北の金政権、終わりの始まりか? (2)

北の金政権、終わりの始まりか? (2)-したたかな五ヶ国ーー
予想された通り、中国が仏国などを引き込み、国連安保理の制裁決議採決の時
間稼ぎを始めました。中国はロシアを引き込み、制裁を伴わない安保理決議を画
策しているわけです。まあ、こんな推移をたどることは
予想されたことではありますが、今更ながら、敗戦後の
60 年間、軟弱な姿勢ばかり続けてきた我が日本外交のつ
けを払わされている思いで一杯です。国連をリードする
安保理常任理事国間には、共同歩調をとって国連をリー
ドしていくという暗黙の了解があり、また、欧州各国に
は、イスラエルのガザ地区へのミサイル攻撃の方がより
身近で深刻であり、またこの騒ぎを利用したわけではないでしょうが、インドの
ミサイル実験と、世界は一瞬の油断もできないスピードで動いています。
いくら、我が国が北への制裁を叫んでも、大西洋を内海と考えている、欧州と
米国の国々から見ると、極東の些事としか映っていないのです。強腰に見えた米
国も、中国から制裁決議の先送りを提案されるとあっさりと、それを認めました。
その時間を利用して、仏国は中国に説得されました。きっと経済的な権益をほ
のめかされたのだと大方の事情通は見ています。よく知られているように、北は、
米国との二国間の話合い、つまり取引を望んでいます。六ヶ国協議で、拉致事件
の解決を前提とする日本を入れての話合いでは、日本に金を出させる話まで持っ
ていくのに、埒があかないから、米国の言う事には何でも従う日本に金を出させ
る為には、米国と二国間で交渉したほうが早いと考えているからです。
我が国の北の機関紙と言っては失礼ですが、某大手新聞は 7 月 6 日付け朝刊に、
編集委員の署名記事で、米国に二国間協議を始めるようブッシュ政権に求める記
事を掲載しました。米国と我が国の、ミサイル問題への緊迫度の温度差を指摘し
ながら、ブッシュ大統領に北との二国間での対話を求めることに、この編集委員
は全く矛盾を感じていないようです。これでは、完全に北の代弁者じゃありませ
んか。北との対話を米国に求めるということは、我が国抜きで拉致問題などを全
く棚上げして、日本から北への援助だけを米国に決めさせる事です。
拉致された、わが国民の身体の安全と、早期返還を、我が国政府が求めるのは
はたらく男 福岡市
福岡市議会議員
おばた 久弥 レポート
060714
№
155
最も基本的な国の役割だと私は考えますし、きっと読者の皆様もそうでしょう。
この記事は、一番大切な、これらのことを完全に忘れています。私は前号 154 号
で、このミサイル発射は中国との連携ではないか、と指摘しましたが、中国がミ
サイル発射実験を強行した北に、国連安保理決議による、実効性の在る制裁をさ
せず、ただ六カ国協議への、北の復帰だけに留めれば、中国の威信は米国に対抗
するほど大きな存在になります。韓国と北は、7 月 11 日から南北閣僚級会談を始
めましたが、これも完全に茶番であり、成果は全くあるはずもありません。
ここで、残念なことは、安倍官房長官、額賀防衛庁長官が「敵基地攻撃論」を
軽々に発言したことです。さすがに、小泉首相はトーンダウンさせましたが、こ
の発言を基に、早速韓国政府も韓国マスコミも再び「日本の軍事的野望の現れだ」
と、いったん北に向かっていた矛先をまた我が国に向けてきました。
味方を一人でも多く増やさなければならない、この時期に、この二人の不用意
な発言は、重要な立場にあるだけに、政治家としての熟練が未だ足りないのでは
と思いました。本当にやれる実力、環境が伴わなければ、決して匂わせてもいけ
ないことであり、現在の我が国民にそれだけの覚悟と備えがあるとは到底考えら
れません。なぜ「言わずもがななことを」と遺憾、残念な思いです。
国連における制裁決議はここに至って混迷を深め、我々と日本国政府が意図し
た結果には至らないかもしれません。それにしても国連という国際社会の公式会
議の場で堂々と存在感を示した事は決して間違いではなかったと思います。
ただし、この際あえて記しておきたい事があります。六カ国協議などに間違っ
た幻想を抱かないことと、残念ながら国連における活動については、例え米国に
も完全には依存できず、信頼もおけないということであります。白人国家の人々
は、六カ国協議をどう観ているのか。前号でも記しましたが、あれは五カ国が寄
ってたかって日本をいじめて、金をとりあげようとする会議なのです。我が日本
は、原爆を 2 発落として人道的な反省もしない米国と、未だ北方領土を不法占拠
し続ける国ロシアと、竹島、尖閣列島を初めありとあらゆることにケチをつけて
やまない中韓と北朝鮮を相手にこの六カ国協議を再開しようとしているのです。
考えてみると北朝鮮に対して心底、怒りを覚える、(覚えなければいけない)国
は日本だけです。南北朝鮮は何と言っても同胞ですから。何度も記しますが、決
してこれらの国に間違った期待と、幻想を抱いてはならないのです。私たちは今
回の一連の事件、問題から、このことを冷静に学びとるべきだと思います。