哲学入門 1 ・・・ はじめに

リゲンザ神父
リゲンザ神父の
神父の哲学入門1
哲学入門1
皆さん、今月から哲学のコーナーを開講いたします。どうぞよろしくお願いします。
この講座の目的の1つは、聖トマス・アクィナスの神学について詳しく勉強するためと、
もう1つは、来年あたり、ドミニコ会の宮本久雄神父を郡山へお招きして講演会を開きた
いと考えており、その準備のためです。
トマス・アクィナス (Thomas
Thomas Aquinas
, 1225 年頃 - 1274 年 3 月 7 日)は中世の哲学者・神学者。
ドミニコ会員。大著『神学大全』で知られる盛期スコラ学の代表的神学者で
あり、トマスが大成したスコラ学は長きに渡ってカトリック教会の公式神学と
なった。カトリック教会と聖公会では聖人、カトリック教会の 33 人の教会博
士のうちの 1 人。
宮本 久雄 (みやもと ひさお、1945 年 2 月 23 日 - ) 哲学・聖書学者、東京大学名誉教授、 上智大学
神学部教授。
新潟県生まれ。1970 年東京大学文学部哲学科卒、1972 年同大学院修士課程修了、
カナダのオンタリオ州立哲学神学大学で学び 1980 年神学修士、1981 年仏立エルサレム 聖書学研究所
名誉学士、パリ第 4 大学、カトリック大学に学び、1982 年東京大学教養学部助教授。1991 年同大学院
総合文化研究科教授、2001 年「他者の原トポス 存在と他者をめぐるヘブライ・教父・中世の思索から」で
東京大学博士 (学術)、2007 年定年退官、名誉教授、上智大学神学部教授。
キリスト教の神学を理解するためには哲学の知識を必要とします。なぜなら、一般的に
ほとんどの神学はギリシャ哲学との結びつきが強く、これをもとに成長・発展したからで
す。
その昔、ある哲学者は考えました。
「人間はどんなもので、どのようにつくられたのだろうか?」
「人間の命に限りはあるのだろうか?」
「人間や、人間をとりまく世界(宇宙を含む)は完璧なのか?完璧ではないのか?」
こういった疑問を経験的に自然科学を修得してきた私たちは、あたりまえのこととして見
過ごしてしまいがちですが、哲学者たちは幼児のように疑問視し、深く思いをめぐらした
のです。
そして哲学はさらに深く追求され、
「人間の身体だけでなく、霊的な魂はあるのだろうか?」
と、いった内容に変化を遂げていきます。
この霊的という概念は重要です。なぜなら、他の動物とは違ってインテリジェンスがある
ということを認識していたことを意味するからです。
さて、古代の哲学者というと、プラトン、アリストテレス、プロティノスなどが代表的
ですが、この中でもトマス・アクィナスの考えはアリストテレスの影響を強く受けていま
す。2世紀頃からキリスト教の指導者たちは、キリスト教の布教にあたってしばしば信仰
の無い哲学者の考えを引用していました。また、トマス・アクィナスなど 13 世紀以降の神
学者たちも、当時の新しい哲学者の考えと無縁ではありませんでした。なぜならば、信仰
あるアウグスティヌスやトマス・アクィナスは、知識のみに頼るのではなく、知恵と信仰
を結びつけて答えをさがしたからです。その結果、彼らは神学に関してより強力な教授力
を持ち、完璧な世界と人間をつくった神は、聖書の中にあらわされている神であることを
私たちに教えてくれているのです。
さて、次回から本格的に学んでいくことになりますが、この講座ではポイントを信仰の
有無において哲学者たちを比較検討します。
古代哲学者のほかにも、トマス・アクィナス以前の信仰ある哲学者たち、アベラルドゥ
ス、アルベルスグレイト、ロジャー・ベイコン、エリウゲナ、アンセルムス、アウグステ
ィヌス、ドゥンス・スコトゥス、といった方々をご案内します。
では皆さん、楽しくお勉強しましょう!
※
人物の照会はウィキペディアを参考にしました。