1 メンテナンスを重要視している俺は、ユーザーの方々と話をする機会がとても多い。 その話題の中でよく上がるのが「温度の厳しさと、対策について」だ。 こういう話になると決まって・・・ 「どこそこの○○○ってパーツは、実際はどうですかぁ?ネットでは・・」と質問される。 こういう事を俺に聞きたくなるのはよく分かるが 「社外パーツは個々の車の状態によって装着後の違いが大きい」ことをまず知ってもらいたい。 それに、そんなことを全く分かっていない責任のないネット上での評論 などに左右されるのはどうかと思う。 ・・・でも、これはプロの意見であって、素人であるユーザーとしては、 何を基準に判断すれば良いのか分からないのも事実だ! そこで今回は、正しい目を養ってもらいたいと思う。 それには、まず「基本的な構造や役割」を知ることだ。 正しい目を養えれば 「社外パーツの選択」や「ショップ等に行った際のスタッフの説明」が 良いのか悪いのかが判断できるというものだ。 技術系は、「その作業に適した工具や場所に技術力が必要」なので 自分で行うのは難しいが、基礎知識があれば す~ごく良いことばかり書かれたパーツの説明や、 本当は車の基礎理論なんか全然知らない店のスタッフの言うなりになって その結果、“お金を払って愛車を壊す”ようなことから回避できるはずだ。 本当は、日本全国にいる様々なトラブルを抱えたロータリー車を ロータリーDrの俺が診たいと思うが・・・、 現実的に無理なので「少しでもロータリーユーザーの方々の役にたてれば・・・」 という気持ちを込めて、まずは、この「ラヂエター白書」を送りたい。 2 RX-7のFD3SとRX-8のラヂエターは、知っている方も多いと思うが、 ラヂエターが前に倒れているように着いている。 ・・・と言っても、知っているようでも、分かりずらいので、 マツダが発行しているRX-7のFD3Sの部品帳に掲載されている、レイアウト図を見て欲しい。 どうだろうか?ラヂエターが結構前に倒れている! しかも、上の図では分かりにくいが、ラヂエターがエンジン位置よりも かなり、下についているのである。 このエンジンとラヂエターの位置関係って、エンジンの冷却において 実は、かなり問題なんです! 普通、水は上から下に落ちます。 そう考えると、エンジンがラヂエターより上に着いていた方が有利に思えます。 だって・・・ エンジンの熱を吸収した冷却水が排出されて、受け止めるラヂエターが エンジンより下にあった方が、よりスムーズに流れ出て受け止められそうだから。 でも、これは「大気の中で流れる水」の話! 「川や瀧」なんかだったら、大気中で流れているから上から下だとよりスムーズな訳だが・・・、 車の水は、この大気の中で流れている訳ではないのだ! 3 当たり前だが、どこかから冷却水が流れ出てくるわけではないのだ。 限られた水量を循環システムによって、 エンジンの熱を吸収したり放熱させて使うから、ほぼ密閉状態の中で 冷却水は動いているのだ。 この大気中で水が動くのと、大気が存在しない密閉状態の中で 水が動くのとでは、大きな違いがある! それは、本来、密閉された中で水は流れるような動きをすることはできないのだ(泣) だから「ウォーターポンプ」という、内部に「インペラ」と呼ばれる羽根がある ポンプを回すことによって、強制的に冷却水を循環させているのだが・・・、 強制的にウォーターポンプで冷却水を動かせたとしても やはり密閉状態ということに変わりなく、 大気中を流れる水のようにスムーズに流れてはくれないのだ!(全然((+_+))) なので、できるだけスムーズに冷却水を流す為には エンジンとラヂエターが、ほぼ同じ高さにあって、 冷却水が抵抗が無いストレートに近い状態で循環できるようにさせてやのが理想だが 最近の車は、ボディ形状が斬新になってきているので、そうできない事情もある。 4 さて、私たちが乗っているロータリー車の場合、 先ほどレイアウト図で確認してもらった通り、 RX-7のFD3SとRX-8は、 エンジンよりもかなり低い位置にラヂエターがあるのだ! こんなに高低差があるのは、フェラーリぐらいで他には類を見ない程だ。 (ちょっと前のフェラーリなんかだと水温は、厳しい!) 高低差があると、当然抵抗が大きくなるので冷却水の流れは、かなり悪いのだ。 衝撃的な事実かも知れないが、このことを頭に入れておいて欲しい。 さらに追い討ちを掛けるかのようだが・・・ 更に、この高低差があるともう一つ問題がある。 それは、冷却水中に発生した気泡が留まってしまうことである。 気泡は、冷却水を強制的に循環させるウォーターポンプの内部の インペラ(羽根)が水中を回転した際に発生するのと、 冷却水の温度上昇によってポコポコと発生する気泡がある。 この量は、実は、かなりの量で、密閉状態の中の水中で発生した気泡は、 消滅できずに水中に留まってしまい、膨張状態となり、 余計に冷却水の動きが悪くなてしまうのだ。 だから、「エアーブリーザータンク」という気泡を除去するためのタンクが FD3SとRX-8は、標準で装着されているのである。 この純正エアーブリーザータンクの働きについての良し悪しは ここでは言わないが、このタンクが着いていなかったらもっと水温は厳しいのは事実だ。 さて、これまで話をしてきたことは、実は、何にも問題がない状態での話だ。 これが、冷却系に何かトラブルがあると、もっと最悪の事態となる。 しかも、水のトラブルはエンジンブロー(エンジンが壊れる)に直結する 恐ろしいものだ。 5 特に最近は、FD3Sの冷却系トラブルが多い。 5~6型の後期型でも、かなりトラブルを抱えている。 その中でも、ダントツに多いトラブルが「ラヂエターのトラブル」で 水モレを起こしている、もしくは、起こす寸前の車が非常に多い。 これは、ラヂエターの冷却水を溜めるタンクが樹脂製でできているからで、 時間経過と共に樹脂が腐食して、冷却水の熱を実際に放熱する ラヂエターのコアと分離して水モレを起こしてしまうのだ。 下の写真を見て欲しい。 ホース口が腐食してボロボロになっている。樹脂が腐食するとこんな状態になる。 そして、腐食していると、タンクの色が茶色に変色してくる。本来このタンクは真黒だ! 新品のラヂエターの写真と見比べてみると↓↓↓↓↓↓↓その差は一目瞭然だ!。 6 あなたのラヂエターも交換していなければ、100%に近い割合で 写真のように茶色く変色したラヂエターになっているはずだ。 最近の車は、この樹脂性タンクが非常に増えている。 RX-8も樹脂製なので、注意が必要だ。 ましてや、ハッキリ言うがRX-8のオーナーは、RX-7に比べると 何故だか?メンテナンスを行う人が非常に少ないのでもっと注意すべきだ! さて、この樹脂性のタンクでできたラヂエターだが、 だいたい寿命は「10年程度」と言われている。 ただ、これは一般的な話で、使用状況によって当然大きな違いが出てくる。 例えば、新車時からシッカリと冷却水の交換を行って、 “ほとんど街乗り!”しかしなければ一般的な寿命だと思うが、 スポーツカーであるFD3Sの場合、普通よりスピードを出して走る機会が 多いから、様々な外的衝撃も加わるのだ。 要するに、通常より過酷に使われるので寿命は、もっと短いと考えてもらいたい。 また、多くの人は、中古車で買って乗っていることが多く、 前オーナーのメンテナンスによって寿命に大きな違いが出てしまう。 樹脂製タンクでできたラヂエターは、金属製に比べると 非常に軽量なのは魅力だが、強度から言うと落ちるし 金属製では考えられないようなトラブルが発生してしまう。 ましてや、FD3SやRX-8の場合は、位置的な問題で オーナー自身が簡単に見ることができないから、 水温が厳しいことは気にしても、 ラヂエターの状態を気に掛けなくなってしまうようだ。 この際だから正直に言うが、どんなに素晴らしい冷却対策をしたって 冷却水の熱を冷やすラヂエターがきちんとしていなければ全く意味が無いのだ。 7 俺のところの例で言えば、「スーパー冷却銀次郎」と言う、 冷却水中の気泡を除去して冷却水の循環効率をUPさせて 水温を下げることができる人気のパーツがあるが、 このパーツだって、ラヂエターに問題があったら何の意味もないのだ。 また、エンジン温度の高いロータリーは、冷却水のトラブルが起きると すぐにオーバーヒートを起こしてしまう。 「走行中にラヂエターがブッ飛んで、走行不能!」って聞いたことが あると思うが、走行不能になることよりも・・・ オーバーヒートさせてエンジンを壊す方が、俺としては痛いと思う。 オーバーヒートは、エンジンをアッ!という間に壊してしまう 恐ろしいトラブルなのだ! だから、本来ラヂエターの状態も含めて、定期的に点検することは とても大切なことだ。 車は、新車で買うと最初のうちはディーラーの無料点検があるので 受ける人も多いが、その期間を過ぎると、せいぜい車検の時に点検を 行う程度になる。 中古車で買った場合は、最初だけ状態が気になって俺の点検を 受ける人も多いが、やはり車検時だけといった具合が多い。 ただ、困ったことに・・・ 最近は「安さで勝負!」といった技術力よりも値段を売りにするような 車検が横行しているのと、車検も昔のように点検項目が減りうるさくなくなったから 整備士の技術レベルも非常に低くなってきているので、 「車検を受けたから安心♪」な~んて言うことは全くなくなっている。 本当に、最近の整備士のレベルは悲しくなるくらい酷いものだ。 なので、ニセ整備士がいるようなところで点検を受けても仕方がない。 同じお金を払って点検してもらうなら、的確に見抜けるプロに見てもらわないと意味がない! 8 なので、単刀直入に言うが・・・、 一度ぐらいは俺が行っている的確な点検に来られたらどうかと思う。 遠方から交通費を掛けて来られても、必ず納得されることだろう。 ちなみに、俺は必ずオーナーと一緒に点検を行って 自らの目で確認してもらった上で「状態と、なぜ、こうなるのか?」という 説明を車の知識がない人でも分かるように説明をしている。 そこら辺の整備士が一方的に見て、その診断結果だけを聞くような点検はしていない! もし、俺の行う点検に不満があれば、もちろん点検料金はいただかない! さらに、俺がメンテナンスした場合、違いが分からなかったら 整備料金もいただかない! 最近は、お客集めのために「返金保証!」などと唄っているケースもあるようだが、 俺は、自分の技術力に責任を持ってプロとしてやっていて、 その対価としてオーナーからお金を払っていただくので・・・ 俺のポリシーで「オーナーが納得しなければ、 料金はいただかない」ことにしている! あなたの愛車の状態がどんなものなのか?今の俺には分からないが 俺の処へ来てくれたなら、俺は全力であなたの愛車を診て、 状態に適した蘇りのメンテナンスを行うことをお約束する。 ロータリー車の本来の性能を100%発揮したいと思う方だけ まずは、俺の点検にお越し頂きたい!待ってます。 9
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