〈医療情報〉 風疹予防接種について 2013年6月 在ユジノサハリンスク総領事館 2012年から日本国内で風疹の流行が続いています。以下に該当の方は特に、ご帰 国の際などに、風疹予防接種をご検討下さい。 ・ 妊娠を希望されている女性の方: 子どもの頃の接種を含め、2回の接種で、より確実に“先天性風疹症候群”を予防 できます。 予防接種を受けられてから2ヶ月は避妊が必要です。 ・ 妊娠中の女性のご家族: 妊婦さんは風疹予防接種を受けることができません。ご家族の予防がより重要に なります。 ・ 成人男性の方: 風疹にかかったことのない方。風疹予防接種を受けたことのない方。どちらも不 明な方。 風疹とは 風疹ウィルスによる感染症で、“三日はしか”とも言われています。感染者の鼻汁や唾 液の飛沫などで感染します。潜伏期間は2~3週間で、発熱、発疹、リンパ節腫脹な どの症状が認められます。通常は自然に治りますが、稀に重症化(脳炎、血小板減 少、関節炎など)することがあります。成人の方が、重症となりやすいようです。症状 の出る前後の約1週間は、周りの人に感染させる可能性があります。 先天性風疹症候群とは 妊娠した女性(特に妊娠20週くらいまで)が風疹ウィルスに感染した場合に、赤ちゃ んが心臓の奇形、白内障、難聴などの障害を持って生まれてくること。 背景 ・ 20代から40代の女性の約15%は、風疹への十分な免疫を持っていません。 ・ 20代から40代の男性の約15%は、風疹への免疫を持っていません。 ・ 最近の風疹患者さんの約70%が男性で、そのうちの約80%が20代から40代と 労働人口と重なります。 (ご参考1)日本における風疹ワクチン定期予防接種関連の出来事 1977年 中学生女子に風疹ワクチン定期接種開始 1989年 MMR ワクチン(麻疹、おたふくかぜ、風疹混合ワクチン:以下 MMR)開始 1993年 MMR ワクチン接種見合わせ (※ワクチンのおたふくかぜウィルスによる無菌性髄膜炎の発生により) 1995年 生後12~90ヶ月の男女に風疹ワクチン接種開始 風疹、MMR ワクチン未接種者への経過措置 (以下が接種対象となりましたが、接種率は極めて低率) (1) 1995年度に小学校1~2年生でかつ生後90ヶ月未満の者 (2) 1996~1999年度に小学校1年生 (3) 2003年9月30日までの間は、1979年4月2日~1987年10月1日に生まれた12 歳以上16歳未満の男女(標準中学生) 2005年 MR ワクチン(麻疹、風疹ワクチン:以下 MR)開始 ↓ 特に1979年4月2日~2005年4月1日に生まれた男女は風疹ワクチンの接種率 が低く、1979年4月1日以前に生まれた男性は、子供の頃に風疹ワクチン定期接種 の機会がありませんでした。 1995年4月1日以前に生まれた人は、風疹ワクチンを受ける機会はあっても1回で すので免疫が不十分の可能性があります。1995年4月2日~2005年4月1日に生 まれた人は、風疹ワクチンは2回接種になりましたが接種率が低いため、免疫を持っ ていないか不十分な可能性があります。 (ご参考2)最近の日本国内の風疹の流行状況 日本国内の風疹患者数は、2013年1月~5月22日までで7,540名と、2012年1 年間の3倍を超えました。 5月13日~19日の週の統計では、風疹患者総数571例のうち、大阪府で98例、東 京都で91例、兵庫県で55例、神奈川県で40例と関西及び首都圏を中心に流行が みられます(国立感染症研究所 IDWR 2013年第20号より)。 ↓ 風疹に罹ってしまったと思われたら、仕事を休んで医療機関を受診しましょう。 やむを得ず外出する場合は、マスクを着用し、人混みはできるだけ避けましょう。 (出典:国立感染症研究所、NHK の HP より) (ご参考3)風疹ワクチンの副反応 風疹ワクチンは副反応の少ないワクチンとされていますが、稀に重大な副反応が出 る可能性(アナフィラキシーショック、血小板減少症など)はあります。妊娠の可能性 がある場合も接種できませんので、予防接種に不安のある方は、かかりつけの医師 などと良くご相談の上ご検討下さい。 (ご参考4)風疹ワクチン接種に関して ・ 風疹の免疫を持っているのかどうか、医療機関で調べることができますが、費用 と検査結果が出るまでに時間がかかります。その間に、風疹に罹ってしまうかも しれません。免疫を持っているかどうか不明の場合や過去の風疹ワクチン接種 歴が不明の場合でも、追加でワクチン接種をしても問題ないとされています。予 防接種歴、風疹の病歴が不明の場合でも、できるだけ早く予防接種を行うことが 勧められています。 ・ 現在、風疹ワクチン(単独)は在庫が少なくなっており、風疹と麻疹の混合ワクチン (MRワクチン)を勧められる場合があります。麻疹の免疫を強化できる利点があ りますが、費用は単独ワクチンに比べて少し高めになるようです。 ・ ワクチン接種後、免疫(抗体)ができるまでには、2~3週間かかると言われていま す。 ・ 風疹ワクチンは、内科や小児科で受けることができますが、在庫状況など事前に 医療機関に問い合わせをされた方がよいでしょう。風疹ワクチン接種は自費診療 となっており、価格は、単独ワクチンで約4,000円~8,000円、混合(MR)ワク チンで約7,000円~12,000円と医療機関により異なります。なお、接種費用 を一部もしくは全額負担する自治体や企業が増えていますので、お調べになるこ とをお勧めします。 〈参考文献&リンク〉 ・厚生労働省HP 風しんについて http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html ・国立感染症研究所 風疹Q&A http://www.nih.go.jp/niid/ja/rubellaqa.html ・国立感染症研究所 疫学情報 http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html ・IASR 風しんワクチン接種率の推移 http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/277/dj2771.html ・ゼクシィ net ストップ風疹 http://zexy.net/mar/news/fushin/ ・NHK NEWSweb ストップ風疹 http://www3.nhk.or.jp/news/stopfushin/ ・KNOW VPD 大人が風疹 MRワクチンを接種できる医療機関リスト http://www.know-vpd.jp/news/1436.php
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