ブリュッセル(ベルギー)郊外で 2013 年 3 月 19 日に開催さ れた

ブリュッセル(ベルギー)郊外で 2013 年 3 月 19 日に開催さ
れた Supergrid 2013(プログラムは下記のウェブサイト参照)
に出席しました.以下は,会場での発表や議論を聞いての
感想です.http://www.fosg-event.eu/programme.aspx
(1) ヨーロッパでは,Supergird は「エネルギー分野の Internet」と認識されていて,「分散系のエネルギー生
産・消費システム」を実現する為のツールと捉えられているようです.即ち,「低損失の送電線」としての機能
以上のものが Supergird には期待されているらしく,それが実現する為の技術開発は大変でしょう.
(2) ヨーロッパに於ける経済不安が,Supergird のような「一応は機能している『現在のシステム』を,多額の
投資を要する斬新なシステムに置き換える」動きが実現する上での障害となっている由で,これは確かにそ
うでしょう.「不要不急」に近い存在と捉えられているのかも知れません.
(3) Supergird を実現する為の障壁は,政治>資金>技術の順に大きいと考えられている旨を,何人かが表
明していました.「エネルギー分野の Internet」を実現する為の技術開発は大変でしょうが,それも政治的な
決断が無ければ始まらないのは確かです.
(4) Supergrid を投資プロジェクトと見た場合 Risk(政策の変更等)については,複数の参加者が言及し,
Think Tank などで解析も行われているようですが,Security への言及は殆どありませんでした.唯一の言及
は,北アフリカなどからの送電が「エネルギー源に関するロシアへの過度な依存からヨーロッパが脱却する
ことを可能にする」でした.
(5) 「Supergird の経済性」のセッションは,具体的な数値に基づく分析が示される訳ではなく,「投資対象と
しての Supergrid」あるいは「発電の整備が先か,送電もの整備が先か」のような抽象的議論が主体でした.
(6) 英国の東側とドイツの北部で,風力発電ネットワークを構築する計画あり.この両者を結合することが,
Supergrid の実現に向けた推進力になる旨が,複数の人により表明されていました.
(7) 面白いことに,環境保護団体からもパネリストが招かれていました.環境保護団体が Supergird を擁護
する理由は,「地球温暖化による生物多様性の(大幅な)減少を防ぐ」為に有用だから,とのこと.
因みに,会議の参加者は大半が欧州からで,韓国からは(電力会社などから)3 名が来ていました.日本人
は私だけかと思っていたら,或る電気会社の社員で,現在はヨーロッパの某工科系大学に留学中という人
が居ました.
(2013 年 3 月 中山幹康 記)