J. Plasma Fusion Res. Vol.90, No.11 (2014)7 08‐712 小特集 太陽系プラズマ 3.地球磁気圏 3. The Earth’s Magnetosphere 3. 4 地球磁気圏におけるオーロラの物理 3.4 Auroral Physics in the Earth’s Magnetosphere 塩川和夫 SHIOKAWA Kazuo 名古屋大学太陽地球環境研究所 (原稿受付:2 0 1 4年6月1 0日) オーロラは,磁気圏でのプラズマ変動を,地球大気に投影した形で2次元的に可視化し,その面的な把握を 可能にする.近年のオーロラカメラの高感度化や多点化,米国 THEMIS 衛星や日本のれいめい衛星により,オー ロラを通して磁気圏のさまざまな変動の様子が明らかになってきた.本節ではその中で,オーロラサブストーム, パルセィティングオーロラや波動と粒子の相互作用,共回転オーロラやブラックオーロラなどに代表されるプラ ズマの微細空間構造に関して,近年の主だった研究成果を紹介する. Keywords: auroralsubstorm, pulsating aurora, black aurora, wave-particle interaction, pressure-driven instability 3. 4. 1 はじめに は,磁気圏構造とダイナミクスに関係したオーロラの観測 地球磁気圏のプラズマは,その分布関数や関連した電磁 に関する近年の成果に関して俯瞰する. 場変動を人工衛星で直接観測できる天然のプラズマ実験室 3. 4. 2 サブストームに伴うオーロラ変動 である.また放射線帯に存在する数百 keV 以上の高エネル ギープラズマは,人工衛星や宇宙飛行士に重大な悪影響を サブストームは,オーロラが夜側で急に明るくなり,全 与えるため,その変動メカニズムの理解と予測は大変重要 天に拡がって激しく躍動する継続時間1−2時間程度の である.しかし地球磁気圏は地球の大きさの数十倍以上と オーロラサブストームとして発見され[1],その後,尾部で 非常に大きいスケールをもつため,人工衛星のその場観測 のリコネクションにともなう地球磁気圏全体のエネルギー ではその変動の全体像をとらえることが難しい.この磁気 解放現象であることがわかっている.その開始メカニズム 圏のプラズマは磁力線に沿って地球に近づき,大気と衝突 に関しては,地球半径(Re)の20−30倍(20−30 Re)付近 することによってオーロラを光らせる.このオーロラを撮 の磁気圏尾部におけるリコネクションが深く関わっている 像観測することにより,磁気圏プラズマの構造やダイナミ が,オーロラサブストームの開始時のオーロラを磁気圏に クスを,大気への投影画像として面的にとらえることがで 投影した場合,10 Re 付近の近い位置に投影されることか きる. ら,リコネクションとは異なるメカニズムが地球に近い場 特に,1990年代後半から使われるようになった背面照射 所で働いている可能性も示唆されてきた(詳しくは[2]な 型CCD素子や, 2000年台後半から使われている電子増倍型 どを参照).この矛盾を解決するために,米国は THEMIS CCD 素子に代表される撮像素子の改良により,より暗い 衛星群を打ち上げ,地球から 30 Re,20 Re,10 Re の位置に オーロラが解像度良く撮影できるようになり,新たな成果 尾部方向にそれぞれ1機,1機,3機の衛星を配置するこ が生まれている.また,サブストーム開始機構の解明をめ とによって,10 Re 付近か20‐30 Re のリコネクション領域 ざした米国 NASA の THEMIS 衛星プロジェクト(2 007年 か,どちらが先にサブストーム開始の特徴をとらえるか, 打ち上げ)とそれによりカナダ・米国に広範囲に展開され を調べた.これと同時に,カナダ・アラスカの地上の20カ た全天カメラ群や,オーロラとその粒子の対応付けをめざ 所以上に全天カメラを設置し,オーロラの高時間・高空間 した我が国のれいめい衛星(2005年打ち上げ)も,オーロ 分解能の撮像観測を広範囲にわたって実現した [3].この ラ物理の新たな知見の獲得に貢献してきた.この論文で オーロラ観測により,サブストームに関連したいくつかの Solar-Terrestrial Environment Laboratory, Nagoya University, Nagoya, AICHI 464-8601, Japan author’s e-mail: [email protected] 708 !2014 The Japan Society of Plasma Science and Nuclear Fusion Research Special Topic Article 3.4 Auroral Physics in the Earth's Magnetosphere 新しい議論が起こっている. K. Shiokawa 不安定で引き起こされている可能性もあると思われる. これまで,サブストームの開始は,最も低緯度側のオー 3. 4. 3 パルセィティングオーロラと波動粒子相 互作用 ロラから明るくなり,高緯度に拡がっていく,と考えられ ていた.しかし,この高感度・高空間分解能のカメラ群に THEMIS 衛星群の内の 10 Re 付近の3機の衛星は,磁気 より,このサブストームの開始前に,図1に示すように, オーロラ帯の高緯度側境界付近でオーロラがわずかに明る 圏の中でもより粒子のエネルギーが高くなる内部磁気圏の くなる Poleward Boundary Intensification(PBI)が発生し, 物理に関して,いくつか興味深い成果を出している.特に, そこから赤道方向へ伝搬していった弱いオーロラのスト 図3に示すように,地上の全天カメラで観測された10秒程 リーマと呼ばれる構造が,最も低緯度側のオーロラに接触 度の周期で点滅するパルセィティングオーロラに対応し すると,そこからオーロラサブストームの増光が開始され て,磁気圏の赤道面で,電子のサイクロトロン運動に起因 る,ということがわかってきた[4, 5].この観測は,PBI して発生するコーラスと呼ばれる周波数が数百 Hz のホ が 20−30 Re のリコネクションの地球への投影,赤道方向 イッスラーモードのプラズマ波動が1対1で点滅している に向かうストリーマが,リコネクションから発生した地球 ことをとらえることに成功した [8].この観測は,パル 向きの高速フローの地球への投影,と考えるとよく理解で セィティングオーロラを作る 10 keV 程度の高エネルギー き,上記のサブストーム開始メカニズムの議論に大きな影 電子の大気への降り込みの on/off が,コーラス波動の on 響を与えている. /off で決まっていることを示している.コーラス波動によ また,この高解像度の全天カメラにより,サブストーム る電子のピッチ角散乱がこのオーロラ電子の降り込みの原 開始時に急激に明るくなるオーロラに,図2に示すような 因を作っていることは理論的に予想されていたが,この観 東西方向の周期的なビーズ状の構造があることが指摘され 測はその証拠になる.しかし,なぜコーラス波動の強度が るようになってきた[6, 7].この構造は,サブストームの開 on/off されるか,に関しては説明がなされておらず,今後 始の引き金に,磁気圏のバルーニング不安定が重要な役割 の課題である.温度の低い磁気圏の背景プラズマ密度の上 を果たしていることの証拠ではないか,と示唆されている [6].しかしこのようなカーテン 状 のオーロラ(オーロラアー ク)は,磁気圏の流れのシアにより形成されるので,シア 図1 図2 オーロラサブストーム開始時(T=0)の前の夜側のオーロ ラの動態の模式図([5] より転載) . 図3 (上) 磁気圏の THEMIS 衛星で観測されたコーラス波動,こ の波動による電子の散乱と,それによって引き起こされる パルセィティングオーロラの模式図.(下) THEMIS 衛星で 観測された数百 Hz(サイクロトロン周波数 fc の 0.05-0.5 倍)の周波数をもつコーラス波動の強度と,その磁力線の 根元の地球上で全天カメラにより観測されたパルセィティ ングオーロラの輝度変化.両者がきれいに相関しながら変 動していることがわかる([8] より転載) . 北半球のアイスランド(左)と南半球の昭和基地(右)の全 天カメラで同時に観測されたオーロラサブストーム開始時 のオーロラアーク内の周期的構造([7] より転載) .東西方 向に延びたオーロラアークの中に,周期的な明るさの変動 があり,それが南北両半球で同時に発生することから,磁 気圏赤道面でのプラズマ現象であることがわかる. 709 Journal of Plasma and Fusion Research Vol.90, No.11 November 2014 下に 伴 っ て,コ ー ラ ス 波 動 が on/off さ れ て い る こ と が になってきた.その代表例が,図6に示した共回転オーロ THEMIS 衛星の観測から示されている [9]. ラである[14].このオーロラは,16−19時の夕方の時間帯 にオーロラ帯の低緯度側に現れるパッチ状のオーロラで, このパルセィティングオーロラに関しては,日本が打ち 上げたれいめい衛星によって,大気のすぐ上の高度600 km この図に示すように,長時間にわたってほとんど形を変え で,オーロラを引き起こす電子の降り込みと,オーロラの ずに空の同じ位置にとどまっている.同時に日本のあけぼ 変動の対応関係が明らかになってきた.図4の例に示すよ の衛星や米国の DMSP 衛星が観測したプラズマデータか うに,パルセィティングオーロラの上空では,10 keV 以上 ら,このオーロラは10 keV程度の電子の降り込みで起きて の高エネルギー電子が先に衛星に到達し,エネルギーが低 いるが,そのパッチ構造は,プラズマ圏から高緯度側に張 い電子ほど後に到達するというエネルギー分散が観測され り出した低エネルギーの背景プラズマで形成されているこ ている[10].このエネルギー分散を逆算することにより, とが示唆されている.このプラズマ圏の低エネルギープラ この電子が磁気圏赤道面で on/off の変調を受けて降り込ん ズマが地球と一緒に回転(共回転)しているため,オーロ でいることが示され,前述のTHEMIS衛星による結果と合 ラが長時間にわたって形を変えずに出現していると考えら 致した結果が得られている. れている.低エネルギープラズマが,プラズマ波動を介し て高エネルギープラズマのピッチ角散乱を制御しており, 同様の波動粒子相互作用は,電子サイクロトロン波動で ある kHz 帯のコーラス波動だけではなく,周波数が 1 Hz このパッチ状の複雑な構造は,低エネルギープラズマの磁 付近のイオンサイクロトロン波動である Pc1 帯地磁気脈動 気圏における分布を反映していると思われる. でも同定されるようになってきた.特に 4 Re 付近で外から 同じように複雑な微細構造をもつオーロラは,図7に示 内側に向けて急激にプラズマ密度が上昇するプラズマポー すように,れいめい衛星でも観測されている [15] .この ズ付近で,Pc1帯地磁気脈動とスポット状のイオンの降り オーロラは小さいところではその半値幅が1.8 km以下であ 込みがよく対応していることがわかってきた [11, 1 2].こ り,磁気圏に投影した場合のイオンのジャイロ半径よりは れにより,イオンサイクロトロン波動が空間的に狭い範囲 るかに小さいため,MHD 近似で表される磁気圏プラズマ で局所的に発生して,イオンを地球に向かって散乱して降 ダイナミクスではこのような構造の形成は説明できない. り込みを起こしていることが示された. 同時にれいめい衛星で観測された降り込みイオン・電子 データから,このオーロラは数 keV のエネルギーをもつ電 さらに,近年の撮像技術の進歩により,画像増幅が必要 子の降り込みで引き起こされていることがわかっている. な暗い現象であるオーロラに対しても,高時間分解能の オーロラ画像が得られるようになってきている.その一例 として,1/500 秒の超高速で撮像されたパルセィティング オーロラの時間変化を図5に示す [1 3].横軸が空間距離, 縦軸が時間(6秒間)である.図の真ん中から左(西側)に かけて,3秒周期で明滅するパルセィティングオーロラの かたまりが観測されているが,その右側には,8−12 Hz の非常に早い周期の変動が起きている.詳細な解析から, この変動は20−30 ms の時間スケールのパルス状の変動で あることがわかった.このような変動の成因はまだわかっ ておらず,今後の研究が待たれる. 3. 4. 4 オーロラの微細構造の形成とブラック オーロラ 図5 アラスカ・ポーカーフラットに設置された時間分解能 1/ 500 秒の超高速カメラで撮影されたパルセィティングオー ロラの時間変動.横軸は西(左)から東(右)の空間距離 (約 30 km) ,縦軸は時間.図の右側に 8‐12 Hz の早い変動 がみられる([1 3] より転載) . 図6 アラスカ・ポーカーフラットで観測された共回転オーロラ の全天カメラ画像.波長 557.7 nm の単色画像で露出は3 秒.4 0分間にわたってほとんど形を変えずに同じオーロラ が観測されている([1 4] より転載) . 地上や衛星からの全天カメラの高感度化に伴って,これ まで観測されなかった暗いオーロラの存在が知られるよう 図4 れいめい衛星で,パルセィティングオーロラの上空で観測 された降り込み電子のエネルギー−時間(緯度)断面図. 2 keV 以上の電子に強度の明滅があり,高エネルギーの電 子が低エネルギーの電子よりも先に降り込んできているこ とがわかる([1 0] より転載) . 710 Special Topic Article 図7 3.4 Auroral Physics in the Earth's Magnetosphere K. Shiokawa れいめい衛星で観測された雲のようなオーロラの微細構造 の3つの例.観測波長は 557.7 nm([1 5] より転載) . 共回転オーロラと同様に,磁気圏の低エネルギーの背景プ ラズマがプラズマ波動の励起を制御することにより,この ような微細な構造をもつ高エネルギー電子の降り込みが形 図8 (上) 波長557.7 nmで観測されたブラックオーロラ(画面中 に左下から右上に延びる筋状の黒い構造) .(下) 同時に観 測された降り込み電子のエネルギースペクトル.数 keV か ら 10 keV で間欠的に電子が欠けているところがブラック オーロラに対応する.どちらもれいめい衛星で高度 650 km から観測([1 6] より転載) . 成されると示唆されている. さらにれいめい衛星は,同じように複雑な微細構造をも つブラックオーロラとそれを引き起こす粒子の同時観測に 成功している [16].図8にその例を示す.この画像では, 3−5 kR の明るさをもつ波長 557.7 nm のオーロラ画像の中 に,幅 3−5 km で筋状に横に延びたブラックオーロラが幾 層にも重なっていることが見える.このオーロラを引き起 こしている降り込み電子のデータをみると,背景のオーロ ラを光らせているエネルギーが 100−1000 eV の電子降り 込みのさらに高エネルギー側に,数keVから10 keVのエネ ルギー範囲で,電子降り込みが間欠的に抜けており,これ がブラックオーロラを形成していることが新たにわかっ た.このような微細構造を形成するメカニズムとしては, 電場の構造ではなく,前述と同じように背景プラズマによ る波動粒子相互作用の制御の可能性が示唆されている. 図9 一方,空間変化と時間変化を区別して計測ができる地上 のオーロラ撮像から,MHD プロセスによるオーロラの微 オーロラのパッチ構造から発達する指状の構造(図中の矢 印) .磁気圏での圧力勾配型不安定の発生を示唆する( [1 7] より転載) . 細構造の形成を示唆する結果も出てきている.図9は,サ ブストームの回復期に必ず現れるオーロラのパッチ構造か 波動の強度は背景プラズマ密度によって左右されるため, ら,指状の構造が発達し,オーロラパッチの細分化を起こ この密度の構造がオーロラとして投影されて,微細なオー している瞬間をとらえた画像である[17].このような指状 ロラ構造ができていることが示唆されている.しかしこの の周期構造の発達は,磁気圏内での MHD スケールの圧力 波動粒子相互作用に関しては,波動と粒子の位相・分布関 勾配型不安定によって起こされていると考えられ,プラズ 数の時間変化まで含めた磁気圏赤道面での高時間分解能観 マの流体的な振る舞いもオーロラの微細構造化に貢献して 測はまだなされておらず,相互作用の直接的な証拠はつか いることがうかがわれる. めていない.2016年度に打ち上げられる ERG衛星がこの直 接観測を初めて行うべく,準備がなされている.プラズマ 3. 4. 5 まとめ 素過程に関する空間スケールを与える可視化ツールとし 本章では,近年の THEMIS 衛星,れいめい衛星や地上の て,また,人類文明の宇宙への展開のための基礎知識とし オーロラ観測から得られた成果について,サブストームに て,オーロラの研究はますますその重要性を増している. 関連したオーロラや,オーロラの高速変動・微細構造につ いていくつかの代表的な結果を紹介した.カメラの高感度 参考文献 化,高分解能化により,これまでよりも暗いオーロラの微 [1]S.-I. Akasofu, Planet Space Sci., 12, 273-282 (1964). [2]塩川和夫:磁気圏構造とオーロラ,総説・宇宙天気 上出洋介,柴田一成編著,pp.3 6 7 ‐ 4 1 4 (京都大学学術出 版会,2 0 1 1) . [3]S.B. Mende et al., Space Sci. Rev. 141, 357-387, doi:10.1007 /s11214-008-9380-x (2008). 細構造がわかるようになり,様々な興味深い結果が得られ ている. 特に内部磁気圏では,ホイッスラーモード波動や電 子サイクロトロン共鳴波動などのプラズマ波動が,10 keV 程度の高エネルギー電子のピッチ角散乱を引き起こして オーロラを光らせるという考え方が従来からあった.この 711 Journal of Plasma and Fusion Research Vol.90, No.11 November 2014 [4]Y. Nishimura et al.,J. Geophys. Res. 115, A07222, doi: 10.1029/2009JA015166 (2010). [5]Y. Nishimura et al., Y., J. Geophys. Res. 116, A09214, doi: 10.1029/2011JA016768 (2011). [6]E.F. Donovan et al., in Proc. of International Conference on Substorms-8, ed. M. Syrjäsuo and E. Donovan, pp. 5560, Univ. of Calgary, Alberta, Canada (2006). [7]T. Motoba et al., Geophys. Res. Lett. 39, L08108, doi: 10.1029/2012GL051599 (2012). [8]Y. Nishimura et al., Science 330, 81 (2010). [9]W. Li et al., J. Geophys. Res. 116, A06206, doi:10.1029/2010 JA016313 (2011). [1 0]Y. Miyoshi et al., J. Geophys. Res. 115, A10312, doi:10.1029 /2009JA015127 (2010). [1 1]A.G. Yahnin et al., J. Geophys. Res. 112, A10223, doi: 10.1029/2007JA012501 (2007). [1 2]K. Sakaguchi et al., J. Geophys. Res. 113, A05201, doi: 10.1029/2007JA012888 (2008). [1 3]R. Kataoka et al., J. Geophys. Res. 117, A08336, doi:10.1029 /2012JA017987 (2012). [1 4]M. Kubota et al., Geophys. Res. Lett. 30 (12), 1612, doi: 10.1029/2002GL016652 (2003). [1 5]Y. Ebihara et al., J. Geophys. Res. 115, A08320, doi:10.1029 /2009JA015009 (2010). [1 6]Y. Obuchi et al., J. Geophys. Res. 116, A00K07, doi:10.1029 /2010JA016321 (2011). 7]K. Shiokawa et al., J. Geophys. Res. 115, A02211, doi: [1 10.1029/2009JA014273 (2010). 712
© Copyright 2024 Paperzz