気りびえ∼る（9）平成26年2月9日（日曜日）子宮筋腫と隆先生にまつわる ■ 入江子宮生理前のイライラ、つらい月経痛などの不快な症状は女性だから仕方ない？その症状の裏には、子宮にまつわる病気が隠れているかもしれません。今回は「子宮筋腫・子宮内膜症」について、松江市立病院診療部長兼産婦人科長の入江隆先生に聞きました。放っておくとどうなる？子宮筋腫は、個人によってスピードの差はありますが閉経まで大きくなり続けます。中にはへそ辺りまで達することもあり、肥大した筋腫が周辺組織を圧迫するようになると、頻尿、月経痛、下腹部の違和感などの症状を生じます。筋腫ができやすい30歳以降に出産を望む女性が増えており、妊娠・出産に支障が出るケースもあります。子宮内膜症は子宮と周りの臓器を癒着させ、月経痛のほか性交痛、排便痛などを引き起こします。不妊の原因になる可能性もあるので注意が必要です。卵巣にできた子宮内膜症は、古い月経血がたまり茶褐色に変化するので「チョコレート嚢（のう）胞」と呼ばれ、まれにがん化する場合もあります。子宮内膜症啓発キャンペーン特集︵中︶子宮筋腫は女性なら誰でもなる可能性があるポピュラーな病気で、その頻度は３∼４人に１人といわれます。30∼40歳代が中心で、女性ホルモン分泌量が減少する閉経後は、筋腫は小さくなっていきます。子宮内膜症は20∼40歳代に多く、女性の約10％に発症します。月経回数の多い人がなりやすい傾向にあります。近年、初経（初潮）の低年齢化、出産経験がないまたは高齢出産の女性が多くなったことで増加している現代病ともいえます。を付けたいなりやすい人は？子宮筋腫の治療法は？子宮筋腫は数ミリのごく小さいものも含めると多くの女性が持っており、医師によって判断が分かれます。年齢や出産希望の有無、筋腫の大きさ、自覚症状の程度などを考え合わせて治療法を選びます。過多月経や月経痛に対しては、対症療法として低用量ピルが有効です。ピルの効果がなく、日常生活に支障をきたすほど症状の重い場合や、筋腫が著しく大きい場合には手術を行います。将来出産を希望する人は筋腫のみを摘出しますが、筋腫はとても再発しやすいので、出産を希望しない人には子宮の全摘出を勧めます。経血の量が多く心配ですしょう漿膜下筋腫粘膜下筋腫壁内筋腫子宮内膜症の治療法は？子宮内膜症の症状を緩和するには、鎮痛剤が有効ですが、内膜症の進行を止めることはできません。治療法としては、低用量ピルや黄体ホルモン療法などで月経をコントロールする薬物療法があります。近年は薬物療法が中心ですが、チョコレート嚢胞や子宮内膜症が原因と思われる不妊症がみられる、薬物療法が有効でない、出産を希望しない人に対しては病巣や子宮を摘出する手術療法を勧めます。医師と相談して自分に合った治療法を選びましょう。月経トラブルはガマンしないで、早めに婦人科へ行こう！次回のテーマは「婦人科検診」です。より詳しい情報はウェブサイトRaipooをご覧ください。らいぷー検索 http://www.sanin-chuo.co.jp/lady/ 病気松江市立病院診療部長兼産婦人科長図：子宮筋腫の種類子宮筋腫かもしれません。子宮の筋肉にできる良性の腫ようのことで、典型的な症状が過多月経です。そのため貧血になる人もいます。発生場所によって３つに分けられ、子宮の外側にできる漿（しょう）膜下筋腫、筋層の中にできる壁内筋腫、子宮内腔にできる粘膜下筋腫があります。筋腫のこぶは、１個とは限らず複数個発生することもあります。子宮内膜症（病巣部）の起きやすいところ月経痛がつらい… 子宮内膜症が疑われます。子宮内膜が子宮以外の場所で発生し増殖する病気です。原因ははっきりしていませんが、月経によって体外に排出される月経血、つまり子宮内膜の一部が逆流して周辺組織に飛び散って起こるという説が主流です。卵巣、直腸と子宮のすき間にある「ダグラス窩（か）」などで発生しやすく、多くの人に強い月経痛がみられます。卵巣子宮腹膜卵管直腸ぼうこう膀胱かダグラス窩