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遷移金属酸化物を用いた超大容量不揮発性メモ リとその極微細加工

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ULVAC TECHNICAL JOURNAL No.67 2007
遷移金属酸化物を用いた超大容量不揮発性メモ
リとその極微細加工プロセスに関する研究開発
西岡 浩*,小風 豊*,鄒 紅 *,
村松英信**,島 久**,高野史好**,秋永広幸**
して期待されている。
1.はじめに
しかし,ReRAM の動作原理は解明されておらず,材
料も多種にわたるため,メモリ集積化の開発が進んでい
近年,遷移金属酸化物を用いた新しい不揮発性メモリ
ない3, 4)。
として抵抗変化メモリ(Resistance Random Access
Memory: ReRAM)が注目されている。ReRAM の単一
ReRAM の動作方法には2つの方法があり,異なる極
セル構造は,絶縁体または半導体的な電気特性を示す遷
性の電圧を印加して抵抗を変化させる動作をバイポーラ
移金属酸化物を金属電極で挟んだ単純キャパシタ構造で
動作,同一極性の電圧を印加して抵抗を変化させる動作
あり,パルス電圧を印加することにより巨大な抵抗変化
をユニポーラ動作と呼ぶ。ユニポーラ動作を示す素子で
を発生させることができる。表1は様々なメモリ比較で
は,初期状態の素子に比較的高い電圧を印加するフォー
あり,ReRAM は次のような特徴を持つ
1, 2)
ミング動作を必要とする場合が多い。本研究では,成膜
。
1) 3 V 以下の低電圧動作
およびエッチング技術の開発を行い良好なスイッチング
2) 数十 ns レベルの高速動作
特性を得ると共に,プロセスパラメータと素子特性の関
3) ON/OFF 比が 10 から 10000 と大きい
係から不揮発性抵抗スイッチ現象を解明することを目的
2
としている。
4) 4 F の最小セル面積が可能
5) 多値化が可能
2.遷移金属酸化物成膜技術の開発
特に4)と5),また後述のように ReRAM 製造プロ
セスが CMOS プロセスとの整合性が良いことから,高
集積化によるビットコスト低減が可能であり,DRAM
ReRAM 材料は,ぺロブスカイト酸化物のような三元
や Flash メモリを代替・統合するユニバーサルメモリと
系化合物と,CuO や TiO 2 のような二元系酸化物に分類
表1 様々なメモリの比較
DRAM
不揮発性
SRAM
NAND-Flash
Nor-Flash
FeRAM
MRAM
PCRAM
ReRAM
×
×
○
○
○
○
○
○
ランダムアクセス ○
○
×
○
○
○
○
○
書き換え回数
> 1015
> 1015
105
105
> 1012
> 1015
> 1012
> 106
読み出し時間
10 ∼ 50ns
2 ∼ 8ns
25 μ s
70ns
20 ∼ 30ns
5 ∼ 50ns
10ns
10ns
書き換え
10 ∼ 50ns
2 ∼ 8ns
300μs/byte 10 μ s/byte 20 ∼ 30ns
5 ∼ 50ns
50 ∼ 500ns
30ns
消去
10 ∼ 50ns
2 ∼ 8ns
1 ∼ 100ms
5 ∼ 50ns
20ns
30ns
書き込みエネルギー 中
高い
高い
高い
低い
中
低い
低い
セル面積(F2) 6 ∼ 12
50 ∼ 100
4∼
7∼11
15 ∼ 30
∼ 20
5∼8
4∼6
なし
なし
∼ 10ms
20 ∼ 30ns
多値化の可能性 なし
なし
あり
あり
メモリ原理
電荷
浮遊ゲート
浮遊ゲート 強誘電体キャパシタ 磁気抵抗素子
セル間干渉
高い駆動電圧 キャパシタ
電荷
スケーリング限界 セル・トランジスタ セル領域
* (株)アルバック 半導体技術研究所
** 産総研 ナノテクノロジー研究部門
関連部署:先端機器(事)、第2半導体装置(事)
1
あり
あり
相変化膜
不明
高い電流密度 リソグラフィ
リソグラフィ
15
15
12
12
9
9
6
6
3
3
0
0 1 2 3 4 5
0
0 1 2 3 4 5
a)室温成膜
b)室温成膜+酸素ラジカル
図2 CuO 室温成膜におけるPt/CuO/W 素子の電流電圧特性
の電流電圧特性を示す。図2-a)は室温成膜,図2-b)
図1 スパッタ装置概略図(MPS-3000-HC6-TO,アルバ
ック先端機器(事)製)
は酸素ラジカルを用いた室温成膜であるが,どちらもフ
ォーミングが起こらず,スイッチング特性は確認できな
かった。
される。二元系酸化物は,三元系酸化物と比較して結晶
構造や元素の構成が単純であり,低温での成膜も可能で
一方,図3のように CuO を 400 ℃で成膜したプロセス
ある。さらに,Cu や Ti のような金属の酸化物は,Si プ
ではフォーミングが起こり,スイッチングが確認された。
ロセスとの整合性も良い。本報告では,二元系酸化物に
このときの XRD 測定結果を比較すると図4のように室
注目し,スパッタ法による成膜を試みた。
温成膜がブロードなピークであるのに対し,400 ℃成膜
は CuO の結晶ピークが得られている。原理の詳細は調
2.1 成膜装置
査中であるが,CuO スパッタ成膜プロセスでは,成膜
時の結晶性が抵抗変化特性に重要であることが分かった。
図1に,本研究で用いた成膜装置の概略図を示す。本
装置は,アルバック先端機器事業部製のスパッタ装置
MPS-3000-HC6-TO であり,最大6のカソード,酸素ラ
2.3 TiOx
ジカル源およびプレエッチング機構を備えており,プレ
図5に,本スパッタ装置で作製した Pt/TiO/Pt 構造の
エッチングから電極成膜,絶縁物成膜の In-situ プロセス
電流電圧特性を示す。図5-a)は,as-depo 膜,図5-b)
が可能である。基板サイズ 3inch,最大基板温度 600 ℃,
は,成膜後,In-situ で酸素ラジカルアニールを行った素
2inch 斜入射カソードに基板回転機構を備えており,均
子である。As-depo 膜は,図5-a)のように高電圧を印
一な膜質分布を実現可能である。
加してもフォーミングが起こらず,従って,可逆的な抵
抗変化が起こらない。一方,酸素ラジカルアニールを施
2.2 CuOx
した素子は,図5-b)のようにスイッチング特性が確認
図2に,本スパッタ装置で作製した Pt/CuO/W 素子
され,抵抗の ON/OFF 比は 0.25V で 1000 倍以上となっ
R.T.
400 C
8
6
15
4
2
10
0
5
0
0
CuO(11-1)
Pt/CuO/W probe
20
CuO(002)
25
1
2
0
5
3
10
15
4
20
5
34.0 34.5 35.0 35.5 36.0 36.5 37.0
図3 CuO400 ℃成膜におけるPt/CuO/W 素子の電流電圧特性
図4 CuO の XRD 測定
2
2
20
10
15
0
10
10
-2
10
5
Pt/TiOx/Pt
As deposition
-4
10
0
3
6
9
12
0
0
a)as-depo
1
2
3
b)酸素ラジカルアニール
図5 Pt/TiOx/Pt 素子の電流電圧特性
た。このことから,抵抗変化素子には,膜の酸化度を制
エッチング生成物が素子パターン側壁に付着しやすく,
御することも重要であることが分かる。
電極でサンドイッチされた ReRAM ではリークの原因と
酸素ラジカルアニールを施した素子を用いて,DC 電
なる。本研究で我々は Si 半導体で一般的に用いられて
圧を印加して対抗スイッチングの繰り返し特性を評価し
いる O 2 /N 2 /CHF 3 ガス系にて遷移金属酸化物を用いた
た。その結果,図6に示すように 3000 回の抵抗スイッ
ReRAM 素子の加工を試み,エッチング特性を評価した。
チングに対して ON/OFF 比はほぼ一定であり,極めて
安定な繰り返し特性が得られた。
3.1 エッチング装置
3.遷移金属酸化物加工プロセスの開発
チング装置 CE-300I を示す。本装置は ISM(Inductively
図7に本研究に用いた,第2半導体装置事業部製エッ
Super Magnetron)プラズマソースにより低圧・高密度
メモリの大容量化のためには微細なメモリセルを制御
プラズマを発生させ,静電チャックに保持した基板にバ
性よく加工する必要があり,また CMOS プロセスとの
イアスパワーを印加することにより難エッチング材料を
親和性の観点から,半導体分野で広く用いられている反
効率的にエッチングすることができる。
応性イオンエッチングによる加工プロセスの開発が求め
られている。ReRAM で使われている抵抗変化膜は Co や
3.2 エッチングプロセス評価結果
Ni 等の遷移金属が用いられており,これらの材料のフ
図8に ReRAM 材料として有望な Ni-O,Cu-O,Co-O
ッ化物や塩化物の蒸気圧は低く,難エッチング材料とし
て知られている。この様な材料をエッチングした場合,
8
10
6
10
4
10
2
10
0
10
0
1000
2000
3000
図7 アルバック第 2 半導体装置(事)製エッチング装置
CE-300I
図6 Pt/TiOx/Pt 素子のスイッチング安定性
3
Co-O(8nm)をエッチングした ReRAM 素子の断面 TEM
写真と,電流電圧特性のグラフである。断面写真から側
壁に付着物が無いことがわかる。
また電流電圧特性では,
良好な抵抗変化特性が得られたことを示している。
4.まとめ
良好な抵抗スイッチング特性を示す ReRAM 素子を得
るための成膜およびエッチング技術の開発を試みた。成
膜における結晶性と酸化度合いの制御,エッチング残渣
の除去などにより,優れた抵抗変化特性が得られること
が確認された。今後,ReRAM 素子特性の成膜およびエ
ッチングパラメータ依存性を調査し,ReRAM の動作原
理の解明を行うとともに,ReRAM 量産技術の開発を試
みる。
謝辞
本研究の一部は NEDO 技術開発機構の委託を受けて
遂行された。
参考文献
図8 遷移金属酸化物のエッチング基礎特性
のエッチング特性を示す。エッチング条件は CHF 3 /
1)January 2003 NIKKEI MICRODEVICES, P72-83.
N2/O2 = 3/9/12sccm,圧力 0.5Pa,アンテナパワー/バ
2)April 2005 NIKKEI MICRODEVICES, P37-70.
イアスパワー= 300W/150W を基本条件として,アンテ
3)澤 彰 仁 : 応 用 物 理 , 第 7 5 巻 , 第 9 号 ( 2 0 0 6 )
P1109-1114.
ナパワー,ガス流量比依存性を調査した。エッチングレ
ートは概ね 10nm/min が得られており,上記ガス系でエ
4)Masashi Kawasaki, Akihito Sawa and Yoshnori
Tokura; SSDM2006, pp.286-287.
ッチングが可能であることを実証した。図9は実際に
図9 Pt/CoO/Pt 素子の SEM 写真および電流電圧特性
4
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