G7富山環境大臣会合「朝食セッション(海洋ごみ)」における石井富山県

G7富山環境大臣会合「朝食セッション(海洋ごみ)」における石井富山県知事の説明要旨
平成 28 年5月 16 日
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我が国の海岸漂着物の量は平均で年間 56 万トン程度と推計されている。このうち、本県への
漂着量は 1,140 トン程度で、同じ日本海側でも対馬海流の影響を受けやすい能登半島を有する石
川県への漂着量は本県の5~6倍となっている。対馬海流の影響をもっと受けやすい長崎県(31
倍)や沖縄県(12 倍)では、さらに漂着量が多くなっている。本県は、石川県の能登半島の東
側に位置していることもあり、全国的に見ると漂着物量は少ない状況にある。
・ 漂着したペットボトルの表示等流出地の国内外割合では、沖縄県や長崎県では、中国や韓国な
ど、海外からの漂着物が8割から9割以上を占め、日本海側でも能登半島西側の石川県羽咋市で
は、これらの海外からの漂着物が6割以上になっている。一方で、本県の海岸では、8割近くが
国内由来のもの。
・ 漂着物の内容としては、本県も日本海側の他の地域と同様、人工漂着物の9割以上がプラスチ
ックと発泡スチロールである。近年注目されているマイクロプラスチックの原因であり、特に日
本海周辺は、世界の海に比べて漂着量が 27 倍というデータもあり、生態系などへの影響が懸念
されている。今後とも、プラスチック等の発生抑制や県民への周知が重要な課題である。
・ 本県では海岸管理者(多くが県)
・市町・地域住民、民間団体がそれぞれの役割のもと連携し、
海岸漂着物の円滑な処理を推進してきているが、処理を行っても繰り返し漂着していることから、
円滑な処理の推進とともに、一層の発生抑制対策が重要である。
・ 発生抑制対策としては、地球温暖化対策のためにも、多くの県民の参加のもと、県単位では日
本初のレジ袋無料配布廃止の取組みを 2008 年から実施している。2013 年にはこれに加えて、日
本で初めて「とやまエコ・ストア制度」を開始し、レジ袋などのプラスチック製品の発生抑制や
トレー、ペットボトル等の回収・再生利用、弱冷暖房など、さらに、農業用廃プラスチックの回
収も推進している。
・ 海岸漂着物の多い河川をモデルとして、住民、事業者、行政等が連携し、上流域から海岸まで
をつなぐ清掃活動をはじめ、発生抑制対策に取り組んでいる。今月7日、8日には、海岸一斉清
掃も実施した。また、親子での清掃体験活動など、県民への環境教育や啓発活動にも力を入れて
いる。
・ 国際協力の推進として、国連環境計画(UNEP)が提唱する北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)
の活動を支援してきており、人工衛星によるリモートセンシング技術を活用した水質や藻場の調
査手法の開発を行ってきたほか、海洋ごみに関する活動として、海岸漂着物の調査方法について
のガイドラインを作成しており、集められたデータは各国の法制度や、計画の策定に役立てられ
ている。
・ 自治体レベルでも NEAR(北東アジア地域自治体連合)環境分科委員会のコーディネート自治
体として北東アジア地域の取組みをリードしている。2007 年に富山県で開催された日中韓三カ
国環境大臣会合に併せて開催した「北東アジア環境パートナーズフォーラム」で採択した「とや
ま宣言」に基づき、黄砂の視程調査や、各国での海岸漂着物調査、環境技術情報の共有、青少年
の環境教育の実施などを実施してきている。今月 23 日、24 日には北東アジア地域(日中韓ロ)
の自治体や大学関係者等が、G7富山環境大臣会合の成果を踏まえて、気候変動、生物多様性、
海洋ごみ等について、今後の相互の環境協力や施策の充実について協議するフォーラムを開催す
る。できれば新たな「とやま宣言」を取りまとめられるよう努力したいと考えている。
・ こうした様々な取組みにより本県の大気や水質環境は良好な状態を維持しており、特に水質に
ついては、全国で唯一全ての項目で環境基準を 100%を達成している。こうした取組みが評価さ
れ、富山湾は 2014 年に「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟することが承認された。
・ 昨年の「全国豊かな海づくり大会」に続き、来年春にも天皇皇后両陛下のご来臨を仰ぎ「全国
植樹祭」が開催されるので、富山湾の環境保全の取組みや美しさを磨き上げ広く情報発信してい
きたいと考えている。
・ 最後に、今後とも富山県は、日本海沿岸の諸県はもとより、中国、韓国、ロシアなど北東アジ
ア地域と連携して、同地域の環境保全に積極的に努力してまいりたい。G7富山環境大臣会合で
海洋ごみ対策の前進が図られることを期待している。