(23) - 1 - 胸(膜)腔 (正岡 昭、藤井義敬.呼吸器外科学.改訂 3 版.南山

胸(膜)腔
(正岡
昭、藤井義敬.呼吸器外科学.改訂 3 版.南山堂,東京 2003)
胸腔とは肺胸膜(臓側胸膜)と壁側胸膜に覆われた体内で唯一の陰圧の体腔である。
胸腔に空気が漏れ出せば気胸、水が貯まれば胸水(膿が貯まれば膿胸など)となり、
貯留物が多量となり、それらにより胸腔内圧が陽圧になれば?
↓
肺の虚脱、縦隔の健状側への偏移、患側横隔膜の平低化、静脈還流の低下(静脈圧の上昇)
↓
呼吸不全、低血圧
気胸の原因となる疾患
(1)特発性(自然)気胸
好発年齢は20歳代と60歳代の2相にみられ、男性、痩せ型の人が多い。
肺嚢胞(bulla、bleb)の破裂によって発生するもの。
胸腔鏡手術は良い適応となる。
嚢胞性肺疾患
1.ブラ(bulla)とブレブ(bleb)
嚢 胞 bulla と bleb: 肺 胞 壁 の 破 壊 を 伴 い 胸 膜 下 に 出 る も の が bulla 、
肺胞間隔壁の破壊によるものがblebである。
2.巨大嚢胞(Giant bulla)
巨大化したブラが片側胸腔の 1/3 を超えるようなもの。
特徴: 1. 進行性に肺実質を破壊する。
2.
気胸発生の頻度が少ない。
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3.過誤腫性肺脈管筋症(lymphangiomyomatosis: LAM)
生殖年齢の女性に発生し、気胸の多発と肺の嚢胞化の進行によって死亡する。
4.その他
(2)続発性気胸
結核、癌、肺膿瘍などの肺内病巣の穿孔によって発症するもの。
(3)月経随伴性気胸
子宮内膜の組織の一部が肺や横隔膜に迷入し、月経時にその部分が剥脱して
気胸を発症する。
(4)外傷性気胸
胸壁の穿通、肋骨骨折、肺、気管、気管支損傷など、血胸を伴うことが多い。
(5)医原性気胸
中心静脈栄養、胸水穿刺、人工呼吸などの陽圧換気により生じる。
治療
①安静
②胸腔ドレナージ
③胸膜癒着療法
④手術
血胸
a.外傷に起因するもの
b.明らかな原因なく、突然発症するもの
若年男性に好発する。胸膜の索状癒着の断裂により出血するもので通常、気胸と合併
c.その他
腫瘍の破裂や大動脈瘤からの出血など
治療
血胸であることが確認されればただちに胸腔ドレナージ(大量出血は手術)
乳糜胸
胸腔内に乳糜が貯留した病態
a. 外傷性
手術や外傷による胸管の損傷による
b. 非外傷性
炎症、腫瘍、血栓などにより胸管の閉塞、狭窄による
c. 突発性(先天性)
治療
①胸腔ドレナージ
②脂肪制限 ③胸膜癒着療法
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④手術
胸水を来たす疾患
1.感染性胸水(結核、肺炎、肺化膿症など)
2.悪性疾患(癌性胸水)
3.心疾患(うっ血性心不全、心膜炎など)
4.低蛋白血症
5.その他
胸水検査
1.血清学的検査(LDH、グルコース、ヒアルロン酸、CEA など)
2.細菌学検査
3.細胞診
4.胸膜生検(針生検∼胸腔鏡下生検)
治療
原因疾患の治療が中心となるが、場合によっては胸腔ドレナージ、
膿胸
病態による分類
1. 急性膿胸と慢性膿胸
3 ヶ月以上の羅病期間を慢性
2. 有瘻性膿胸と無瘻性膿胸
気管支、肺との間に瘻孔を有する。
治療
①胸腔ドレナージ
②抗生剤療法
③外科手術
開窓術、大網充填術、肺剥皮術など
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