ポンド、経済指標に関心薄い

株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
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週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
February 10, 2017
ポンド、当面は方向感鈍いか
◆英 CPI と雇用指標、BOE の政策変更の思惑につながることも
◆EU 離脱通告法案が下院で可決、上院を経て 3 月に法案成立か
◆加ドルは 13 日の米加首脳会談に注目
予想レンジ
ポンド円 138.00-146.00 円
加ドル円 84.00-89.00 円
2 月 13 日週の展望
ポンドは当面、方向感なく上下するか。来週は 1 月のインフレ関連指標や雇用データの発表が予定
されている。2016 年 12 月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.6%と 11 月を大きく上回り、2014 年 7
月以来の高水準となった。英 11 月 ILO 失業率(3 カ月)は 4.8%と、2005 年以来の低水準を維持した。
来週の指標結果が金融政策変更の思惑につながる可能性もあり、注目したい。イングランド銀行(BOE)
は四半期インフレ報告で、成長見通しを大きく引き上げたが、インフレ見通しはやや引き下げ、18 年
第 2 四半期に 2.75%でピークを迎えると予想した。金融政策委員会(MPC)の一部の委員はインフレ目
標のオーバーシュートを容認する限度に「やや近づいている」と考えを示した。フォーブス委員は今
週、足元の指標は経済が今後数カ月で急激に悪化する兆候を示しておらず、インフレ率は上振れの可
能性があると指摘し、経済が堅調を維持し指標の改善が続けば、利上げを近く示唆するとの考えを示
した。BOE は利上げを急がない姿勢を示しているが、内部では意見が分かれていることが伺える。
英政府の「欧州連合(EU)離脱通告法案」は 8 日に下院で可決された。2 月後半に法案は上院にまわさ
れ、3 月上旬に両院の協議を経て、国王の裁可により法案が成立する見込みだ。野党は閣僚が離脱交渉
について定期的に議会に報告することやスコットランドとウェールズ、北アイルランドとの協議を首
相に義務付ける修正案を提出したが、大差で否決された。
メイ英首相は年内に中国を訪問する予定。EU 離脱を控え、近年、経済関係を中心に接近を強めている
中国と一層の関係強化を図る狙いだ。メイ首相は 1 月 27 日に海外首脳として初めてトランプ米大統領
と会談するなど、EU 離脱後の自由貿易協定を結ぶために積極的に行動している。EU 首脳らは英政府が
自国の国益しか考えていないと非難している。仏大統領選挙をめぐる懸念が強まるなど、英国の EU 離
脱がユーロ圏諸国に波及する恐れもあるなか、英国の EU 離脱交渉は混乱を極めそうだ。
加ドルは下押し警戒感は緩んでいるものの、方向感に欠ける動きか。当面はカナダ中銀(BOC)による
政策変更は見込まれず、NY 原油先物も 50-55 ドルのレンジ相場が続いており、手がかりになりそうな
材料は乏しい。ただ、最近の経済指標は良好な結果が多く、加ドルの下値は堅いか。加 12 月貿易収支
は 9.2 加億ドルの黒字と、市場予想の黒字額を大きく上回り、11 月分も 5.3 億加ドルの黒字から 10.1
億加ドルの黒字に上方修正された。2 カ月連続の黒字は 2014 年以来となる。1 月住宅着工件数は 20.74
万件と市場予想を上回った。トルドー加首相は 13 日にトランプ大統領と会談を行う予定。
2 月 6 日週の回顧
フォーブス委員が早期利上げの可能性に言及したことが材料視され、ポンドドルは 1.25 ドル台で底
堅く、ポンド円は 138 円半ばから 141 円台に切り返した。加ドルは伸び悩む。先週のドル/加ドルは
昨年 9 月以来の 1.30 加ドル割れまで加ドル高が進んだものの、加ドル高に勢いはつかず、1.30-1.35
加ドルの直近レンジに戻した。加ドル円は 85 円台を中心にやや上値の重い動きとなった。(了)
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