『夢と夢解釈』 著書:ジークムント・フロイト 訳者:金森 誠也 本書は、ジークムント・フロイト(1857∼1939 年)の夢に関する諸論文を集めたもので ある。精神病医、神経学者としてのフロイトは、精神分析学、それに心理学的な夢解釈の 先駆者として知られている。 本書は、 『実現した夢の予告(1899 年)』 『夢について(1901 年)』 『民間伝承の中の夢(1911 年)』 『証拠手段としての夢(1913 年)』 『夢の中の童話の材料(1913 年)』 『夢とテレパシー (1922 年)』『 「デカルトの夢」に関するマキシム・ルロワへのフロイトの手紙(1929 年)』 『私とヨーゼフ・ポッパー・リュンコイスとの接触(1932 年) 』の論文から成っている。 フロイトの理論によれば、夢の多くは潜在的願望のあらわれであり、目覚めているとき には認めたくない欲求や、隠している野心が、睡眠中に夢となって出現してくる。とくに、 近親相姦のような邪悪な性欲が、夢の中にしばしばあらわれている。しかし、これは分析 の結果分かることで、夢の中には抑圧が行われているため、性的願望も複雑で多種多様な 形をとって登場するという。 本書の中で、 『夢について』という論文が中心的地位をしめているが、私が興味を持った のは『夢とテレパシー』についてだ。オカルト的で、読んでいて背筋がぞくぞくするよう な内容だが、他の論文と違って分かりやすかった。 「夢枕に立つ」ということが、私ではな く、身近な人が実際に見たことがあったので、疑うことなく読み進められた。亡くなった 人が夢に出てきて何かを伝えようとしたり、これから起こることが夢の中に出てきたりと、 その内容を信じる人も少なくないと思う。 私はよく、難しそうな内容が書かれている本は、2、3ページ読んだだけで読むのをあ きらめてしまう。そういうときは専門家のための本だから仕方がないかな、と思って違う 本を探す。しかしある本に、「あるテーマを本当によく理解しているなら、それをわかりや すく書けるはずだ。書いたものが混乱しているのは、頭の中が混乱している証拠だ。 」と書 かれていた。この本を読んで、そういう考え方もあるのかと思った。本書は今から 100 年 以上も前に書かれたものもあり、時代背景や、そのお国柄も私たちとは違うので仕方ない と思いながら読み進めた。しかし、読み終わってもいまいちよく理解しきれていない。私 の理解力が、まだまだ足りないと思うので、この本はもう少し知識を付けてからまた読み たい。 (宍戸)
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