勤医協中央病院看護技術マニュアル 2010 版 12-1 人工呼吸器の管理 1/2 12-1.人工呼吸器の管理 Ⅰ.人工呼吸器の目的 呼吸不全に陥った患者に対して酸素付加と二酸化炭素排泄を人工的に代替あるいは補助するこ とにある。 ① ② ③ ④ 肺胞換気の改善 肺のガス交換機能 呼吸仕事量の軽減 予防的人工呼吸 Ⅱ.人工呼吸器の適応疾患 1.呼吸運動障害 2.肺自体の機能障害 3.他臓器の機能障害 4.代謝亢進 ① 中毒(毒物、ふぐ毒) ② 神経筋疾患(ポリオ、ギランバレー症候群、重症筋無力症、 筋萎縮性側索硬化症) ③ 筋弛緩薬使用中 ① 新生児突発性呼吸障害症候群(IRDS) ② 成人性呼吸窮迫症候群(ARDS) ③ 慢性閉塞性肺疾患(COPD) ① 左心室不全→肺水腫→肺性心 ② 静脈血栓→肺梗塞 ③ 肋骨骨折(flail chest) ④ 胸壁穿通外傷 ⑤ 中枢神経系疾患 ① 全身感染症(敗血症) ② 外傷 ③ 手術後回復期 Ⅲ.人工呼吸器開始の基準 ① 呼吸数:毎分 5 回以下または、35 回以上(12~20 回) ② 肺活量:15ml/㎏以下(65~75) ③ 1秒量:10ml/kg 以下(50~60) ④ 最大呼吸圧:-25cmHzO 以下(75~100) 2.ガス交換能力からみた適応 ① 動脈血酸素分圧:酸素吸入下 70mmHg 以下(空気吸入で 75~100) ② AaDo2:100%酸素吸入時 300mmHg 以上(25~60) ③ 動脈血炭酸ガス分圧:55mmHg 以上(35~45) ④ 死腔率(VD/VT):0.6 以上(0.25~0.4)Pontoppidan H らの基準 3.理学的所見からみた適応 自覚的に強い呼吸困難を訴える 他覚的著明な努力呼吸や換気パターン異常 1.換気能力からみた適応 (かっこ内は正常) ME 機器管理センター監修 2010 年 3 月改定 勤医協中央病院看護技術マニュアル 2010 版 12-1 人工呼吸器の管理 2/2 Ⅳ.手順 1.始業時点検項目 ① 呼吸回路の組み立て 呼吸回路のホース、ウオータートラップ、Y ピースなど亀裂、破損などないか確認する ② 駆動源 電源コード、電源プラグ、アース線に切れる破損がないか確認する 非常用コンセント(赤)を必ず使用する。 ③、人工鼻(日付けの確認)、カテーテルマウント(亀裂や破損の確認) ④、パルスオキシメーター 動作確認(患者様に使用する前に行う) *加温加湿器使用時 本体、付属品に、亀裂、破損がないか確認 適量の滅菌水を入れる 温度設定をした後、サーモスタットの作動状態および温度を点検する 2.使用中の点検項目 ① 人工呼吸器の設定が指示通りか、各始業時に確認する 指示通りに各設定・各警報(ダイアル含む)が設定されているか、呼吸器が異音等がせず作動 しているか確認する ② 呼吸回路に亀裂、破損、各接続部にゆるみがないか *(呼吸回路内に水の貯留がないか 点検する、加温加湿器の水位、温度に異常がないか点検する) ③ 冷却ファン、内臓コンプレッサーに付いている除塵フィルターに汚れがないか点検する ④ 人工呼吸器使用中は、必ずパルスオキシメーターを連続的に使用(義務化とする) <使用上の注意点> ① 低圧アラーム:回路のリークや外れ、カフのエアー漏れ・不足 ② 高圧アラーム:気管内チューブ、回路に閉塞がある可能性がある、呼気フィルターの閉塞 ③ 各アラームが OFF になっていないか、アラーム設定が換気状態に適しているかを確認する ④ 気道内圧を示す針、又は数値・波形等がいびつな動き・形などの場合は、気管内に喀痰の貯 留、回路内に水の貯留が考えられる 3.人工呼吸器の消毒法(MEセンターで施行) ① 呼吸回路 ME機器管理センターに送る。 ② 本体外装は、薬液にて充分に清拭する <本体の外装消毒> 一般細菌、緑膿菌、真菌、トリポナーマ、MRSA 結核菌 B 型肝炎ウイルス 70%イソポロピルアルコール 70%イソポロピルアルコール 70%イソポロピルアルコール 清拭する 清拭する 清拭する ME 機器管理センター監修 2010 年 3 月改定
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