葉は早まる見込みである。3月 10
日、11 日に降霰があり、3月 10 日は強風を伴った。
「剣先」の開花始期は2月 13 日、盛期は3月 11 日、「新平太夫」の開花始期は2月 14 日、盛期は
3月9日であり、平年より早く、前年よりかなり早かった。
不完全花率は「紅サシ」が 17.2%、
「新平太夫」が 19.0%であり、平年、前年より低く、花質はよい。
表1 紅サシの年度別開花状況
年度
2005
2006
2007
2008
2009
(H.17)
(H.18)
(H.19)
(H.20)
(H.21)
平年値(1986-2008)
平年差
前年差
始期
開花期(月/日)
盛期
終期
2/22
3/11
2/13
3/02
2/04
2/20
△ 16
△ 27
3/18
3/26
2/27
3/17
2/23
3/12
△ 18
△ 23
開花日数 不完全花率
(日)
(%)
4/01
4/04
3/07
3/26
3/11
3/25
△ 14
△ 15
40
25
24
25
37
36
1
12
25.0
21.3
19.3
29.1
17.2
22.9
△ 6
△ 12
結実率
(%)
52.2
57.8
75.7
66.8
57.3
(2) 地域状況
2月7日から 15 日まで気温の高い日が多かったことから開花は促進された。2月 15 日までに開花
したところでは受粉条件に恵まれたが、それ以後に開花盛期を迎えたところでは、気温の低い日や曇
天日が多く、ミツバチの活動は不活発であった。3月 10 日の強風で花弁が一斉に散った。不完全花
率はばらつきがみられるが、平均的には低く、花芽の質はよい。ミツバチの巣箱は3月 19 日に 1 回
目、遅場地域で3月 26 日に回収される。芽出肥の施用が行われている。
2
ナシ
(1) 生育状況(農業試験場)
3.0
農業試験場では「幸水」
、
「豊水」ともにりん
2.8
17 日現在)。「幸水」の発育速度モデルによる
発育指数は 2.4(3月 17 日現在)であり、平
年、前年と比較して2日程度早い発育である。
発育指数
片が完全にずれ、脱包期が近づいている(3月
今後気温が平年並に推移した場合、開花盛期は
2.6
平年('00-08)
前年
本年
2.4
2.2
2.0
2/1
2/8
2/15
2/22
2/29
3/7
3/14
3/21
3/28
4/4
4/11
4/18
4/25
4月 16 日前後と予測される。
また、ハウスナシは3月2日から保温を開始
した。開花は3月 25 日頃からと予測される。
図1 ナシ「幸水」の発育指数の推移
- 17 -
(2) 地域状況
催芽しているがまだ出蕾には至っていない(3月 18 日現在)。ハウスナシは早いところで出蕾期を
迎えており、平年並の3月下旬が開花始と予想される。一部でアブラムシの発生がみられる。
3
カキ
(1) 生育状況(農業試験場)
りん片はずれているが発芽には至っていない(3月 17 日現在)。
(2) 現地情報
発芽前であり、特に変わったことはない。
4
イチジク
(1) 生育状況(農業試験場)
3月上旬からハウスを締め切り、保温を開始した。
対
策
1
ウメ
(1)病害虫防除
ミツバチ巣箱の回収後に防除を行う。灰色かび病が発生しやすい条件となっているので開花終了
直後の防除作業が遅れている園では確実に実施する。4月は黒星病、アブラムシを主体とした展葉
初期、一次落果終了時の基幹防除を適期に行う。また、開花終了直後~展葉前のかいよう病を対象
としたICボルドーの散布ができなかった場合は、マイコシールドで対応する。マイコシールドは
果実横径が 10~15 ㎜の果実肥大期が散布適期である。なお、霰、雹が降った場合には2日後に散布
する。なお、エコファーマーに認定された農家は、除草剤を含めた化学合成農薬の使用成分数が合
計 14 回以内であることを考慮する。
(2)剣先の摘果
剣先は6月の早い時期にしか出荷できないので早期大玉果生産を行う必要がある。このため、結
実が確認できる4月中下旬から摘果作業を行う。摘果する果実は病害虫や傷のあるものを優先する。
摘果程度は短果枝の場合5cm に1果、10cm 以上の結果枝では 10cm に1果の割合で残す。1側枝中で
は先端部の結果枝、1短果枝中では先端部の果実が大玉果になる素質があるので優先して残す。
(3)除草・草刈り
草生栽培は草と果樹の間の養水分競合が問題となる。特に、春草の生え始めのこの時期は、ウメ
は幼果期と重なり、放置しておくとかなりの窒素が雑草に吸収されてしまう。春草の繁茂時期であ
る今月は、草丈が短いうちにこまめに刈り取る。なお、栽培面積が大規模の場合は除草剤を使用す
る。ただし、表土の流亡や地力、土壌の保水力の低下が懸念されるため年2回までとして、堆きゅう
肥などの有機物の補給を行う。
2
ナシ
(1)摘らい・摘花
ナシの果実は細胞からできている。大きい果実をつくるには、果実の細胞数を多くすることと、
一つ一つの細胞を大きくすることである。開花から開花後1か月頃までは果実の細胞が増える細胞
- 18 -
分裂期である。この時期の養分の浪費を防ぎ、果実の細胞数を増やす管理が重要である。
細胞数を増やすには開花後1ヶ月頃までにどれだけ蕾や果実の数を制限するかにある。そこで、
摘らいや早期の一次摘果が重要となる。摘らいは期間が短いが、果梗の折れやすい時期に行うので
道具を使わずに効率よくできる。1花そうに3~5花残すように摘らいする。摘らいが十分できな
い場合は開花後の摘花で対応する。
また、主枝、亜主枝の先端2年生部までおよび側枝の先端2芽については全て摘らい・摘花を行
う。
(2)人工受粉
自然に生息する訪花昆虫による受粉だけでは、気象条件によっては結実が不良となる。人工受粉
やミツバチの放飼を積極的に行う。人工受粉は開花直前の花を集め、葯を採取して、25℃、湿度 30
~50%の状態で開葯させ、フルイにかけて花粉を集める。この花粉を石松子で5倍に増量し、梵天、
筆、綿棒などにつけ、柱頭の先端をたたくように受粉する。限られた花粉なので、多くの花に受粉
するのではなくて、側枝に対して真向かいに立って、水平からやや上向きの1~2花に受粉する。
摘らいした場合は人工受粉を確実に実施する。
(3)芽かき
芽かきの目的は、余分な徒長枝などの発生による養分の消耗を抑え、樹冠部の受光体勢を良好に
することにある。主枝、亜主枝、側枝の上部や更新した側枝の切り口からの不定芽は徒長枝となり
やすいので芽かきする。また、「幸水」は予備枝の基部とその周辺の芽かきも行う。主枝、亜主枝の
先端が花芽で切り返してある場合には2本新梢が発生する場合があるので、芽かきして1本にする。
(4)病害虫防除
黒星病、黒斑病はりん片脱落期から満開期に降雨が続くと多発しやすいので、使用基準を守って
薬剤防除を徹底する。
3
カキ
(1)晩霜対策
4月は移動性高気圧とその後の低気圧が交互に通過するようになる。低気圧通過時には雨模様で
あるが、その後移動性高気圧が張り出してくると、一転して快晴、無風状態になる。日中の気温が
上がらず曇っていて、夜になって空が澄みわたり底冷えするようなときは霜害の危険が高い。気象
庁の霜注意報が発表される日の前日には戸外に温度計を設置し、気温を測定する。午後8時の気温
が5℃以下の場合は降霜の可能性が高いので注意し、気温が0℃近くまで下がってきたらスプリン
クラー散水を実施する。
(2)病害虫防除
展葉始に当たる今月下旬からカキクダアザミウマなどの害虫が活動し始める。使用基準を守って
防除する。
4
イチジク
(1)芽かき
発芽に合わせて徐々に芽かき作業を開始する。新梢の勢いを揃えるようにする。
(2)敷わらとかん水・排水対策
イチジクは高温乾燥に弱いため、敷わらをするとともに適宜かん水する。また、過湿にも弱いの
- 19 -
で排水対策に十分配慮する。
(3)ハウスの温度管理
ハウス内は 40℃以上の高温になると障害が発生するので、20~30℃を目安に温度管理する。
5
ブドウ
(1)棚の修理
ブドウづくりの基本は棚が平らでなければならない。発芽までに鋼線のゆるみなどを修理する。
また、垂れ下がってきた太い主枝などの下には支柱を入れて支える。
(2)芽傷処理
徒長枝の基部などでは、発芽が弱いことがある。樹液流動開始前に、ぜひとも発芽させたい位置
の芽の枝先側2~5㎜の部分にはさみやノコギリで木質部に軽くとどくように芽傷を入れると発芽
が良好になる。なお、乾燥防止のため処理部には塗布剤を処理する。
(3)芽かき
通常、1節から主芽、副芽の2つの新梢が発生するので、樹全体の新梢をそろえるように強すぎ
る芽では弱い新梢、弱い芽では強い新梢を残す。新梢を1本にすることによって、養分の無駄をな
くし、棚面の光状態を良くするねらいがある。新梢の本数は大粒系の巨峰などでは4本/㎡、小粒系
のデラウェアなどでは6本/㎡が目安となる。時期はなるべく早めがよいが、花ぶるいしやすい品種
や樹では、あわてず遅めに行い、樹勢を落ち着かせることも必要である。
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Ⅵ.畜産
実況
1 平 成 20 年 度 第 21 回 石 川 ・ 福 井 合 同 肉 牛 枝 肉 販 売 会 ( 21 年 3 月 9 日 )
頭数 単価
(円)
福井
18
1,625
去勢
全体 26 1,724
雌 福井 6 1,491
全体 15 1,792
販売価格 BMS 枝肉重量 ロース芯 バラ厚 背脂肪 上物率
(円)
(No) (㎏) 面積(㎠) (㎝) 厚(㎝) (%)
788,086 4.9
484.6
58.2
7.5
2.7
50
821,131 5.2
477.3
57.3
7.5
2.7
50
663,825 3.8
445.;9
57.8
7.7
3.1
50
742,232 4.8
418.0
57.3
7.6
3.2
53
福井県 24 頭の平均価格(税抜き)は 756,886 円(前回 21 頭、830,641 円)、最高価格は、1,027,900
円、去勢牛(宮崎県産・糸北国×秀平9×隆美、29.0 カ月齢、A-5(BMSNo8)、枝肉重量 541.0 ㎏、ロ
ース芯面積 69 ㎠であった。
2
平 成 20 年 度 第 22 回 石 川 ・ 福 井 合 同 肉 牛 枝 肉 販 売 会 ( 21 年 3 月 23 日 )
頭数 単価
(円)
福井
14
1,837
去勢
全体 21 1,817
雌 福井 7 1,261
全体 14 1,515
販売価格 BMS 枝肉重量 ロース芯 バラ厚 背脂肪 上物率
(円)
(No) (㎏) 面積(㎠) (㎝) 厚(㎝) (%)
896,503 6.4
488.0
58.4
7.6
2.3
79
848,935 5.8
464.8
56.8
7.4
2.3
67
580,155 3.8
462.6
50.6
7.7
3.8
0
676,390 4.8
447.9
50.0
7.7
3.9
36
福井県 21 頭の平均価格(税抜き)は 791,504 円(前回 24 頭、756,886 円)、最高価格は、1,224,993
円、去勢牛(宮崎県産・福桜×糸秀×忠福、28.5 カ月齢、A-5(BMSNo10)、枝肉重量 526.2 ㎏、ロース
芯面積 62 ㎠であった。
対 策
『 脂 肪 酸 ( DHA 等 ) 組 成 を 改 善 し た 豚 肉 生 産 技 術 』( 平 成 21 年 度 「 普 及 に 移 す 技 術 」)
1 ねらい
サバ油には生活習慣病や免疫性疾患に対し予防・改善効果があるとされるドコサヘキ
サ エ ン 酸( DHA)が 多 く 含 ま れ て い る の で 、こ れ を 有 効 利 用 し 豚 肉 の 機 能 性 食 品 と し て の
価値を高める。また、簡易な給与法としてサバ油を固形化したものを肥育後期豚用飼料
にトップドレッシング(まぶす)する方法について有効性を検討する。
2 成果の内容
(1) サ バ 油 の 固 形 化 は サ バ 油 5 に 対 し 微 粒 二 酸 化 ケ イ 素( 微 粉 末 シ リ カ )2 の 割 合 で 混 合
し 、肥 育 後 期 豚 用 飼 料 に 、油 量 と し て 重 量 比 で 2 % と な る よ う 添 加 し 、出 荷 前 1 カ 月 間
給与する。
(2) サ バ 油 を 2 % 添 加 す る と 枝 肉 重 量 は 無 添 加 区 と 同 等 で あ る が 、飼 料 要 求 率 は サ バ 油 区
が 有 意 に 低 い ( 表 1 )。 ま た 、 肉 質 の 一 般 成 分 は い ず れ の 項 目 に お い て も 有 意 な 差 は 認
め ら れ な い ( 表 2 )。
(3) 胸 最 長 筋 ( ロ ー ス ) 中 の 脂 肪 の D H A 含 量 は 対 照 区 の 0.4% に 対 し サ バ 油 区 は 0.8%
と 有 意 に 増 加 す る が 、 脂 肪 の 融 点 は 変 わ ら な い ( 表 3 )。
な お 、肉 の 香 り に つ い て 坂 井 農 業 高 校 学 校 祭 の イ ベ ン ト 出 席 者 か ら 無 作 為 に 抽 出 し た
男 女 57 名 を 対 象 に 実 施 し た 官 能 検 査 で は 差 は な い 。
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3 成果の活用面・留意点
(1) サ バ 油 を 固 形 化 す る こ と に よ り 取 扱 い が 容 易 に な り 、ま た 、均 一 化 し や す く な る た め
省 力 的 に 添 加 給 与 す る こ と が 可 能 に な る 。サ バ 油 の 肥 育 後 期 豚 用 飼 料 へ の 添 加 法 と し て
トップドレッシングが実用的である。
(2) 肥 育 後 期 豚 用 飼 料 へ の サ バ 油 の 添 加 量 は 、飼 料 に 対 し 重 量 比 で 油 量 と し て 2 % で よ い 。
(3) サ バ 油 の 固 形 化 は 取 扱 い を 容 易 に す る 上 で 有 効 で あ る が 、微 粒 二 酸 化 ケ イ 素 は 高 価 で
ある。
(4) 自 家 配 合 飼 料 に サ バ 油 を 添 加 す る 場 合 は 、抗 酸 化 資 材 と の 併 用 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。
表 1 発 育 成績
頭数
区 分
体 重
開 始時
出 荷時
( kg )
(kg)
(kg)
枝 肉
重 量
( kg)
D.G
枝 肉 飼 料
歩 留 要 求率
( %)
区
5
9 1. 2
114.0
0 .8 2
74.7
65 . 5
3.44a
サ バ 油 区
6
9 3. 5
117.1
0 .8 3
75.1
64 . 1
2.75b
対
照
※異符 号間に 有意 差あり
( p< 0.01 )
表2 胸最長筋の一般組成・物理的性質
頭数
区 分
肉色
水分
(PCS)
(%)
ドリップ 加 熱 加 圧 剪断
粗脂肪
ロス
損 失 保水力 力価
(48h, %)
(% )
(%)
(kg)
(%)
区
5
3.4
74.4
4.8
26.6
0.8
2.2
1.5
サ バ 油 区
6
4.2
73.7
5.0
27.8
0.7
2.7
2.2
対
照
表3 胸最長筋の脂肪酸組 成と融点
脂肪酸組成 (%)
オレイン酸
リノール酸 ドコサヘキサエン酸
C18:1n9c
C18:2n6c
C22:6n3
区 分
融 点
(皮下脂肪内層)
(℃)
区
36.7
10.2
0.4a
40.1
サ バ 油 区
39.8
9. 5
b
40.8
(参考)サバ油
8.5
-
0.8
25.2
対
照
※異符号間に有意差あり (p<0.05)
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