肺がん患者に対するショートハイドレーション法での シスプラチン投与

Oral Session O3-025
肺がん患者に対するショートハイドレーション法での
シスプラチン投与前後の血中Mg 濃度の変化と腎機能の関係についての検討
小牧 千人 氏 松波総合病院 呼吸器内科
シスプラチン
(CDDP)
投与時は腎機能低
試験では飲水は強制しなかった
(図)。
血中 Mg 濃度は CDDP 投与前と投与 3日
下を防ぐために長時間かつ多量の輸液が
1サイクル施行後の eGFRは、CDDP 投
後で有意な差はなかった。CDDP 投与
必要であったが、CDDP 投与前にマグネシ
与前に比べ有意に低下していた(76.3±
前後の血中 Mg 濃度差と1サイクル中の
ウム(Mg)を投与することで糸球体濾過量
(GFR)
の低下を防ぎ水分負荷を減ら
すショートハイドレーション法が開発
されたことから外来での CDDP 投与
メインルート
パロノセトロン 0.75mg
ホスアピレピタント 150mg
デキサメタゾン 11.55mg
生理食塩液注
100mL
法によるCDDP 投与前後の Mg 値の
変化と推算糸球体濾過量(eGFR)の
2時間
35分
患者16 例。ショートハイドレーション
法 で CDDP80mg/m2 day1+ ゲムシ
2
タビン(GEM)1000mg/m day1,8 非
扁平上皮がんにはベバシズマブ
(Bev)
15mg/kgを加えて q3wを投与し、本
られた(r=0.597、p<0.025)
。
GEM+CDDP(+Bev)day1の投薬内容
投与時間:2 時間 35 分(+30 分)
、補液量:1725mL(+100mL)
者を対象にショートハイドレーション
対象は Stage IV非小細胞肺がん
18.3→71.0±15.6mL/min/1.73m 、p<0.025)。 eGFR 最小値の間には有意な相関が認め
図 ショートハイドレーション法のタイムテーブル
も可能となった。小牧氏は肺がん患
関係について報告した。
2
3時間
5分
硫酸 Mg 補正液 8mq
KCL 補正液
10mq
1号輸液
500mL
今回の結果から、小牧 氏は
CDDPが尿細管から排泄される
時に尿細管細胞中 Mgの逸脱に
より尿細管細胞が障害され、そ
30 分
の修復過程で産生されるサイト
側管
30 分
GEM
1000mg/m2
生理食塩液100mL
30 分
カインが GFRを低下させると
いう腎障害の発生機序を裏付
マンニトール 125mL
5分
生理食塩液 100mL
(洗い流し)
80mg/m2
60 分
300mL
30 分
けるものと考察し、ショートハイ
CDDP
生理食塩液
ドレーション法による CDDP 投
KCL 補正液
1号輸液
10mq
500mL
Bev
生理食塩液
15mg/Kg
30 分
100mL
30 分
第 2 ~ 4 日 デキサメタゾン 8mg/ 日を経口投与
与後の Mg 低下度が小さかった
症例ほど eGFRの低下度も小さ
かったと結んだ。