4ページ - 公益社団法人 東京青年会議所

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7月例会報告
東京青年会議所
7月例会
「教育」が始める日本の再建
東京青年会議所7月オープン例会は、
「
『教育』が始める日本の再建」をテー
マに、7月11日午後6時30分から文京シビックホールで開催された。参加者600
午後5時から、次年度理事長・古谷真一郎
君の所信表明会が開催された。席上古谷次
年度理事長は「日本は物的に豊かになったが
心の教育を忘れてきた結果、長崎のような少
年犯罪が多発する国になってしまったのではな
いか。こうした危機に直面した時代だからこそ
私たちは若い感性で考え、希望に満ちた活力
ある国を目指して改革を提案し実行していくべ
きだ。皆さんの力を貸してほしい」
と全メンバー
に呼びかけた。
午後6時30分例会開会、池田真司教育・福
祉政策担当理事が「教育の基本理念が不明
確だったこと、文部科学省の一律支配から脱
却し切れなかったことが教育改革の実効を見
なかった原因だ。フォーラムでこの問題を追及
しこれからの教育のあり方を明らかにしていき
たい」
と挨拶した。
第1部
金 美齢氏
基調講演
第1部は台湾総統府国策顧問・金美齢氏
が「自国を愛することとは」
をテーマに40分に渡
って基調講演。金氏はパスポートが無効にな
った33年間の自らの生活や、自分の子供たち
が自然に日本国籍を申請するにいたったエピ
ソードを織り交ぜながら
「ホテルにランクがある
ようにパスポートにもランクがある。先の大戦に
敗れて以来皆さんが営々と努力して日本をここ
まで持ってきた。G7の一員になり、世界中が日
本は5ツ星の国であることを認めている証拠に
皆さんは外国へ出かけるときにほとんどビザを
取る必要が無い。皆さんのパスポートが5ツ星
渡部氏
横山氏
7月例会
下村氏
田中氏
だということだ」
「自分の国を愛するということは
自分を愛するということであり、
自分を愛すると
いうことは自分につながっているすべてのものを
愛するということだ」
と熱っぽく語った。
第2部
新しい時代の教育改革
第2部では、①新しい教育基本法の制定、
②地域教育推進条例の制定、を骨子とした
東京青年会議所の政策提言が二神英治教
育政策委員長から行われた。
第3部
日本の「教育」
のゆくえ
第3部パネルディスカッションは、パネリス
トに
上智大学名誉教授・渡部昇一氏、東商教育
問題委員会委員・田中常雅氏、衆議院議
員・下村博文氏、東京都教育委員会教育
長・横山洋吉氏、コーディネーター・東京J C副
理事長・外山一宏君で「新しい時代にふさわ
しい教育改革とは」
をテーマに行われた。
まず下村氏が長崎幼児誘拐殺人事件を例
に挙げ、
「新しい教育基本法には家庭教育の
大切さを明文化する。今は子供だけでなく大
人も公共心、道徳心が薄れてきている。親の
公徳心を育てるところからスタートすべきだ」
と
口火を切った。
田中氏は
「日本における公を子供たちにうま
く示せていない。教育に悪い影響を与えてい
るものは何かという東商アンケートでは、1位・
政治家 7 3 . 2%、2位、マスコミ6 9 . 4%、3位国
61.2%、4位家庭55%、これが現実だ。もっと
子供たちを社会参画させコミュニティは自分た
ちで作るものだということを体験させることが必
要だ」
と主張した。
横山氏は「家庭、地域、学校それぞれの教
育力が低下している。我々としては学校教育
の向上を目指し、地域の方々の学校教育へ
子供のときに自分の国がいい国であることを教
えなければ愛情がわかない。共同認識が歴
史教育の始まりだ。事実は無数にある、小中
学生には日本の美しい虹を全員に一度は見
せるべきだ」
と持論を展開した。
教育基本法改正や教育特区に関して横山
氏は
「自国を愛し自国の歴史を語れない人間
が外国へ行って尊敬されるだろうか。
“日本の
国は”
という観点から改正の議論に取り組みた
い」
と語り、下村氏は「中教審が踏み込めなか
った宗教的情操心を育む教育をしなければ
人間教育ができない。憲法改正も視野に入れ
て情操教育の観点からも取り組みたい」
、渡部
氏は
「戦前はトットちゃんの学校のように自由に
学校が設立できた。もっと自由にいわゆる塾で
もよいとなれば多様な人間を作ることができる。
それが日本の生き残る道だ」
と延べた。田中
氏は「学校にも民間の競争原理を」
との観点
から校長の権限強化、学校選択制、国公立
大学の民営化、株式会社の学校経営、大
学・大学院の高度化などを提案した。
最後に渡部氏が「教育を受ける側の選択
が最も尊重されねばならない。アメリカでは性、
人種、年齢の差別はやってはいけない。やって
いい差別は能力差別だ。日本の教育にはこれ
が無い。これではアメリカに勝てないし、アジア
の国にも負けてしまう。それはできない子に合
わせた教育だからだ。できる者を伸ばし多様
な能力を作り出さねばならない」
と述べフォーラ
ムを終えた。
「普遍的な教育」についての認識ギャップを埋めるために
80年代半ばの臨教審に始まり今日まで、教育改革の必要性は叫ばれ続
けています。その結果として様々な答申書が出され、実現をされた政策も多
くあります。しかし、私達の中に満足感が薄いのは何故なのかを、ここで立
ち止まって考えてみる必要があるのではないでしょうか。原因の一つに
『普
遍的な教育』
についての国と国民、また国民の間における認識のギャップが
あげられます。教育は何を目指すべきか、
との問いかけは実に深いものです。
この問題を解決するには、これからの我が国のあるべき姿と、そのために子
ども達に何を教えるのかについての明確な理念の共有が必要です。対症
療法を繰り返すのではなく今一度原点に立ち戻る事が、これからの教育改
革に求められています。
今回の例会では、
「公」
と
「私」のバランスなど
「普遍的な教育」の理念を
4
の参加を求めていきたい」
と述べ、渡部氏は歴
史教育の観点から
「ローマ人はローマが立派
な国だったからローマを愛したのではない。ロ
ーマ人は激しくローマを愛した。だからこそロ
ーマは偉大になった、
と言われている。日本も
TOKYO JC NEWS 2003.Sep
加味した新・
『教育基本法』制定と、民間活力を活用した
適正な競争原理の導入などを図り、官の一律に決めた
教育システムからの脱却こそが
「新しい時代にふさわしい
教育改革」であると提言させて頂きました。この提言に命を吹き込み、実現
を目指す事が日本再生に繋がる事を確信しています。日本の子ども達のポ
テンシャルは高いレベルにあります。その能力をフルに活かせない事は、そ
の子どもにとっても社会にとっても不幸な事です。東京J
Cも今回の例会にご
参加頂いた多くの方々と共に、主体的に地域教育力のアップを目標に運動
を続け、一日も早い
「教育」が始める日本の再建を目指していきます。
教育・福祉政策担当理事 池田真司