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食品安全の迷路を進む
食品安全・品質管理規格の世界的な統一は、ここ10年間、大きな国際問題となっています。多
くの食品安全規格と監査システムの中から適切なものを選ぶのは簡単ではありません。それらの規格
やシステムの違いを認識するのも恐らく不可能でしょう。このレポートでは、一般的な監査システムを紹
介し、食品安全に関する現代のトレンドを明確にしたいと思います。監査の選択肢について触れるだけ
でなく、食品安全の将来の方向性についてもアイデアを提供するのが、このレポートの目的です。
重要なのは、フードチェーンに携わる者すべてが、各種の規格やベンチマークがどのように関
連し、特定の監査システムの選択に結び付くパラメータを形成しているかを理解することです。品質管理
規格の科学的根拠を理解してこそ、バイヤーは、各種の監査システムを評価し、最も安全な製品を消費
者に提供する体制を整えることができます。
品質管理規格
HACCP(危害分析重要管理点)
「危害分析重要管理点(Hazard Analysis Critical Control Points)」を意味するHACCPは、最
終製品のテストを通じて危害を防止するだけでなく、製造工程中の危害防止に重点を置いた科学的かつ
体系的な手法です。HACCPは、食品加工に伴う健康上、安全上のリスクを除去あるいは大幅に軽減す
る製造段階を明確にしています。HACCPの最終目標は、これらの製造段階、つまり重要管理点を規制、
記録し、常に安全性を証明することです。このレポートで紹介するすべての監査システムは、HACCPを、
製造施設における食品安全システムを分析する基盤としています。
ISO(国際標準化機構)
ISO(国際標準化機構)は、国際的に受け入れられる商業用、産業用規格の策定を目的とした
スイス・ジュネーブの非政府組織です。品質保証と食品安全に関して最も認証範囲の広いISO規格は
ISO 22000です。ISO 22000規格は、現在の食品業界における原料調達の国際化に対応して考案され
ました。また、HACCPの理念を包含し、フードチェーンに携わる者すべてに食品安全システムの導入を
呼びかけることを目的としています。
2008年6月現在、北米大陸で発行されたISO 22000認証取得証明書はわずか22件です。北米
で発行されているISO 22000認証取得証明書は、世界で発行された総数の1.9%を占めるにすぎず、世
界の各大陸の中で最も少ない数です。証明書の発行枚数では、ヨーロッパと東アジアが世界トップを走
り、ヨーロッパでは661件(世界の発行総数の57.4%)、東アジアでは232件(同20.1%)発行されていま
す。
重要なのは、ISO 22000がGFSI(Global Food Safety Initiative:国際食品安全イニシアチブ)
のベンチマーク監査システムとして正式に認められていないことです。これは、食品安全業界で知られる
前提条件プログラム(PRP)がないためです。PRPは、従業員個人の衛生から製造施設全体のレイアウ
トまで、生産のすべての面を定義できる衛生プログラムです。当初のISO 22000文書におけるPRPの欠
如は、許容可能な前提条件プログラムを定義するPAS(Publicly Available Specifications:公開仕様
書)220の追加によって補われました。PAS 220文書が加えられても、まだISO 22000食品安全規格は
GFSIによって認められていません。
ベンチマーク
GFSI(国際食品安全イニシアチブ)
GFSI(国際食品安全イニシアチブ)は、2000年、食品安全に対する懸念と食品供給の国際化
に応じて設立されました。GFSIは、ベンチマーキングと呼ばれるプロセスを通じ、国際的な食品安全規
格と選択肢の協調を目指しています。ベンチマーキングとは、国際的な食品安全ビジネス/生産規格と、
食品業界で一般に受け入れられているベストプラクティスを比較するプロセスです。
GFSIの目標は、「一度、認証を取得すれば、どこでも通用する」ことであり、米国のWal-Mart、
英国のTesco、北欧のICA、ヨーロッパ本土のDelhaizeなど、最大手の食品小売業者が、1つ以上の
GFSI認証監査システムで監査を受けた施設で生産された製品だけを受け入れるという形で実現しつつ
あります。現在、GFSIに受け入れられているシステムは、BRC、Ductch HACCP、FSSC 22000、
Global Red Meat Standard、国際食品規格(IFS)、SQF 2000レベル2です。
監査の選択肢
AIB(アメリカ製パン研究所)
AIB(アメリカ製パン研究所)は、近年、AIBが検査をしているジョージア州のPeanut
Corporation of Americaの工場でサルモネラ食中毒事件が発生し、大きく報道されたことで非難を浴び
ています。9人が死亡、22,500人が食中毒症状を訴えたこの事件は、ニューヨーク・タイムズ紙に最も大
きく報道され、ジョージア工場の不衛生な環境が原因と考えられました。AIBは、事件にある程度の責任
を認めた上で、「記録を正す」と題したインターネット上の公式声明で、ジョージア州農業局の監査手順に
問題があると非難しています。
AIBのプレスリリースより重要なのは、AIBが、AIB検査官にGFSI認証の監査を実行する資格を
取得させ、AIB従来の物理的検査に重点を置かない方向に大きく進んでいるという事実です。AIBの検
査官は、現在、AIBの物理的検査に加え、GFSI認証監査、SQF、BRC、ISO 22000認証に対応した監
査を実行できるようになっています。
AIBの代表は、AIBの物理的検査とGFSI認証監査の違いを明確にすることを確認しました。ま
た、GFSI認証監査が文書記録の確認に重点を絞っているのに対し、AIBの物理的検査は製造施設その
ものを重視し、各工程段階における製品の物理的加工が衛生的であることを確認すると述べています。
BRC(英国小売協会)
BRC(英国小売協会)の監査は、GFSIに承認されています。BRCは、英国に製品を輸出しよう
とする小売業者やメーカーに最も普及しているとともに、世界市場でも存在感を強めつつあります。2009
年3月現在、BRCは、北米初のコンサルタントにジョン・クコリー氏を任命し、北米でBRC認証を取得する
メリットについて食品業界の各社に情報を提供する職務を与えました。現在、北米大陸には、400余りの
BRC認証施設があります。
BRCは、英国最大の小売業界団体です。GFSIの承認を得、英国外でもその力を強めることを
明確に意図したBRCの監査は、安全な食品の製造と輸出を確認する徹底した方法として全世界に普及
しようとしています。
FSSC 22000(食品安全認証財団)
FSSC(食品安全認証財団)は、ISO 22000とPAS 220の理念を組み合わせてFSSC 22000監
査システムを作成しました。最近、GFSIに承認されたばかりのFSSC文書は、このレポートの中で最も新
しい監査システムです。FSSC 22000は、「GMP(製造管理及び品質管理規則)とHACCP(危害分
析重要管理点)の各要素を総合的な管理システムに組み込み、食品安全管理システムの必要条件を指
定した国際的かつ監査可能な規格」を実現しています。
SQF(Safe Quality Food)
Safe Quality Food 1000、2000規格は1995年に施行され、2000のレベル2規格はGFSIに承
認されました。SQF 1000認証は一次生産者、SQF 2000認証は製造者と流通業者に適用されます。
SQF簡易手引き書は、この監査システムを「GFSI(国際食品安全イニシアチブ)によって承認され、一次
生産認証を食品の製造、流通、代理店/仲買業者管理認証と結び付ける唯一の認証システム」であるこ
とを強調しています。
SQF 2000監査では、3つのレベルの認証を取得でき、製造業者がSQF 1000または2000の商
標を使用するにはレベル3が必要です。レベル1は「食品安全の基本事項」、レベル2は「HACCP認証済
みの食品安全計画」、レベル3は「包括的な品質管理システム開発」を証明するとともにSQF認証プロセ
スの最終レベルでもあります。前述のように、SQF 2000レベル2だけがGFSIに承認されています。レベ
ル3を取得してSQF認証取得証明書が発行されると、レベル2も自動的に取得され、認証がGFSIに承認
されます。
米国政府の懸念
H.R. 2749(食品安全強化法案)
このほど米国議会下院が食品安全法案を可決し、上院が議論と修正を行っています。可決されれば、こ
の法案は、リスクに基づく3レベルのランキングシステムに従い、食品加工施設を検査するFDAの規制
力を強化することになります。そしてシーフードメーカーなどの食品安全リスクの高い施設は、リスクの低
い農業関係よりも頻繁に検査を受けることになります。FDAが検査を行う基準は、下院が可決した法案
では未定となっています。H.R. 2749には、海外から輸入した食品に規制をかけ、外国のメーカーが適
切な食品安全規格(現在のところ未定義)に従っていることを確認する権限をFDAに与える条項もありま
す。
一般的な質問
どの監査システムを使用すべきですか?
この質問に対する明確な答えはありません。さまざまな監査のメリットを比較することは、さまざ
まな炭酸飲料ブランドのメリットを、どれが最もおいしいか、そしてなぜか、と比較するようなものです。監
査システムの選択には、各監査の科学的なメリットより、バイヤーの嗜好と地理的場所が大きな影響を
与えます。
多くの関連当局が、特に他より優れた監査システムはないと考えていることは、一考に値します。
『Food Safety Magazine』の最近の記事で、リチャード・スティア氏は「この業界の監査システムをすべ
て調査したとしたら、恐らく結果はどれもだいたい同じということになるだろう」と書いています。また、カー
ギル社のジェニファー・ロビンソン氏は、同社がさまざまな監査システムを評価したところ、90%以上の構
成要素が同じだったと報告しています。
バイヤーや流通業者にとって必要な監査システムの選択においては、各種監査の内在的なメリ
ットよりも、認識されているメリットが重要となります。このように各種監査の実際の違いと認識上の違い
に不調和があるため、監査業界は、利益を最終目的とした大きなビジネスになりつつあります。
監査はどのぐらい有効ですか?
この質問には、さまざまな、そしてしばしば矛盾する答えがあります。現在の第三者による監査
システムは、どれを選んでも非効率的で非効果的であるとする考え方もあります。シアトルを拠点とする
食品安全コンサルタント、マンスール・サマドプール氏は、ニューヨーク・タイムズ紙の記事中で「第三者
による監査が食品安全に与える影響は、通信販売の卒業証書が教育に与える影響と同じ」と述べてい
ます。
大手バイヤーは、第三者による監査を、食品安全における信頼性と説明責任を維持するため
の必須要素と考えています。これは、米国の大手小売バイヤーが、法外な価格で各種の第三者監査シ
ステムを利用し、主張している事実にも現れています。また、監査の価格は、航空運賃から実際の監査
にかかる時間まで、あらゆる要因によって大きく変動します。監査会社から具体的な価格を引き出すこと
はできませんでしたが、たくさん払ったからといって良い監査が得られるわけではないことは確かだと思
います。
今後、食品安全はどうなりますか?
食品安全は世界の関心事です。GFSIのようなベンチマーキング機関があり、Wal-Mart、Tesco
のような世界的巨大企業がGFSI承認の監査方式だけを受け入れていることを考慮すれば、現場から加
工施設、皿に至るまで、食品業界のあらゆるレベルが食品安全の問題を深刻に受け止め、規格や監査
方法に何らかの世界的協調があって当然と考えるようになるのは、時間の問題と考えられます。政府、
巨大小売業者、消費者が、国際的食品安全規格と監査方法に統一性がないことを懸念するにつれ、世
界的に統一された食品安全規格や監査システムが開発される可能性がかつてなく高まっています。
世界規模で食品安全に関する選択肢を明確に定義することは、フードチェーンに携わる者すべ
てに有益となるでしょう。顧客の要望に応じて、製造施設が多くの異なる監査を受けなければならないよ
りも、だれでも利用でき、常に見直しと改善が行われる1つの監査システムがあったほうが、食品安全は
恐らく保証されるはずです。製造業者は、さまざまな食品安全認証の更新に毎年多額の投資をせずに
済み、さらに低いコストと高い安全性で食品を生産することが可能となるでしょう。
食品安全の世界的統一は、どうすれば実現するのでしょうか? 第一歩は、自分が商品を買う
施設に監査を要求する顧客に、1つのベンチマーク、恐らくはGFSIベンチマークを認めてもらうことです。
すべての顧客が、最新あるいは最高の監査と聞いたものを求めるのではなく、1つのタイプの監査を求
めるようになれば、製造業者は否応なく第三者による監査を統一するか、さもなくばビジネスを止めざる
をえなくなるでしょう。第三者による監査が現代に作り出している迷路は、行先が明確に見える長いまっ
すぐな廊下に変化させることができます。食品安全システムにおける明確性は、顧客が統一の価値を知
り、自分の商慣習を変えて、食品安全の重要性を反映させて初めて実現します。しかし当面は、混乱に
満ちた、そしてストレスの溜まる食品安全の迷路を歩いていきましょう。
SQF(製造、流通、仲買業者のためのハウツーガイド)
http://www.sqfi.com/SQF_2000_Guide.pdf
SQF(基本ガイド)
http://www.sqfi.com/SQF_Brief_Guide.pdf
サマドプール氏(シアトルのコンサルタント)の食品安全に関するPowerPointプ
レゼンテーション(食肉に重点)
www.marlerclark.com/pp/Session%202%20-%20Samadpour.ppt
Food Safety Magazine(11月号特集記事)
http://foodsafetymagazine.com/article.asp?id=3383&sub=sub1
ニューヨーク・タイムズ紙「Food Problems Elude Private Inspectors(民間検査
官をすり抜ける食品問題)」
http://www.nytimes.com/2009/03/06/business/06food.html?pagewanted=1&_r=1
ニューヨーク・タイムズ紙「Food Safety(食品安全)」
http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/subjects/f/food_safety/index.h
tml?scp=1-spot&sq=food%20safety&st=Search
ISO 22000ウェブサイト(ビジネス向け)
http://www.22000-tools.com/what-is-iso-22000.html
GFSI(国際食品安全イニシアチブ)
http://www.myciesnet.com/gfsijoomla/gfsifiles/GFSI_Guidance_Document_5th%2
0Edition%20_September%202007.pdf(GFSIのガイダンス文書)
AIB
https://www.aibonline.org/auditservices/SettingTheRecordStraight8x11.pdf(ピー
ナッツバターのサルモネラ菌食中毒問題への反論)
ISO
http://www.iso.org/iso/about.htm(ISOがどういった機関であるかを具体的に説明)
FSSC 22000
http://www.ifsqn.com/articles_detail.php?newsdesk_id=765&t=Understanding+th
e+FSSC+22000+Food+Standard
ISO 22000(ISO 22000の基礎的な概念を説明する記事)
http://www.ifsqn.com/articles_detail.php?newsdesk_id=249&t=BottomLine+Benef
its+of+ISO+22000
AIB
https://www.aibonline.org/press/ANSI.html(AIBの監査によって取得できる他の認
証)
BRC
http://www.brc.org.uk/details04.asp?id=1529(北米におけるBRC)
HR 2749(法案の全文)
http://www.govtrack.us/congress/billtext.xpd?bill=h111-2749
HR 2749(法案の要旨)
http://www.govtrack.us/congress/bill.xpd?bill=h111-2749&tab=summary
ISO 22000スペシャルレポート
http://www.iso.org/iso/iso22000_ims_08-3.pdf
Center for Science in the Public Interest(最も危険なFDA規制食品トップ10)
http://cspinet.org/new/pdf/cspi_top_10_fda.pdf