二項道路の説明(2006〔平成18〕年実施 資料3 第一回新司法試験論文式 公法より) 2項道路の制度について(括弧内の*以下は下井による補足) (1)建築基準法(以下「法」という。)第43条第1項によれば,法第3章(第8節は除く。法 第41条の2から第68条の8まで)の規定が適用される区域(主として都市計画区域がこれに 当たる。)においては建築物の敷地は同法に規定する道路に2メートル以上接していなけれ ばならず(以下,これを「接道要件」あるいは「接道義務」という。),その要件を満た していない敷地の建築物は違法建築物として建築基準法上の取締りの対象となる(法第9 条)。そして,この場合に取締りの権限を有しているのは,特定行政庁である(特定行政 庁については,法第2条第32号(*現35号)参照)。 また,法第6条第1項各号に該当する建築物の建築(新築,増築,改築又は移転をい う。),大規模な修繕,大規模な模様替えをしようとする場合には,同条第2項に定める例 外を除き,建築主事等に対して建築確認の申請をし,確認を受け,確認済証の交付を受け なければならず(法第6条第1項等),申請に係る建築物の計画が「建築基準関係規定に適 合しない」等の場合には確認を受けることはできない(法第6条第5項〔*現13項〕等)。 さらに,建築確認を受け工事を実施した建築主は,建築主事等による検査を受け,検査 済証の交付を受ける必要があり(法第7条第1項等),この場合においても,建築物及びそ の敷地が建築基準関係規定に適合していない場合には検査済証の交付を受けることはでき ない(法第7条第5項等)。 (2)以上のような接道要件を満たすための「道路」として,どのようなものがあるのかを 規定しているのが,法第42条である。同条第1項によれば,まず,接道要件を満たすため に必要となる道路には,①国道,県道等の道路法上の道路(同項第1号),②都市計画法, 土地区画整理法等による道路(同項第2号)③都市計画区域等における建築物の敷地,建 築設備及び用途」,「構造,に関する法第3章の規定が適用されるに至った際現に存在する 道(同項第3号)等であって,幅員4メートル以上のものが含まれる。したがって,幅員4 メートル未満の道路に接しているだけでは法第43条第1項の接道義務を果たしたことには ならない。 しかしながら,都市計画制度が未整備であった時期が長く続いた我が国にあっては,上 記の接道要件を満たすことができない敷地は多く存在している。特に,建築基準法の前身 である市街地建築物法においては,昭和13(1938)年改正前は,接道要件を満たし得る道 路は幅員9尺(約2.7メートル)以上のものとされていた経緯があり,法第43条第1項の規 定を厳格に適用すると,古くからの土地家屋を所有してきた者に対して酷な結果となりか ねない。これらの土地家屋の所有者は,法第3条第2項の規定により,これまでの利用を維 持できるものの(これを「既存不適格」という。),増改築や大規模の修繕等の行為をす ることは許されなくなるからである。 (3)そこで,①交通,避難,防火,衛生上安全な状態に都市環境を保つために十分な道路 への接合を敷地建物について要求する必要性と,②未整備な都市計画制度の下で以前より 土地建物を所有してきた者の既存の利益を保障する必要性とを調和させる見地から設けら れた制度が,法第42条第2項に規定する2項道路である。 まず,同項によれば,①法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並ん - 1 - でいる幅員4メートル未満の道であって,②特定行政庁が指定したものは,第1項の道路で あるとみなされる(これを「2項道路」という。)。この規定により,狭あいな通路にのみ 接道する敷地の所有者も,特定行政庁の指定を受ければ接道要件を満たすものとして取り 扱われることになる。その一方,同項は,2項道路の中心線からの水平距離2メートルの線 をその道路の境界線とみなす旨の規定を同時に置いているので,境界線の内側に現に存在 している建築物等は2項道路に突出していることになる。 そして,2項道路内に突出している建築物については,直ちに違法建築物として取り扱 われることはない(法第44条第1項,法第3条第2項)ものの,いわゆるセットバック義務, すなわち,建築物の増改築,大規模の修繕等をしようとするときには,2項道路内の部分 を除却する義務が生ずる(法第3条第3項第3号及び第4号)。 (4)以上に述べてきたように,2項道路は,未整理で入り組んだ所有関係にある地域に古く から土地家屋を有してきた者の既得の利益を尊重しつつ,将来において良好な都市環境が 形成されることを期待して設けられた制度である。 なお,2項道路の指定の方法としては,道路を個別に指定する方式と,一定の条件(例 えば,「幅員2.7メートル以上」)を満たす道路を一括して指定する方式とがあり,いず れも適法な指定方式であると考えられている。 - 2 - 新潟市のHP<http://www.city.niigata.niigata.jp/info/kenchiku/guide2/guide2.htm>より 新潟市都市政策部市街地整備課のHPより http://www.city.niigata.jp/info/shigaichi/sekoutyuu/sekoutyuu/sekoutyuugaiyou3.htm 隠 圏 鎧 理 の しくの 輔 糀 ::⑬輪 聯 0鑑鮮 い土地をお渡 しすることになります。 B さんの整理 前 の宅地 聰 B さんの整理後の 宅地 ( 換地 ) 顆 減歩 した土地 ∫ 」 一 ― 家 . 補 一 キ 辞 転 一 一 一 ︲ ︲ 保留地減歩 土地区画整理事業メニュー ヘもどる 補助金 、公共 施設管理者負 担金などが交 付される場合 があります。 L 朴 情 侭 郷 瞑9 廿 R 怪 計 廿 ON怪 眸 押 “ぶ 製 響 郭 瞑 一 怪眸 卜繋 椰 H 怪 型 嗅い廿 ∞一 饉辟 準 霊畷 絆単 ヽ いヽI H=中 Ⅸ 暉ヾ廿 ∞一 ∞ 椰 匡 梨 測 円 ・ ︵ 0 “ 響 軽 ︶に いあ ヽ ∞ 椰 旧 日 ≪ ・ ︵ 躍 担 0 モ 一∞∞´ E∞N L H ε∞嘔 岬 出 椰 砥 奪 ・ 怪眸 い 黎 椰 H 嘔寸購 卜一 “ 襲 酬期 回 凶製 引 置E最 窯 \峰 WC榊H 螺 ‘〓N N一 \ 経 旧 凶響 H 饗 ゛ 卜村\ 轟 眠 “ 雲 謳爛紫“や相 E∞∞Nヽ ヾ略 製 銀 E●一2 ∞颯 響 出 鋼 回 凶 ・ 怪眸 ぽ 隧 倒 饉 “ 頭 L∞= 卜一 繰 薔 闘鋼 目凶 響 =旧﹄ 最 窯 \緯 叩 報 椰 報題SC製響駆昧 製鞭響郵騒 瞑 Fせヽ 怪 眸 饉眸 く 暉 褒 凶 ご 撻 に Щ∞蟻 N一 剛軍 熙 椰 侵眸 饉 饉 佃 瓢 彗 絆 倒籠 曖0研 o一 糾 墾米 椰 枷Ж 蜀¨ 皿い一 皿卜N榊Ж 醸 縦 締欝翻圏 因響 側饉熙 枇薬 20081024新潟日報夕刊 新潟市都市政策部市街地整備課のHPより http://www.city.niigata.jp/info/shigaichi/sekoutyuu/sekoutyuu/sekoutyuugaiyou3.htm 新津駅西 土 地区画 整理事業 事業名称 新津駅西土地区画整理事業 施行者の名称 断津駅西土地区画整理 組合 (土地区画整理法3条 第 2項 ) 施行地区面積 的12 2ha R. 一一一 ■■■●■ 著,■一一 一 一 一 一 一 ・ 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 注一 ・ ヤ 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ・ 一 ・ ・ ・ 一 、一 一 ・ ・ 設計図 施行期間 係地権者 総事業費 成 16年 度 ∼平成20年 度 13名 (仮換地指定時) 可,782,000千 円 合算減歩率 5792% 率 公共減 歩率 21 01% 屎留地減歩率 3691% 1)区画街路 幅員6∼ 16m 2 ) 特殊街路 幅員3 m 公共事業の整備計画 3 ) 公園 面積 約3 , 6 6 9 請 (4)緑 地 面積 約 9 4 3 甫 (5)調 整 池 面積 約 2 , 3 6 7 ぷ 司い合せ 先 新津駅 西土地 区画整理 組 合 〒9 5 6 - 0 8 6 5 新潟市善道 5 5 4 番 地 電話 0 2 5 0 - 2 1 - 2 3 0 3 FAX 0250-21-2302 ( 2 ヶ所) <土地区画整理事業関係用語説明> ※土地区画整理事業: 「都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅 地の利用の増進を図るため、土地の区画形質の変更及び公共施設又は変更を行う事 業。換地計画・仮換地の指定・換地処分、減価補償金・清算金・権利関係の調整などを 一連の内容とする公用換地を行うが、従前の土地よりも整理改良されてはいるが狭 い面積の土地を割り当てるという手法(減歩)をとることによって、道路・公園・ひろ ば等の公共施設のための用地を生み出す点にその特色がある」(有斐閣『法律学小辞 典』より) 。 「道路や公園、排水施設等の公共施設(公共施設の意義については土地区画整理法 2 条 5 項参照)を整備するとともに、整形された利用しやすい宅地を創出するという 2 つの目的を一体的に実現するため(土地区画整理法 2 条 1 項) 、換地という手法を 用いる事業」 (中川丈久「土地区画事業整理計画決定の処分性」法教 341 号) ※換地: 「事業地内の宅地を減歩(面積を減ずること)しつつ、再配置することにより、 道路や公園等の公共施設用地や、保留地(売却して事業資金に充てる等のための土 地。土地区画整理法 96 条)とする用地を生み出しつつ、区画が整った宅地をも創出 するテクニック・・・。・・・仮換地指定や換地処分の処分性については、判例学説上、 異論無く認められている。ちなみに、土地区画整理法 98 条 7 項及び 103 条 6 項は、 仮換地指定及び換地処分に行政手続法第 3 章(不利益処分)を適用しない旨を定めて いる。 」 (中川) ※土地区画整理事業計画: 「当該事業を行う「施行地区、設計の概要、事業施行期間及 び資金計画」を定めた書面(土地区画整理法 54 条)。このうち「設計の概要」とは、 (ア)当該地区の現況、(イ)土地区画整理事業を行う目的、(ウ)公共施設(道路、公園等) の具体的な配置場所(新設、拡幅等の場所) 、(エ)施行後における公共施設(道路、公 園等)の地積増、保留地の地積、そしてこれらを生み出すために必要な宅地全体の 地積減(減歩)などの項目から成る。 ここからわかるように、 「事業計画」の時点で決まっているのは、土地区画整理事業 が資金の裏付けをもって、公告後直ちに実施されること、そして公共施設がどこに 配置され、その代わりに宅地面積が全体としていくら減るかという事柄である。 「事 業計画」に添付される図面にも、 「施行地区」や上記(ウ)が示されているだけである。 それ以上に具体的なこと、すなわち個々の宅地がどの程度減歩され(減歩割合は、宅 地ごとに場所や形により違う。・・・) 、どこに再配置されるのか(換地) 、あるいはそ の評価額はどうかなどといった事柄は、この時点ではまったく決まっていない。こ うした換地内容は、その後に続く、事業施行者(*浜松市事件の場合は浜松市)の 換地計画によって決まる」(中川)
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