第2章 有人宇宙活動に向けた生命維持システムの研究開発

第2章
有人宇宙活動に向けた生命維持システムの研究開発
宇宙航空研究開発機構
総合技術研究本部
大西
充
Research and development of ECLSS for human space activities
Japan Aerospace Exploration Agency
Institute of Aerospace Technology
Mitsuru Ohnishi
Abstract
On April 2005, JAXA released its long‑term vision “JAXA 2025.” The vision includes
the roadmap toward 2025 in the area of manned space activity. Life‑support‑system
technology is considered as one of the potential key technologies for these activities.
Preceding the vision, the Institute of Aerospace Technology initiated a discussion
on the future possibility of Japanese life‑support‑system technology in 2004. Based
on the discussion, we categorized our research activities as 1)Research of life
support systems, 2)R & D of next generation life support components, 3)R & D of next
generation+ life support components, 4)Research of ultimate life support components.
These activities are briefly introduced.
1
はじめに
JAXA長期ビジョンに従い、JAXAが進めようとしている我が国独自の有人宇宙
活動にとって、環境制御・生命維持システム(ECLSS、Environmental Control and
Life Support System)技術はキー技術である。しかし、技術認識として、宇宙でのEC
LSS技術はロシア・米国が圧倒的に先行しており、一見日本はとうてい太刀打ち出来
ない様に思える。しかも、日本の宇宙開発に注がれる人的・資金的リソースは現状極め
て限られている。この様な現状のもと、日本がECLSS技術の研究開発に国費を投入
するとすれば、国民に沿う成果還元が求められ、ロシア・米国に比肩しうる成果を得る
ことで国民の期待に応えなければならないという背反の条件が課せられる。
一方、地上技術としては、また近年の環境技術に対する意識の高まりも背景として、
我が国は世界的にも高いレベルにあり、産学界に地上ECLSS技術に関する高度な知
見の蓄積がある。他方、欧米は、輸送量の削減を図るために空気・水の再生率を向上さ
せた次世代技術を目指しており、ISSでの実証の機会を窺っているが、NASAは次
世代技術の一部をISSで実用化することを断念するなど、次世代技術のレベルでは、
我が国は現用技術ほどの差は無い。
よって、長期ビジョンを受けて新しい有人宇宙活動の検討を行っている宇宙航空研究
開発機構が潜在能力の高い産学と連携すれば、我が国のECLSS技術を宇宙技術とし
ても世界に負けないレベルに導く研究開発が実施できると考え、平成 16 年から、JA
XA総合技術研究本部内に非公式に設置された生命維持技術 WG において、世界的な技
術動向の整理、技術ロードマップの作成等を実施し、現在も内外の専門家との検討を重
ねている。
本稿は、「有人宇宙活動に向けた生命維持システムの研究開発」に関し、その背景 と
なる「世界の有人宇宙開発の現状」、および生命維持技術 WG の成果を交えて「生命維持
システムの概要」、「JAXAでの生命維持システムの研究開発」について概観する。
2
世界の有人宇宙開発
2004 年 1 月米国ブッシュ大統領によって「米国新宇宙探査ビジョン」が発表されて以来、
我が国を含む宇宙開発国の間で、自身の将来宇宙開発計画及び米国の宇宙探査計画との関
係等について集中的に検討がなされている。
2.1
米国の宇宙計画
「米国新宇宙探査ビジョン」は、米国のシビル(非軍事)の宇宙開発活動の方向性を有人
宇宙探査に置き、そこにNASAのリソースを集中させようとするものであり、発表以来
NASA内部でESAS(Exploration Systems Architecture Study)として検討が進めら
れ、以下に示すような計画として詳細化されている。
①現在軌道上で建設中の国際宇宙ステーションの建設は、スペースシャトルをベースに、
ソユーズ、ATV、HTVを活用して 2010 年頃の着実な完成を目指す。また、運用期
間に於ける物資輸送は、商業ベースの輸送系の活用を図る。さらに、ISS上における
図1
米国の宇宙探査計画概要
1)
宇宙実験も、有人長期滞在のための医学的・技術的なものに重点を置く。
②スペースシャトルは、ISSの建設を以って退役させ、これに代わる有人輸送機とし
てOrionと命名されたCEV(Crew Exploration Vehicle)の開発を進め、2014 年の
有人初飛行を目指す。Ares Ⅰと命名されたCLV(Crew Launch Vehicle)で打ち上
げられる。これらのシステムと、大型物資輸送機Ares
Ⅴ(SDLV
(Shuttle‑Derived Launch Vehicle)) 及 び 月 面 着 陸 船 L S A M (Lunar Surface Access
Module)やCEVを月 軌道に投入 するための 地球離脱ス テージED S(Earth Departure
Stage)が月面有人探査の基本アーキテクチャとして検討されている。
③上記のアーキテクチャ整備と並行して、無人の月プリカーサーミッションを着実に進
め、2020 年頃には有人月面着陸を行う。それ以降、月面拠点の建設を進め、人類の常時
滞在を実現する。また、ここまでに開発・整備されたアーキテクチャや技術を用いて、
2025 年頃に火星への無人プリカーサーミッション更には火星有人探査の実現を目指す。
以上をまとめたものを図1に示す。
2.2
ロシアの宇宙開発計画
2005 年 10 月に 2006 年〜2015 年の連邦宇宙計画が承認された。ただし、内容は未公表で
ある。有人宇宙活動に関係する事項としては、ロシア連邦宇宙局FSAは、次世代輸送機
AngaraとSoyuz2のの予備的な研究開発をESAやCNESと協力して実施中
で、また、再使用型有人宇宙船Kliper(現在はACTSと呼ばれている)の予備検討
図2
欧州の宇宙探査計画概要
2)
にはESAが参加を表明しており、ロシアは次世代有人・輸送系の開発において欧州との
協力を進めている。
2.3
欧州の宇宙開発計画
「米国新宇宙探査ビジョン」に対して、欧州においては従来より「AURORA計画」
呼ばれる独自の有人宇宙探査計画の構想が検討されてきており、その独自計画との整合性
と欧州としての自律性を確保しつつ(形式上は)、米国との協力を進めていくこととなろう。
また、欧州は宇宙開発をEC(European Communities)政策実現のための重要なツールとし
て捉えており、ロシアとの協力を進めると共に、独自のGPSであるGALILEO計画、
環境監視・安全保障等の目的からGMES計画を進めることとしている。
2011 年に火星に無人探査機ExoMarsを送り、2018 年に火星のサンプル・リター
ンを行い、2024 年に月面有人探査、2030 年には火星有人探査を行うとしている。図2にそ
の概要を示す。
2.4
中国の宇宙開発計画
中国は長征 3 号の着実な打ち上げ実績とその低価格により、世界打ち上げ市場でシェア
の拡大を図ると共に、長征2F(神箭)を用いた神舟 5 号、6 号の有人飛行の成功により、宇
宙技術の高さを世界に示した。これらの技術をベースとして、2008 年に神舟 7 号で船外活
動、2010 年に神舟 8、9、10 でランデブ・ドッキング、2020 年頃に独自の宇宙ステーショ
ン建設を構想している。
2010年
2015年
2020年
高頻度高分解能観測による予報能力の向上と
モバイル警報・予報の配信
災害・危機管理に関する
観測精度と頻度の向上
宇宙利用による
課題解決型の
社会システム
知の創造
活動領域の拡大
自在な宇宙活動能力の確立
自立性 と国際競争力を具備した産業の成長
安全で豊かな社会の 実現への貢献
2005年
亜大陸レベルの評価と
地域別政策への反映
気候変動に関する
正確な観測手段の確立
宇宙観測
太陽系探査
宇宙望遠鏡の展開と
多様な挑戦的科学ミッション
の立上げ
小惑星への到達
太陽と月の精査
宇宙望遠鏡観測の全波長域
への展開
宇宙で最初の銀河・ブラックホールの観測
太陽系外の地球型惑星での生命の徴候の探索
太陽系全域への到達と地球型惑星の精査
木星型惑星探査の開始と
地球型惑星の探査
←▽→ 月の本格的な利用活動への展開の判断
月探査・利用
月探査・利用
月探査・利用技術の蓄積
月探査の技術開発及び実証
国際協力による有人活動技術の蓄積
ISSを中心に基盤技術の蓄積
宇宙輸送
システム
輸送系基幹技術の確立
有人計画着手に向けた輸送系技術の実証
次期国際有人宇宙計画を
活用した技術開発
←▽→
将来航空
輸送のブレ
ーークスルー
国産小型旅客機の開発
世界をリードする
超音速機技術の確立
図3
災害・危機管理情報収集通報
システムの実現
と
アジア・太平洋地域への展開
政策ツールとしての
観測・予測統合
地球環境監視システムの確立
宇宙科学の
トップサイエンスセンター
月面拠点の構築と利用
のための技術の確立
←▽→ 次期有人宇宙活動への展開の判断
有人宇宙
有人宇宙
活動
航空
2025年 ・・・・・・
独自の有人輸送機開発着手への判断
「人に優しい旅客機」の開発
超音速機技術の実用化
極超音速機技術実証を開始
再使用技術の実用化
有人輸送技術の確立
「インテリジェント航空機」の開発
超音速旅客機の国際共同開発
極超音速機のシステム実証
JAXA長期ビジョンロードマップ
独自の有人滞在・活動
を可能とする技術の確立
世界最高の信頼性と競争力
を有するロケットの実現
独自の有人再使用型輸送機
の開発開始
航空機製造産業を
日本の基幹産業へ
極超音速機の技術実証
地球周辺から月面、そしてその先へ進出する人類
ロボティクス活用
・技術開発と技術試験の場としての月
・フロンティア進出のための技術と資源の獲得
エネルギ−確保
国際有人月面拠点(初期)
太陽発電衛星
・月夜間活動
エネルギー
モジュール建設
・有人/無人での
大規模土木・組立
資源利用へ
有人作業支援
・人と一緒に
働けるロボット
長期滞在へ
・月面モジュール
・生命維持 火星探査へ
図4
2.5
大容量通信
・月面中継
・宇宙授業
・月から始まる
宇宙資源利用
将来の月探査・利用活動のイメージ
我が国の将来計画
2004 年 9 月に総合科学技術会議から、米国新宇宙探査ビジョンへの対応も含めた「我が
国における宇宙開発利用の基本戦略」が発表され、これを念頭に置き、JAXAは「JAX
A長期ビジョン−JAXA2025−」を 2005 年 4 月に取り纏めた。
先ずJAXAの活動の根幹となる基本理念を、「宇宙開発と航空研究開発は、国の政策
目標を達成していくための有効且つ不可欠な手段であり、重要な課題解決に貢献すること
は、JAXAにとっての重要な使命である。」とし、
●「宇宙航空技術の活用により、安全で豊かな社会をつくる」
●「宇宙の謎と可能性を探求し、国民の希望と未来をつくる」
●「世界最高の技術により、自在な宇宙活動ができる能力をつくる」
●「宇宙航空分野で新たな基幹産業をつくる」
としている。長期ビジョン全体のロードマップを図3に示す。また、長期ビジョンで提案
されている、有人宇宙活動に係わる将来の月探査・利用活動のイメージを図4に示す。
2.6
民間宇宙活動の流れ
2000 年代に入り、それまでは各国政府機関を主体としていた宇宙活動に民間が参入して
きた
3)
。例えば、下記が良く知られており、有人宇宙活動の範疇に入るであろう。
表1
生命維持システム入出力のまとめ
ECLSSの入出力のまとめ
入力
源
出力
経由
ガス系
酸素
重量
ISS
月面滞在
0.835 0.835
水系
飲料水
2.000
3.500
食料系
食料
乾燥重量
水分
0.681
0.691
0.683
0.467
食料系
食料
パッケージ
0.240
0.264
名称
名称
受入
名称
重量
CO2
CO2吸着 LiOH
汗・呼気 乾燥重量
水分
尿
乾燥重量
水分
大便
乾燥重量
水分
人体
0.998
ガス系
2.000 廃棄物系
0.018
水系
2.277
水系
0.059 水/廃棄物系
1.503 水/廃棄物系
0.032 廃棄物系
0.091 廃棄物系
0.324 廃棄物系
ゴミ箱
完全循環型生命維持システム
船外活動系
宇宙服
冷却装置
電源系
空気再生系
太陽電池
冷却水
タンク
O2タンク
凝縮水
N2タンク
O2
O2タンク
水分解装置
CO2
飲料水
タンク
CO2/有害ガス
吸着装置
N2
分圧
調整装置
食料貯蔵
炭素生成装
置
H2
CO2
O2
精製水
H2
N2分離装置
CH4
CO2
還元装置
温度・湿度
調節装置
CO2
除去装置
微量有害物
処理装置
粉塵
除去装置
有害ガス
処理装置
C
再生型
燃料電池
食塩
食料系
粉塵除去装
置
窒素固定
サブシステム
微量有害物
処理装置
O2分離装置
居住区
植
温度・湿度
調節装置
栽培区
CO2
植
物
肥料タンク
汚水タンク
分圧調整装
置
飼育区
可食部
動物性
蛋白質
非
可食部
O2
動
物
飲料水タンク
人
間
小便器
衣類
ごみ等
乾燥装置
洗濯物
凝縮水タンク
精製水タンク
図5
冷凍乾燥
装置
大便器
洗濯
水再生系
●Space
蒸散水
洗面
シャワー等
残渣
イオン交換膜
フィルタ装置
蒸留装置
食料残渣
糞
残渣
RO膜
フィルタ装置
飲料水
飲料水
蒸散水
殺菌装置
調理器
CO2
冷却
サブシステム
O2
食料
O2
蒸散水
熱制御系
居住系
CO2タンク
焼却装置
ミネラル
可燃物貯蔵
湿式
酸化装置
ミネラル回収
サブシステム
廃棄物処理系
圧縮装置
排気ガス
灰
廃棄物貯蔵
JAXA技術
不溶分
完全循環型生命維持システム
Adventures社
・世界で最初(唯一)の宇宙旅行専門代理店
・「ISSへの 10 日間の旅」を販売(約 22 億円)。弾道飛行体験 10 万ドル(約 1100
万円)や月周回旅行 1 億ドル(約 110 億円)も販売
●X
PRIZE財団
・Ansari
X
PRIZEコンペを主催(懸賞金は約 11 億円)
・Scaled
Composite 社開発のSpaceShipOneが条件をク
リアし 2004 年 10 月に賞金を獲得
●Virgin
Galactic社
・SpaceShipOneの技術供与を受け、2008 年サービス開始が目標
・20 万ドル(約 2200 万円)で 2〜3 時間のフライト、高度 100km で 5〜15 分無重力体験
これらを背景に、米国では宇宙旅行ビジネスに対応した法制度が整備されつつある。
3
生命維持システムの概要
生命維持システムは空気再生系、食料系、熱制御系、廃棄物処理系、水再生系の大きく
5つのサブシステムから構成されている。それによって、人体が快適に過ごせる空気成分・
圧力、温度・湿度などを維持するとともに、表1に示す、人体が必要とする物質を供給(入
力)し、排泄物を処理(出力)する。これらを実現する最も簡単な仕組みは、必要物質を生命
維持システム外からタンク等で補給し、排泄物をシステム外に排出するもので、Apol
lo、Soyuzなどの初期の宇宙機がこの非再生型生命維持システムを用いている。
一方で、排泄物を完全に再利用する仕組みも有る。図5に、この再利用の観点から想定
される究極のシステムである、完全循環型生命維持システムを示す。この図は各機能のイ
メージを掴むことが目的のもので、不正確な部分が有ることを了承されたい。究極のシス
テムの特徴は、完全自給のため、食料生産を系内に含むことである。図5では植物栽培お
よび動物飼育が実施されることを想定している。植物栽培によって、空気再生系の大部分
および水再生系の一部が軽減されるが、バックアップとして用いられるであろう。この様
なシステムはまだ何処の国も宇宙では実現していないが、一番近い位置にいるのが、青森
図6
環境科学技術研究所
閉鎖型生態系実験施設 CEEF 4)
現用(最終段階)ISS生命維持システム(イメージ)
船外活動系
宇宙服
冷却水
タンク
冷却装置
飲料水
タンク
CO2/有害ガス
吸着装置
空気再生系
電源系
燃料電池or
太陽電池
O2タンク
N2タンク
水分解装置
O2タンク
再
O2
H2
分圧調整装
置
食料貯蔵
温度・湿度
調節装置
凝縮水
食料系
熱制御系
居住系
CO2
除去装置
居住区
植
調理器
食料
CO2
人
間
冷却
サブシステム
CO2
O2
飲料水
洗面器
微量有害物
処理装置
粉塵
除去装置
小便器
蒸散水
植
大便器
再生型機能
汚水タンク
ミネラル添加
蒸留装置
RO膜
フィルタ装置
放出系
精製水タンク
廃棄物貯蔵
水再生系
図7
廃棄物処理系
貯蔵系
現用(ISS)生命維持システム
県六ヶ所村にある財団法人環境科学技術研究所が有する、閉鎖型生態系実験施設
CEEF(Closed Ecology Experiment Facilities)である。図6に全景および概要を示す。こ
の施設は、地上でのガス状放射性物質の生態系での循環・蓄積を調査することを目的とし、
エネルギーと情報以外は物質的に完全に閉鎖されることを目標として開発されているが、
得られる知見は充分有人宇宙活動に活用できる。
現用宇宙機の象徴として、図7にISSで用いられている(予定を含む)生命維持システ
ムの概略を示す。図5と同様、誤りが有る可能性が高いが了承されたい。図7から一部の
空気と水の再生が志向されていることが判る。
以下、各サブシステムの概要を紹介する。多くの方式が研究開発されているため、筆者
の判断で代表的だと考えられる技術に留めている。今後の有人宇宙機を構成する上で必須
の空気再生系は少々詳述した。
3.1
空気再生系
このサブシステムの機能には、全圧の維持(リーク分の補填)、CO2 除去、酸素供給(酸素
分圧の維持)、有害ガス除去、空気温度の維持(暖房・冷房すなわちエアコン)、送風(無重
力による自然対流の喪失に対応、重要な機能)がある。
3.1.1
CO2 除去
大きく CO2 除去剤を再利用するか否かで、非再生型と再生型に分かれる。
○非再生型
*水酸化リチウム
吸着能力は高いが、使い捨て。送風以外の電力を要しない。キャニスタ等を含め
約 2〜3kg/人日が必要量である。再生型は 20〜30kg/人なので、ミッション期間が
10 日を超えるあたりから再生型が有利になる。初期の宇宙船やシャトルで主装置と
して運用された他、ISSでは緊急用バックアップとされている。
2LiOH+CO 2 ‑> Li 2 CO 3 +H 2 O
○再生型
*固体アミン(液体アミンも有る。詳細は不明)
化学反応で除去するため、重量効率は再生型では最も高い。しかし、実用では結
局反応面積が限られるため、極端に良いわけではない。水蒸気を必要とする。アミ
ン臭がすると言われている。よって長期間運用には向かないであろう。
Amine+H 2 O+CO 2 <‑> Amine‑H 2 O+CO 2 <‑> Amine‑H 2 CO 3
本方式はスペースシャトルのミッション延長用に実用化されている
EMを開発中である
8)
7)
。ESAは
。旧宇宙開発事業団でEMの開発実績が有り、環境科学技術
研究所では運用中である。
アミン自体が水を吸着するため、水溶性の有害ガス除去が可能だと期待されてい
る。これにより現ISSでは3機能(CO2 除去、凝縮による水分除去、有害ガス除去)
で行われているものが統合出来ると期待されている
9)
。
*ゼオライト
ゼオライトは二酸化炭素より、水分の吸着能力が高いため、図8に示すように前
段に除湿が必須。よって連続動作には4筒((除湿筒+CO2 除去筒)x2)が必要とな
る。また脱着時に加熱と真空排気が必要。しかしゼオライト自身は無害であるため、
長期運用には安全性の面でメリットが有る。Skylabで初めて用いられ、IS
Sで運用されているVozdukh(ロシア)とCDRA(米国) 10) にも用いられてい
る。旧航空宇宙技術研究所で研究実績が有り、JAXAでも研究を継続している。
水
吸脱着筒1
CO2
吸脱着筒1
水
吸脱着筒2
CO2
吸脱着筒2
図8
ゼオライトを用いた CO2 除去装置
今後は、真空排気を活用した低加熱タイプが要求され、ゼオライトの選択によって
3機能の統合が目指されるであろう。
*酸化銀
ISSの宇宙服に用いられている。Metoxと呼ばれている。使用済みのMe
toxキャニスターはISS内で熱処理され、再生される。
Ag 2 O+H 2 O+CO 2 <‑> 2AgOH+CO 2 <‑> Ag 2 CO 3 +H 2 O
3.1.2
酸素供給
従来の宇宙機はタンクが普通であったが、宇宙ステーションでは水電解を目指している。
ただし、ISSに搭載されているロシア製水電解装置はトラブルが多く、現在のISSは、
タンク供給に頼っている。
○水電解
ISSなどの比較的余剰電力が大きく長期間運用が必要な宇宙機では、酸素を安定し
た水という形で貯蔵し、水を電気分解することで酸素を得ることが行われている。
*液体電解質
水酸化カリウム等の水溶液を電解する。ロシア開発のElektron 11) がMi
rとISSで使われている。水酸化カリウムがガス流路に堆積し、故障が多発して
いる。将来性はあまり無いであろう。
*固体電解質
固体電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane)を用いて純水の電気分解を行う。
米国はOGA(Oxygen Generator Assembly)を開発
12)
、現在ISSに搭載され、2007
年の追加部品到着を経て運用を開始する予定である。旧宇宙開発事業団、旧航空宇
宙技術研究所で研究実績が有り、JAXAでも研究を継続している。現在は、発生
した水素を排気しているが、CO2 除去装置からの二酸化炭素とこの水素を反応(サバ
チエ第一反応)させ、水を生成する CO2 還元装置がESAで開発されている
8)
。NA
SAは開発をキャンセルした。旧宇宙開発事業団、旧航空宇宙技術研究所で研究実
績が有り、JAXAでも研究を継続している。
3.1.3
有害ガス除去
人体からはメタン、アンモニア、メチルアルコール、一酸化炭素が排出されるため、長
期間運用される宇宙機は、これらを活性炭で吸着している。活性炭の再生のため、加熱・
真空脱気を行うが、電力を要し、リーク源ともなるため、光触媒等を使って酸化処理し、
二酸化炭素と水にする方法が検討されている。CEVでは凝縮水、二酸化炭素と有害ガス
を同時に除去する方式が検討されている。
有害ガスは希薄であり、処理にはかなりの風量をを要する。このため、加熱方式の酸化
はエネルギーロスが多く、常温酸化触媒の実現が期待されている。
旧宇宙開発事業団で光触媒を用いた処理に関して研究実績が有る。
3.1.4
温度・湿度制御
温度・湿度制御のため、エアコンが用意されている。宇宙機の断熱、および搭載装置の
発熱具合によって、Apolloの様に暖房が必要なものと、ISSの様に冷房が必要な
ものがある。冷房の場合、人体が発する蒸散水が凝縮するため、凝縮水を回収する仕組み
が必要となる。また、冷媒としては熱制御系が供給する冷水が使われている。
スペースシャトルの様に電源として燃料電池を用いる宇宙機では凝縮水は不要で廃棄し
てもかまわない。ただし、CEVでは凝縮水、二酸化炭素と有害ガスを同時に除去、船外
に廃棄する方式が検討され、この場合、燃料電池を用いないにもかかわらず、凝縮水が破
棄される。機構の簡略化を優先したためであろう。
旧宇宙開発事業団で、JEM用温度・湿度制御装置の開発を行い、実用化されている。
3.2
食料系
このサブシステムの機能は、必要な栄養素の供給、「おいしさ」の確保である。現用では
宇宙食に限定されるが、長期ミッションではサラダマシンを導入し、新鮮な野菜を供給す
ることが検討されている。将来は温室が導入されて、一定量の食料が生産されるであろう。
この時は、収穫機能、調理機能も必要となる。さらに将来は図5に示される様に、全量が
食料生産されるであろう。この場合、旧航空宇宙技術研究所が稲等の基礎的な生育データ
を取得したほか、環境科学技術研究所が多様な植物の生育データを本格的に取得しており、
人体に必要な栄養素を満たす植物栽培構成を提案している。
現在の研究では、食料生産を完全に賄うには、一人あたり約 80 ㎡の栽培面積が必要であ
り、約 100KW の電力を要する
6)
。このため、大規模な有人宇宙基地で完全食料生産を実現
するには、革新的な輸送系やエネルギー系の開発も必要となるであろう。
3.3
熱制御系
このサブシステムの機能は、主として冷却を要する装置に冷媒を供給することである。
温度・湿度制御の重要なソースである。宇宙では放熱板を用いて輻射冷却を行うか、Ev
aporatorやSublimaterと呼ばれる水蒸発装置を使って気化熱による冷
却を行う。ISSでは放熱板、スペースシャトルや宇宙服では蒸発熱を用いている。
3.4
廃棄物処理系
このサブシステムの機能は、生ゴミの処理(食料残渣)、紙・布・金属・プラスティック、
便を貯蔵・処理することである。圧縮装置でコンパクトにすること
13)
や、熱風乾燥や凍結
乾燥して減量化することが検討されている。再利用する方法としては、湿式酸化で二酸化
炭素と水、無機イオンに分解する方法や、超臨界水酸化でガス成分と水に分解する方法が
検討されている。一定量以上の食料生産を行う場合は、肥料の供給が重要であり、この点
では湿式酸化が重要である。または、生物系の処理を行えば、肥料供給は容易である。
湿式酸化は、旧航空宇宙技術研究所で研究実績が有り、JAXAでも研究を継続してい
る。地上装置としては実用化レベルにある。
3.5
水再生系
このサブシステムの機能は、飲料水、水電解に用いる精製水を供給することである。I
SSでは、現在のところ、凝縮水の一部をElektronに用いている他は外部供給に
頼っているが、最終的にはUPA(Urine Processor Assembly)とWPA(Water Processor
Assembly)から構成されるWPS(Water Processor System)が搭載されて
14)
、尿と凝縮水
が再利用される。宇宙滞在の快適性向上のために、将来は手洗いやシャワーに用いる衛生
水の供給も必要になるだろう。この場合、生活排水(衛生水からの汚水)の再利用が必要と
なる。
水再生の手法としては膜蒸留法、RO(Reverse Osmosis、逆浸透)膜法が有望だと思わ
れる。
3.5.1
膜蒸留法
膜蒸留(Membrane Distillation)は、蒸気は通すが液は通さない疎水性多孔膜を用いて、
膜の両側に高温の汚水と冷却水を流し、高温汚水から水蒸気が膜を透過し、冷却水側に移
動して水再生を行う。汚水が比較的高濃度でも水再生が可能だが、汚水を熱する必要が有
るため多量処理には向かない。よって尿の再生に向いているであろう。旧宇宙開発事業団
に研究実績がある。ISSのUPAはこの方式である。
3.5.2
RO膜法
半透膜を隔てて汚水と水を接触させると、水の一部は浸透圧を持って半透膜を透過し溶
液側に移動しようとする。このとき汚水側に浸透圧を超えて加圧すれば、溶液側から水を
高再生率月面拠点生命維持システム(イメージ)
船外活動系
宇宙服
冷却水
タンク
空気再生系
電源系
太陽電池
冷却装置
O2タンク
N2タンク
O2
飲料水
タンク
CO2/有害ガス
吸着装置
食料貯蔵
H2
CO2
還元装置
分圧調整装
置
CO2
食料系
H2
CH4
CO2
除去装置
居住区
調理器
洗面器
シャワー等
食料
C
再生型
燃料電池
温度・湿度
調節装置
凝縮水
熱制御系
居住系
温室
植
炭素
生成装置
水分解装置
O2タンク
微量有害物
処理装置
冷却
サブシステム
O2
飲料水
CO2
人
間
粉塵
除去装置
小便器
蒸散水
植
洗濯機
大便器
乾燥装置
汚水タンク
ミネラル添加
蒸留装置
RO膜
フィルタ装置
圧縮装置
精製水タンク
衛生水
生成装置
水再生系
図9
湿式
酸化装置
廃棄物処理系
月面拠点生命維持システム
現用からの
追加機能
放出系
廃棄物貯蔵
貯蔵系
技術開発の通過点
技術開発の成果
次世代(中期的目標)
中期的目標)
次世代+(当面の長期目標)
当面の長期目標)
世界の研究開発のトレンド
追加技術
空気再生系サブシステム
・CO2還元による水生成
・高信頼性水分解O2生成
水再生系サブシステム
・尿再生
追加技術
空気再生系サブシステム
・H2回収による余剰O2供給
水再生系サブシステム
・衛生水再生による余剰水供給
廃棄物処理系サブシステム
・酸化による有機物処理
空気・水再生率30%
〜
空気・水再生率30%〜
快適性の格段の向上
空気・水再生率90%
〜
空気・水再生率90%〜
現用(ISS
)
現用(ISS)
追加技術
技術開発の展開
次々世代
必要な革新技術
・エネルギー技術
・輸送系技術
追加技術
食料供給系
・植物栽培
・動物飼育
空気・水・食料再生率100%
空気・水・食料再生率100%
火星以遠?
月面用
空気再生系
・CO2除去剤の再生
・水分解によるO2生成
水再生系
・凝縮水の再利用(計画)
環境制御系
・有害物質処理
・温度・湿度制御
サブセットの適用
・CO2除去剤の再生
・有害物質処理
・温度・湿度制御
空気・水再生率10%
〜(計画)
空気・水再生率10%〜
計画)
宇宙服
有人輸送系
軌道用
図10
地上への展開
温暖化ガス処理
有機廃棄物処理
汚水処理
高密度植物栽培
応用
生命維持システムの要素技術の流れ
再生することが出来る。これがRO膜法である。汚水が低濃度の場合、比較的容易に水再
生が可能であるが、高濃度の場合は高圧を要し不利となる。よって凝縮水や生活排水など
の比較的低濃度の汚水が対象となる。ただし、濃度を低下させる工夫が可能であり、尿に
適用できる可能性がある。
旧航空宇宙技術研究所で研究実績があり、JAXAでも研究を継続している。
4.JAXAでの生命維持システム研究開発
「はじめに」で述べた様に、現用技術では有人宇宙先進国米国・ロシアとは圧倒的な差が
ある。しかし、ポストISSに適用されるべき技術では差が縮まり、将来のECLSSに
関しては、むしろ我が国が進んでいる。よってJAXAでは、研究開発を下記に分類し、
進めることしている。
①生命維持システムの研究
次世代技術と次世代 + 技術の連携、移行を効率的に行える、我が国に有用な生命維持
システムを提案する。産学官のALL−Japan体制を整えることも大きな役目。
②次世代生命維持技術の研究開発
空気・水の再生率向上を目指した空気再生系、水再生系サブシステムの基盤的研究開
発を実施し、地上でサブシステムを構築する。
③次世代 + 生命維持技術の研究開発
空気・水の再生率をさらに向上させ、廃棄物の削減を目指す、空気再生系、水再生系、
廃棄物処理系技術の基礎的・基盤的研究開発を実施する。
④次々世代生命維持技術の研究
地上技術と連携し、食料の再生を目的とする食料供給系技術に関し、調査を主体とし
た基礎的研究を実施する。
次世代 + 生命維持技術の研究開発が完結すれば、図9に示す月面拠点生命維持システムが
実現出来ると考えている。
4.1
生命維持システムの研究
All−Japan体制構築の一環として平成 16 年 9 月に総合技術研究本部内に非公式
に設置された生命維持技術WGでの議論を元に世界的な技術動向の整理、技術ロードマッ
プの作成、ミッションに合わせた生命維持システムの検討等を実施している。図5、図9
や表1はその成果である。図10にミッションの進展に合わせた生命維持システムに必要
な要素技術の流れを示す。All−Japan体制を具体的に構築するため、産学との共
同研究を積極的に行っている。また生態工学会との協力で、平成 18 年 4 月に「環境制御・
生命維持技術に関するワークショップ」を共催した。さらに国際的な対応としてNASA、
ESAなどの各国生命維持関連組織で構成する国際先端生命維持ワーキンググループ(I
ALSWG)に参加し、情報交換を行っている。
統合
統合型水電解(
統合型水電解(JAXA特許
JAXA特許))
CO2還元
CO2還元
イオン交換膜
イオン交換膜
イオン交換膜
進化
スポンジ状Ni-Cr
高純度水
高純度水
水
電極
従来型水電解
図11
スポンジ状電極
水蒸気分離による無重力対応型水電解
(JAXA特許
JAXA特許))
JAXA発の次世代空気再生系の提案
水電解装置
JAXA担当
JAXA担当
CO2除去装置
外部担当
図12
4.2
CO2還元装置
外部担当
次世代空気再生系の研究協力
次世代生命維持技術の研究開発
空気再生系を構成する水分解コンポーネントは、水から酸素を生成する装置であるため、
通常は気液分離を要し、仕組みを複雑化させる要因となっている。そこでJAXAの独自
技術として図11に示す、気液分離を要せず、高信頼性化が可能な水分解手法を考案し、
その基礎的な特性の把握に努めている。この手法によれば CO2 還元コンポーネントとの統
合が原理的に可能であり、基礎的な実験を実施している。
水分解コンポーネントは、航空宇宙用に研究されている再生型燃料電池の主要コンポー
ネントでもあり、また、水分解コンポーネント内の反応は酸素富化、除湿等に使えること
が知られており、宇宙技術としても種々の応用が可能である。
他方で、空気再生系サブシステムの研究は各国との競争状態にあり、確実な研究開発も
求められており、コンポーネントレベルで優位に立つことは難しい。このため、サブシス
テムを早急に構築する手段として、図12に示すようにJAXA外部と研究協力を行い、
それぞれが得意な技術を持ち寄って研究開発を進めている。
水再生系も重要な次世代技術であるため、RO膜法を主体にした飲料水製造装置の開発
を民間との研究協力の下で行っている。
4.3
次世代 + 生命維持技術の研究開発
廃棄物処理系サブシステムの研究開発として、図13に示す様に、JAXA特許を用い
て製作された湿式酸化廃棄物処理装置の地上実証を行うと共に、宇宙用として必須のサブ
システムの小型化に関し、キーとなる部品の検討を行い、小型の高圧スラリーポンプの開
基礎研究:1985〜
応用研究:1998〜
宇宙での居住環境構築のために、
排泄物や残飯などを水と炭酸ガス
に分解する技術を確立
将来の展開
地上でのゴミ問題解決のために、
生ゴミ、食品廃棄物、家畜糞尿などを
連続処理できる装置(ハイプロシステ
ム)を実用化
◆宇宙用廃棄物処理シス
テムの開発へつながる
◆システムの信頼性が向上
し、民間への特許利用許
諾がしやすくなる
特許取得
ガスブースター
廃棄物と空気の混合流
体を送ることのできる高
圧圧送ポンプを開発でき
ると、ガスブースターが
不要となり、システムを
簡略化できる
改良型高圧
圧送ポンプ
共同研究で開発
図13
次世代 + 廃棄物処理技術の展開
発を行っている。
4.4
次々世代生命維持技術の研究
食料供給系サブシステムの研究として、環境科学技術研究所と協力して、植物栽培に付
随する非可食部(葉や茎など)を処理するため、水棲生物(スクミリンゴガイ)の餌として用
い、動物性蛋白質生産にも役立てることを提案し、基礎的な調査を行っている。
5.まとめ
有人宇宙活動技術の研究を概観した。この技術は大変多岐にわたる分野を背景としてい
る上、それぞれが息の長い研究開発を要している。このため、今後も所内外の競争的研究
資金の獲得を目指し、外部機関との積極的な連携に努め、短期的な成果も達成しながら、
研究水準の維持に努めたいと考えている。特に次世代生命維持システムに関わる技術はJ
AXA独自技術として実用に近い位置にあり、一部は一般的な製品となる可能性もある。
他方、宇宙での実用に向けた最初の大きなマイルストーンとして小型衛星、HTV、国際
宇宙ステーション等を用いた宇宙技術実証を目指しており、宇宙用・一般用のバランスを
取りながら研究開発を進めたい。
参考文献
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NASA/CR‑2006‑213694, 2006.2.
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Life
Support
Baseline
Values
and
Assumptions
Decument",
NASA/CR‑2004‑208941, 2004.8.
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Temperature‑Swing Adsorption Compressor for Closed‑Loop Air Revitalization", SAE
Paper 2004‑01‑2375, 2004.
11)N.M.Samsonov and et al.: "Experience in Development and Long‑term Operation of
Mir's System for Oxygen Generation by Electrolysis", SAE Paper 2000‑01‑2356, 2000.
12)D.Cloud and et al.: "ISS Oxygen Generation Design Status", SAE Paper 1999‑01‑2116,
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SAE Paper 2006‑01‑2186, 2006.
14)R.M.Bagdigian and et al.: "Status of the Regenerative ECLSS Water Recovery and
Oxygen Generation Systems", SAE Paper 2006‑01‑2057, 2006.