「土曜アカデミー」開講 お知らせとお招き 人生の意義と世界の根拠を理解することは、久しい以前から人間の思惟が根本的な目標としてきたこと であり、同時に文化の発展の原動力でもあり続けている。キリスト教がおよそ 2000 年前に成立して以来、信 仰と理性は互いに問いかけながら世界・人間・超越的神秘の認識に迫ろうとして歩んできた。緊張をはらん だこの対話はキリスト教思想史において豊かな実りを結んだが、21 世紀で開かれた新しい世界的状況にお いてこそ、卓越した重要性を持つようになると思われる。その際、信仰と理性、キリスト教の思想史と現代的 な問題意識、古典的・現代的哲学と神学との諸側面を併せて理解することから、現代の困難な状況におい てキリスト教信仰を生きるための新しい道しるべが期待できるのではないだろうか。 この期待に基づいてキリスト教と人間の思惟が出会える場として、今回「土曜アカデミー」が設けられた。 本講座は、キリスト教―その思想的遺産と現代的理解―に関心があり、問題を歴史的かつ体系的に考える 意欲を持たれる方のどなたにも、信仰、宗派、宗教を問わず開かれている。 受講に思想史・神学・哲学に関する予備知識は前提とされないが、聖書・キリスト教に関する知識が基盤 となる。講座は無料であり、定期的な参加が望ましい。 2009 年度前半のプログラムに関しては、裏面を参照。 場所:岐部ホール 4F 404 (カトリック麹町聖イグナチオ教会敷地内、JR,東京メトロ四ツ谷駅から徒歩 2 分程度) 時間:土曜日午前 9 時 30 分から 12 時 30 分まで 9 時 30 分-10 時 30 分 1. 思想史コース(和訳に基づく原典研究含む) 10 時 40 分-12 時 2. 体系的コース 12 時-12 時 30 分 セミナー形式での意見交換 講師のプロフィール 1938 年 ドイツに生まれる 1958 年 イエズス会入会 1967 年 ミュンヘン大学卒業 哲学博士、同年来日 1971 年 司祭叙階 1989 年 神学博士 現在 上智大学名誉教授 元放送大学客員教授 講師と連絡先: K. リーゼンフーバー 〒102-8571 東京都千代田区紀尾井町 7‐1 上智大学内 S.J.ハウス 電話:03-3238-5124(直通),5111(伝言);FAX:03-3238-5056 http://www.jesuits.or.jp/~j_riesenhube/index.html 「土曜アカデミー」2009 年度夏学期プログラム 2009 年度のテーマ:「信仰と理性」 1. 思想史コース 夏学期: 古代・中世思想を中心にして 4/18 問題提起: 聖書における発端: 創造と救済史 4/25 2 世紀: 護教家: 信仰とギリシャ哲学の接点 5/9 3 世紀: 信仰と文化(クレメンス)/ 信仰の学問的体系(オリゲネス) 5/16 2-5 世紀: 創造論と三位一体論の哲学的理解の問題 5/23 400 年頃: 思惟を通しての信仰への道(アウグスティヌス) 5/30 400 年頃: 懐疑主義の克服と認識の基礎づけ(アウグスティヌス) 6/13 500 年頃: 理性の限界と超越(ディオニュシオス) 7/4 11 世紀: 理解を求める信仰(アンセルムス) 7/11 12 世紀: 論理か愛か(アベラルドゥス対ベルナルドゥス) 7/25 13 世紀: 神学の哲学的大全(トマス・アクィナス) 9/5 14 世紀: 神秘主義か経験主義か(エックハルト/オッカム) 9/19 15 世紀: 知ある無知(クザーヌス) *冬学期(10 月 3 日-2010 年 1 月 30 日): 近代・現代思想を中心にして 2. 体系的コース 夏学期: 哲学とその歴史を通して見た超越との関係 4/18 問題提起: 神認識の可能性と限界; 神話・哲学・信仰 4/25 世界の秩序(コスモス)と理性(ロゴス);(ヘラクレイトスからストアへ) 5/9 存在の諸段階と第一の善(プラトン) 5/16 自然世界を動かす根源: 完全現実態(アリストテレス) 5/23 無限への追求: 美と一者(プロティノス) 5/30 理性に輝く真理そのもの(アウグスティヌス) 6/13 顕わと隠蔽: 神認識における肯定と否定 7/4 理性の最高に可能な対象(アンセルムス) 7/11 神への道の諸段階(ボナヴェントゥラ) 7/25 存在自体である神の認識(トマス・アクィナス) 9/5 魂の根底における一なる存在への接触(エックハルト) 9/19 理性の反省と突破による神への開き(クザーヌス) *冬学期(10 月 3 日-2010 年 1 月 30 日): 神認識の近代・現代的アプローチ
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