ハンガリー、ポーランド - FASID 財団法人国際開発機構

開発援助動向レポート No.27
チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア(V4)の援助動向
2008 年5月8日
FASID 国際開発研究センター
JPO 土岐啓道
発展途上国への開発援助は先進国(OECD/DAC諸国)や国連、世界銀行、IMFなどの国際機関が中心となっ
て行われてきたが、近年援助を享受してきた国の中で経済が発展した事によりドナー側に転じ、新興ドナ
ー(Emerging Donor)と呼ばれる国が現れるようになった。特に冷戦終結後の 1990 年代に民主化、市場経済
化を果たした旧東欧諸国において先進諸国からの援助を受けて経済成長を遂げた国が見られ、中でも
V4(Visegrád Four) 1 (チェコ(V4 議長国)、ハンガリー、ポーランド、スロバキア)と呼ばれる国々は、近
年ODAを開始するようになった 2 。本レポートは、2008 年 2 月にV4 のODA政策担当官が日本の開発援助政策を
学ぶために訪日されFASIDにも視察に訪れた事を機に、V4 の援助動向を研究し、相互理解を深める事を目的
として作成した。V4 は夫々独自の国際援助システム、援助方針を持っているが、旧東欧の新興ドナーとし
て、そしてEU加盟国として、援助に対して共通の認識と目標を持っている部分もあり、まずは開発援助方
針における共通項について述べ、次に夫々の国の開発援助システム、援助活動、援助動向について述べて
いきたい。
1. V4 の開発援助方針における共通項
チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアは、ODA において夫々独自の国際援助システム、援助方
針を持っているが、旧東欧の新興ドナー国として、EU 加盟国として、援助に対して共通の認識と目標を持
っている点がある。まずはそれらの点について述べたい。
MDGsの達成
MDGs 3 の達成は国際援助社会において重要な目標でありV4 においても重要な指針となる。特に貧困削減
に重点を置き、市場経済化の促進、民主主義の促進、人権の尊重、環境問題への取り組み等を行っている。
EUの開発援助方針の遵守
V4 は 2004 年 5 月 1 日に揃ってEU加盟を果たしており、
それと共にEUの対外援助システムに組み込まれ、
援助方針としてEUの方針が非常に重要視されている 4 。EUの開発目標は、貧困の削減に最も重きを置き、さ
らに、平和構築、安全保障、民主主義の促進、法制度の整備、健全な統治の確立、人権の尊重といった分
野を重視している。またEU加盟により、各国はEU開発予算への拠出が求められるようになり(各国は多国
間協力の枠組みから割り当てている)、EUによって行われる援助活動と、V4 が行っている援助地域及び援助
分野を絞った援助活動は、相互補完する形でより効果的な活動が期待される。さらに各国はEUによって行
われる開発プロジェクトやビジネスプロジェクト自体への参加も出来るようになる。
1 V4 とは、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアからなる国家の集まりである。1991 年、チェコスロバキア(当時)
、ポーランド、
ハンガリーは、ヴィシェグラード(Visegrád, ハンガリー北部の都市)で域内協力推進のために創設された。当時は EU 加盟に向けた協力で
あったが、2004 年 EU 加盟後は EU 内における共通の立場の形成にも努力している。
2 今回 V4 を新興ドナーとしてあげたが、1980 年代までの東西冷戦時代においては、V4 のいくつかの国は東側陣営の援助国であった(例え
ばチェコスロバキアはミャンマーに有償資金協力を行っていた)。したがって V4 は純粋な意味での新興ドナーとは言えない部分もある。
3 MDGs の 8 つのゴールは、1)極度の貧困と飢餓の撲滅、2)普遍的初等教育の達成、3)ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上、4)乳幼児
死亡率の削減、5)妊産婦の健康の改善、6)HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、7)環境の持続可能性の確保、8)開発のための
グローバルパートナーシップの推進、である。
4 本レポートを作成する中で、V4 の援助方針は夫々の国の方針というよりEUの方針に沿って作成されているようにも感じられ、ここでは詳
しく触れないが、V4 の援助政策を考えるにはEUの援助政策を考察する事も重要なのではないかと感じられた。EUの援助方針については、右
URLを参照。http://ec.europa.eu/development/policiesgen_en.cfm
またEUはメンバー国のODA額がGNIに占める割合を、2010 年までに 0.17%、2015 年までに 0.33%に増
やすという目標 5 を設定しており、V4 はこれらの目標を達成しなければならない。各国の現状については詳
しくは後述するが、2005 年時点でのV4 のGNIに占めるODAの割合は、チェコは 0.114%、ハンガリーは 0.1%、
ポーランドは 0.07%、スロバキアは 0.12%である。
パリ宣言 6 の支持
2005 年 3 月にパリにおいて主要ドナーによる会合が開催され、MDGs の達成に向けて開発援助活動を評
価するに際し、資金面での重要性に加え援助の効率性を高めていく事の重要性が確認された。その中で援
助の効率性を上げるために、発展途上国の必要性に応じた開発援助を行い、ドナー間の調整を促進し相補
性を高め、開発援助活動の成果を評価し、援助活動の結果の説明を行う、といった点が重要な要素として
あげられた。そのためには、援助国の状況、必要性、戦略に応じたテイラーメイドの援助を行い、援助国
のオーナーシップを尊重した活動を行う事が必要であると考えられている。
外交手段としての重要な役割
V4 において国際開発援助活動は、海外での自国の存在感を高める事により国家の政治的・外交的目標
の推進、達成を助け、さらに発展途上国との関係も深めていくといった具合に、直接的な外交政策のツー
ルとしての意味合いが強い。また対外援助は、武力紛争やテロの防止、環境の保護、市場経済の活性化な
ど、様々な領域に影響力を持っていると考えられており、自国の国益を守るという意味合いでも重要視さ
れている。
援助分野、援助地域の限定の必要性
対外援助を実施する上で限られた資金を有効に活用するため、V4 は活動地域・分野を絞り、明確なタ
ーゲットを設けている。以下において夫々の国の援助方針について述べていくが、その中でも共通点とし
て、旧東欧諸国として、社会主義国から民主主義国に移行した経験を生かし、現在移行段階にある国々に
対して民主化・市場経済化の促進のための援助を行っているという事が言える。
2. V4 夫々の国の援助動向
V4 の開発援助に対する共通項について述べてきたが、ここではさらに夫々の国の開発援助活動の詳細
について、夫々の国の援助システム、援助地域・援助分野、最近の援助動向について述べていきたい。
2.1 チェコ共和国
1989 年にチェコスロバキアの共産党体制は崩壊し、1993 年 1 月にチェコ共和国はスロバキアと平和裏
に分離して誕生した。チェコ共和国は 1995 年 12 月に、社会主義国家からの移行経済国として初めて OECD
加盟を実現し、1999 年 3 月に NATO に、2004 年 5 月に EU に加盟した。このような発展を背景に被援助国か
らドナー国へと転進し、新興ドナーとして ODA 活動を行っている。その活動は、MDGs に重点を置き、貧困
削減、民主主義の促進、健全な統治の確立、紛争後の復興支援、環境対策といった分野に力を入れている。
ODA は外交方針の一環として捉えられており、対外援助によって国際的な地位を高め、政治的、外交的側面
において貢献し、自国の安全保障、移民対策、犯罪抑制、テロ対策にも繋がることが期待されている。
5 参考までに、DAC 諸国の ODA が GNI に占める割合について、カナダは 0.28%、ドイツは 0.37%、スウェーデンは 0.93%であり、日本は 0.17%、
アメリカは 0.16%である (OECD/DAC, 2007)。
6 パリ宣言においては、オーナーシップ、連携、調整、成果の管理、相互説明責任、の 5 つの指標が設けられた。1)オーナーシップは被援
助国が開発政策において主導権を持つ事、2)連携は、援助国は被援助国の開発戦略に基づいた援助活動を行う事、3)調整は、援助国が各種
手続きを簡素化し、援助実施機関が散在している中で調整を促進する事、4)成果の管理は、目標の達成に向けた援助活動を行い、活動結果
の評価を行う事、5)相互説明責任は、援助活動の結果について、援助国、被援助国は相互に説明を行い、援助活動の透明性をあげる事、で
ある。パリ宣言の全文は、http://www.oecd.org/document/18/0,2340,en_2649_3236398_35401554_1_1_1_1,00.html にて入手可能である。
援助機関・援助形態
ODAを実行する援助機関としては、政府機関、NGO、民間企業、研究機関がある。政府機関としては外
務省が、省内のDepartment of Development Cooperation and Humanitarian Aidにおいて開発援助の概念
的、戦略的な策定を行っており、援助国や国際機関との調整も行っている。また外務省の開発援助活動の
顧問機関であるThe Development Centreは、開発プロジェクトの作成や活動後の評価、さらに専門家の養
成や開発の周知活動も行っている。NGOは、ODAにおいて資金面でその総額の 25%、プロジェクト数の面では
36%を占めており、援助団体として大きな役割を担っている。その活動内容は、エイズ対策・社会安定・末
期医療など、多岐にわたる。民間企業はNGOと同じく大きな役割を担っており、ODA額の 53%、プロジェクト
数では 37%を占めている。活動内容は主に環境保護や、産業発展・交通網整備だが、この範疇におさまらず
幅広い分野に取り組んでいる。研究機関は、経済や農業などの分野の大学が国際開発について学ぶ場を提
供しており、また小学校や中学校においても国連やNGOと協力しながら国際開発について学ぶカリキュラム
が作成されている。これらの活動の他にも、政府やNGOは、ODA活動をチェコの人々に周知するための活動
(ウェッブサイトの作成等)も積極的に行っている 7 。
援助形態としては、二国間協力、三国間協力 8 、多国間協力を行っている。二国間協力においては、技
術協力(教育・農業・公衆衛生・環境保護等)、奨学金、人道支援 (災害・紛争)、難民支援、民主化支援
(民主主義の促進及び人権尊重、法制度の整備、市民社会の発展、健全な統治の確立)、債務免除、等を行
っている。特に奨学金については、援助・技術移転の有効なスキームと位置づけて重要視されており、チ
ェコの援助政策の特徴と言える。三国間協力としては、CIDA(Canadian International Development Agency)
や途上国のNGOと協力したプロジェクトの推進を行っている。多国間協力においては、EUや国連、世界銀行
を通した国際協力活動を展開している。
援助地域・援助分野
チェコ政府は前述の通り、その限られた資金を有効に活用するため、活動地域、活同分野を絞ってODA
を行っている。優先地域の選定の基準は、1)社会的、経済的発展状況を鑑み、対外援助の緊急性があるか、
2)政治的、外交的関係があるか、3)健全な統治(民主主義、法の支配、社会基盤等)が確立されているか、
をあげている。その中でチェコ政府は優先国として、アンゴラ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・
モンテネグロ 9 、ベトナム、モルドバ、モンゴル、イエメン、ザンビアの 8 カ国を指定し、さらに中期的な
優先国としてアフガニスタンとイラクをあげている。これらの国々においては、旧社会主義国家である、
紛争経験国である、地域(ヨーロッパ)の安定に不可欠である、といった要素のうちの幾つかが含まれて
おり、その中で、旧社会主義国家においては、チェコが社会主義から民主化した経験を生かして市場経済
化を進め、紛争経験国に対しては紛争後の復興活動として社会基盤整備、教育支援を行い、地域(ヨーロ
ッパ)の安定のためにはヨーロッパ社会への融合を目指した活動として、民主化、市場経済化や、EUへの
加盟支援を行っている。さらに産業発展、経済発展を進める中で、環境保護活動にも重点をおいている 10 。
近年の動向
チェコの 2005 年のODA額は、2004 年と比し 16%の伸びを見せ、GNIの 0.11%を占めるにいたった(図
1 参照)。この増額は、主に多国間協力の増額(そのほとんどがEUへのもの)によるところが大きい。特に
7 チェコ共和国のODAに関する情報は外務省のHP内のwww.mfa.cz/aidにて入手可能。これらの周知活動の結果、世論調査によると、約 6 割の
人々がチェコ政府のODA活動についてその存在を知っていると答えている。また、本レポートも、外務省HP及び同HP内にて入手可能な、
“DEVELOPMENT CO-OPERATION OF THE CZECH REPUBLIC IN 2005”(Ministry of Foreign Affairs of the Czech Republic, 2005)を基に作成
している。
8 三国間協力とは、他ドナーと協力して行う援助活動である。
9
2006年6月にセルビアとモンテネグロは分離独立している。
10 各国における援助活動の詳細な情報については、http://www.rozvojovestredisko.cz/priority_en.phpにて入手可能。
2003 年以降多国間協力の資金は大幅に伸び(図 2 参照)、その総額は二国間協力とほぼ同額となっており、
EUの重要性が伺える。援助活動地域に関しては、前述の通り二国間協力はバルカン地域や南アジア、中東
に絞られており、活動分野も主に健全な統治の確立、紛争後の復興、教育、および環境保全に絞られてい
る。特に環境保全は、2005 年の二国間協力の技術協力において、プロジェクト数でも資金面でも 30%近く
を占めており、その重要性が伺える 11 。また、特筆すべきは、前述したが、民間企業及びNGOの役割の大き
さである。資金面では民間企業が 53%、NGOが 25%を占め、プロジェクト数でも民間企業が 37%、NGOが
36%を占め、民間企業及びNGOにて資金面でもプロジェクト数でも約 4 分の 3 を占めている(図 3 参照)。
その他の最近の動向としては、外務省の援助実施機関に関して、2007 年末に The Development Centre
が廃止され、the Czech Development Agency (CDA)が新たに設立された。その活動内容は基本的には The
Development Centre の業務を引き継いでおり、より効率的な開発援助の実施が期待されている。
図1 チェコのODA額の推移
million USD
図2 チェコの多国間協力の推移
160.00
million USD
70.00
二国間協力
多国間協力
総額
140.00
120.00
国連
60.00
EC
50.00
世界銀行
100.00
40.00
80.00
30.00
60.00
20.00
40.00
10.00
20.00
0.00
1999
0.00
GNI占有率
1999
2000
0.027%
0.032% 0.047%
2001
図3
2002
2003
0.065% 0.101%
2004
2005
2001
2003
年
チェコのセクター別のプロジェクト数および ODA 額の割合
チェコのセクター別ODA額の割合
10%
8%
NGO
37%
14%
NGO
民間企業
53%
政府機関
36%
2002
0.106% 0.114%
チェコのセクター別プロジェクト数の割合
17%
2000
研究機関
民間企業
政府機関
25%
Ministry of Foreign Affairs of the Czech Republic, (2005)
11 詳細は、Ministry of Foreign Affairs of the Czech Republic (2005), p22-23 参照
研究機関
2004
2005 年
2.2 ハンガリー共和国
ハンガリーは 1989 年の体制転換以降、積極的に市場の開放を進め、1996 年には OECD に加盟し、1999
年には北大西洋条約機構(NATO)、2004 年 5 月には EU 加盟を果たした。開発援助は外交方針の一環として
考えられており、ODA を通じたヨーロッパ地域の安定が重要視されている。そのために、ハンガリーにとっ
て外交、安全保障、及び通商の面で重要な国において、民主主義を広め、社会的経済的発展を進め、健全
な統治を確立し、さらに環境保護にも取組む事が援助方針として掲げられている。
援助機関・援助形態
援助機関としては、2002 年に外務省に The Department for International Development Cooperation
of Ministry of Foreign Affairs が創設され、国際開発援助の政策立案及び実行を行っている。その中で
International Development Co-operation (IDC) Interdepartmental Committee が活動地域、活動分野の
策定を行い、さらに国際開発活動と、外交、安全保障、及び通商の側面を調整する役割を担っている。ま
た、Civil Advisory Board (CAB) of the Hungarian International Development Cooperation は、ハンガ
リー社会において、交際開発協力活動について周知してもらうための活動を行っており、政府の国際開発
協力活動と、民間企業、ボランティア団体、及び世論をつなぎ、さらには市民社会や、専門機関が援助活
動に参加することを促進している。これにより国際開発協力活動の透明性があがり、援助活動への高い支
持を得られるようになっている。
援助の手法としては、技術協力、開発事業、人道援助、借款援助等がある。技術協力においては、EU
の“知識の移転”の方針の下に、技術者や教育者の間で情報交換を行い、ハンガリーが培ってきた教育・
技術・移行国家としての経験を伝えている。開発事業は、個々に援助を行っていくより開発戦略を策定し
てそれに基づいて計画的に開発を行っていく方がより効率的であるという考えの下に運営が行われている
が、ハンガリーは現段階では計画・運営能力を十分有しておらず、これから三国間協力において他ドナー
と協働した援助活動を行う等して培っていくという方針がとられている。人道援助は、天災及び人災に際
して必要な援助を行うもので、どれほど迅速な対応が出来るかが求められる。借款援助については、実施
に向けた対応が遅れており、まだ行われていない。
援助地域・援助分野
限られた資源を有効に使って支援を行うため、援助地域をハンガリーの国益と安定に密接な関わりを
持つ地域(西バルカン地域等)を中心に、ハンガリーがかつて経験した社会主義国家から民主主義国家への
転換の経験及び、近年まで援助を受けていた経験を活かした活動を行っている。
援助地域としては、戦略的援助国として、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ベ
トナムをあげ、その他にマケドニア、モルドバ、中国、モンゴル、キルギス、ウクライナ、パレスチナ自
治区に対しても援助を行っている。
援助分野としては、1)過去のハンガリーの政治的、経済的変化の経験を共有し、民主化、市場経済化、
民営化、健全な統治の確立を行う、2)教育制度の開発や通信教育の整備といった教育分野での充実、3)専
門家、技術者のトレーニングといった、職業訓練、4)総合病院の運営や疾病対策等、保健医療の整備、5)
農業分野での技術開発、技術移転、6)貯水池やダム建設等の水管理、水資源の開発、排水設備の整備、7)
社会基盤整備、8)交通機関の整備、9)環境保護のための技術的支援、10)自然災害や人災への人道救助、
などがあげられている。
近年の動向
2004 年のODA総額は 135 億HUF 12(7000 万ドル、GNI比で 0.07%)であり、2005 年には主にEUへの資金供
12 HUF(フォリント)はハンガリーの通貨単位。2005 年においては$1=200HUF。
与等によって、ODA総額は 218 億 7300 万HUF(1 億ドル、GNI比で 0.1%)に増額された。2010 年までにODA
額をGNI比で 0.17%に増額する中で、多国間協力偏重の現状を見直し、その効果の高さからも二国間協力を
推進し 13 、さらにNGOとの連携を深めていく事が方針として掲げられている。
2.3 ポーランド共和国
ポーランドは 1989 年の民主化以降、市場経済化を進め、1996 年に OECD に加盟、1999 年には NATO、2004
年には EU への加盟を果たした。このような民主化、市場経済化の経験を活かし、貧困削減、民主主義の促
進、市民社会および健全な統治の確立といった分野に重点をおき、ヨーロッパの安定、及び EU 拡大に貢献
できるような援助を行っている。さらには NATO の一員として、平和構築及び安全保障のため、NATO の活動
地域においても援助を行っている。
援助機関・援助形態
ポーランド政府の外務省においては 2005 年にDevelopment Co-operation Departmentが設立され、国
際機関(EU、国連等) や政府機関、地方自治体団体、NGOと協力しながら援助活動の計画立案及び実施を行
っている。その中で、国際機関を通じて援助を行う多国間協力や、二国間協力、他の援助国と協働して開
発援助活動を行う三国間協力 14 を行っており、さらに人道援助、食糧援助や、途上国からの留学生への奨学
金支給、ポーランド人の国際援助活動への理解と支援を促進するための写真展の実施やメディアを活用し
た宣伝活動 15 、国際開発の専門家の育成のための開発教育も行っている。その他、財務省においては資金面
の援助や、国際機関との資金のやり取りを行っており、文部科学省(Ministry of Science and Higher
Education)においては奨学金や資格の授与を行っている(ポーランドの援助構造については、
図 4 を参照)。
援助地域・援助分野
ポーランドにおいてもその限られた援助を効率的に活用するため、活動分野、地域に優先性を設けて
いる。まず活動分野については、基本的にはポーランドが過去に経験した社会主義国家から民主主義国家
への体制変革の経験をいかすという戦略があり、経済改革(民営化、農業、中小企業、財政)、EU参画への
調整、民主主義の促進、健全な統治の確立、教育、保健衛生、安全な飲用水へのアクセスの確保等がある。
優先地域としては、2008 年にはウクライナ、ベラルーシ、グルジア、モルドバ、パレスチナ自治区、アン
ゴラ、タンザニア、アフガニスタンを掲げており、中央アジア、南コーカサス、西バルカン諸国、サハラ
以南の国を中心に援助を行っている。ウクライナ、ベラルーシ、グルジア 16 、モルドバは、中央・東ヨーロ
ッパの安定とEUの拡大のパートナー国として重要視されており、そのために民主化及び市場経済化が求め
られており、ポーランドの移行国家としての経験を生かし、政治体制、法制度、財政システムの改革及び
民主化促進、市場経済化のための活動を行っている。パレスチナ自治区においては歴史的に良好な関係を
続けており援助を行っている。その中で特に安全な水の確保が出来ておらず、病院や学校においてその活
動に支障をきたしており、動乱の中で事態の改善に必要不可欠な保健衛生、教育といった分野において悪
13 ハンガリー政府においては、多国間協力と二国間協力の資金面での望ましい比率は、60:40 と考えている。
14 ポーランドの三国間援助としては、カナダの国際開発局(CIDA Canadian International Development Agency)と共に行っている PCDC(the
Polish-Canadian Development Cooperation)等があげられる。
こういった活動の結果、2006 年には 75%のポーランド人が発展途上国への援助活動を支持しており、55%のポーランド人は一月当たり
3PLN(PLN(ズウォティ)は、ポーランドの通貨単位。2005 年においては、$1=3.24PLN。よって 3PLNは約 120 円となる。ただし、国際協力銀行
(2007)によると、ポーランドの一人当たりのGNIは日本の 5 分の 1 である)分の税金を開発援助に当てることに賛同している。また、本レポ
ー ト も 、 外 務省 内 の 国 際 開発 援 助 活 動 のペ ー ジ 、 polish aid (http://www.polishaid.gov.pl/Main,page,160.html ) に て 入 手 可 能な
“Development Co-operation Poland Annual Report 2006”(Ministry of Foreign Affairs of the Republic of Poland Development
Co-operation Department, 2006)を基に作成されている。
16
ポーランドにとって、グルジアへの支援は、地域の安定と安全保障のため、特にアゼルバイジャンのカスピ海石油、ガスパイプライン稼
動といった観点からの、地域のエネルギーの安定供給のためにも、重要である。
15
影響が出ているため、重点的に支援を行っている。アンゴラはその高い貧困率のために多くの国から援助
を受けており、ポーランドも援助を行っている。援助分野は人材育成と地方自治の支援、農業、保健衛生、
紛争後の復興である。タンザニアにおいてはEUのアフリカへの援助を積極化していくという方針の下、援
助を行っている。タンザニアにおいては生活水準は改善されつつあるものの保健衛生分野、教育分野での
発展は充分でなく、また安全な水の確保も出来ていないため、それらの分野において重点的に援助を行っ
ている。アフガニスタンにおいては長らく混乱状態が続いており、国際社会の援助が不可欠な状態が続い
ている中で、ポーランドは復興援助、特に健全な統治の確立に力を入れている。また、麻薬の密売が横行
している同地域においてはその取締りを強化するためにも、健全な中央政府の樹立が必要不可欠である 17 。
近年の動向
2006 年のポーランドの ODA の総額は 9 億 2220 万 PLN(2 億 9720 万ドル)となり、GDP の 0.09%に達し
た。2004 年には 5 億 100 万 PLN(1 億 3700 万ドル、GDP の 0.05%)、2005 年には 6 億 6310 万 PLN(2 億 500
万ドル、GDP の 0.07%)と着実に伸びており、特に 2005 年から 2006 年にかけては 40%の伸びを示してい
る。その内訳は、多国間協力に 5 億 5170 万 PLN、二国間協力に 3 億 7040 万 PLN であり、二国間協力が 40%、
多国間協力が 60%を占めている。二国間協力は多国間協力に比べ少なく感じられるが、2005 年の段階では
1 億 5580 万 PLN であったため、2006 年と比べ 2 倍以上の伸びを示しており、これから援助額を増やし、GDP
比 0.17%という目標を目指していく中で、二国間協力を重視している事が伺える(表 1 参照)。また多国間
協力については、そのほとんど(5 億 330 万 PLN)が EU に振り分けられており、EU の重要性が伺える。そ
の他、国連(2380 万 PLN)や世界銀行(2070 万 PLN)にも振り分けられている(図 5 参照)。
図4
ポーランドの援助構造
ポーランド
ODA
NGO、地方行政機関、他
財務省
EU
国連
世界銀行
二国間協力
他政府機関
多国間協力
文部科学省
二国間協力
ポーランド援助国
表1
図5
ポーランドの ODA 額の推移
2004
ODA 総額
millionPLN(million USD)
二国間協力 million PLN
多国間協力 million PLN
ODA/GDP 率 (%)
501(137)
0.05
2005
2006
663.1(205)
922.2(297)
155.8
507.3
0.07
370.5
551.7
0.09
ポーランドの多国間協力
1%
4% 4%
EU
国連
世界銀行
その他
91%
Ministry of Foreign Affairs of the Republic of
Poland Development Co-operation Department (2006)
17 各国における援助のより詳細な情報は、 “Development Co-operation Poland Annual Report 2006”(Ministry of Foreign Affairs of
the Republic of Poland Development Co-operation Department, 2006)の p41-p68 に記載されている。
2.4 スロバキア共和国
スロバキア共和国は、1993 年にチェコとの連邦を解消して誕生した。2000 年に OECD に、2004 年に EU
に加盟。国際援助は 2007 年より本格的に開始しており、その位置づけとしては、スロバキアの海外での存
在感を高め、さらには発展途上国との関係を深めるといった具合に、直接的な外交政策のツールとしての
意味合いが強い。
援助機関、援助形態
スロバキア政府は2007年に国際開発援助機関としてSlovak Aidを設立し、外務省の管轄の下、ODA運営
を行っている。Slovak Aidの設立により、他の省庁や、NGO、民間企業、学術機関、他の国家との協力が可
能となり、Slovak Aidはこのような様々なセクター間の援助方針をまとめていきながら開発を行っていく
事が求められている。まず、他の省庁との連携は、効率的な援助を行うために必要不可欠であり、さらに
2010年までにGDPに占めるODA予算の割合を0.17%にするという目標を達成するためにも重要である(資金面
では特に財務省との連携が重要である)。NGO、民間企業、学術機関といった機関との連携については、NGO
を担当するthe Platform of Non-governmental Development Organization (NGDO) 18 と、民間企業を担当す
るthe Slovak Chamber of Commerce and Industry (SCCI)、及び学術機関を担当するSlovak Academy of
Sciences(SAS)という機関によって行われている。さらに、Slovak Aidは、EU、UNDP、OECDといった国際機
関をはじめ、ADA(Austrian Development Agency)、CIDA(Canadian International Development Agency)、
OSCE(Organization for Security and Co-operation in Europe)といった各国援助機関とも協力しながら
開発を行っている。
援助地域、援助分野
Slovak Aidは、その限られた資金でより効率的な援助を行うため、対象地域と活動分野を絞って援助
を行っている。対象地域についてはProgramme countryとProject countryの2つの優先的援助国を設定して
援助を行っている 19 。現在、Programme countryとしては、セルビアとモンテネグロが指定されている。分
野としては、社会基盤の整備、復興といった分野に力を入れており、その他にも地震対策、コソボ難民の
社会復帰支援、エネルギー開発に力を入れている。2007年は市民社会支援、社会基盤の開発と復興、国際
社会への参画に力を入れている。Project countryとしては、西バルカン諸国としてボスニア・ヘルツェゴ
ビナ、EU近隣国としてウクライナ、ベラルーシ、アジア地域としてアフガニスタン、カザフスタン、そし
てアフリカではケニアが挙げられている。その他にも、アルバニア、マケドニア、キルギス、タジキスタ
ン、ウズベキスタン、モンゴル、スーダン、モザンビークに対しても援助が行われている。ボスニア・ヘ
ルツェゴビナは、元ユーゴスラビア連邦国(社会主義国家)であり、EUへの加盟を目指しているというス
ロバキアと共通の過去を持っているという点から、移行国家および分離独立の経験を活かし、社会基盤の
整備に力を入れながら支援を行っている。ウクライナ及びベラルーシへの援助は、スロバキアにとって、
政治情勢の安定、経済環境の正常化、経済発展の面で重要であり、近年は特にEU及びNATOの援助計画に沿
って活動を行っている。アフガニスタンへの支援は、地域の安定を確保するためにも、破壊された経済の
復興、民主主義の支援、人権保護が優先課題といえ、社会基盤整備、教育、市民社会支援に焦点を当てた
活動を行っており、EU及びNATOにとっても重要な課題である。アフリカへの支援は、近年EU及びUNが積極
的に支援を行う事を求めており、スロバキアもケニアを始め、スーダン、モザンビークにて行っている。
特にケニアは政情も比較的安定し、社会基盤が開発された環境であるため、積極的な活動が行われている 20 。
18 The NGDO Platform は現在 26 のメンバーを擁し NGO の必要とする情報を提供する事が主な役割となっているが、さらに The NGDO Platform
自身も国際開発活動に参加している。
19 Programme country は Project country に比べ、国家戦略として優先性があり、資金も多く割り当てられる。
20 各国における活動の詳細な情報については、“National Programme of The Official Development Assistance for 2007” (Ministry of
Foreign Affairs of the Slovak Republic, 2007)p15(46)-20(51)参照。本レポートもこれを基に作成されている。
また、上記の海外での活動の他に、国内における国際開発、開発に携わる人材の育成、開発に対する
理解の促進のために、開発教育の促進に力を入れており、大学に開発専門の学科を設けるなどしている。
近年の動向
2003年のODA額は5億5300万SKK 21 で、GDPに占める割合は0.048%、2004年は9億1000万SKKでGDP占有率は
0.072%であったが、2005年には17億3950万SKKでGDP占有率は0.12%と大幅に増えている。これはスーダン
への12億SKK、アフガニスタンへの9000億SKKの債務免除及び、EUへの7億SKKの資金供与によるところが大
きく 22 、その反動か2006年には2005年を下回り、16億3800万SKKで、GDP占有率も0.103%に低下している(表
2)。これらの資金面の援助の反面、二国間協力の額は2003年から2006年の間、1億6000万SKKのまま変化し
ておらず、2010年のODAのGDP占有率を0.17%に上げるという目標を達成するためにも、スロバキアのノウハ
ウをいかした、スロバキアの支援がより目に見えやすい、二国間協力の増額が重要視されている。
表2
スロバキアの ODA 額の推移
ODA 総額 (SKK million)
ODA/GDP(%)
2002
257.600
0,024
2003
553.500
0,048
2004
910.500
0,072
2005
1,739.551
0,120
2006
1,638.118
0,103
2010
3,200.000
0,17
2015
7,800.000
0,33
Ministry of Foreign Affairs of
the Slovak Republic (2007)
目標
3. 所感
以上の通り V4 の援助活動について考察してきたが、その中で近年日本が直面している課題において V4
が新興ドナーとして積極的な取り組みをしていると感じられる点が幾つかあった。最後にそれらの点をあ
げていき、日本の援助活動の効率化へ向けた V4 との協力の可能性について考察したい。
まずアクター間の協力である。開発援助の分野が多様化してきている現在、様々なアクター間での協
力が重要視されてきている。その中で、チェコにおける NGO や民間企業の果たす役割の大きさ、スロバキ
アにおけるアクター毎(NGO、民間企業、研究機関)での援助活動の調整を行う機関の設置、ハンガリーに
ける CAB による政府と民間企業、ボランティア団体をつなぐ活動等から、V4 諸国では政府側の援助体制に
限界がある中で民間企業や NGO といった政府機関以外の主体が大きな役割を果たしている様子が伺える。
現在日本においても民間企業との連携が重要視されている現状をかんがみれば、今後、V4 の民間企業や NGO
が実績を持っている地域において、日本も V4 の民間部門と連携して活動を行い(草の根・人間の安全保障
無償資金協力の枠組み等において)
、V4 と日本がお互いの援助体制・規模の相違を相互補完しながら連携が
期待できると思われる。また、V4 が FASID を訪れた際に実施されたワークショップにおけるディスカッシ
ョンの場でも各国が強い関心を示した点であるため、アクター間の協調は V4 及び日本双方から重要視され
ており、今後その推進に向けお互いに協力を深めていくべき分野であると言える。
またそれと関連し、援助実施機関が政府内で散在している中で、各機関の間の調整を行うための、制
度面、体制面での改善の取組みもあげられる。パリ宣言にもあるように、援助の効率化を考える上では様々
な機関がお互いに調整しながら援助を行う事が重要であり、日本においても今年 10 月に JICA、JBIC の統
21 SKK(コルナ)はスロバキアの通貨単位。2005 年においては$1=31SKK。
22 2007 年には EU への資金供与は 7 億 5700 万 SKK を超えると見られている。
合を控えており、援助制度改善への取組が重要な課題となっている。その中でハンガリーにおいては IDC
Interdepartmental Committee が外交面、安全保障面、通商面の調整を行っており、スロバキアにおいても、
ODA 額が GNI に占める割合を 2010 年までに 0.17%にまで引き上げるという目標達成のために、Slovak Aid
による外務省と財務省との連携の促進が行われており、制度面での取組みについてもお互いに学んでいけ
る分野と言える。
次に、国民への周知活動、理解を得る活動についてである。夫々の国が近年 ODA を始めたばかりであ
るが、積極的に情報を公開し、国民の理解を得る努力をしている点は興味深い。ポーランドにおいては写
真展を行ったりメディアを活用するなど宣伝活動(情報はただそこに存在するだけでは十分でなく、アク
セスを促す事が重要であり、そのためにもインターネット等、マルチメディアの活用だけでなく、マスメ
ディアとの連携も重要となってくるのではないかと思われる)を積極的に行う事により、国民の理解と支
持を得る事に成功し、ハンガリーにおいても CAB が国際開発協力活動について周知してもらうための活動
を行う事により、国際開発協力活動の透明性があがり、援助活動への高い支持を得られており、これらの
活動から日本が学ぶべき点も多々あると言える。また、ポーランドが日本の援助活動に対して関心を持っ
ている事の中に国民への ODA 広報活動があげられており、より効率的な広報活動に向け、お互いに学んで
いける分野であると言える。
最後に V4 の全ての国が取組んでいる分野であるが、紛争経験国への復興援助への取り組み及び、社会
主義国から民主主義国への体制変換の支援である。旧東欧諸国においては冷戦終結後、西バルカン諸国(ア
ルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、マケドニア、セルビア、モンテネグロ)が紛争(ユ
ーゴスラビア紛争)及び社会主義体制から自由・民主主義体制への体制転換を経験し、V4 にとってそれら
の国の復興支援・民主化は遠い国の話ではなく、自国の安定とも密接に関わってくる重要な問題であり、
重点的に活動を行っている。そのような紛争地域における V4 の体制変換支援・復興援助の経験は、同じく
これから平和構築に積極的に取組もうとしている日本が学ぶべき点も多いはずである。また、V4 諸国は 90
年代の体制転換を実現させた専門家・実務家(NGO 等)を多く擁する一方、日本は社会主義体制から自由・
民主主義体制への転換の専門家が乏しい現状をかんがみれば、今後、社会主義体制からの体制転換が課題
となっている被援助国を対象に、V4 との連携を深めていくことも効果的な援助の形態のひとつとして検討
すべきであろう(ハンガリーは三国間援助を通じて、援助を長年行っている国から ODA について学ぼうと
しているので、三国間援助等の形式を通じた連携を進め、より効率的な復興支援・民主化の手法を模索し
ていく事も一つの方法であろう)。
このように、V4 は近年 ODA を開始したばかりでそのスキルについては先進諸国と比べれば未発達な部
分もあるが、新興ドナーとして日本が近年直面している新しい問題に積極的に取り組んでいる側面もある。
今後お互いの援助活動の重点地域に重なりがあれば(例えば近年 V4 は EU の方針に沿ってアフリカでの援
助活動を強化しつつあり、日本もアフリカでの活動を活性化させようとしている)協力して活動を行い、
お互いに学びあい、その能力を補完しあいながら、より効率的な援助活動を進めて行けるのではないだろ
うか。
参考:ヨーロッパ拡大図
http://www.freemap.jp/
参考文献
チェコ;
Ministry of Foreign Affairs of the Czech Republic
http://www.mzv.cz/wwwo/mzv/default.asp?ido=7592&idj=2&amb=1&ikony=True&trid=3&prsl=False&pocc1
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IN 2005”, Available at;
http://www.rozvojovestredisko.cz/files/oecd_glancestat_2005.pdf
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