人権ポケットブック 12 * い ださ く 慮 遠 ご > は 先 載 せ 転 わ ・ 合 用 い 転 問 断 お 無 ー ンター る * リ す ラ セ 関 ブ に 進 イ 人権ライブラリー 世界の先住民族 1 ラ 子 推 権 冊 発 アイヌの人々の歴史と文化 2 人 啓 19 9 <本 育 1 教 37アイヌの人々の現在 7- n.or.jp 7 権 54 共生に向けて e 人 k ) 3 n 0 i j 財 (公 TEL ibrary@ l ル Eメー 2009(平成21)年 10月発行 財団法人 人権教育啓発推進センター 〒105−0012 東京都港区芝大門2−10−12 KDX芝大門ビル4F TEL 03-5777-1802(代表)/ FAX 03-5777-1803 http://www.jinken.or.jp ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ のお知らせ 人権ライブラリーでは、様々な人権に関する資料の貸し出しを行っています。 利用料は 無料です ☆書籍、ビデオ、DVD、パネルの貸し出し ☆多目的スペース…人権研修やボランティア活動の 打合せなどにご利用いただけます。 郵送などによる貸し出しも行っておりますので、遠方の方もご利用いただけます。 詳細は当センターのホームページ又は下記にお問い合わせ下さい。 人権ライブラリー TEL 03-5777-1919/FAX 03-5777-1954 http://www.jinken.or.jp/jinken-library J このパンフレットは、古紙を配合した紙を使用しています。 12 財団法人 人権教育啓発推進センター 1 世界の先住民族 ■ 先住民族を取り巻く問題 先住民族の人々は、それぞれが固有の多種多様な文化、 * い ださ を取り巻く状況は、社会的、経済的、政治的に似通った 先住民族の明確な定義はありませんが、一般的には、 く 慮 部分が多く、世界各地で同じような問題に直面しています。 特定の地域に住んでいる人々に先立って居住し、自分た 遠 ご 先住民族の人々の歴史は、他民族からの侵略やかつて > ちの伝統的な文化のもと生活を営んできた人々のことをは 先 載 せ の植民地主義、そして今も続いている差別・偏見にさら 指しています。 転 わ ・ 合 用 され続けた、抑圧の歴史といっても過言ではありません。 い 転 問 現在、地球上には67 億人 断 を超える人が暮らしています。 お 無 ー ンター る そのうち、先住民族の数は、世界中に約 3 億 7 千万人とい * 先住民族が直面する問題 リ す ラ セ 関 われ、70 以上の国々に、少なくとも約 5,000のグループが ブ に 進 イ ラ 子 推 生活しているといわれています。 権 冊 発 人 啓 19 9 <本 育 1 教 7- n.or.jp 7 権 7 5 e 人 k ) 3 n 0 i j 財 (公 TEL ibrary@ l ル Eメー ■ 先住民族とは 信仰、社会体制を持っています。 しかし、居住する地域は異なっても、先住民族の人々 * ◦天然資源の採掘などによる土地の没収や強制移住 *参考:国連人口基金(UNFPA) 「世界人口白書 2008」 ◦近代化に伴う開発による環境破壊 ◦他民族の移入による伝染病の伝播などによる人口減少 先住民族=少数民族? ◦外来宗教の布教に伴う改宗と伝統宗教の衰退 多くの国や地域では、先住民族は少数民族となります。 ◦同化政策などによる他言語の強要と独自言語の衰退 しかし、南米のボリビアでは人口の60%以上が、グアテ ◦ 〃 伝統文化の否定・破壊 マラやペルーも約半数が先住民族です。また、デンマー ◦ 〃 民族としての誇りの喪失 クの自治領であるグリーンランドでは、約90%を先住民 族が占めています。先住民族と少数民族とは、必ずしも 同義語ではないのです。 ◦民族浄化の名の下に行われる虐待・虐殺 ◦貧困 など 先住民族の居住地域(一例) * い ださ く 慮 遠 ご > は 先 載 せ 転 わ ・ 合 用 い 転 問 断 お 無 ー ンター る * リ す ラ セ 関 ブ に 進 イ ラ 子 推 権 冊 発 人 啓 19 9 <本 育 1 教 7- n.or.jp 7 権 7 5 e 人 k ) 3 n 0 i j 財 (公 TEL ibrary@ l ル Eメー 北極圏・準北極圏 アリュート、イヌイット、クリー、サーミ、 チピュワン、デネー、ナスカピ など 北米 アジア アイヌ、ウイグル、オラオン、 カッシス、カレン、ガロス、ケダン、 アフリカ エフェ、サン、チュアレ、ティグラヤン、 ディンカ、マサイ、ムブティ、モンダリ、 ラシャイダ など ポーニー、ポタワトミ、ミクマック、ヤキマ など ゴンド、シャン、ショレガス、 ダンダミ、チェンカス、トゥリピュラ、 満州、蒙古、ムンダス、リス、 ロヒット など 中南米 オセアニア アボリジニ、ケダン、 ダヤク、ツェンバガ、 マオリ、ムンデュグミュール、 ラパ・ヌイ など 出典:国際連合広報センター「先住民族の居住地域」を基に作成 アラバホ、アルゴンクィン、カヒュイリア、 ショショーニ、ズニ、トゥリンギット、ベラクーラ、 アーチェ、ウファイナ、カヤポ、 キチュア、コロラドス、グァジロ、 ケッチ、タラフマラ、テヒュルチェ、 マヤ、ムバヤ、モホ、ヤノマミ、 ユッパ、ラマ など * 先住民族は、世界中に約3 億7千万人といわれ、70以上の国々に、 少なくとも約5,000のグループが存在している。 2 アイヌの人々の歴史と文化 ■ 同化政策 江戸時代の松前藩による支配や、明治維新(1860 年代 * い ださ 日本における先住民族であるアイヌの人々は、現在の イヌ民族の日本人化政策)が行われました。これにより、 く 慮 北海道を中心に、東北地方、サハリン、千島列島などで、 アイヌの人々の独自の民族文化、伝統的な生活手段は禁 遠 ご 止され、社会的にはもとより、個々の暮らしも苦しい生活 > 独自の文化・伝統を持つ民族として暮らしてきました。 は 先 載 せ アイヌ文化は、土器を使い、狩猟、漁労、採集を生業 を強いられました。 転 わ ・ 合 用 としていた擦文文化(7 世紀頃〜)に、古代北方中国など い 転 問 断 の大陸沿岸部のオホーツク文化が影響を及ぼし、12 〜 13 お 無 ー ー る タ 世紀頃に成立したといわれています。 ■ 100 年続いた「北海道旧土人保護法」 * リ す ン ラ セ 関 ブ に 進 イ 1899(明治32)年、 ラ 子 推 明治政府は「北海道旧土人保護法」 ● アイヌ文化の形成 権 冊 発 9 人 啓を制定しました。アイヌの人々は、それまで狩猟、漁労、 1 9 <本 育 1 .jp 採集、交易を主な生業としていました。しかし、農業奨 教 7 r 7 o . 権 7 n 5 励のための土地の付与をはじめ、医療、生活扶助、教育 e 人 k ) 3 n 0 i 財 @j y (公 TEL ibrarなどの保護政策を柱とする同法に基づき、同化政策が進 められました。さらに、第二次大戦後に実施された農地 l 改革によって、農地の多くを取り上げられることもありま ル ー メ した。明治以降の約100 年にわたる国の政策により、 「旧 E ■ アイヌ文化の形成 後半)以降の「北海道開拓」の過程で、独自の風習の禁 続縄文時代 擦文文化 日本本土 古墳時代 政治権力の 伸長 奈良・平安時代 律令国家の展開 17 0 0 00 15 00 アイ ヌ文 化の 形成 北海道 オホーツク文化 13 10 0 60 ︵年︶ 00 止や日本語の使用の強制などの、大々的な同化政策(ア 近世アイヌ時代 鎌倉・室町時代 海外貿易の発展 地域小国家の分立 江戸時代 幕藩体制の整備 出典:アイヌ文化と日本の他地域の文化との年代対照表(佐々木高明氏作成)を基に作成 土人」とされたアイヌの人々の固有の文化は否定され続 けてきたのです。 ■ アイヌ文化振興法 1997(平成9)年7月、 「アイヌ文化の振興並びにアイ ■ アイヌ語 アイヌの人々は固有の文字を持たず 固有の文字を持たず、 物語や神話、 歴史、 * い ださ 100 年にわたった「北海道旧土人保護法」は、ようやく廃 アイヌの人々が元々話していた言葉はアイヌ語 アイヌ語です。 く 慮 止されます。 しかし、明治政府による同化政策以降の日本語の強要な ご遠どにより、現在では日常の言葉として使う人はほとんどい > アイヌ文化振興法に基づいてさまざまな事業が行われは 先 載 せ。しかし、最近では、アイヌ語教 るようになりました。アイヌ語や古式舞踊などの伝統文化 ないといわれています 転 わ ・ 合 用 を学んだり、発表する機会やアイヌの人々自身が語り部と 室が開かれたり、アイヌ語ラジオ講座が放送されるなど、 い 転 問その継承・復活に向けてさまざまな事業が行われており、 断 して、 歴史や文化を伝えたりする機会が増えました。また、 お 無 ー ンター る アイヌの人たちの歴史や文化等に対する一般社会の関心 アイヌ語を取り巻く環境は変わりつつあります。 * リ す ラ セ 関 も高まっています。 ブ に 進 イ ラ 子 推 しかし、 「アイヌ文化振興法」はアイヌの人々の文化振 権 冊 発 人 本 啓 トナカイ19ラッコ 興を目的としており、民族としての先住性と先住民族とし 19 シシャモ < 育 ての権利が認められたわけではありませんでした。 教 7- n.or.jp 7 権 7 5 e 人 k ) 3 n 0 i j 財 (公 TEL ibrary@ l ル Eメー ヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」 (アイヌ文化振興法)が施行されました。これにより、約 先祖の知恵などの文化はユーカラ(アイヌの人々に伝わ る叙事詩)などの口承により引き継がれ 口承により引き継がれてきました。 * 私たちが使っている言葉の中でアイヌ語が語源の言葉(一例) アイヌ語が語源の地名 ○○ベツ(ベツ=大きな川の意)例)登別、中標津 など ○○ナイ(ナイ=小さな川の意)例)稚内、幌内 など アイヌ民族舞踊(札幌ウポポ保存会) 出典: (財) 人権教育啓発推進センター発行「アイユ」2009(平成 21)年4月号より *2009(平成 21)年2月、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、現在、 世界で約6,000ある言語のうち、約2,500が消滅の危機にさらされているとの 調査結果を公表した。その中には、アイヌ語も含まれており、その話し手は15 人とされ、 「極めて深刻」な状態であると分類されている。 3 アイヌの人々の現在 ■ 先住民族の権利に関する国際連合宣言 2007(平成19)年9月、 「先住民族の権利に関する国 * い ださ された国連の作業部会による先住民族に対する差別調査、 2006(平成18)年に北海道が実施した調査によると、 く 慮 そして1984(昭和59)年の同宣言の草案の承認から20 年 道内に住むアイヌの人々の人口は、約 24,000 人という結 遠 ご 以上の議論を経てのことでした。 > 果が出ています。 は 先 載 せ さらに、2008(平成20)年5月には、国連人権理事会 現在では、 北海道以外にも、 関東などの都市部を中心に、 転 わ ・ 合 「アイヌ民族との対話勧告」を出しました。 用 は日本に対して 日本国内の各地に居住していると考えられますが、その い 転 問 断 正確な数は現時点ではわかっていません。 お 無 ー ンター る * リ す ラ「先住民族の権利に関する国際連合宣言」 セ 関 ブ に 進 イ ラ 子 推 の主な内容 9 権 冊 発 人 啓 1 9 <本 育 1 .jp 教 7 r 7 o . 権 7 n 5 e 人 k ) 3 n 0 i j 財 (公 TEL ibrary@ l ル Eメー ■ 北海道に住むアイヌの人々は約24,000 人 際連合宣言」が国連総会で採択されました。前文と46の 条文からなる同宣言の採択は、1982(昭和57)年に開始 * *北海道以外でアイヌの人々の人口に関する公的な調査が行われたのは、1988 (昭和63)年に東京都が行った調査のみで、 その結果は約2,700人(都内) となっ ている。アイヌ民族に関する全国的な実態調査は、国連の人種差別撤廃委員 会から要請は受けているものの、これまで実施されていない。 ◦政治的自決権 アイヌって? アイヌとは、アイヌ語の「カムイ(神) 」に対する「人 間」を意味する言葉で、民族の呼称ともなっている。 日本政府が国際人権規約に基づく国連への報告書に、 同規約第 27 条に該当する少数民族として記載している のはアイヌ民族のみ。 10 ◦文化的伝統と慣習の実践化と再活性化の権利 ◦伝統的に領有、占有もしくは使用や獲得している土地 領土、資源に対する権利 ◦同意なく没収または占領、占有、使用、損害を与えら れた土地や領土、資源に対する返還または弁償を含む 賠償を受ける権利 11 ■ ようやく認められた先住民族 ■ いまだ残る偏見・差別 2008(平成20)年6月、衆・参両院で「アイヌ民族を 近年、アイヌの人々の伝統文化を見直し復活させる動 * い ださ ようやく公的に認められたのです。 しかし、その一方で、アイヌの人々に対する誤った理 く 慮 この決議を受け、政府は「アイヌ政策のあり方に関す 解による偏見・差別が根強く残っています。 遠 ご > る有識者懇談会」を設置しました。 は 先 載 せ 転 わ ・ 合 用 い 転 問 断 お 無 「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」 ー ンター る * リ アイヌの人々に対する偏見・差別 す ラ における検討項目 セ 関 ブ に 進 イ ラ 子 推 権 冊 発 人 啓 19 9 <本 育 1 教 7- n.or.jp 7 権 7 5 e 人 k ) 3 n 0 i j 財 (公 TEL ibrary@ l ル Eメー 先住民族とすることを求める決議」が採択されました。 きやアイヌ語伝承のためのアイヌ語教室が増えており、国 これにより、アイヌの人々が『先住民族』であることが、 や地方自治体による支援も行われています。 ◦アイヌ施策の根拠となる法律の制定、窓口機関の設置 ◦結婚差別 ◦アイヌ民族に対する国民の理解の促進(学校教育、全国規 ◦就職や職場での差異化、賃金、待遇などの差別 模での啓発の充実 など) ◦学校などにおける子どもたちの言動、対人関係での ◦アイヌ文化に係る施策(研究・出版事業の充実、アイヌ語 差別 やアイヌ文化の振興、文化財の保護、産業の振興、研究教 ◦出身地による差別 育機関の設置、伝統的生活空間の再生、アイヌ文化に関す ◦身体的特徴による差別 る土地・資源の活用 など) ほか ◦アイヌ民族の生活向上に係る施策(全国調査の実施、奨学 金、就業支援、各種生活基盤整備、工芸技術支援 など) ほか 12 13 4 アイヌの人々に関し、 どのような問題が起きているか(複数回答) 共生に向けて * い ださ かつて、アイヌの人々の文化は、同化政策により禁止さ く 慮 れ、否定、抑圧され続けてきました。 遠 ご しかし、現在では、国や地方自治体をはじめとするさま > は 先 載 せ ざまな取り組みにより、見直され、制度的にも少しずつ改 転 わ ・ 合 用 善されつつあります。 い 転 問「アイヌ民族と日本民族」のように、世界には、多種多 断 お 無 ー ー る タ * リ す ン 様に異なる言語、宗教、生活習慣などを文化とする様々 ラ セ 関 ブ に 進 イ な民族が存在します。 ラ 子 推 権 冊 発 その文化、民族性に優劣のあるはずはありません。人々 人 啓の心の中の偏見が差別を生み出し、異なる民族、文化な 19 9 <本 育 1 教 7- n.or.jp 7 どを抑圧し、排除しようとするのです。 権 7 5 異文化を尊重し、互いに違いを認め合うことは、人権 e 人 k ) 3 n 0 i j 財 y@ (公 TEL ibrarの基本中の基本です。 l 真の共生に向けて、国や地方自治体などの取り組みだ ル ー メ けに任せておくのではなく、私たち一人ひとりが、まずア E ■ 私たちができること 総数(N=1,766 人、M.T=118.0%) 独自の文化や伝統の保存、 29.4% 伝承が図られていない こと 差別的な言動をすること 12.9% 就職・職場で不利な 扱いをすること 9.4% 結婚問題で周囲が 8.2% 反対すること その他 0.2% 特にない 14.4% わからない 43.5% 0 10 20 30 40 出典:内閣府「人権擁護に関する世論調査」 (平成19年6月調査) 14 50 % イヌの人々の存在そのものを意識し、その伝統・文化を 正しく理解して、尊重することが何よりも大切なのです。 15
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