特定非営利活動法人 ディジタルシネマ・コンソーシアム N E W S L E T T E R V o l .7 2006年 4月 第7号 ニューズレター 報告 第18回東京国際映画祭 digital T!FF iGrid2005 4K Pure Cinema 撮影:Richard Edlund, ASC 編集・発行/ディジタルシネマ・コンソーシアム事務局 NPO Digital Cinema Consortium of Japan (DCCJ) 〒239-0847 横須賀市光の丘8-3 316号室 TEL:046-839-2455、FAX:046-839-2454 http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema ニューズレター第7号の発行にあたって ディジタルシネマ・コンソーシアム理事長 青山友紀 本ニューズレターで報告いたしますように前回の発行から、私たちの周囲状況は大変大きな変化が ありました。まず悲しい出来事として本コンソーシアム発足以前から私たちの4Kデジタルシネマの開 発に対して撮影監督の立場から的確なアドバイスを頂き、コンソーシアムの副理事長として一貫して 暖かくサポートしていただきました高村撮影監督がご逝去されました。大変残念でありますが、謹ん でご冥福をお祈りするとともに、故人の意思を継ぎ私たちコンソーシアムの活動をより映画界に貢献 するものにしていきたいと存じます。 さて、昨年DCI規格の最終版も発表され、デジタルシネマはいよいよ本格的なビジネスがブレークす る直前に到達したと考えられます。昨年9月のiGrid2006では慶應大学とUCサンディエゴ校との間 15,000kmをIPネットワークで接続し、慶應に設置した4Kデジタルカメラの映像をUCサンディエゴ校の iGrid2006会場のスクリーンに映写し、反対方向にはHD映像で転送し、両校の学長同士がリアルタイ ムで結ばれて対面いたしました。また、慶應から4Kによる遠隔講義や能の配信など、4KODS(Other Digital Stuff)の日米間転送に世界で初めて成功いたしました。 10月には東京国際映画祭でデジタルシネマが初めて正式プログラムに取り上げられ、第1回digital TIFFと銘打って行われました。このイベントはデジタルシネマ実験推進協議会が企画運営し、当コン ソーシアムも全面的に協力いたしました。ここではシンポジウムとハリウッドの新作映画の4Kフル上 映を行い、超満員の観客を集めてデジタルシネマを楽しんでいただきました。 同じく10月にはワーナー・ブラザーズ、東宝、NTTグループが「4K Pure Cinema」という共同実験を 報道発表し世界を驚かせました。この実験で行われた「ハリーポッター・炎のゴブレット」の4Kフル上 映を六本木ヒルズの上映館に見に行きましたが、超満員の観客を集めて有料で4Kデジタルシネマを 上映している事実に感銘を受けました。 本年1月には仙台で行われたJGN2シンポジウムにおいて6Gb/sの非圧縮4K映像を配信上映する 世界初のイベントに成功いたしました。このイベントでは慶應DMCスタジオの4Kデジタルカメラおよび NTT武蔵野研究センタのサーバとを仙台の会場の4KプロジェクタにJGN2上の異なる波長で光パスで 接続し、その波長をJGN2上のOXC(Optical Cross Connect)を制御するGMPLSプロトコルで切り替え るという、きわめて高度な技術をデモすることができました。これも世界初の実験です。この様子はテ レビでも報道されました。 これらの世界初の実証実験やビジネスに向けたトライアルの詳細はこのニューズレターで報告され ます。デジタルシネマはいよいよ次のフェーズに移りました。私たちDCCJもこれに合わせて活動をシ フトしていく必要があると考えます。会員の皆様と議論しながら進めていきたいと思います。 第18回東京国際映画祭 ditital T!FF 開催 2004年10月に、第17回東京国際映画祭の協賛企画として「東京デジタルシネマ・シンポジウム2004」が 開催され、また、世界初の4Kデジタルシネマ上映会が実施され、業界各方面から大きな反響を呼んだこと は、ニューズレター第5号でお伝えいたしました。この成功を受け、東京デジタルシネマ・シンポジウム/上 映会は、2005年には映画祭が主催する正式プログラム「digital T!FF」として企画が一新され、第18回東京 国際映画祭の中でも重要なプロジェクトとして位置づけられることになりました。 映画界を大きく変貌させつつあるデジタル技術について考える「digital TIFF」は、2005年10月24日、 VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ スクリーン2で開催されました。(主催:財団法人日本映像国際振 興協会(ユニジャパン)、協力:デジタルシネマ実験推進協議会(DCTF)、ほか) 次ページへつづく Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) 「デジタルシネマのもたらす未来」をテーマとした第一部のシンポジウムでは、まずアカデミー科学技術協 会と米国撮影監督協会(ASC)を代表してRichard Edlund氏が登壇。米国におけるデジタルシネマに関する 取り組みの現状及びその評価について基調講演を行いました。Edlund氏はジョージ・ルーカス監督が設立 した特殊効果の制作会社ILM(インダストリアル・ライト&マジック)の創設メンバーで、「スター・ウォーズ」三 部作、「レイダース/失われたアーク」で米アカデミー賞視覚効果賞を4度受賞した米国映画界の第一人者 です。Edlund氏は、映画のデジタル化は1930年代に映画に音声が加えられたときと同じくらい意義深く、映 画界に大きな影響を与えるものであることを強調。2003年よりアカデミーで独自に評価・研究を続けている デジタルカメラやデジタルシネマカラーについて語られました。また、“iGrid2005” において行われた4K超高 精細映像の太平洋横断リアルタイム配信実験(「 iGrid2005 報告」参照)にも言及し、「4Kデジタルシネマ制 作、配信への新しいアプローチの可能性や、ネットワークを利用して劇場に4K品質の映画以外のコンテンツ をリアルタイムで配信する可能性が見えてきた」と、その成功を大きく評価されました。 基調講演に続き、4Kデジタルシネマのメリットを含め、デジタルシネマの制作から上映までの各ワークフロー に関する最新の技術動向や今後のビジネス展望について、国内関係会社の第一人者によるパネルディス カッションが行われました。司会は青山友紀DCTF会長/DCCJ理事長、パネリストは渡辺儀典氏(株式会社 IMAGICA映画部デジタルプロセスグループマネージャー)、小田原雅文氏(株式会社レイ専務取締役 デジ タルコンテンツ事業担当/デジタルサイト株式会社)、斎藤邦昭氏(オリンパス株式会社IS事業プロジェクト プロジェクトリーダー)、藤井哲郎氏(NTT未来ねっと研究所メディアイノベーション研究部長)、早坂高志氏 (ソニー株式会社B&P事業本部デジタルシネマビジネス推進室統括部長)、田中誠一氏(デジタルコンテンツ 協会常務理事)、久松猛朗氏(松竹株式会社常務取締役)です。 IMAGICAの渡辺氏は、映画制作の現場で実際に行われているデジタル・インターミディエイト(DI)やデジ タルリマスタリングの現状、貴重な文化財フィルムの復元におけるデジタル処理の現状などについて紹介さ れました。DIは、撮影されたフィルムネガの内、本編で使用するネガをすべてスキャニングし、デジタルデー タに変換した後、これを専用機でカラーグレーディングし、編集データを反映させてフィルムレコーディング、 本編用完成フィルムを作成する。これまでの制約にとらわれず、自由に色彩を構築できる、新しい映画制作 の手法です。 レイの小田原氏はデジタルシネマが制作関係者とユーザーにどのようなメリットをもたらすのか、オリンパ スの斎藤氏はデジタルカメラの現状について、NTTの藤井氏はネットワーク配信、国内外の動向、DCI規格 について説明されました。ソニーの早坂氏はプロジェクターの現状に関して、4K作品クリップ「ミスティック・イ ンディア」の上映を交えて解説。デジタルコンテンツ協会の田中氏は国内におけるデジタルシネマ普及の現 状や映画以外での活用方法について、松竹の久松氏は制作関係者としてビジネス上の観点から見たデジ タルシネマについて述べられました。 休憩をはさみ、午後にはデジタルシネマ上映を体験できるプログラムが開催された。DCTF招待者および 一般招待者向けのAプログラムでは、まずDCTF企画部会長でもある株式会社スキップシティの秋元勝弘社 長が、デジタルシネマについて分かりやすく解説。次いで、同企画部会長代理でもあるソニーの早坂氏が 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」の作品クリップやジョージ・ルーカス監督のインタビュー映像 等を上映し、デジタルシネマの制作上のメリットや画質の美しさを強調されました。長編作品としては「バット マン ビギンズ」が上映されました。 最後に、一般招待客のみを対象としてBプログラムが開 催されましたが、立ち見ができるほど超満員で、一般観客 もデジタルシネマに高い関心を示していることがよく分かり ました。デジタルシネマの説明の後、「サウンド・オブ・ミュー ジック」、「スパイダーマン2」、「ミスティック・インディア」といっ た作品クリップに続き、長編作品として「ステルス」が上映さ れました。2本の長編映画を含む、これだけ多くの4Kデジタ ルシネマが一挙に上映されたのは世界初のことです。 「digital TIFF」は、映画祭としてさまざまな作品を楽しむと 同時に、最新のデジタル技術を紹介する、大変有意義な 機会を提供したと言えるでしょう。 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) iGrid2005報告 4Kデジタルシネマ映像 デジタルシネマ映像の 映像の太平洋横断( 太平洋横断(15,000km 15,000km) km)リアルタイム伝送実験 リアルタイム伝送実験に 伝送実験に世界で 世界で初めて成功 めて成功 2005年9月27日、慶應義塾大学(塾長:安西祐一郎氏)、 日本電信電話株式会社(代表取締役社長:和田紀夫氏、 以下:NTT)、カリフォルニア大学サンディエゴ校 (UCSD/Calit2)、 イリノイ大学シカゴ校(UIC/EVL)、Pacific Interface社は、共同で、国際会議“iGrid2005” において、 HDTVの4倍の解像度を有する4K(800万画素)超高精細 映像の太平洋横断(慶應義塾大学~カリフォルニア大学 サンディエゴ校)リアルタイム配信実験を世界で初めて成 功させたことを発表いたしました。これは、4Kデジタルシ ネマ規格の超高精細映像を地球規模のギガビットIPネッ トワークでライブ配信し、学術・教育・医療・文化面で利用 できることを実証するものです。 リアルタイム伝送実験で用いられた4Kライブ映像は、慶 應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 (以下:DMC機構)の工房において、4Kデジタル動画カメ ラで撮影され、NTT未来ねっと研究所が開発したリアルタ イムJPEG2000コーデックにより約6Gbpsのストリームは 200M-400Mbpsにリアルタイム圧縮され、1GbpsのIP回 線を通じて伝送されました。 この伝送実験においては、日米間で総延長15,000km にも及ぶ光回線をイーサネットレベルで直結し、地球規 模のギガビットIPネットワークが構築可能であることを実 証しました(下図参照)。独立行政法人情報通信研究機 構(NICT)が運営するJGNII日米回線と、StarLight (シ カゴ)から Pacific Northwest GigaPOP(シアトル)を経由 しUCSD(サンディエゴ)へ接続する米国内光伝送路 (CAVEwave)とをイーサネット機器のみで接続し、遅延時 間が少なく、レスポンスの良いライブ中継を実現していま す。 また、“iGrid2005”の期間中(日本時間27~29日)、4K 動画で撮影された映像、リアルタイムで合成される4Kの CG映像、35mm又は65mmフィルムからスキャンされた 4Kデジタルシネマなど、様々な分野の蓄積型4K映像コン テンツを発信する際に、NTT未来ねっと研究所が開発し たフレックスキャスト(Flexcast)技術を用いて、世界初の 4K映像ストリーム(200M~400Mbps)太平洋横断マルチ キャスト配信実験が行われました。 次頁にて、DMC機構の小野定康教授からのご 報告を紹介いたします。 iGridとは? The International Gridの略称。超広帯 域ネットワークを必要とする先端アプリ ケーションの開発を推進する、国際的な コラボレーションによる共同実証実験イ ベント。1998年より2から3年毎に開催。 今回は4回目。 http://www.igrid2005.org 日米ネットワーク回線図(上図) およびシステムの構成(下図) Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) iGrid2005報告 iGridは超高速ネットワークと大規模分散処 理システムを組み合わせて高性能コンピュー タ環境を実現するグリッドコンピューティングの 専門家が集まる国際会議であり、実際に 10Gbps以上のネットワークを世界的に接続し て、その上で動くアプリケーションをデモンスト レーションすることを特徴とする。前回は2002 年にアムステルダムで開かれた。今回はカリ フォルニア大学サンディエゴ校をメイン会場に して2005年9月26~29日にかけて行われ、こ のメイン会場はカリフォルニア大学サンディエ ゴ校の新たに建設されているCalit2施設のお 披露目をかねていた。 このイベントでは幾つものデモが行われたが、 とりわけ今回は慶応義塾大学三田キャンパス からカリフォルニア大学サンディエゴ校までの 超高精細(DCI4K)画像のリアルタイム中継実 験が注目された。この実験はNTT研究所、慶 応義塾大学、カリフォルニア大学サンディエゴ 校等の密接な協力、ならびに多くのDCCJメン バーの協力、参加で実現したものである。 Calit2施設のオーディトリアムの約400インチ のスクリーンに15,000kmの通信ネットワーク を介して非常に鮮明な超高精細画像が映し出 されて関係者を満足させた。この結果はニュー ヨークタイムスにも報道され、いよいよディジタ ルシネマ時代の本格到来を多くの人に認識さ せることとなった。 このリアルタイム伝送実験において、慶応義 塾の安西祐一郎塾長とカリフォルニア大学サ ンディエゴ校のメアリ・フォックス理事長が直接 ネットワーク上で会談をして、相互にこうした実 験の意義を確認し合った。後日談であるが、 Calit2施設のオーディトリアムはこの実験で使 われたDCI4Kプロジェクタの導入を直ちに決 めて今後の継続的実験に備えることとした。ま たこれを機会に慶応義塾大学とカリフォルニア 大学サンディエゴ校の共同研究契約が結ばれ、 今後の遠隔教育等への応用を含む広い範囲 の展開を予定している。(小野定康 慶應DMC 機構教授/DCCJ事務局長) 【お問い合わせ先】 慶應義塾大学DMC機構 http://www.dmc.keio.ac.jp/ 伝送実験での集合写真(撮影:Richard Edlund, ASC) (後方画面 左より:村井純慶応義塾常任理事、安西 祐一郎慶應義塾塾長、小野定康慶應DMC機構教授) オリンパスの800万画素デジタル動画システム 「OctavisionTM」と菊川剛オリンパス代表取締役社長 (左)、小野定康慶應DMC機構教授(右) 4Kコンテンツのマルチキャスト配信実験に協力されたタ ツノコプロダクションと東京工科大学の皆さん、金子満 教授(右から2人目) Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) “Time Express Boiler”4Kアニメテスト制作 iGrid2005, Digital TIFFで で上映された アニメ制作実証実験 上映された4Kディジタルシネマ された ディジタルシネマ規格 ディジタルシネマ規格の 規格の3DCGアニメ アニメ制作実証実験 概要 東京工科大学(学長:相磯秀夫氏)と株式会社竜の子プ ロダクション(代表取締役社長:成嶋弘毅氏)は共同で, 4Kディジタルシネマ規格のアニメーションのテスト制作を 行い,2005年9月29日に国際会議“iGrid2005” ,2005年 10月24日にDigital T!FFにおいて上映しました. これまで,ディジタルシネマ規格のアニメ映像は2K解像 度まででした.また,日本で制作された映像素材は存在し ませんでした.このたび東京工科大学片柳研究所クリエ イティブ・ラボと株式会社竜の子プロダクションは,将来の アニメ産業のディジタルシネマ対応を見据えて,4Kディジ タルシネマ規格のアニメーションを制作しました.必要とさ れる制作環境などを,実験を通じて明らかにすることで将 来的なディジタルシネマの普及を促進することを目的とし ました. Time Express Boilerタイトル画面 制作ソフトウェア 4Kディジタルシネマ規格の映像をCGアニメにより生成 するために,さまざまなソフトウェアをテストし最終的な仕 様ソフトウェアを決定しました.4Kディジタルシネマ規格 では,最終的なマスタリングに4160×2160ピクセルの解 像度の色深度12bitのxyz色空間を持つJPEG2000形式 の映像ファイルが必要になります. 既存の映像制作ソフトウェアはxyz色空間に対応してい ないため,本実験では,16bitのTiff画像を生成し,サー バへの格納の際にエンコードしました.それでも,4K, 16bitによる映像制作は,世界的にもまれな事例であり, これまで映画制作などで使用されてきた主要なCGソフト ウェアであっても,対応していないものが多くありました. 今回は次のようなソフトウェアを使用して制作しました. <3DCGソフトウェア> Autodesk 3ds MAX,Alias MAYA <合成ソフトウェア> Discreet Combustion,Adobe After Effect <2DCGソフトウェア> Adobe Photoshop,Adobe Illustrator 【お問い合わせ先】 東京工科大学 片柳研究所 クリエイティブ・ラボ 三上 [email protected] http://www.teu.ac.jp/clab/ “Time Express Boiler”のあらすじ 悪の秘密組織枕木一家は,秘密基地で開発した タイムマンモスで過去の世界に行き,世界征服を目 論んでいた. ついに完成したタイムマンモスで原始時代へと向 かう枕木一家.しかし、その世界には偶然事故でタ イムトラベルしてしまったテツヤとチヒロがいた. 二人は,枕木一家の野望を阻止するため原始人 のハカセの力で,タイムロコを完成させ悪と戦うこと になった. 原始時代を舞台に、今壮絶な戦いが幕をあける. 制作スタッフ 監修:金子満 監督:笹川ひろし テクニカルディレクタ:岡本直樹 プロデューサ:徳山光俊,三上浩司 アニメータ:中村陽介,松島渉,小林武人,堀内良明, 他東京工科大学メディア学部学生 音響:伊藤彰教 テクニカルスーパバイザ:古賀信明 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) 制作の課題 4Kディジタルシネマ規格の制作を行ううえで,ソフトウェ アの選定とともに課題とされたのは膨大なコンピュータ処 理時間でした. 通常のテレビシリーズで使用されてきたD1サイズや劇 場作品の2Kと比較しても,画像サイズだけでその処理負 荷の増大は大きい.そのため,臨時でレンダリングファー ムを構築し,ネットワークレンダリングを行いました. 4K (4096X2160) 2K (2048X1080) HD (1920X1080) D1 (720X486) 主なフォーマットの画面サイズ比較 1G 学内NW ギガビット 1G CTC ギガスイッチ ギガスイッチ 100M レンダリングサーバ(20台) 講義実験棟 100M 素材サーバ 100M ストレージ レンダリングサーバ(28台) レンダリングファームの構造 制作ワークフロー また,東京工科大学が提唱する制作手法“C-PALS手法” を活用し,制作の準備段階で“ダイナミックコンテ”を作成 し制作するコンテンツのシミュレーションを行いました.こ のシミュレーションは軽量なモデルと低解像度で制作する ため,コンピュータの処理負荷が少なく,制作の準備段階 で,完成イメージをつかみやすいことから,リテイクが軽減 でいる手法であり,4Kディジタルシネマ規格の映像制作 においても有効性が確認されました. デザイン モデリング 絵コンテ ダイナミックコンテ 音楽制作 カット制作 追加モデリング アニメーション設定 リギング・質感設定 エフェクト 3Dレンダリング (左)ダイナミックコンテの画面,(右)完成映像 色調整 4Kディジタルシネマ規格の映像を制作する上での課題 のひとつに色再現があります.これまでの映像システム と比較して,ディジタルシネマ規格の色再現範囲は大きく, これまでのカラーマネジメントの考え方をより一層厳格に する必要があります. 現在は4Kディジタルシネマ規格の映像と同じ色再現が 可能なモニタは存在しないため,この実験では,「NTT未 来ねっと研究所」の協力を得て,実際の上映用と同じプ ロジェクタを,上映環境に近い状態で用いて色再現テスト と色味の調整を行いました. カラー テスト 合成・グレーディング 2Dレンダリング 効果音作成・MA 連番画像 ファイル サウンド ファイル D-Cinemaデータへのエンコード 制作ワークフロー図 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) 色調整の様子 デジタルシネマ共同トライアル 「4K Pure Cinema」 概要 Warner Bros. Entertainment Inc.(WBEI) 、 ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社 (WEJ)、日本電信電話株式会社、西日本電信電 話株式会社、東宝株式会社の5社で、次世代の 映画上映方式として目されるDCI準拠デジタル シネマの配給から興行までのサービスモデルの 確立や技術検証を目的とした共同トライアル(実 験の名称「4K Pure Cinema」)を、2005年10 月22日(土)から約1年間の予定で、実施してい ます。 本トライアルでは、複数の商業用映画館にネッ トワーク配信し、継続的かつ常態上映するという 点においては『世界初』の取り組みであり、最新 作品をハリウッドからネットワーク配信し、革新 的な最高品質の映像を世界に先駆けて全国一 斉公開しています。 トライアル内容 本トライアルでは、米国の送出センタと日本国 内の配給センタおよび劇場への光ファイバーネッ トワークや、暗号化、鍵管理システム、不正操作 防止システム、セキュリティ管理を含むDCI仕様 デジタルシネマの配信・上映設備を構築し検証 を行います(図1 )。これは、商業用映画館にお ける常態興行として世界初のDCI仕様準拠デジ タルシネマ上映となります。 実験では、映像品質、鑑賞者による評価、運 用体制、セキュリティ、ネットワーク配信や劇場 運営コスト等技術面から事業面までさまざまな 観点での検証が行われます。 なお、本トライアル参加社の主な役割分担は 以下のとおりです。 <WBEIおよびWEJ> i) 送出センタの構築・運用管理 ii) DCI仕様準拠の高品質デジタルシネマコンテン ツの提供 <NTT> i) 米国-日本、国内配信センタ間、都内劇場まで の高速光ファイバー網の提供 ii) 配信センター(横須賀研究開発センタ)の提供 iii) DCI仕様に準拠したデジタルシネマ配信システ ムの提供 <NTT西日本> “4 4K Pure Cinema” Cinema トライアルの トライアルのシステム構成図 システム構成図 ハリウッドで制作されたデジタル映画コンテンツを、ロサンゼルスにある送出センタから国際実験回 線を通じて日本に送信。大阪と横須賀の配信センタで受け、その後、国内ファイバー網で各劇場へ 配信。一旦各劇場で全映画データを蓄積後、上映。 * Global Digital Media Xchange 図1 「4K Pure Cinema」トライアルの全体構成 図2 「4K Pure Cinema」トライアルシステム <東 宝> i) 上映劇場の提供 ii) 劇場興行の運営 iii) デジタルシネマ上映システムの運用管理 映画館内に設置された4Kデジタルシネマシ ステムによって、リアルタイムにDCI仕様準拠 のシネマデータを復号化・伸張して上映するこ とができます(図2)。これまで以下の作品の上 映に成功しており、今後もさらなる4K作品の 上映を予定しています。 ① 2005年10月22日(土)より 「ティム・バートンのコープス・ブライド」 上映劇場: シネマ メディアージュ、TOHO シネマズ高槻 ② 2005年11月26日(土)より 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 上映劇場: VIRGIN TOHO CINEMAS六 本木ヒルズ、TOHOシネマズ高槻 i) 西日本エリアにおける高速光ファイバー網の 提供 ii) 配信センタ(大阪データセンタ)の提供 iii) デジタルシネマ用劇場機器制御装置の開発・ 提供 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) JGNIIシンポジウムin仙台 4Kデジタルシネマ非圧縮映像 デジタルシネマ非圧縮映像の 非圧縮映像のIPストリーム IPストリーム伝送実験 ストリーム伝送実験に 伝送実験に世界で 世界で初めて成功 めて成功 独立行政法人情報通信研究機構(NiCT)は、2004年4月より、研究開発テストベッドネットワーク「JGN II 」の運用を 開始し、次世代高度ネットワーク社会の実現に向けて、産・学・官・地域と連携し、超高速ネットワーク技術や高度アプ リケーション技術などの研究開発を推進しています。2006年1月18日から3日間にわたり、「JGN2」の活動について多 くの方に知っていただくとともに、関係する研究者の方々や地域間の情報交換等の促進を目的として、「JGN II シン ポジウム2006 in 仙台」が開催され、18日午後には、青山DCCJ理事長による特別講演があり、日本電信電話株式会 社(以下:NTT)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下:NTT Com)は、「4K非圧縮映像の6GbpsIPストリーム伝送」 および「光クロスコネクト装置による超大容量コンテンツのサービス切り替え」実験を、世界で初めて成功させました。 今回の実験の成功により、超高精細映像の低遅延でのライブ中継の実現可能性が実証されると同時に、地理的に 分散して存在する複数の超大容量コンテンツの蓄積・編集・配信の可能性をも実証されました。 実験内容 1) 4K 非圧縮映像の6GbpsIPストリーム伝送実験 2) 光クロスコネクト装置による超大容量コンテンツ のサービス切り替え実験 また、NTT武蔵野研究開発センタからは、4Kシネ マ配信サーバに蓄積された4Kデジタルシネマ素材 (4Kシネマ、4Kアニメ、4KCG)を会場まで同様に非 圧縮IPストリーム伝送し、遠隔上映が行われました。 超大容量コンテンツのサービス切り替え実験は、 シンポジウム会場である仙台国際センターとDMC 機構、ならびにNTT武蔵野研究開発センタの3拠点 を、JGN II上の3台の光クロスコネクト装置(OXC) で互いに接続する構成で実施されました。3台の OXCは、東京に2箇所、大阪に1箇所設置され、「仙 台―東京2―大阪―東京1」の折り返しルートで接 続することで、総延長1,500 kmを超える全国規模 のネットワーク実験環境を構築しています。OXCは GMPLSと呼ばれるネットワーク制御技術を用いてコ ントロールされ、これにより、ユーザの要求に応じて、 超大容量の波長パスを即座に提供することができ ます。 4K映像のIPストリーム伝送は、NTT及びNTT Comがi-Visto技術を用いて新たに開発した「4Kゲー トウェイ装置」を使用して実現されました。ゲートウェ イ装置の送信側では、4K映像を複数のHDTVクラ スの映像信号(サブストリーム)に分割してIPパケッ ト化を行い、受信側においてサブストリーム間の同 期調整を行うことで、乱れのない4K映像を再生しま す。 実験では、まず、東京1と大阪に設置のOXCを GMPLSで制御し、仙台国際センターとDMC機構の 間に波長パスを設定し、両会場の間で超高精細双 方向ビデオ会議が実現されました。次に、GMPLSで 両OXCを再び制御して、シンポジウム会場の波長 パスの接続先をNTT武蔵野研究開発センタに切り 替え、シンポジウム会場に4Kデジタルシネマ映像 を遠隔上映しました。 (実験デモ構成図参照) 慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研 究機構(以下:DMC機構)において4Kデジタル動画 カメラで撮影された4Kライブ映像を、非圧縮の状態 でIPパケット化を行い、6Gbpsの速度でJGN IIを介 してシンポジウム会場(仙台国際センター)へストリー ム伝送し、ライブ中継(会場との対話を含む)が行 われました。 本実験の一部は、デジタル シネマ実験推進協議会(会 長:青山友紀)の協力の下、 総務省「次世代型映像コン テンツ制作・流通支援技術 の研究開発」の一環として 行われました。 (報道発表) http://www.ntt.co.jp/news/news06/0601/060119.html Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) 高村倉太郎副理事長 追悼特集 ディジタルシネマ・コンソーシアム(DCCJ)の創立メンバーであり、副理事長として私たちを映画界から支えていただいた 高村倉太郎撮影監督が、慢性心不全のため2005年11月21日午後3時23分に逝去されました。 通夜・葬儀に際しては、DCCJ一同としてお花を、また、青山理事長より下記の弔電をお送りいたしました。 『高村先生はデジタル技術によって映画の発展に貢献しようとする私達技術者集団の活動に対して、まだそれが海の ものとも山のものともわからない創生期のころから一貫して暖かく励まし、力強く支えてくださいました。そして本年の東京 国際映画祭でデジタルシネマが正式プログラムに取り上げられるなど、ようやく花を開こうとするこのときに先生を失うこ とはまことに痛恨の極みであります。今後はデジタルシネマによって映画の発展に尽くすことによって先生のご恩に報い る決意であります。先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。』 ここに謹んで哀悼の意を表すとともに、故人の業績をたたえ、著書および作品の一部をご紹介させていただきます。 撮影監督 撮影監督 高村倉太郎 ( 高村倉太郎 (ワイズ (ワイズ出版 ワイズ出版) 出版) 高村倉太郎/ 高村倉太郎/著 日本映画映像文化振興センター/編、日本映画撮影監督協会/編 発行年月 2005年12月 定価3,990円(本体価格3,800円) A5判並製 528頁 ISBNコード 4-89830-190-8 第1章 高村倉太郎劇場 第2章 高村倉太郎インタビュー(生い立ち、映画界へ ほか) 第3章 エッセイ(高村さんの一言(浅丘ルリ子)、先輩(和泉雅子) ほか) 第4章 高村倉太郎エッセイ(イーストマン・コダック、富士写真フイルム、 撮影監督協同組合、日本映画撮影監督協会) 第5章 資料篇(富士写真フイルム フィルムの歴史、協同組合 日本映画撮影監督協会年譜 ほか) (日活株式会社 紹介コメントより) 「幕末太陽傳」をはじめ、川島雄三監督の日活作品の撮影監督として、 また「渡り鳥」シリーズの名キャメラマンとしても知られる高村倉太郎氏 の65年の映画人生を語った決定版!日本映画黄金時代に48人の監督 と撮った男、撮影監督・高村倉太郎。その至福の映画人生と映画界を 目指す全ての人々に向けたエールを是非、読んで感じて下さい。 川島雄三監督作品 弾 DVD発売中 発売中 川島雄三監督作品 シリーズ第 シリーズ第1弾 ■幕末太陽傳 高画質・ 幕末太陽傳 コレクターズ・ コレクターズ・エディション (高画質 高画質・高音質デジタル 高音質デジタル・ デジタル・リマスター版 リマスター版) * * * * 昭和32年作品、* 監督:川島雄三、* 脚本:田中啓一/川島雄三/今村昌平、* 撮影:高村倉太郎 音楽:黛 敏郎、* 助監督:今村昌平、 出演:フランキー堺/石原裕次郎/左幸子/南田洋子/芦川いづみ/小沢昭一/小林旭 他 定価6,300円(本体価格6,000円) ニューヨーク近代美術館で開催された“Early Autumn: Masterworks of Japanese Cinema from the National Film Center, Tokyo”(2005年9月14日~2006年1月18日)でも上映された名作です。 《DVD特典》 当時のスタッフが使用していた貴重な“川島組”撮影資料の復刻版を初蔵出し! 高村倉太郎氏の解説付き【撮影資料復刻版(約70頁)】等、多数。 シリーズ第2弾として3月10日(金)に、高村倉太郎氏が撮影監督された「風船」と「洲崎パラダイス 赤信号」等、 また、シリーズ第3弾として、5月12日(金)に「わが町」「飢える魂 完全版」がリリースされます。 「洲崎パラダイス 赤信号」の《DVD特典》の解説書には、円尾敏郎氏による“撮影監督・高村倉太郎”について等が 収録されています。 詳しくは日活株式会社/日活インスパイアフィルムズのサイトをご覧ください。http://www.nikkatsu.com/dig/ 映画・映像関連ニュースご紹介 ■NECビューテクノロジー ビューテクノロジー シネマ™プロジェクターなど ビューテクノロジー 大画面対応DLPシネマ 大画面対応 プロジェクターなど3機種 など 機種を 機種を発売 2005年10月24日、NECビューテクノロジーは映画館などの大画面に対するニーズに対応するため、米国テキサスイ ンスツルメンツ社のDLPシネマ™用DMDチップ「DC2K」を搭載し、スクリーンサイズ横幅25mまで対応したDLPシネマ ™プロジェクター「NC2500S」を商品化し、受注を開始したことを発表した。価格はオープン。販売予定台数は、国内・輸 出をあわせ、発売後1年間で200台を見込んでいる。対応スクリーンサイズ横幅25mは、DLPシネマ™プロジェクターで は最大となるという(※発表時現在、同社調べ)。また、2006年3月14日には、「DC2K」搭載でスクリーンサイズ横幅 15mまで対応したモデル「NC1500C」と、従来機種に比べ、使い勝手を向上させた「NC800C」(スクリーンサイズ横幅 8mまで対応)を商品化し、受注を開始している。価格はオープン。国内・輸出をあわせ、発売後1年間で2機種合計 600台の販売を見込んでいる。ラインアップ強化により、デジタルシネマ事業を積極的に展開していく予定だ。4月4日 には、米国Technicolor Digital Cinema社が2006年第2四半期に実施予定のDigital Cinema Beta Test(デジタルシネ マ検証実験)に使用するデジタルシネマプロジェクターに「NC2500S」が選定され、60台受注したことを発表している。 http://www.nevt.co.jp/ ■コダック社 」および「 」を発売 コダック社 映画館用シネサーバー 映画館用シネサーバー 「 シネサーバー 「JN2000」 「 および「JMN3000」 2005年10月24日より27日までフロリダ州オーランドで開催された映画配給会社と興行主向けの展示会「ShowEast」 で、イーストマン・コダック社は、新製品の「コダック シネサーバーJN2000」にバルコ社製の「「D-Cine Premiere DP100」 を組み合わせたシステムを使用して、4Kの解像度でマスタリングし、JPEG2000形式で圧縮された映画コンテンツを2K 解像度で上映した。「コダック シネサーバーJN2000」は、DCIが2005年7月に発表した推奨技術仕様に初めて準拠した 製品のひとつ。また、2006年3月8日には「ShowWest」(ネバダ州ラスベガス)の会場で、3D MPEG2機能を含む JPEG2000およびMPEG2圧縮形式の映像をを自動的に解凍・再生することができ、高性能のコダック ネットワークに接 続できるデジタルシネマ プレーヤーの新製品「コダック シネサーバー JMN3000」を展示することを明らかにした。同社 のデジタルシネマ部門最高技術責任者のレス・ムーア氏は、「 MPEG2圧縮形式はDCIの推奨技術仕様には対応でき ないが、インディペンデント作品やドキュメンタリーなどには、今後もMPEG2圧縮形式が使用されることが予測される。 興行主の設備投資の負担を軽減するため、JPEG2000とMPEG2の両方に対応するプレーヤーを開発した」と述べてい る。日本での発売時期および価格は未定。http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/motion/index.shtml ■QuVIS 4K対応 対応Cinema Player™を発表 対応 QuVISは「ShowEast」(上記参照)で、ソニー・エレクトロニクスと共に、ソニー製のSXRD 4Kプロジェクターに対応する 「QuVIS Cinema Player™」を発表。DCI仕様に準拠するデジタルシネマ実用化に向けて前向きに取り組む姿勢を示し た。2006年4月6日には、ノルウェイのトロンヘイムで開催された国際映画祭で、本システムを使って「アイ,ロボット」、 「サウンド・オブ・ミュージック」、ASC/DCI標準評価素材StEMの映像などの4K上映を行っている。 http://www.quvis.com/ ■アジアコンテンツ産業 アジアコンテンツ産業セミナー 産業セミナー開催 セミナー開催 2005年10月27日および28日、「第18回東京国際映画祭」に合わせて、「アジアコンテンツ産業セミナー」が開催され、 ASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、 ベトナム)、中国、韓国、インド、日本のコンテンツ産業担当大臣および政策担当者、民間専門家が一堂に会し、2日間 にわたって「コンテンツ国際共同製作の推進」、「人材育成・人材交流の推進」、「コンテンツ市場拡大」、「コンテンツ貿 易投資環境の整備及び情報の共有」の4分野について討議が行われた。議論の結果は、10月28日に共同声明として 発表された。「コンテンツ国際共同製作の推進」に関する部分では、各閣僚がデジタル技術の導入の加速化、デジタル 映画館の普及の重要性を認識したこと等が述べられている。 http://www.meti.go.jp/press/20051028012/20051028012.html ■フライトシステムコンサルティング 」を発表 フライトシステムコンサルティング 低価格デジタルシネマシステム 低価格デジタルシネマシステム「 デジタルシネマシステム「Hommage」 2005年11月8日、フライトシステムコンサルティングは、JPEG2000を利用した国産初のデジタルシネマ上映システム 「Hommage」を翌年1月から発売することを発表。同社のデジタルシネマブロードキャスター「DCD-JP2000」と松下電 器産業製のDLPプロジェクタ「TH-DW7000-K」の組み合わせによる販売価格は約500万円を予定。2006年度、50セッ トの販売を見込んでいる。 同社によると、「Hommage」による日本で初めての劇場上映が、2006年2月 19日、東京・渋谷の映画館「ユーロスペース」に於いて行われた「放郷物語」 (飯塚 健監督、アクティブ・シネ・クラブ配給)の試写会で実施された。 同作品 は3月18日より一般公開されている。http://www.flight.co.jp/ Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) ■Carmike Cinemas クリスティAIXと クリスティ と契約 2005年12月19日、米国のデジタル映画配信システム事業会社アクセス・インテグレーテッド・テクノロジー 社と米国第3位のシネコンチェーンCarmike Cinemas, Inc.は、同年6月にアクセスITとクリスティ・デジタル・ システムズ社が立ち上げたデジタルシネマの本格的普及促進に向けた投資システムを含むビジネス・ス キームに合意したことを発表。Carmike CinemasはアクセスITの子会社クリスティAIXと契約し、同社が運 営する米国内の2300スクリーンにデジタルシネマ設備を導入する。設置されるのはクリスティ社製のDCI 規格準拠2K DLPシネマプロジェクターで、作業は2006年1月から開始され、2007年10月までに完了する 予定とのことである。http://www.christiedigital.com/ ■中国 中国 独自の 独自のデジタルシネマシステム開発 デジタルシネマシステム開発を 開発を開始 2006年1月6日、時代今典伝媒科技有限公司(以下、時代今典)は中国科学院計算技術研究所と「デジ タルシネマ技術合同実験室」の調印式を北京市で行い、DCI規格の、中国自主知的財産権のあるデジタ ルシネマ・システムを共同開発することとなったと発表した。2006年6月に最初の2Kのデジタルシネマ上映 用サーバー(デジタルシネマ・プレーヤー)の量産を開始し、同年12月には、4Kのデジタルシネマ・プレー ヤーを登場させ、海外の人気映画をリアルタイムに中国で放映できるようにする構えとのことである。時代 今典は、中国国家が正式に承認した次世代DVD規格であるEVD(Enhanced Versatile Disk)の特許を有し ている。http://www.tamedia.com.cn/ ■ナック ナック オリンパス「 オリンパス「Octavision™」のレンタルを レンタルを開始 2005年11月に幕張メッセで開催されたInterBee2005(国際放送機器展)で、株式会社ナックイメージテク ノロジーはオリンパスが開発した800万画素デジタル動画システム「Octavision™」のレンタル業務を開始 することを発表。 2006年1月25日には、ナックイメージテクノロジーが定期的に開催している「映画技術研 究会」が、オリンパス高精細シアターおよびスタジオにて開かれ、実機を使ったテスト撮影などが行われた。 オリンパスの発表によると、現在第一線で活躍されている映画関係者から多数の質問が寄せられ、予定 時間をオーバーする大盛況の会となったそうだ。3月16日、17日にはナック本社にて「ナックレンタルオー プンハウス」が開催され、同システムをはじめ、ARRI社の「ARRIFLEX D-20」といった世界最高峰のデジタ ルカメラの実機展示と実演と、DCCJ理事、会員等によるデジタルシネマの講演会が行われたが、こちらも 総勢300余名が来場し、立ち見が出るほどの盛況であった。 ナックイメージテクノロジー http://www.nacinc.jp/ オリンパス「Octavision™」 http://www.olympus.co.jp/jp/crdc/hfds/product/service/index.cfm ■3Dデジタルシネマ デジタルシネマ 「チキン・ チキン・リトル」 リトル」 日本初公開 」 日本初公開 2005年12月12日付で日本テキサス・インスツルメンツとブエナビスタインターナショナルジャパンおよび 株式会社イクスピアリは、DLPシネマ™によるディズニーデジタル3-D™版映画「チキン・リトル」(マーク・ディ ンダル監督)を、AMC イクスピアリ 16(千葉県浦安市舞浜)にて日本初上映することを発表。続いて、12月 15日、ドルビーラボラトリーズインターナショナルサービスインク日本支社 は、同映画のデジタル3D版が、 「ドルビーデジタルシネマ」のシステムにより「AMCイクスピアリ 16」と「ワーナー・マイカル・シネマズ 多摩 センター」の2館において上映されることを発表した。ドルビーは「チキン・リトル」の米国における公開に先 立ち、ウォルト・ディズニー社とのコラボレーションにより、全米25の主要都市にある映画館84館にドルビー デジタルシネマシステムを納入している。ディズニーの発表によると、通常より多くの観客が3-D™版を鑑 賞するなど非常に好評を博したという。報道発表によると、従来のフィルムを用いた上映では3D映写に左 右2台のプロジェクターが必要だったが、ディズニーデジタル3-D™シネマの上映はDLPシネマ™プロジェク ター1台で可能。このためピント合わせも不要で、画像のズレやブレがほとんどなく、奥行き感にすぐれたク リアな3D映像を実現したとのこと。 日本テキサス・インスツルメンツ http://www.tij.co.jp/news/sc/2005/scj_05_106.htm ドルビーラボラトリーズ http://www.dolby.co.jp/about/news_events/051215.html ■ 2005年 年の国内映画興行収入 億6000万円 万円 国内映画興行収入 前年比6% 前年比 %減の1981億 2006年1月31日、日本映画製作者連盟は2005年度(平成17年)の映画関連データ(興行成績等)を発 表。公開本数は731本(前年比12.6%増)で、内訳は邦画356本、洋画375本。映画館入場人員は1億 6045万3000人(前年比5.7%減)、興行収入は1981億6000万円(前年比6%減)であった。興行収入の内 訳では、テレビドラマ、コミック、アニメ、小説などとのメディアミックス展開が多く見られた邦画が41.3%と 健闘。興行収入トップ3は、「ハウルの動く城」(196億円)、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(115億円)、 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(91.7億円)であった。 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) 次ページへつづく ■ 2005年 年の国内映画興行収入 億6000万円 万円 国内映画興行収入 前年比6% 前年比 %減の1981億 万円 (前ページよりつづく ページよりつづく) よりつづく) 映画館数は、前年度に引き続き、邦画および洋画専門館が減少する一方、シネマコンプレックスの普及は さらに進み(前年比10.6%増) 、総スクリーン数2,926のうち、シネコンは1,954 スクリーン(234サイト)と約 67%を占めるまでになった。http://www.eiren.org/ ■ ドルビー ドルビー デジタルシネマシステムの デジタルシネマシステムの新製品を 新製品を開発 2006年2月1日、ドルビーラボラトリーズは ドルビーデジタルシネマシステムの機能をより一層強化し、業 界で初めてJPEG2000とMPEG(MPEG-2)のどちらにも対応する新製品を開発したことを発表。 「ShowWest」(3月13日~16日、於ネバダ州ラスベガス) で展示した。http://www.dolby.com/ ■ Hollywood Post Alliance (HPA) 年次技術大会開催 ハリウッドのポストプロダクション関係者が運営しているHollywood Post Alliance (HPA)の年次技術大 会が、2006年2月22日から24日までカリフォルニア州ランチョ・ミラージュにて開催され、過去最高の約400 人、54社が参加した。各国のデジタルシネマの状況を発表するセッションでは、慶應義塾大学DMC機構の 太田直久教授とNTT未来ねっと研究所の藤井哲郎部長が、2005年9月に実施されたiGrid2005における 4K映像の太平洋横断リアルタイム配信実験の成功について報告した。展示会場ではオリンパスの 「Octavision™」とNHKの「スーパーハイビジョン」が注目を集めた。http://www.hpaonline.com/ ■米国地理学協会 プロジェクターを 米国地理学協会 ソニーの ソニーの4K SXRDプロジェクター プロジェクターを導入 2006年2月、 National Geographic Society(米国地理学協会)は、ワシントンにある本部のGrosvenor Auditoriumの改装に伴い、ソニーの4K SXRDプロジェクター(SRX-R110)を設置した。今後、“National Geographic Live!”をはじめとする各種上映イベントに用いる予定とのことである。 http://www.nationalgeographic.com/nglive/washingtondc/ ■ DCI フラウンホーファーIISと とデジタルシネマ関連機器 フラウンホーファー デジタルシネマ関連機器の 関連機器の検証テストプラン 検証テストプラン作成 テストプラン作成 報道発表によると、2006年2月、Digital Cinema Initiatives (DCI)は、ドイツのエルランゲンにある Fraunhofer Institute for Integrated Circuits IIS(フラウンホーファーIIS)と共同で、昨年7月にDCIが発 表したデジタルシネマ仕様に準拠しているかどうかを確認するためのテスト方法およびデータから成る検 証テストプランを作成することに合意した。完成後、機器メーカーに提供される予定。 ■全米劇場所有者協会 全米劇場所有者協会 「Digital Cinema System Requirements」 」を発表 2006年2月27日、全米劇場所有者協会(NATO)は、デジタルシネマの製品開発業者およびシステムプロ バイダー向けに上映システムの要件を詳述した「Digital Cinema System Requirements」第1版を発表し た。デジタルシネマの機器や規格の構築に関し、興行主側が求めているものを示す内容となっている。詳 細はNATOのサイトで得られる。NATOのJohn Fithian会長は、2006年4月22日より開催されるNAB2006 Digital Cinema Summitで基調講演を行う予定。http://www.natoonline.org/ ■TI、 、 DLPシネマ シネマ™プロジェクターの 台を突破 プロジェクターの採用実績を 採用実績を公表 - 前年同期比3倍増 前年同期比 倍増の 倍増の1,000台 2006年3月14日、テキサス・インスツルメンツは、NEC、バルコ、クリスティによるDLPシネマプロジェクター の設置台数が、世界全体で計1,195台に達したと発表した。映画館のデジタル化は世界的な傾向で、設置 台数は南北アメリカで579台、欧州で342台、アジアで274台(うち日本51台)となっており、設置場所として は一般の映画館や映写室、ポストプロダクション会社などが挙げられる。特に、2006年に入ってからデジ タル・シネマの普及が加速されている。同社はドルビー、NEC、QuVIS、ドレミ、GDC、イーストマン・コダック などのサーバー・メーカーをはじめとする協力会社と、顧客各社との緊密な協力により、現在および将来を 通じて、システムの互換性を確保できるよう注力していくという。 http://www.tij.co.jp/ ■20世紀 世紀FOX JPEG2000で で「アイス・ 世紀 アイス・エイジ2」 エイジ 」を上映 DCI仕様の支持を表明している20世紀FOXは、2006年4月7日、 デンマークの大手興行チェーンであるNordisk Film社の映画館で、 JPEG2000を使用した「アイス・エイジ2」のデジタル上映を行った。 同社がJPEG2000を使って映画を公開したのは、これが世界初。 字幕版および吹替え版の制作にはフランスの大手ポストプロダ クション会社Éclair Digital Cinemaが協力した。 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) NPOディジタルシネマ ディジタルシネマ・ ディジタルシネマ・コンソーシアム コンソーシアム 組織概要 役員一覧 理 事 長 副理事長 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 監 事 青山 友紀 (慶応義塾大学 教授) 小野 定康 (慶応義塾大学 教授) 小野田 勝洋 (元 財団法人C&C振興財団 顧問) 金子 満 (東京工科大学 教授) 河内 正夫 (NTTエレクトロニクス株式会社 取締役 技術開発本部長) 川又 政征 (東北大学 教授) 齋藤 邦昭 (オリンパス株式会社 IS事業プロジェクト プロジェクトリーダー) 齊藤 隆弘 (神奈川大学 教授) 中村 行宏 (京都大学 教授) 村上 篤道 (三菱電機株式会社 役員技監) 山内 寛紀 (立命館大学 教授) 山本 孝一 (株式会社ナックイメージテクノロジー 営業本部長) 太田 直久 (慶應義塾大学 教授) 中村 昌志 (株式会社IMAGICA 企画開発担当部長) 小口 喜美夫 (成蹊大学 教授) アドバイザリー会員一覧 一木裕佳 (ナムコ 会長付特命担当)、小林正明 (松下電器産業 パナソニックAVCネットワーク社 技監)、品田雄吉 (多摩美術大学 教授)、辻井重男 (中央大学 教授)、徳田英幸 (慶応義塾大学 教授)、内藤整 (KDDI研究所)、山口南海夫(日本ビクター 専務取締役)、Laurin Herr (パシフィッ ク・インターフェース社 社長) 個人正会員一覧 (上記役員を除く) 安芸淳一郎、浅井光太郎、石丸勝洋、稲葉豊、伊庭野基明、上山功ニ、要幸男、神戸薫、木村美砂、 小松道也、佐藤一彦、佐藤健一、白川千洋、高橋勝、田中健二、辻川和伸、戸村義男、飛地茂、豊 谷慎吾、中山秀一、根本直樹、萩本和男、枅川正也、広瀬雅幸、藤井哲郎、村川恭介、宮永博史、 森川博之、守倉正博、安田靖彦、山下泰司、山本洋一、吉田育弘 (敬称略 50音順) 法人会員一覧 アストロデザイン株式会社、池上通信機株式会社、株式会社IMAGICA、株式会社オプトウェー ブ研究所、オリンパス株式会社、株式会社計測技術研究所、株式会社スキップシティ、ソニー 株式会社、大日本印刷株式会社、株式会社テクノハウス、東映株式会社、株式会社ナックイ メージテクノロジー、株式会社日本シネアーツ社、日本電信電話株式会社、日本ビクター株式 会社、東日本電信電話株式会社、株式会社ピクセラ、株式会社フライトシステムコンサルティ ング、三菱電機株式会社、レスパスビジョン株式会社 (50音順) (2006年4月現在) ◆◇◆ ◆◇◆ 入会のご 入会のご案内 のご案内 案内 ◆◇◆ (会員の種類) ■法人会員(年会費、1口10万円より) ■個人正会員(年会費、5,000円) (ご入会方法) 指定の申込書にご記入の上、FAXまたは郵便でお申込みください。 申込書は当法人ホームページからダウンロードできます。 http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema/ Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第7号(2006年4月) Digital Cinema Consortium of Japan
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