アルジェリア政治・経済月例報告 (2016年4月) 平成28年5月 在

アルジェリア政治・経済月例報告
(2016年4月)
平成28年5月
在アルジェリア日本国大使館
1. 内政
● シャキーブ・ハリール元エネルギー大臣のザーウィア訪問
先月3年ぶりに米国から帰国したシャキーブ・ハリール元エネルギー大臣の
動向はその後も注目が集まった。同元大臣は、4月に入ってから地元に根付い
た宗教施設である各地のザーウィア訪問を開始したが、訪問に同行する当局の
警備体制の厳重さや、各県知事との面会などから、同元大臣が次期大統領職に
就くための準備を行っているのではないか等の噂が広まった。もっとも、27
日にアイン・デフラ県を訪問した際、同元大臣はメディアに対し、大統領にな
る野望は持っていないと発言した。
● ブーテフリカ大統領の定期健康診断
24日、大統領府はコミュニケを発表し、ブーテフリカ大統領が同日、私的
訪問のためにジュネーブへ出発し、同地訪問中に定期健康診断を受けることを
明らかにした。また、大統領府は、29日、同大統領が同地での訪問を終えて
本国に帰国した旨コミュニケを発表した。
● 外務次官の交替
3日、ベレクシ外務次官に代わって、ハサーン・ラービヒが外務次官に就任
する式典が、ラマムラ外務大臣やメサヘル・マグレブ・AU・アラブ連盟大臣
が出席する中、外務省で行われた。ラービヒ次官は、駐ガーナ大使や駐中国大
使を歴任。他方、ベレクシ前次官は駐イタリア大使に任命された。
2. 外交
● アルジェリア・仏関係の不和
6日、ラマムラ外相は、仏大使を召還し、パナマ文書疑惑でブーテフリカ大
統領の写真を掲載した仏ル・モンド紙等の報道姿勢に強い抗議を表明した。
9-10日、ヴァルス仏首相が予定されていた第3回第仏・アルジェリア・
ハイレベル政府間委員会開催のためにアルジェを訪問し(10名の仏閣僚及び
約100名の仏財界人が同行)、ブーテフリカ大統領やセラル首相と会談、同委
員会では司法、教育、社会保障等の分野に係る計9本の協力合意が両国政府間
1
で署名された。その後に行われた第3回仏・アルジェリア・パートナー・フォ
ーラムでも計15本の企業間の合意が成立したが、プジョーのオランでの現地
組み立て工場設立に関する合意の署名は延期された。
また、上記訪問後、ヴァルス首相が自身のツイッター上に、ブーテフリカ大
統領との会談の写真を掲載したが、疲労困憊した同大統領の写真を意図的に掲
載したとして16日、ラマムラ外相、ウーヤヒヤ民主国民連合(RND)党首代行、
ハヌーン労働党首、グル・アルジェリアの希望連合(TAJ)党首等がこれを批判
した。
● メサヘル大臣のシリア訪問
25日、メサヘル・マグレブ・AU・アラブ連盟大臣はシリアを訪問し、ア
サド大統領と会談した。同会談で、メサヘル大臣は、シリアの安定・安全とそ
の一体性・団結を保持するためにテロと戦うシリア国民に対するアルジェリア
の支持を伝達。また、アルジェリアの国民和解の経験を説明した。また同日、
メサヘル大臣は、ジャザイーリー経済通商大臣とともに、第2回シリア・アル
ジェリア・フォローアップ委員会を開催し、議事録に署名。本委員会は、両国
間の諸分野での協力の柱を定めるものであり、近くアルジェで開催される第3
回拡大混合委員会の準備も兼ねたものである。
● セラル首相の露訪問
27日、セラル首相は、ラマムラ外務大臣、ケブリ・エネルギー大臣、ブシ
ュアレブ産業・鉱業大臣、ベライブ商業大臣とともにロシアを訪問したセラル
首相は、メドヴェージェフ首相と会談した他、アルジェリア原子力委員会と露
国営企業間の協力など計5本の了解覚書が署名された。また、総勢約500名
(うちアルジェリア人企業家は200名以上)が参加して開催されたアルジェ
リア・ロシア経済フォーラムにおいて、ハダッド・アルジェリア経団連(FCE)
会長とチョーキン企業・製造業連合会長との間で経済協力了解覚書が署名され
た。
3. 治安
● コンスタンティーヌでのテロ掃討作戦
報道によれば、15日、コンスタンティーヌ県の県庁所在地コンスタンティ
ーヌ地区北東端に位置するウアーシュ山岳において、掃討作戦中の軍の車列が
手製ロケット弾の襲撃を受け、それに続くテログループとの撃ち合いの中で将
校を含む軍人4名が死亡し、複数が負傷した。犯人グループの人数は不明であ
るものの、消息筋はAQMIのために活動する分子とみている。本件は、セラ
2
ル首相のコンスタンティーヌ訪問の前日に発生したことから、首相の訪問目的
であった「コンスタンティーヌ、アラブ文化首都」の終了式典を妨害するのが
狙いであったとの情報もある。
● エル・ウェッド県での武器の大量押収
軍は15日、エル・ウェッド県中部クイディン地区において、大量の武器・
弾薬の隠し場所1箇所を発見した。押収品の内訳は、口径60ミリと80ミリ
の迫撃砲3台、FM機関銃6丁、口径12.7ミリ機関銃1丁、口径14.5
ミリ機関銃1丁、RPG7ロケット弾発射機4機、カラシニコフ小機関銃10
9丁、狙撃銃4丁、口径60ミリと80ミリ迫撃砲用砲弾95個、推進薬の装
填されたRPGロケット弾136個、種々口径の銃弾35、014個、攻撃・
防御用手榴弾54個、対戦車地雷6個、弾帯10本及び銃弾用薬包262個と
なっている。
4. 経済
● 国債
9日、アルジェリア政府は、原油価格の下落による財政収支の悪化を受け、
国債の発行及び同国債の概要について発表した。同国債は「経済成長のための
国債」と名付けられ、一株50,000アルジェリアン・ディナール(DA)
で、利率が5%~7.5%、償還期限は3~5年。
● ソナトラックのプラント改修プロジェクト
12日、当地各紙は、国営炭化水素公社ソナトラック社が、ハッシメサウド
の原油・ガス処理設備の改修プロジェクトの契約を日揮と締結したと報道した。
プロジェクトの契約金額は3億6,000万ドル、工期は24ヶ月から48ヶ
月。
●ベライブ商務大臣の自動車の輸入ライセンスに関する発言
18日、ベライブ商務大臣は、APS(アルジェリア国営通信)の取材に対
し、今後15日以内に自動車の輸入ライセンスを公布し、更に各メーカーに年
間の輸出総額を設けると発表した。
● グリン報道大臣のセヴィタル社に対する発言
18日、グリン報道大臣は、セヴィタル社が今年3月に当地アラビア語紙エ
ル・ハバール紙を買収した件に関し、
「同社は既に当地仏語紙リベルテ紙のオー
ナーであり、右買収は1法人が2つの新聞社を買収することを禁じている法律
3
に抵触している可能性がある」と指摘した。同発言に対し、同社のレブラブ社
長は、リベルテ紙を所有しているグループとは別のグループがエル・ハバール
を所有することになるため、法的には何の問題もないと反論している。
5. 我が国との関係
● 藤原大使の外務省外交国際関係研究所での講演
6日、 藤原大使は、当国外務省外交国際関係研究所(IDRI:大使級の外
交官の指導により外交研修員がアルジェリア外交のために貢献できるよう育成
する研修所)において、
「日本外交のプライオリティ-G7伊勢志摩サミット及
び TICADⅥを前に-」と題した約40分の講義を行い、その後60分の質疑応答
を実施した。
● 藤原大使のアルジェ第3大学での講演
27日、 藤原大使は、アルジェ第3大学において、「日本経済の発展と日ア
ルジェリア関係」と題した約40分の講義を行い、その後50分の質疑応答を
実施した。今回の講演には経済学を学び研究する大学院生を中心に、約200
人収容の講堂が満席になるほどの学生が聴講し、日本に対する関心の高さが窺
えた。
<アルジェリア要人の外国訪問>
日付
国
氏名・肩書き
4月1日
モーリタニア
メサヘル・マグレブ・A ア ブ デ ル ア ジ ズ 大
U・アラブ連盟担当大臣 統領と会談等(ブー
テフリカ大統領特
使)
4月2日
ニジェール
ウルド・ヘリファ国民議 大 統 領 就 任 式 典 に
会議長
目的
出席
4月3日
サ ウ ジ ア ラ ビ ベライズ 国務大臣兼 大 ベン・アブデルアジ
ア
統領特別顧問
ズ副首相兼内務大
臣と会談等
4月4日
中国
サアダニFNL党首
4月5日
エチオピア
メサヘル・マグレブ・A マリアム・デサレグ
U・アラブ連盟担当大臣 ン首相と会談、AU
C閣僚委員会に出
席
4
李源潮国家副主席
と会談等
4月7日
サ ウ ジ ア ラ ビ ヌーバ憲兵隊司令官、ハ 軍 事 パ レ ー ド に 出
ア
メル警察庁長官
席
4月8日
スイス
メサヘル・マグレブ・A 暴 力 的 過 激 主 義 防
U・アラブ連盟担当大臣 止 に 関 す る ジ ュ ネ
ーブ会議に出席
4月12日
トルコ
ラマムラ外務大臣
4月15日
トルコ
ベンサラ国民評議会 議 イ ス ラ ム 協 力 機 構
長
サミットに出席
4月16日
コンゴ民
ウルド・ヘリファ国民議 大 統 領 就 任 式 典 に
会議長
出席
4月17日
ア ラ ブ 首 長 連 ブシュアレブ産業・鉱業 第 一 回 ア ル ジ ェ リ
合
大臣
ア・ア首連経済フォ
ーラムに出席
4月19日
アメリカ
ルー法務・国璽大臣
4月20日
リビア
メサヘル・マグレブ・A サ ラ ジ 大 統 領 評 議
U・アラブ連盟担当大臣 会議長と会談等
4月22日
アメリカ
ラマムラ外務大臣
4月24日
シリア
メサヘル・マグレブ・A ア サ ド 大 統 領 と 会
U・アラブ連盟担当大臣 談等
4月25日
リビア
メサヘル・マグレブ・A タマム首相、バシル
U・アラブ連盟担当大臣 外務大臣と会談等
4月25日
チュニジア
ベドゥイ内務・地方自治 第6回アラブ・マグ
4月27日
ロシア
第13回イスラム
協力機構サミット
準備会合に出席
国連麻薬委員会特
別会合に出席
COP21協定調
印式に出席
大臣
レブ連合閣僚会合
に出席
セラル首相、ラマムラ外
務大臣、ケブリ・エネル
ギー大臣、ブシュアレブ
産業・鉱業大臣、ベライ
ブ商業大臣
露・アルジェリア経
済フォーラムに出
席、メドヴェーチェ
フ首相と会談等
5
<外国要人のアルジェリア訪問>
日付
国
氏名・肩書き
4月4日
チュニジア
エンナーセ ル国民代 表 ウルド・ヘリファ国
議会議長
民議会議長と会談
等
4月4日
イタリア
ピサピア・ミラノ市長
4月5日
スウェーデン
パーション北欧協力・戦 ラ マ ム ラ 外 務 大 臣
略的開発大臣
目的
ベドゥイ内務・地方
自治大臣と会談等
と会談等
4月5日
ドイツ
シェラー連邦議会副 議 ウルド・ヘリファ国
長
民議会議長と会談
等
4月10日
フランス
ヴァルス首相
4月11日
アメリカ
ウィナー・リビア問題担 メ サ ヘ ル ・ マ グ レ
ブーテフリカ大統
領、セラル首相と会
談、第三回COME
FAに出席
当特使
ブ・AU・アラブ連
盟担当大臣と会談
等
4月15日
赤道ギニア
ムバ・モクイ外務大臣
セラル首相と会談
等
4月17日
パレスチナ
ハムダラ首相
ブーテフリカ大統
領、セラル首相、ラ
マムラ外務大臣、メ
サヘル・マグレブ・
AU・アラブ連盟担
当大臣、ベドゥイ内
務・地方自治大臣と
会談等
4月18日
ドイツ
ロス連邦議会副議長
4月19日
国際金融機関
アデシナ・アフリカ開発 セ ラ ル 首 相 と 会 談
銀行総裁
等
4月19日
インドネシア
ヒダヤット憲法評議 会 メ デ ル シ 憲 法 評 議
議長
ベンサラ国民評議
会議長と会談等
会議長と会談等
6
4月20日
チュニジア
ムバレク文化・遺跡保護 セラル首相、ミフビ
大臣
文化大臣と会談等
4月22日
ヨルダン
エンスール首相
セラル首相と会談
等
4月23日
西サハラ
アドゥーフ評議会議長
ベンサラ国民評議
会議長、ウルド・ヘ
リファ国民議会議
長と会談等
4月24日
中国
钱外交部副部長
ラービヒ外務次官
と会談等
4月24日
ア ラ ブ 首 長 国 エル・マズルーイー・エ セ ラ ル 首 相 、 ヘ ブ
連邦
ネルギー大臣
リ・エネルギー大
臣、ブシュアレブ産
業・鉱業大臣と会談
等
4月25日
中国
伍中国開発銀行国際 協 タ ラ イ 運 輸 大 臣 と
力担当局長
会談等
(了)
7