トマトだより 第 87 便 2015 年 4 月 21 日

トマトだより
第 87 便
2015 年 4 月 21 日
ロックウール
【栽培ノート:2015 年 3 月 24 日~2015 年 4 月 7 日】
<定植:8 月 25 日、9 月 1 日>
[生育状況(2015 年 4 月 7 日現在)]
1 系統:りんか409
第 22 花房開花
15 果房収穫
2 系統:麗容
第 21 花房開花
14 果房収穫
3 系統:マイロック
第 22 花房開花
15 果房収穫
(写真 1)
[定期作業]
クリップ誘引(テープナー誘引)、わき芽取り、下葉かき、摘花
[適宜作業]
吊りおろし(成長点の高さ揃え) 、果こうサポーター付け
[病害虫防除]
コナジラミ対策
写真 1
この先の収穫果房の様子
写真 2
樽トマトの果実の様子
樽
【栽培ノート:2015 年
3 月 24 日~2015 年 4 月 7 日】
<播種:12 月 22 日,移植:1 月 9 日,定植:2 月 13 日>
[生育状況(2015 年 4 月 7 日現在)]
品種:ソプラノ、桃太郎ギフト
第 5 花房開花
(写真 2)
[定期作業]
巻きつけ、わき芽取り、ホルモン処理
誠和高生産トマトハウスでの栽培状況②
寒さの厳しい冬も過ぎ去り、春から初夏の気配を感じる季節となってきました。小金井事業所の高生産トマトハ
ウスでは、2014 年 8 月 25 日、9 月 1 日の定植から約 7 ヶ月が経過し、折り返し地点を過ぎようとしております。前
回の栽培状況のご報告で、芯止まりや花とび、連続花房の発生があったとお伝えしました。一時期は、花房のトラ
ブルの影響により着果負担が減少し、栄養成長気味の樹勢となってしまいましたが、ハウス内環境のコントロール
により、現在の樹勢バランスは良好となっております。トラブルの発生した果房が 2 月に収穫となり、予定の収量
より落としてしまいましたが、3 月に入り落ちていた収穫量も回復し、目標の収量である 45t/10a の到達に向け突
っ走っています。
さて、季節の移り変わりに伴い、日々の作物の管理も変わってきました。10 月下旬より継続して行っていた花房
直上葉の摘葉と果こう折れ防止クリップの使用は、3 月上旬に終了しました。日射量の増加と気温の上昇に伴い、
今後は葉面積の確保が必要となります。一方、花こうの質も向上し、花こう折れに悩まされることは少なくなりま
す。
3 月に入り、冬至の頃の日射量は晴天日で約 10MJ/㎡でしたが、3 月の日射量は晴天日で約 20MJ/㎡と、2 倍近く
まで増加しております。光合成の元である光の増加は、単純に考えれば作物にとって環境の良い時期となってきま
す。しかし、特に 2 月中旬から 4 月下旬にかけては外気の乾燥、晴天日と曇天、雨天の繰り返しによる作物の萎れ
に悩まされる時期でもあります。萎れの発生は、根傷み、尻腐れ果発生の要因ともなり注意が必要です。
昨年の小金井事業所の高生産トマトハウスでは、実際に萎れに悩まされることも多くありましたが、今年は萎れ
に対して行っている対策がありますので、少しお話したいと思います。その対策とは、日の出後のまだ日射量の少
ない時間帯から天窓を開けるような管理です。作物は、日の出後の日射と気温の上昇に伴い、蒸散と光合成を開始
します。温度の上昇に従い、蒸散は活発に行われますが、3 月~4 月の晴天日は、日の出後から日射の影響によりハ
ウス内の温度は急激に上昇してしまいます。日の出後でも地温はまだまだ低く、蒸散のスピードに対して吸水のス
ピードが追いつかずに萎れに繋がってしまいます。①日の出後の急激なハウス内温度の上昇を防ぎ、蒸散スピード
を急加速させないこと(図 1①)
、②早めの換気によりハウス内の飽差を高め、乾燥に慣らしておくこと(図 1②)
を意図とした換気窓の使い方をしております。しかし、3 月~4 月はまだまだ外気も低温かつ乾燥しております。換
気量が多すぎると低温かつ乾燥した空気が生長点に降り注ぎ、成長点はダメージを受けてしまいますので注意が必
要です。また、曇天日は日射量も少なく、蒸散も活発ではありませんので根圧が低下してしまいます。そんな曇天
日を経験した後の晴天日は、より萎れる可能性が高くなってしまいます。誠和では、曇天日は特に飽差の値に注目
をしています。今までの実績から、曇天日、雨天日の日中の飽差の値を、最低でも数時間は 2.5g/m3 に保ち、翌日
の晴天に向けて根圧を維持させるような管理をしています。
今回ご案内しました内容は、あくまで誠和で行っている萎れ対策の一例です。萎れにより引き起こされる根傷み
は、これからの梅雨や高温期のスタミナの消耗を加速させてしまいます。栽培の終了となる 7 月末までには、まだ
まだ辛く過酷な環境が立ちはだかってきます。いかに萎れを防ぎ、根傷みをさせないかで今後の収量の伸びが変わ
ってきます。今期の目標である 45t/10a の達成は勿論のこと、作物の状態、栽培管理をしっかりと見極め、皆様方
に提供できる環境管理技術を蓄積できるよう、日々栽培に励んで行きたいと思います。
図1
マキシマイザーのグラフ
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