一口に「国際化」といっても、それが意味する本質は、私達が思っ

◆国際化に喝!
一口に「国際化」といっても、それが意味する本質は、私達が思っているよりシンプルでわかりやすいも
のなのではないかと考えます。このコーナーでは、マスコミ論説委員の方々にその豊富な海外経験を通し
て感じられたことを伺い、「国際化」の本質に迫ってみたいと考えています。
前回に続く第2弾は、読売新聞 論説副委員長の清本修身氏にお話を伺いました。
◆世界で活躍する日本人
国際化が叫ばれて久しいですが、世界がこれだけ多様化する中、途上国支援は今日の日本の重要な役割の
ひとつです。情報技術という新しい形で途上国支援に関っている河辺耕二さんに、3回にわたって寄稿い
ただきます。
千里の道も一歩から。今でこそ、英語のほかにもロシア語を操り、キルギスタンでお仕事をされている河
辺さんですが、そびえたつ言葉の壁に四苦八苦していた時代もありました。第1回は、「語学習得」が
テーマです。
◆TOEFL受験者インタビュー
TOEFLの試験を通して、たくさんの人々の人生背景をかいまみることができます。
自分の設けた目標に向かって確実にステップを踏んでいる今回の受験者。「将来の夢」をただの夢である
と多くの人が足踏みをするなかで、具体化の努力を毎日していることがこちらに熱く伝わってきました。
前回の受験者と同じく、彼もまた自分の意見をしっかり持ち、素直にTOEFLに対する感想、「英語」と
いう一語学に関する捉え方を話して下さいました。非常にさわやかな印象を受けました。
◆テストセンターツアー
このコーナーでは、アール・プロメトリック株式会社のご協力により、全国のテストセンターを順次紹介
してまいりました。(南麻布会場は、テンプル大学のご協力により紹介いたしました。)
シリーズ第8回目は、杜の都・仙台にあります「仙台テストセンター」でした。
◆必見!耳より情報
国際教育交換協議会(CIEE) TOEFL事業部では毎月2回無料のTOEFL説明会を東京で行っております。今
回、このセミナーに参加すると一体どんなことがわかるのか、といったことを実際に参加された渡邉さん
(仮)と一緒にセミナーの会場に潜入し見てきました。
∼読売新聞 論説委員 清本修身 氏∼
一口に「国際化」といっても、それが意味する本質は、私達が
思っているよりシンプルでわかりやすいものなのではないかと考
えます。このコーナーでは、マスコミ論説委員の方々にその豊富
な海外経験を通して感じられたことを伺い、「国際化」の本質に
迫ってみたいと考えています。
前回に続く第2弾は、読売新聞 論説副委員長の清本修身氏にお話
を伺いました。
(2002年1月23日 インタビュー)
(この記事は、2002年5月27日に配信されました。)
清本修身(きよもと・おさみ) 氏 プロフィール
1967年
1972年
1997年
読売新聞社入社
読売新聞社 外報部(現国際部)配属
ベイルート支局長
アジア総局長(バンコク駐在)
欧州総局長(ロンドン駐在)などを歴任
論説委員
現在論説副委員長
高田:国際社会の中で、日本はもっと自己アピールすべき時代であるにもかかわらず、どう
も存在感が薄いように思っています。日本の若者たちも、もっと海外で活躍しなければなり
ません。何が問題でしょうか。
清本:日本が国際化というキャッチフレーズを掲げてすでに数十年になりますが、本当に否
応なしに国際化の荒波に投げ込まれたのは東西冷戦の終結以後の1990年代にはいってからと
言えます。この冷戦後の世界の最大の特徴は、社会のあらゆる分野で競争が激化したことで
す。冷戦時代の日本は、すべての社会システムが護送船団方式で、それはそれで大きな力に
なってきたことも間違いないのですが、競争は国家、企業、さらに個人のレベルで激しくな
り、もはや社会安定的な護送船団方式を維持することが困難になりました。経済のグローバ
リゼイション、情報の流れを劇的に変えたIT革命の進展などがこの背景にありますが、問題
は日本は過去の惰性に引きずられて新時代への対応がやや遅れたことにあるように思いま
す。
私はこの責任は、民間より政治、行政という「官」にあるように感
じています。政・官がその新しい時代の波に気づくのが遅かった
というより、旧システムは彼らにとって多くの既得権益があった
ので、それを大胆に崩していくことに躊躇したと考えています。
むろん、一方であまりに急激に社会の構造改革を進めると危険な
要素も多く出てくるという立場もあり、それはそれで説得力もありますが、結局出遅れは今
日まで尾を引いて、社会の痛みが広がっているといえるのではないでしょうか。'90年代を
日本経済の「失われた十年」と形容されるのは、こうした大状況の産物のように思います。
ただグローバリゼイションの波には、多様な側面があることを十分考えておく必要がありま
す。グローバリゼイションを先導しているのは米国ですが、経済でいえばこれはグローバル
スタンダードという共通のルールを作り、競争を促しています。共通のルールは一面でフェ
アーではあるのですが、世界のどの国も同じ土俵の上ではとても競争できないものも現実で
はあります。国家の発展レベルは残念ながら異なる以上、このルールを押し付けられると勝
敗が明白になり、かえって国家間の格差を増大させることになります。摩擦も避けられない。
日本の若者たちの問題は、多様な見方があると思います。豊かな時代に育った今日の若者た
ちはひ弱な面もあり、それらの問題は各方面から指摘されてきていますが、国際的なチャン
スを求め、積極的に国際舞台で自分の能力を試し活躍する人たちが増えていることも無視で
きません。
高田:世界が変化したのに、古くなった日本のシステムを有効にアップグレードできないの
は問題ですね。
清本:旧システムで問われているのは、基本的には文化の問題だと私は考えています。冷戦
後、世界は民主主義と市場経済というシステムが勝利者になりました。日本はこれについて
は自由陣営の主要国としてずっとこれを維持してきたし、この意味では何の遜色もない体制
です。しかし、その運営の方式となるとやはり問題があり、国際的な競争力に影響を与えて
きたと言うべきでしょう。つまり、政治文化、経済文化の問題です。護送船団方式というの
も文化の問題で、これを新時代に適応できるようアップ・グレイドするのを忘れた、あるい
は遅かったと考えているわけです。
民間企業の場合、黙っていても競争が強いられ勝敗も明白になるのですが、政治家や官僚は
そこがどうもあいまいです。だから、彼らも国際競争にさらされているということをもっと
自覚してほしいのです。国家を運営し政策を立案するのが彼らの仕事ですので、その責任は
なおさら重大です。
高田:キーワードは「文化」ということになりますね。グローバリゼーションに伴って、日
本語の中に英語の表現が多数見られるようになってきました。これについてどう考えられま
すか?
清本:先のグローバルスタンダードとかアカンタビリティ(説明責任)、さらにモラルハザード
(倫理の欠如)など、新時代の価値観をあらわす英語の表現が、国民の日常生活でよく使われる
ようになっています。これらの英語の和訳は一体だれが最初にし普及したのかはよくわかり
ませんが、簡潔に意味するところをなかなかうまく和訳したと思う反面、やはり英語の本来
のニュアンスからすれば少し違うということも明らかです。例えば説明責任というと、何か
強制的、義務的な感じになりますが、アカンタビリティという言葉の意味には義務的なニュ
アンスはなく、だれでも納得できる状態にあることでしょう。
そこで問題は、そうした英語を使うことによってそれが絶対的な価値観を持ち、至上の正義
であるように見えることです。こうした点もよく考える必要があると思います。 言葉が本来
の価値観から離れて、知らぬ間に普及することなどもやや危険であると思います。
高田:確かに、言葉は価値観を体現しますから、間違った、あるいは、だれかにとって都合
のいいような使われ方がされ、それが社会共通の理解になってしまうことは問題です。グ
ローバルスタンダードということにしたってそれがすべて善で、反対は悪というイメージに
なりがちです。アメリカンスタンダードがいつの間にかグローバルスタンダードになってし
まった感じもしますし、リストラは本来の再構築という意味より人員削減という意味だけに
なってしまいました。
清本:国際化の時代だからこそ、正確に言葉を理解し使わない
と社会への悪影響が広がると心配しています。言葉は伝達の手
段であるとともに歴史や文化が凝縮したものですから、そこま
で理解しておく必要があります。国際化時代のひとつのキー
ワードは、文化であるという点でもこれを強調したいのです
が、それぞれの国の文化に対し、どういう目線を持つかも重要
なことだと思います。それぞれの文化に対し、好き嫌いはあっ
ても、優劣をつけるような態度は避けるべきだと考えます。異文化理解さらに国家間の相互
理解には、対等の目線が不可欠です。そうすることによって異文化交流が活発になり、時に
融合しながら、さらに魅力的な文化が創造されていく可能性があります。国際化時代を生き
るうえで大切なことは、自らのアイデンティティを再確立し、相手の文化も尊重するという
立場をしっかり身につけることだと考えています。
(聞き手:TOEFL事業部長 高田幸詩朗)
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∼国連開発計画(UNDP)キルギスタン事務所 プログラムオフィサー 河辺耕二 氏(連載3回)∼
国際化が叫ばれて久しいですが、世界がこれだけ多様化する
中、途上国支援は今日の日本の重要な役割のひとつです。情報
技術という新しい形で途上国支援に関っている河辺耕二さん
に、3回にわたって寄稿いただきます。
千里の道も一歩から。今でこそ、英語のほかにもロシア語を操
り、キルギスタンでお仕事をされている河辺さんですが、そび
えたつ言葉の壁に四苦八苦していた時代もありました。第1回は、「語学習得」がテーマ
です。
(この記事は、2002年5月27日に配信されました。)
河辺耕二(かわべ・こうじ) 氏 プロフィール
1996年9月∼1998年12
月
青年海外協力隊システムエンジニア
3年間の生命保険会社勤務を経たのち
青年海外協力隊に参加、ブルガリア・
ヤンボル市の歴史博物館にて遺跡デー
タベース、システム構築に従事
1999年7月∼2000年10
月
London School of Economics and
Political Science (LSE) 留学
(MSc in Development Studies)
開発学、とくに情報社会と途上国支援
というテーマを主に学ぶ
2000年12月∼2001年10 国連開発計画(UNDP)ウズベキスタ
月
ン事務所 国連ボランティア
UNDP情報技術関連プロジェクトの政
策アドバイスに携わる
2001年12月∼現在
UNDPキルギスタン事務所 プログラ
ムオフィサー
情報技術関連プロジェクトのマネジメ
ントに従事
この度、国際教育交換協議会TOEFL事業部から「TOEFLメールマガジン」への寄稿依頼を頂
戴し、テーマを3回に分けて書かせて頂くこととなりました。私のような人間的にも能力的に
もまだ発展途上にある人間に、読者の皆様の目に耐えうる文章が書けるのかどうか甚だ不安
ではありますが、今回は「語学の習得」について、そして次回は「異文化交流」、最終回は
「途上国で働く」というテーマに焦点をあてて寄稿させて頂きたいと思います。
英語の勉強を”真剣に”始めたきっかけ
そもそも、大学時代の英語の授業をほとんどスキップしていた私が英語の勉強を本格的に始
めようと思い立ったのは、1993年、大学卒業後入社した日本の会社での新入社員研修の時で
した。その研修でTOEFL−−とは言っても正式なTOEFLではなく、市販されているTOEFL用
問題集に付いているサンプルテストを著作権者の許可を得て使用したもの −− を受けさせら
れたのです。後日結果が手渡され、その紙に記されていた私のスコアは400点にぎりぎりで
達しない程度。細かくは覚えていませんが、数字の3で始まるようなものだったことははっき
りと記憶しています。もっとも、当時はTOEFLという言葉自体、初めて聞いたくらいで、自
分のスコアが高いのか低いのかも分からずにそのまま捨ておいていました。ところが研修が
進むうちに新入社員同士の情報交換も活発になり、どうやら自分は新入社員の中でも、最下
位を争うほどの低レベルな語学力を持った人間だと気づかされたのです。さらに困ったこと
に、私が配属を希望していたのは国際関係の部署だったのですから、世間知らずもいいとこ
ろです。当然のことながら、私は「国際」と名のつく部署とは露ほども縁がない部署に配属
されました。しかし話はそれますが、非常にドメスティックな部署で社会人の基礎を一から
叩き込まれた経験は、外国で仕事をするようになった今でも大変生きています。日本だろう
と外国だろうと、組織が取り入れているビジネスプロセスの背後にあるものは一緒だ、とい
うのが今の私の実感です。ともあれ、新入社員研修で漠然と「このままでは一生、国際関係
の業務を担当することはなくなってしまう」という、今振り返ってみるととても幼稚な危機
感をモチベーションにして、研修の後半からNHKラジオ「やさしいビジネス英語」を仕事が
終わった後、毎晩欠かさず聞くことを自分に課しました。「やさしい」はずの「ビジネス英
語」は当初、何を言っているのか分からない、テキストを見てさえも意味が分からない、と
いう絶望的な状態でしたが、平日は夜に番組を聞いてそれをカセットテープに録音し、翌日
に通勤電車の中で復習するということの繰り返し、土日は英検と国連英検の勉強を始める、
という生活をスタートしました。この習慣は3年ちょっとのサラリーマン生活中、ずっと続け
ることができました。会社での仕事に慣れてきた2年目以降は英会話学校にも週2回ほど自費
で通い、会話力を少しずつですが向上させていけたのだと思っています。英検も国連英検も
年に2回の試験ですから、試験と試験の間が空いてしまいます。長い間自分のレベルを測る機
会がないと、自分の英語学習に対するモチベーションが落ちてしまいますから、1年間に1-3
回ほどは力試しの意味でTOEFLを受験していました。
ブルガリアでの英語学習
海外、特に途上国での生活やそこでの仕事をするようになったいきさつなどのことについて
は次回に譲り、今回は海外での英語学習について書きたいと思います。まず青年海外協力隊
時代のことですが、赴任先は東欧のブルガリア、しかも首都ソフィアからバスで5時間程の片
田舎だったので、英語を使う機会などまったくありませんでした。協力隊の赴任期間は通常2
年であり、赴任終了後はできれば英米の大学院で開発関連の学問を学びたい、という希望は
赴任当初から持っていましたので、1年目はブルガリア語とロシア語の習得に専念し、2年目
に留学をにらんで英語の勉強を再開しました。他言語を学ぶことが英語学習にどのような影
響を与えるのか分かりませんが、この2年目の後半頃からTOEFLのスコアがコンスタントに
600点を超えるようになりました。恐らく自分の頭の構造が、日本語のロジックだけでな
く、外国語のロジックも受け入れやすい状態になっていったのではないかと推測していま
す。日本から持っていったTOEFL用の参考書と問題集、ブルガリアで手に入れたTOEFLリス
ニング用のカセットなどを組み合わせて勉強していったのも、英語力が伸びた原因の一つ
だったのかもしれません。ブルガリアではTOEFLを3回受験しましたが、その当時確か1回の
受験料が70ドル程度。ブルガリアの公務員の平均的な月収額とほぼ同額でしたから、ほとん
どの受験者 (大半は留学を目指す高校生) は親が一生懸命貯金し、受験料を支払ってくれた
たった1回のチャンスに、それこそ人生をかけてくるわけです。経済的な理由だけからではあ
りません。海外に留学し、そのままそこで給料の良い仕事に就きたいという希望を国内ほぼ
全員の若者たちが持っているのですから、高校生とはいえTOEFLのスコアも高く、630点程
度では数少ない奨学金試験に落ちてしまう可能性が高いのです。ほぼ満点に近いスコアを取
らなければ、彼らの死に物狂いの努力が水の泡になってしまうのですから、その気迫は尋常
ではありませんでした。笑うに笑えない話として、リスニング試験の音量調節を係の方が
行っていた時に、あっちの受験者から「音が大きすぎるから小さくしてくれ」というリクエ
ストが出れば、こっちの受験者から「小さくて聞こえないから音をもっと大きくして欲し
い」とくる始末で、皆が納得してテストがスタートするまで15分くらいかかったこともあり
ました。このような経験を経たあと、ロンドン大学に大学院留学することとなったのです。
コミュニケーション力のなさを痛感
ロンドンに留学中、もっとも困ったのは自分の会話力のなさです。もともとのコミュニケー
ション力のなさ、と言ってもいいかもしれませんが。日本語では何でもないような冗談で
も、表現力とボキャブラリーのなさから外国人にはなかなか通じない。大学でのディスカッ
ションでも、教授や同級生からの急な質問にはまったく対処できないし、プレゼンテーショ
ンを行うときも、緊張していることも手伝って、事前に用意したものを棒読みするのみ。そ
んな時ふと、つまらなそうな顔で私のプレゼンを聞いている同級生たちの顔を見ると、自分
の言っていることが通じているのか通じていないのかまったく分からず、ますます焦ってき
て言っている自分でも意味が分からないような英語のフレーズが次々に飛び出してくる。そ
してそのようなことの繰り返しが、ますます自分の自信喪失につながっていく。留学生活の
前半は、このように自分の英語でのコミュニケーション力のなさに自己嫌悪に陥っていた半
年間でした。そんなとき、開発学部のある教授の授業をよくよく聞いていると、彼はイギリ
ス人であるにもかかわらず、非常にゆっくりと、かつはっきりとした発音で身振りを交えな
がら、まるで子供相手に話すような語り口で講義をしているではありませんか。その授業の
後によくよく自分のことを振り返ってみると、どうも自分は「ネイティブのように自然なス
ピードで、彼らと同じような発音で、豊富なボキャブラリーを使って話さなければならな
い」という強迫観念を自分自身で勝手に持っていたことに気づかされたのです。しかし私の
固定観念とは正反対に、そのイギリス人教授は「ゆっくり」と「はっきり」とした言葉遣い
と、まるで舞台の上の役者のように豊かな表現力で大学院レベルの高度な内容の講義をして
いたのです。そのことに気づいてから、自分の中のコミュニケーション方法に変化が生ま
れ、外国人との英語での会話が苦しくなくなりました。正しい英語を普通のスピードで話す
ことができるようになるまでは「ゆーっくりと相手に分かりやすく話せばいい」、そんな妙
な開き直りが自分の話し方を以前の「逃げ腰」ではなくし、コミュニケーションを円滑にし
ていったのだと思います。ある意味では「学問を学んだ」ということよりも「そのような経
験をさせてくれた」ということの方が、私にとってはなはだ有益な留学生活での収穫だった
と思っています。
書き言葉の大切さ
どのような言語でも、「話し言葉」と「書き言葉」にはスタイルに若干の違いがあり、外国
人にとっては、どちらのスタイルも習得することが、その言葉を有する人たちとコミュニ
ケーションする上で大事になってくると思います。しかし国連のような、様々な国からの人
たちが雑居して働いている場、特に私の勤務しているような途上国での駐在事務所などの場
で英語を使わなければならない場合、どちらの言葉が大切かと問われれば、私は迷いなく
「書き言葉」の大切さを挙げたいと思っています。これは一つには、政府高官の前でスピー
チをしなければいけなかったり、ビジネスランチで重要な物事を決めなければならないよう
な、会話が決定的役割を持つ、政治的なレベルでの業務をする高いランクに私がいるわけで
はないことが原因だとも思います。私の1日の大半は、文書を作ることに費やされ、コミュニ
ケーションにしても電話ではなくほとんど電子メールでの書面ベースで行われています。も
ちろん事務所の内外を問わず様々な人たちとのミーティングも数多く、そこでの自分の発言
が重要な決定に影響を与えるケースも多いのですが、比率的にいって、自分の書いたものが
直接そのような影響を及ぼす方がはるかに高い。英語で「正しく話す」ことができない人と
のミーティングでも、面と向かって話をすると何となく言わんとしていることは分かります
し、分からなかったところは後で書面で情報提供するようにお願いすればいいわけです。と
ころが、正しく書けていない文書を元に仕事をするとなると、その内容の確認作業の困難さ
からほとんどお手上げ状態にならざるを得ません。私の場合、ロンドンでの留学時代のエッ
セイライティングでこの点はかなり鍛えられました。とにかくライティングについてはうる
さく言われました。「書き言葉」の伝統を守る、という点では、英国のアカデミアは米国の
それよりもかなり保守的であるとどこかの本で読んだことがあります。現にアメリカ人の同
級生が彼のエッセイのある個所に「箇条書き」を入れたところ、イギリス人の先生に注意さ
れて憤慨している光景を目にしましたし、私自身、初めて提出したエッセイも「これはビジ
ネス文書としか思えない。お前は学問を何だと思っているんだ」とこっぴどく叱られまし
た。ですから、現在はロンドンで身に付けたライティング技術と、自分の職務経験 (特に日本
の会社での文書作成業務) で培ったビジネス文書のスタイルをミックスさせて仕事をしていま
す。
日本の英語教育
これまで、自分の「正しい英語で話す」能力のなさを棚に上げて、書くことの重要性を強調
させて頂きましたが、正しく話すということも同様に重要なことだと思っています。同僚と
の日常会話やルーティーンワーク、またミーティングなどで使われる英語というのはある程
度パターン化していて日々そのような経験を繰り返していくうちに自然に身についていくも
のだとは思うのですが、やはりそのレベルを一段超えたネイティブと同レベル程度の会話能
力を持っていた方が、相手 (特にネイティブスピーカー) からの印象がぐっと良くなります
し、そのこと自体がコミュニケーションを円滑にしていくこともあると思います。私の場
合、将来的にもこの点で集中的なトレーニングを受け続けていく必要があることは認識して
います。しかし、私が学校で受けてきた授業といえば週に2-3時間程度、当然日本人の先生の
みでしたし、英語のネイティブスピーカーに定期的に接する機会を持つようになったのは20
代の半ば頃でしたから、やはり発音法にしてもコミュニケーション法にしても、今から必死
でがんばったところで自分の日本人英語は消えませんし、それはそれでいいと思っていま
す。ただ、これからグローバル化が益々深く進展していくことは必至ですから、読み・書き
ともに優れた英語を操る日本人を育てていくことは非常に大切なことだと思っています。そ
の方法論について論ずることは私の能力を超えることですから深く言及は致しませんが、一
番大事なことは、やはり子供のときから異文化圏から来た人々と接する機会を教育の場にお
いて増やしていくことだと思っています。
・・・次号に続く・・・
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TOEFLの試験を通して、たくさんの人々の人生背景をかい
まみることができます。
自分の設けた目標に向かって確実にステップを踏んでいる今
回の受験者。「将来の夢」をただの夢であると多くの人が足
踏みをするなかで、具体化の努力を毎日していることがこち
らに熱く伝わってきました。前回の受験者と同じく、彼もま
た自分の意見をしっかり持ち、素直にTOEFLに対する感
想、「英語」という一語学に関する捉え方を話して下さいました。非常にさわやかな印
象を受けました。
(この記事は、2002年5月27日に配信されました。)
受験者データ
名前:
年齢:
性別:
匿名希望
職業
会社員
男性
CBT受験回
4回
数:
将来の夢:
映画製作に携わること
インタビュー 2002年3月29日 TOEFLの試験終了後
日:
---TOEFLを受験しようと思ったのはなぜですか?
現在、会社員ですが、同時に専門学校にも通っておりまして、米国大学の編入を
希望しています。
もちろん、専門学校での単位との兼ね合いもありますが、TOEFLの試験はいず
れにしろ必須ですので。
---米国留学ですか?それはどういう動機からですか?
過去にワーキングホリデーで、カナダに滞在したことがあります。その際に、大
学の無料セミナーなどに参加する機会がありまして、びっくりしたことがありま
した。
日本の授業とは違って、教授と生徒が白熱した議論を展開しているではないか
と。もちろん双方ともに自分のしっかりとした意見をもち主張し合うわけです。
日本の大学と欧米の大学とは、こんなに違うものかとも思いました。
また、中南米に訪れた際に気がついたことなのですが、使用する言葉が違うだけ
で人間がお互いを理解するために必要な知識があまりにも自分にはないなって。
人間同士もっと深く理解しあうために勉強をしなおそうと強く思いました。
---英語という語学への入り方は?ワーキングホリデー以前から習得されていたのですか?
いいえ、もちろん学生時代にもそれなりの英語の勉強はしてい
ましたが、実際は現地にいって多くの人との交流を経て身につ
けていったと思っています。ただし、先程も言いましたが、あ
る程度の交流はできるのです、ただ独学・現地の人との交流だ
けでは、やはり限界があると。
人ともっと深く知り合う為には、専門的な話なんかも必要に
なってくるわけですよね。
日常会話の中からでも、もちろん相手の性格・考えが見え隠れ
しますが、どうしてもそこまでなんだと考えています。だから、もう1度勉強し
ようかなと。
本当のコミュニケーション能力を求めて。
僕の場合は「英語」の習得からスタートしたのではなくて、人とのコミュニケー
ションに興味をもっていることから「英語」という語学に触れ始めたので。周り
の人とは逆の入り方をしているのかな。そんなふうに考えることもあります。
---他の英語検定試験(TOEIC、英検など)の受験経験は?
私はTOEFL以外の試験を受けたことは今までありません。海外生活を送ってい
た際にもかんじていましたが、例えば日本以外で、英検が何級だと言われてもど
うにもならないと思っています。
もちろん前提として検定試験を選択するのは受験生ですから、特別にどうこう言
うことはできませんが。
---CBT試験の感想は?
以前パソコン本体が台の上に置かれていたと思いますが、本日はパソコン台が横
に置かれておりまして非常に受験しやすかったです。
こういうことは、受験生からの指摘で見直されるものなのでしょうか?
だとしたら、とても素晴らしいと思います。
ただ、試験中にときどきおこるフリーズに関しては、よほどの集中力がない限
り、気持ちをきらないで対応することは難しいと率直に思います。
---お忙しい中、本当にご協力ありがとうございました。
(聞き手:TOEFL事業部)
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∼第8回:仙台テストセンター∼
このコーナーでは、アール・プロメトリック株式会社のご協力によ
り、全国のテストセンターを順次紹介してまいりました。(南麻布
会場は、テンプル大学のご協力により紹介いたしました。)
シリーズ第8回目は、杜の都・仙台にあります「仙台テストセン
ター」でした。
(この記事は、2002年5月27日に配信されました。)
杜の都・仙台へようこそ
「広瀬川∼、流れる岸辺…」皆さん、この歌をご存知ですか?今回のテストセンター紹介は、
都会と自然が程よく融合し、時がゆったり進んでいるかのようで何故か落ち着くと評判の「仙
台プロメトリックテストセンター」をご紹介致します。
目指すは「タワービル」!
仙台市の中心地にありながら、緑と噴水が美しい「勾当
台公園」、けやき並木が何処までも続く「定禅寺通り」
がすぐ側の東北地区唯一の仙台会場は、地下鉄南北線 勾
当台公園駅(南4番出口)から徒歩5分の大変便利な場所に
あります。JR仙台駅からも徒歩約15分です。
東二番町通りにある「仙台中央警察署」や「第一生命ビ
ル(通称:タワービル)」の真向かいにあります黄土色のビ
ル「ルナール仙台」の7階にあります。
狙い目は月初め!
仙台会場は、日曜日・月曜日・祝祭日を除く、火曜日から土曜日に試験を
実施しています。セッションは1日2回、午前9時からと午後2時から行われ
ています。定員13名ですが、週末や月末は満席となる確率が高いので、比
較的空いている平日や月初めの方がよりゆったりとした気分で受験が出来
るので狙い目です。首都圏エリアの試験会場とは違った落ち着いた雰囲気
の中での受験も格別なものでしょう。
ドアを開けたらすぐ受付です!
ドアを開けるとそこは待合い室です。身分証明書を提示して試験開始
前の準備セットを受け取ります。準備が出来次第チェックインを行
い、さあ本番です!
遅刻は厳禁です!予約時の案内通り、試験開始の30分前(午前なら8
時半、午後なら13時半)には会場にお越し下さい。遅れますと受験頂
けない場合もございますので十分お気を付け下さい。
お疲れ様でした!気分転換に観光もどうぞ!
約3時間から4時間もの試験がようやく終了です。受付のカウンター横には各種ブリテン等の
資料を置いていますので、どうぞ御自由にお持ち帰り下さい。また、何か御質問等がございま
したらお気軽にお声をかけて下さい。ほんわかスタッフが可能な限りお答え致します。
仙台会場から徒歩3分で、仙台の主なショッピングエリアへ到着し
ます。またグルメ天国、国分町で仙台一有名な「牛たん」で舌鼓
を打っても良し!同じく徒歩3分の「勾当台公園」や「定禅寺通
り」は、春は「青葉祭り」夏は「仙台七夕祭り」秋は「定禅寺ス
トリートジャズフェスティバル」冬は「光のページェント」のメ
イン会場となり楽しさ倍増です。ちょっと足を伸ばして「青葉
城」や「日本三景・松島」などで歴史ロマンの旅にお出かけにな
るのもいいかもしれません。
留学経験がある仙台のスタッフは、目標に向かって努力している皆さんにお会いする度、昔の
自分を振り返りながら、心の中で「応援の旗」を振っています。「興味はあるんだけ
ど・・・」としり込みしているあなた、まずは思い切って受験してみましょう。きっと素敵な
未来が開ける事でしょう!
(聞き手:TOEFL事業部)
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∼TOEFL-CBTセミナー潜入ルポ∼
国際教育交換協議会(CIEE) TOEFL事業部では、毎月2回無料の
TOEFL説明会を東京で行っております。今回、このセミナーに
参加すると一体どんなことがわかるのか、といったことを実際
に参加された渡邉さん(仮)と一緒にセミナーの会場に潜入し
見てきました。
(この記事は、2002年5月27日に配信されました。)
セミナーの受付
会場の前で、係員よりセミナーで使う資料や試験を受ける上で必読の受験要綱(TOEFL
Information Bulletin)をもらいました。また本国アメリカでは$15で販売されている「コン
ピュータ版TOEFL CD Sampler」も出席者全員に無料で配られました。
セミナーの開始
セミナーでは毎回TOEFLの開発元であるETS(Educational
Testing Service)の公認プレゼンターの先生が行います。今回
はテンプル大学ジャパンの川手 恩先生です。
セミナーの形式は、先生の使うパソコンからスクリーンに投影
された映像を見ながら行います。
まずコンピュータで受験するTOEFLと今までのペーパーで受験
するTOEFLの違いやコンピュータになったことのメリットや採点方法の違い、今までの
TOEFLのスコアとコンピュータ版TOEFLのスコアとの関係などが説明されました。
■ 渡邊さんの感想
私は随分以前にペーパーでTOEFLを受験した事はありましたが、コンピュータ
版TOEFLがいかに能力判定に正確で合理的である事が川手先生の説明により、
よくわかりました。
文法セクションの説明
文法のセクションではコンピュータになって導入されたアダプティブ形式の説明などがされ
ました。
■ 渡邊さんの感想
画面上に残り時間や回答数が出るので、便利だと思いましたが、''confirm''のボ
タンを押してしまうと前の問題に戻る事ができないので、焦らず冷静さを保つ精
神が大切と思いました。
リスニングセクションの説明
リスニングセクションでは実際に問題を音声で聞いて説明をしました。問題に対する解答の
ポイントなども説明してくれました。
■ 渡邊さんの感想
コンピュータ版では写真や質問が画面上にでてくるので、ペーパー版よりも会話
の推測が出来るため、少し簡単かと思われます。ただ''Lecture''では事前に質問
が読めない為、深く文を理解できないと解答中までに忘れてしまうと思いまし
た。
リーディングセクションの説明
リーディングセクションでは主に問題の回答方法などが中心に説明されました。従来と違っ
て問題文の中から回答する形式なども ありました。
■ 渡邊さんの感想
問題に対して、その答えを導く文章の範囲が自動的にわかるようになっていまし
た。一つの文に11個もの質問がある為、これは良い方法と思います。
ライティングセクションの説明
ライティングセクションがコンピュータ化されて必須となりました。ここでは国内でもあま
り教えていないライティングの
攻略法を説明してもらいました。
■ 渡邊さんの感想
トピックは「賛成か反対か」もしくは「2つのテーマを比較する」というもので
したが、文章の書き方はもちろんのこと、自身の経験や考えも大きく影響すると
思われます。
受験者のための教材とサービス
ETSが公認で販売している教材の説明や、TOEFLについての詳しい情報を得るための方法を
教えてもらいました。
■ 渡邊さんの感想
このセミナーは初めてコンピュータでTOEFLを受験
する方には、最適だと思いました。何もわからず受
験すると、問題を解く前に疲れてしまい、実際の問
題に入ってから集中力を継続するのが大変だと思い
ます。
また、受験をされて自分の納得できるスコアを取れ
なかった方にも、出題者がどのような答えを要求し
ているのか、制限時間内で効率よく答えるにはどうすればいいのか、ということ
を丁寧に教えて頂いたので、スコアアップを考えていらっしゃる方にもいいかと
思います。
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