特集:映画(先生方より)・・・p.1∼4 利用者からのたより

★ 特集:映画(先生方より)・・・p.1∼4
9 月 30 日(日)に本学体育館において、学園主催の講演会「映画のまちは、おしゃれな
まち」が開催されます。この講演会にちなんで、今号では先生方に映画についてのエッ
セイをお願いいたしました。
■ 利用者からのたより・・・・・・p.5∼8
■ マイブック・コレクション・・・p.9
■ 使ってみよう!データベース・・p.10,11
■ 早寝・早起き・朝ごはん・・・・p.12∼14
(生活学科准教授 原知子)
■ 図書館からのお知らせ・・・・・p.15
★特集:映画
映画には力がある
キャリア・コミュニケーション学科 教授:石井 恭子
外国のことなど何も知らなかった小学
物であり、映画は監督の感性で作り上げら
校時代に集団鑑賞のために引率されて行
れた別作品である。映画の強みはリアリテ
った映画館で『赤い靴』や『わが谷は緑な
ィ感あふれる映像による並外れた説得力
りき』を観たときの感動を今でも鮮烈に覚
である。文化、生活、風土の異なる背景で
えている。ダンスと歌に熱中して、ミュー
想像力だけでは理解し難い出来事、人間模
ジカル映画に夢中になっていた中学時代
様を映画は映像力で直接語りかけ、強烈に
にはハリウッド映画に魅了され、見知らぬ
訴えかける。
国へ憧れをいだき、英語への興味と学習意
私にとって、その最たる代表例は E.M.
欲もそこから始まったと言える。今でも映
フォースターの『インドへの道』だった。
画への思いはつきないが、最近は特に原作
インド社会の植民地統治者と被支配者の
となっている文学作品と映画の関係に興
関係という理解しにくいこの大作は、かな
味を持っている。
りだらだらと続く 3 部作で、読んでいて何
映画が誕生してから 110 年、20 世紀は
度かギブアップした作品であった。デヴィ
まさに「映画の世紀」だった。文学作品も
ッド・リーン監督は混沌としているチャン
次から次へと映像化され、一つの原作が繰
ドラボアの風景、高台にある瀟洒なイギリ
り返し違う監督の手で映画化されたもの
ス人居留地、足に鈴をつけて顔にペイント
も少なくない。原作を読み、ひとり想像の
した象の背中に乗ってのマラバー洞窟へ
世界に浸る喜びもあるが、2 時間前後で監
の遠足風景、空っぽの洞窟の中で響きわた
督の眼を通した映像による虚構の世界に
るこだまなど、インドそのものが主役とい
ひたれるのもまた楽しい。小説を丁寧に読
わんばかりに、土地の映像を取り入れて、
み、自分なりに作り上げたイメージと映画
リーン流のフォースター解釈に導いてく
のイメージが違い、物足りなさに失望する
れた。映画の結論の甘さは感じられるもの
こともあるが、逆に「ああ、そういうこと
の、二つの文化の対立と和解という原作の
だったのか」と自分の読みの浅さを実感す
テーマを理解する大きな手がかりになっ
ることもある。そして、あらためて原作を
た。
読み直し、作品への理解が深められる。
活字離れの激しい若者が映像を通して
原作に忠実である映画かどうかとよく
文学作品に触れるのも一つのやり方だと
言われるが、文字による表現の原作と映像
思う。
を手段とする映画は当然のことながら別
-1-
★特集:映画
わがイタリア映画
表現芸術学科 教授:志賀 泰子
「映画」をテーマにしたお題を頂いた時、
自慢の息子だった。当然マフィア側で生きて
正直戸惑ってしまった。何故かというと私が
いくはずだった、が青年期をむかえた彼は同
映画館に出向く事は余りないからである。
世代の友人達とマフィア撲滅のためのレジ
ただはるか古に見た強烈な印象を持った
スタンス運動に係わる。その結果彼の父親は
作品はある。それはジュリエッタ・マシーナ
何者かによって殺されペッピーノも死体で
主演の『道』である。彼女の無垢な微笑みと
発見される。社会派ドラマを撮り続けている
悲しげな瞳は、(たぶん)高校生位だった私
監督らしい作品とはいえ、事実を提起された
の心にもしっかりと入りこんでしまった。今
観客はそのやりきれない問題を弥が上にも
考えてみると、長じてイタリア熱症候群にな
凝視しなくてはならない。
る素地がその頃から芽生えていたのかもし
もう一つの作品はエルマンノ・オルミ監督
れない。故にその患者となっている今では、
の『ジョヴァンニ』である。京都でしか上映
必ずといっても過言ではないぐらいイタリ
されなかったので当然時間をやりくりして
ア映画が上映されると聞くと、
その映画館に
見に行った。これは史実で16世紀初頭新しい
足を運んでいるのである。残念ながらその機
武器・大砲によって死に至った最後の騎士と
会はあまり多いとは言えないが・・・。イタ
言われているフィレンツェのあのメディチ
リア映画を楽しみ、とかストレス解消の為に
家のジョヴァンニ・ディ・メディチの物語で
見に行くのは大きな間違いである。映画館を
ある。
出るともっと深い苦い思いをかかえてしま
ティブルスの文章が冒頭に現れる。「武器
う事になるかもしれないから。
というものを発明したのは誰か?
だが発
私の大切な作品はイタリアの大巨匠ルキ
明者に罪はない。野獣から身を守るために作
ーノ・ヴィスコンティの『山猫』であるが、
られた道具を悪用したのは我々自身だ」と。
あえてマイナーな作品について書いてみた
重苦しい気分で映画館を後にした私はこの
い。
言葉が離れなくなる。これは紀元前のローマ
その一つは『ペッピーノの百歩』。マルコ・
の詩人が書き記したのに何と現代の世界情
トゥリオ・ジョルダーノ監督、作家でもある
勢に適合している事であろう。
彼は脚本も自身が手がけている。ペッピーノ
でもやっぱり私には『山猫』のラストシーン、
は主人公の名前で舞台はシチリア、とくれば
滅びゆく貴族、堂々たる風格の主人公。彼の
マフィアがらみの映画だと容易に推察され
人生にも黄昏が近付いている。
華やかな舞踏
るであろう。過去にもシチリアを舞台に様々
会から一人静かに立ち去る後姿、路地の暗闇
なマフィアに関する映画が華々しく上映さ
にまるで風景の中に溶け込むように消えて
れてきたがこれは実在の人物である。
いくこの場面がたまらなく好きだ。
マフィアのボスの家から百歩しか離れて
いない所で育った彼は聡明な子供で、父親の
-2-
★特集:映画
私の映画体験
生活学科 教授:田中 裕
「映画について何か書いて下さい」とい
映画を探しだし、それを見にいくのであ
う編集者からの注文であった。しかし私の
る。連れられていくつか見たが、『哀愁』
映画体験はとても貧弱である。映画館で見
『ひまわり』『誓いの休暇』『羅生門』『七
る映画に限定すると高校卒業までは記憶
人の侍』などが記憶に残った。『哀愁』や
にある限りでは小学校 3,4 年の時に 1 度だ
『ひまわり』などは本当にかわいそうで、
けである。ただし小学校の時は数年に一度
こんなことがあっては良くないと心から
学校で映画鑑賞の機会があったように覚
思った。小学校の時見た映画と同じで感情
えている。映画館での最初の鑑賞は極めて
的に強い影響を受けたことは確かである。
衝撃的な結果となった。まだ若かった叔母
これが映画のもっている恐ろしさとも言
さんに連れられて行ったのだが、題名は全
える。映画の主張が正しくても、そうでな
く覚えていない。内容もはっきりとは覚え
くとも強い感情を呼び起こす働きを映画
ていないが、極めて恐ろしかった記憶だけ
はもっている。特に一見正しそうな主張を
は鮮明に残っている。暴力を振るったり殺
もっていると、感情的に動かされたあと
したりする映画であった。当時はテレビも
は、その主張の正しさを論理的につめるこ
無かったからそのような物を目にするこ
とを怠りがちになる。恐ろしいことであ
とは初めてであった。しばらくは恐ろしさ
る。
で夜、目を覚ますことがあった。恐ろしさ
ただし、現在は感情的にはかなり鈍感に
が薄れたのは高校生になってからである。
なってきている。裏や表や上や下を考える
プラトンは有名な教育書「国家」の中で、
ので、感情的高まりは小学校や 20 歳台の
「まだ成長せず判断がつかないうちは正
時とはかなり違っている。今は映画より現
しいことのみ教えなさい」と言っている。
実に起こっている事実そのものから刺激
確かにそうだと思う。
を受けることが多い。
映画をよく見だしたのは大学院になっ
てからである。同じ研究室の後輩が週に何
度も見る映画マニアであったので、それに
感化されて見に行った。彼は週に何度も見
る方だから、封切り映画を見るだけではな
い。いろいろと怪しげな場所で上映される
-3-
★特集:映画
実験を映画にしてみたら
都市交流学科 准教授:村上 幸史
心理学や社会心理学の知見を応用した
人役には罰を与える立場だったのですが、
映画はいろいろありますが、研究内容その
実験が進むにつれて、次第に権力を持った
ものを題材にした映画は珍しいと思いま
者はそれを利用し、囚人役の者はそれに反
す(娯楽映画向きではないからでしょう
抗したり、過剰に看守役に従ったりという、
か)。今回はその社会心理学の研究自体を
予想以上の参加者の行動の変化にジンバ
題材にした「es(エス)」という映画を紹
ルドー自身も興奮したという逸話が残っ
介させていただこうと思います。
ているほど、参加者は本物の看守と囚人の
社会心理学では、実験という手法を用い
ような関係になっていきました。実験は途
て人の行動を観察するということがよく
中で中止されたのですが、エスカレートし
行われます。中でも有名なものが、スタン
た実験の結末は、映画を見てもらうことに
フォード大学のジンバルドーが行った実
しましょう。
験です。アメリカの 1960 年代から 70 年代
このような予想以上の衝撃的な実験結
には、良くも悪くも自由な発想で行われた
果は、さまざまな波紋を引き起こしました。
実験が数多く見られた時代でした(現代で
例えば「参加者が裁判に訴えた」という噂
は、倫理上不可能な実験が多数あります)。
があることが知られています(これはあく
映画「es」はこの実際の実験をモデルとし
まで噂らしいのですが)。また実際に、実
た映画です。
験内容を取材して公表するために潜入し
ジンバルドーは大学の地下を改造して
て参加した活動家がいたらしいのです。こ
模擬的な刑務所を作り、実験の参加者を募
の潜入した者をモチーフとした人物が映
集しました。監視カメラや鉄格子付きの本
画のストーリーの鍵となっています。
格的な監房です。一日につき 15$の報酬が
映画の内容には作り話が交えられてい
与えられることが約束され、選ばれた 24
ますが、この実験自体はごく普通の人を集
名の男子大学生は看守役と囚人役にラン
めて行われたものです。研究としては不完
ダムに分けられました。リアリティを持た
全なものであっても、映画の題材として成
せるため、囚人役の学生は逮捕されてパト
り立つのは、人間のある種の本質を突いて
カーで運ばれ、鎖や囚人服を着せられたり、 いるところがあるからだと思います。あな
囚人番号で呼ばれたり、短髪を強制された
たなら、看守役になったとき、あるいは囚
り、看守役の学生もまたサングラスや看守
人役になったときどうするだろうか」とい
役の制服を着用させられました。
うことを考えながら、一度、この映画を見
看守役は命令をし、それに服従しない囚
てみてはいかがでしょうか。
-4-
利用者からのたより
図書館を利用している学生から、本に対する想いなどを書いていただきました。
私と本の関係
都市交流学科 1 年生:村本 暁彦
私は、ほんの数年前まではほとんど本を
だだけで『大地』にはまってしまいました。
読まず、夏休みの読書感想文のために本を
その日からは、早く続きが読みたい一心で
読むことさえ嫌いで、本と言えばマンガで
授業中も先生の目を盗んでも読み続けて
した。しかし、いくつかの本との出会いと
しまいました。
時間の経過と共に私は本を読むようにな
そして、そうこうしているうちに私は石
りました。
川達三の『人間の壁』に出会うことになり
私と本との今のような関係が始まった
ました。これは私が今まで読んだ作品の中
のは、中学 3 年生の夏でした。とある用事
で1番面白い作品です。石川達三の作品は
のために週一で三宮に出かけることがあ
基本的に戦中、戦後の時に書かれており、
りました。そこでマンガやライトノベルを
新しい政権や古い風習の狭間で揺れ動く
多量に取り扱っている店に頻繁に行くよ
登場人物の心理状況の描写を上手く描い
うになり、そのうち当時はやっていたライ
ています。また、新しい政権や古い風習に
トノベルを買って読むようになりました。
対する矛盾を鋭く描いており、作品によっ
高校 1 年生の 10 月頃には朝早く登校し、
ては実際に現代に起きているようなこと
ホームルームまで 40 分ぐらいはいつも余
まで描いている場面まであって、本当に昔
裕がありましたので、持て余していた朝の
に書かれた小説なのか、と疑問に思うこと
時間に読んでいました。また、昼休みも親
が多々ありました。
友が何処かに行ってしまい、話す相手がい
そうこうしているうちに私は、本の面白
なかったので、その時間が勿体無いと思っ
みに気づきました。本はいろんな知識を与
ていました。そんな時に、自分の部屋を掃
えてくれるものであると気づき、無くては
除していると本棚から、親が昔読んでいた
ならない友になってしまいました。今では
パール・バックの『大地』の翻訳本が出て
何処に行くのにも基本的には必ず本を持
きたので、これはちょうど良い暇つぶしに
っていくほど、必須アイテムになりました。
なると思い半分いやいやながら読み始め
ました。しかし、第一章をほんの少し読ん
-5-
利用者からのたより
本
都市交流学科 2 年生:山本 大祐
結論から言うと、本を読む習慣を持たな
いあなたが好きになる本は必ずある。
字を読むこと自体が苦手だという人も
いる。だから本を読まないのだ、と。そん
この世には、正確なところは分からない
な字は捨ててしまうといい。読んでいて楽
けれど、数え切れないほどの本が存在する
しくなる字を探せばいいのだから。そのた
のだ。紀元前から蓄えられた人類の知識は
めに図書館や図書室がある。義務ではない
生半可な量ではない。一つとしてあなたの
のだから、嫌ならやめるのは当然だ。ただ、
気に入る本がないとすれば、それこそ奇跡
何をやめるか、である。本を読むことをや
的な事件だろう。あなたの頭上に隕石が降
めるか、つまらない本を読むことをやめる
る確率の方がまだ高いはずだ。これは、例
か、だ。後者を選んで欲しい。切に願う。
えば小説やエッセイに限定したとしても、
仮に、それでもあなたの趣味や興味に合
まだ同じことが言えるのではなかろうか。
致する本が一つとしてなかったとすれば、
それくらい世の中には本が溢れている。あ
私はあなたの元へ出向いてしっかりと頭
なたの興味に限って取りこぼすはずがな
を下げなくてはならない。その趣味や興味
い。
について執筆してもらうために。
字を読むこと自体が苦手だという人も
いる。だから本を読まないのだ、と。確か
にまったく疲れない行動というわけでは
ないが、それを言えばどんな行動だってそ
うだ。例えば、あなたの趣味は、楽しいと
思えることはなんだろうか。スポーツでも
音楽でもあるいは日向ぼっこでも、何だっ
ていい。疲れるかどうかなんて尋ねやしな
い。人間、起きてりゃ疲れるだろう。重要
なことは、疲れることを意識するかどうか、
である。もちろん、そんなことを意識して
楽しむモノなどない。原理的にありえない。
楽しいときは疲れを忘れる。我すら忘れる
人もいる。
-6-
利用者からのたより
図書館の実用性
表現芸術学科 1 年生:大野 薫
私は学校の施設の中でも、特に図書館を
なくて落ち込んだときもあったが、そんな
活用したいと思っていた。芸術という専門
時こそ読書は冷静な判断力を取り戻すた
分野以外にも、読書が好きで、様々な分野
めに役立った。
の本を以前から興味を持って読んでいた。
確かに今は、テレビ・インターネット・
その経緯もあってか、自然とほぼ毎日気付
携帯電話があるが、どれも受け身的である。
いたら、図書館へ足を運んでいた。授業中
ところが読書は、意識を集中させるという
に先生が紹介してくれる本を探しに来た
積極性がある。
ことが、積極的に足を運ぶきっかけとなっ
た。
図書館では、ゆったりとした時間が流れ
ていて、私のお気に入りの場所の一つであ
図書館では探している本は、パソコンで
るし、新たな可能性を引き出してくれる場
検索すれば簡単に見つかり、何よりも本が
所でもある。それが私の趣味にも専門分野
充実していた。そして入学当時は、施設の
にも反映してくれると期待している。
利用がわからず困っていた私に、職員の方
が丁寧に説明してくださった事も手伝っ
て、安心して通える場となった。
図書館は様々な利用法があるから、毎日
が新鮮である。レポートを作成したり、学
びを深めたり、新たな分野の知識を習得す
るのにも有効だった。
しかし、授業と芸術の実技の習得に毎日
多忙だった私は、本を読める時間が限られ
ていた。学生生活の中で、自分の目標を達
成するための時間管理は、最も重要な課題
となっていた。私の場合は、通学に片道一
時間半かかることもあり、通学時間も読書
することにした。そんな時間の隙間をうま
く利用すれば、それだけやれることも増え
ていく。時には疲労が溜り、自己管理でき
-7-
短大生活は短いからこそ、濃縮した時間
を過ごしたいと思っている。
利用者からのたより
選書ツアーについて
環境文化学科 3 年生:原 智沙都
この本が読みたい!というときに、図書
私は今、学生会で執行部をしています。
館に行ってもないときがあったり、貸し出
クラブ活動をしている友達も増えました。
されていて借りられなかったりします。好
夏休みに学校に集まることも多いのです
きな本を読みたいときに、読むことが出来
が、意外に一人暮らしの人が多いことを知
たらすごくいい。
りました。この本をみんなのところに持っ
そういうこともあり、ジュンク堂書店に
て行って、一緒により良い一人暮らしにつ
て 1 人につき 1 万円まで何冊でも好きな本
いて語り合えたらと思います。
または、本学生の方におすすめしたい本を
料理の本も選書しました。この本も、一
私達が選びました。
人暮らしのみんなが家で料理を作る助け
その中でも、特におすすめしたい本は
になれば、と思って選書しました。この本
『一瞬の風になれ』という本です。高校が
もみんなにすすめてあげたいと思います。
舞台の爽快陸上青春小説です。才能の残酷
山手で選書ツアーという素敵なツアー
さ、勝負の厳しさに出会いながらも走るこ
に参加できることに、山手の学生として感
との楽しさを、読みながら感じることがで
謝の気持ちでいっぱいです。
きました。
学生選書コーナーに、選書したおすすめ
の本がたくさん並べられてあるので、ぜひ
皆さん読んでみてください。
今回私は、一人暮らしに役立ちそうな本
を 2 冊選書しました。私は最近山手大学の
近くで一人暮らしを始めたのですが、一人
暮らしを始めてすぐは分からないことだ
らけでした。一人暮らしの私にとっても、
山手の近くで一人暮らしをしている私の
仲間たちにも、この本は役に立つと思いま
す。私はこの本を、一人暮らしをしている
山手のみんなに教えてあげたいと思って
います。
-8-
ようこそ神戸へ
都市交流学科 准教授:中島 暢美
マイブック・コレクション
『NOBODY NOWHERE Donna Williams 1992
取り出され、思いがけず与えられた課題に手
自閉症だったわたしへ』
探りで奮闘する未熟な臨床家にとって欠か
ドナ・ウィリアムズ/河野万里子訳
せないテキストとなっていた。
しかしその実
1993 新潮社
際は、イギリス全国自閉症協会のウィング氏
が、知的障害を伴わないタイプも含め、自閉
大学を卒業するクライエントと別れの握
症の基本障害を生涯保持し一つの連続的な
手をした時、その手が透けるように白く柔ら
状態像を示す自閉症スペクトル障害を唱え、
かい女性の手であることに驚いた。急に立ち
また本書が出版されて 10 年以上が経過して
上がって怒鳴り散らし、書棚を蹴っ飛ばし、
いたのにもかかわらず、クライエントが容易
凄まじい音をたてて扉を閉めるといった行
に受け入れられる日本社会であるとは到底
動の一方で、優雅に楽器を奏でる華奢なその
言い難いことを痛感するばかりだった。
現在、
手が存在していたことに、私は改めて気づか
ドナ・ウィリアムズ氏は社会学者・教師とし
されたのだった。昨今、高機能広汎性発達障
て活躍し、世界中で講演活動を行っている。
害と診断されるようになったこのようなク
そして、2007 年 9 月には神戸にやって来る。
ライエントに出会うことになろうとは、
初め
初めて耳にしたドナの言葉は私の理解を撥
て映像※1 の中のドナを観た時には想像する
ねつけるかのように鬱陶しく、
私はそこに自
ことさえできなかった。その後、本書を手に
らの言葉を見出すことができなかった。
だが、
したが、私とドナの距離が縮まることはなか
数々の逆境の中で自らを生き抜く手法を学
った。防衛というカラクリによって、「わか
び取り、身につけてきたドナ・ウィリアムズ
らない」という圧倒的感覚は、私とは「関係
氏という人を「わかりたい」と、今は切に思
ないこと」に変換された。かくして本書は棚
う。私はこの好機に恵まれたことに感謝し、
の隅に追いやられたのだった。ところが、あ
これからも本書の中に描かれているような
る日、
「私のドナ」は学生相談室に来室した。
「私のドナ」と真摯に向き合っていきたいと
私は誤解をまねきがちなクライエントの行
考えている。
動にはどのような意味があるのかを考え、そ
の真意を正しく理解し、通訳すべく支援者と
※1.
「ようこそ私の世界へ ドナ・ウィリアムズ」
ならねばならなくなった。本書は再び棚から
NHK 1996,2.18
-9-
― 使ってみよう!データベース ―
「日経 BP 記事検索サービス」
日経 BP 社のビジネス専門誌約 16 誌の情報の中から、ほしい記事を検索して閲覧できるサー
ビスです。
日経BP記事検索サービス トップページ
ビジネス界の最新動向を知ることができる「日経ビジネス」
・
「日経ベンチャー」
、パソコンに
関するあらゆる情報を網羅しつつ、初心者でも読みやすい構成となっている「日経パソコ
ン」
・
「日経 PC21」
、その他、建築・環境・サービス・医薬・看護・バイオなど、さまざまな
分野の雑誌をカバーしています。そして、もっとも大きな特徴は、それらの雑誌記事そのも
のが、PDF ファイルで画像や写真を含めて見られるということです。
日経ビジネス 記事例
日経パソコン 記事例
-10-
記事検索機能においては、キーワード検索はもちろんのこと、雑誌の表紙や会社名からも検
索ができるようになっています。その他、人気記事ランキングやパソコンスキルアップ講座
など、特集やコーナーの企画にも工夫が見られ、非常に扱いやすく人気の高いデータベース
です。
利用は学内のコンピュータに限られますが、どうぞご利用ください。
キーワード検索画面
人気記事ランキング
パソコンスキルアップ講座
-11-
前号からスタートした連載記事「早寝・早起き・朝ごはん」
ここでは、生活学科准教授の原知子先生にお願いをし、美味
しくて健康的なレシピを紹介していきます。
*********************************************************
今年の夏はことのほか暑さが厳しかったですが、元気に乗り
切れましたでしょうか。食事・休養・運動に気をつけて「や
りたいことをしっかりやれる」身体を養っておきましょう。
さて、朝ご飯のお話ですが、皆さんは次ページのどの状態で
しょうか。とりあえず現状から 1 ステップ、レベルアップを
目指しましょう。
生活学科 准教授:原 知子
*********************************************************
-12-
Q: あなたはどのタイプ?
A:ほとんど食べない
→
果物やジュースあるいは牛乳くらいは。
B:果物や飲み物など手をかけないものをとりあえず食べている
→
前夜の下準備と朝に何とか 10 分、朝食準備のための時間を確保して、納豆や目
玉焼き(タンパク質)、野菜たっぷりの味噌汁かスープ、ご飯かパン、というス
タイルを確立してみましょう。
C:既にご飯、汁物、主菜の形が定着している方
→
バリエーションのつけ方を工夫していることと思います。当然中身の材料を変
化させているとは思いますが、調味のバリエーションもポイント。例えばお味
噌汁の場合はお味噌に凝ってブレンドを楽しんで見ましょう。
D:完璧に自信をもって毎朝食事をしている方
→
このコラムはあまり必要ないかもしれません!!
食事バランスガイドなどで 1
日の充足率を確認してみましょう。
さて、今回はBタイプの方対象のメニュー紹介です。あらためてご紹介するのも躊
躇する位の基本形ですが、ポイントは「前夜の準備」です。自分の分だけでなく家
族の分も作ってみて下さい。
-13-
材料(4 人分)
・お米 1.5∼2 合 ・味噌 ・梅干 大 4 個分位 ・うす揚げ 1/2 枚 ・じゃが芋 1/2 個
・玉ねぎ 1/2 個
・えのき茸 1/3 パック
・乾燥わかめ 2g 位 ・卵 2 個
・煮干 10 匹程度 ・スライスチーズ 4 枚
・ベーコン 2∼3 枚 ・ねぎ 1 本
・サラダ水菜 1∼2 株
**********************************************************************************
■ 前夜にしておくこと
(もちろん材料の買い物などは前夜以前ですが・・・)
1)
炊飯器のスイッチ ON
2)
味噌汁を作るお鍋に 600ml の水を入れ、煮干の頭と内臓を取ったものをお茶パックに
入れてつけておく(こうすると煮出す時間が 5 分位でいいおダシが取れます)
3)
玉ねぎを 5mm 位の薄切りに切っておく。
(玉ねぎは血液サラサラ物質を増やすために)
もちろん、少し早起きしてやれるといいですね。そのときは煮出し時間を 15 分くらいとって
ください。
**********************************************************************************
■ 朝の準備
1)
味噌汁の鍋を火にかけ、ダシを煮立たせる。じゃが芋をイチョウ切りにし、さっと水
にさらし、ダシと一緒に煮始める。えのき茸は根元を切り落として 1/2 の長さに切り、
鍋に加える。わかめを少量の水で戻す。薄揚げは熱湯をかけて油抜きし、5×30mm位
の短冊切り、玉ねぎも入れる。ねぎを小口切りに切る。じゃが芋が軟らかくなって材
料が煮えたら、パックの煮干を取出し、わかめ、ねぎを加えて火を止め、味噌を溶き
入れる。
2)
味噌汁を煮ている間に、卵をときほぐし、小さじ 1/4 の砂糖、小さじ 1/6 の塩を入れ
均一に混ぜる。
3) サラダを準備。ベーコンを 5mm 幅、水菜は 3cm の長さに切る。ピーマンは 3∼5mm 幅の
細切り。次に卵焼き器を加熱し、油をうすくしいて温度が上がったら、卵 1/2 個を入
れる。固まり始めたらスライスチーズをのせて半分に折るか、巻き込む。
今度は油をしかずにベーコンをカリカリに焼く。ある程度油が出てきたら、油を切っ
て水菜の茎の部分とピーマンを入れ、さっと炒める。
最後に水菜の葉の部分を混ぜてできあがり!お好みで塩・胡椒(あればクレイジーソ
ルト)を振り掛ける。
**********************************************************************************
ご飯と味噌汁、サラダを盛り付け、りんごを添えて、いただきます。
1 人分、約 500kcal。野菜類も 7 種類入っています。
-14-
図書館からのお知らせ
One Theme Library
毎回あるテーマにちなんだ図書を紹介するイベントです。前期は 3 回おこない、いずれ
も評判は上々でした。後期は『“食欲の秋” 到来!−“食”について知ろう』からスタ
ートです。“食”についてさまざまな角度からアプローチします。どうぞお楽しみに。
学生選書ツアー(後期)を実施します
11 月にジュンク堂三宮店において、今年度第 2 回目の学生選書ツアーを実施します。こ
れは、図書館に置いてほしい本や、高価で自分ではなかなか買えない本などを実際に本
屋で手に取りながら選書するという企画です。
この選書ツアーの参加者を募集します。詳細は図書館ホームページ、または学内掲示を
ご覧ください。
なお、6 月に実施した第 1 回目のツアーには 6 名の学生が参加し、どの学生も広い店内を思
い思いに見て回り、さまざまなジャンルの本を選んでくれました。なお、そのときに購入し
た本は、図書館閲覧室内「学生選書コーナー」に配架しています。
・・・・・・・・編
集
後
記・・・・・・・・
今年の夏は「記録日」の言葉の多い、暑い日が続きま
した。皆様は無事、この暑さを乗り越えられましたでし
ょうか。さて今号から担当が私、小野に代わりました。
できるだけ多くの方に読んでいただきたいという思いか
ら、文字を大きくするなど、読み易いように編集をいた
しました。今後も皆さまのご意見を取り入れ、さらに充
実した図書館だよりをお届けしていきたいと考えており
ます。これからも「すわやま」を、どうぞよろしくお願
いいたします。(小野)
-15-