Ambitious NIPPON 大志をいだけ、ニッポン 愛知万博

Ambitious
NIPPON
大志をいだけ、ニッポン
愛知万博
パウル
―― それは大志達成への大きな一歩
ケンプフェン
ニッポンリンク有限会社
e-メイル: [email protected]
電話: 03-5114-8525
ファックス: 03-3585-0855
東京
平成 16 年 2 月 12 日
目
次
1. はじめに.............................................................................................................................. 3
1.1 一般的なコメント ................................................... 3
1.2 このレポートの標題のインスピレーション .............................. 4
2. ヨーロッパ市場開拓の機は熟したでしょうか ......................................................................... 4
2.1 日本の一般的状況 .....................................................
2.2 愛知万博に向けての状況...............................................
A) 旅行業界へのセールス..................................................
A-1) ツアー・オペレーター................................................
A-2) インセンティブ・オーガナイザー......................................
B) 旅行業者(リテーラー)へのプロモーション..............................
C) 消費者へのプロモーション..............................................
D) メディア・プロモーション..............................................
E) 基本方針..............................................................
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3. 日本のイメージ .................................................................................................................... 7
3.1 一般的なコメント.....................................................
3.2「トップからボトムへ」................................................
3.3「日本は世界に物申す」................................................
3.4 結論.................................................................
7
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8
8
4. 観光のデスティネーションとしての日本のプロモーション.................................................... 8
4.1 日本はヨーロッパのやり方について行けるか?........................... 8
結論:................................................................... 9
4.2 日本への提言......................................................... 9
5. 愛知万博のヨーロッパ向けセールス活動への提言(概略).....................................................11
6. 世界市場における観光プロダクトとしての日本.................................................................... 12
6.1 ヨーロッパ人の旅行の仕方 ............................................
6.2 ローカルガイドの重要性..............................................
A-1) 日本にとっての親善大使.............................................
A-2) 適切なローカルガイドの選び方......................................
提案 1: ................................................................
提案 2: ................................................................
6.3 年間のデスティネーションとしての日本...............................
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7.「ビッグバン」又は、既に 2008 年までに 1 千万人達成への提案............................................. 14
結論:.................................................................. 15
8.終わりに .......................................................................................................................... 16
8.1 一般的なコメント.................................................... 16
8.2「言葉の威力」....................................................... 16
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1. はじめに
1.1
一般的なコメント
このレポートは、私が昨年 5 月に作成致しましたレポート「ニッポンを売り込む」を補足するため
のものです。それゆえ、以前取り上げたトピックは今回は割愛、もしくは必要なときに触れる程度に
とどめました。私が伝えたいビジョンの完全な形は、今回のレポートと両方をあわせてお読みいただ
ければご理解いただけると存じます。
さて、観光業に求められるものは、世界の地域ごとに違います。
今回、私はヨーロッパ人としての視点に立って、話を進めていきたいと思います。私たちのマーケ
ットは次の三つの主要部に分けられます。
M eetings
レジャー旅行
ビジネス旅行
MICE
(出張)
I ncentives
C onventions
E vents
ビジネス旅行やミーティングを観光業側でプロモートするのは難しいことです。なぜならこれらは
大抵の場合、それぞれの会社の特別な事情に応じて目的地が決められるからです。ゆえにこれらの分
野は、優先的にプロモートすることはできません。
一方、愛知万博のようなイベントやコンベンションは、企画に長い年月を要します。ここでは、プ
ロモーションよりも「強力なセールス」が、それぞれのマーケットのプロデューサー(ツアー・オペ
レーターやインセンティブ・オーガナイザー)に直接要求されます。
日本にとっての最も収益率の良いビジネスは、利用者の多いレジャー旅行、一人あたりの支出が高
いインセンティブ・トラベル、そしてイベント市場などです。このイベント市場はレジャー旅行とイ
ンセンティブ・トラベルの両者を組み合わせたものと言えます。つまり、大人数の長期滞在で多額の
支出が期待できるのです。
愛知万博はヨーロッパ人に日本への関心を再び蘇らせ、日本を訪れたいという気にさせる理想的な
イベントだと思います。万博のテーマもヨーロッパ人との共通の関心事です。ですから、愛知県のオ
ーガナイザーの方達には見逃せないチャンスです。
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1.2 このレポートの標題のインスピレーション
私が品川の新幹線新駅を歩いていたときに、同様のタイトルの JR 東海の新しいポスターが目にと
まりました。
これは、今の日本に正にぴったりのスローガンだと思いました。なぜならこのスローガンは、日本
が出口の見えなかった不況から遂に抜け出し、
「精力的に再出発」するスタートラインについたことを
示しているからです。
このプロモーションに採用されたグループ「TOKIO」は、都市出身で田舎に暮らすという、日本の
大都市と地方の生活との共存がうまくいっていることを如実に示しています。
2. ヨーロッパ市場開拓の機は熟したでしょうか
2.1 日本の一般的状況
ヨーロッパにおける観光客へのソース・マーケット競争は過熱しています。たとえば新しい EU 加
盟国、すなわちかつてのソ連共産圏の国々は、多くの人々に興味を持たれています。更に現在、ヨー
ロッパのメディアは中国に関するトピックを多く扱っており、中国は莫大な無償の広告を受けている
に等しいのです。また、タイ、マレーシア、インドネシアなど東南アジア諸国は、
「夢の休日」を過ご
す理想郷として知れ渡っています。
一方、世界のいくつかの国々、例えばアフリカ(南アを除く)
、中近東、南米の一部などは危険地帯
とみなされています。そんな中、世界一安全な国と言われている日本の治安のよさは、強力なセール
スポイントになります。
ヨーロッパ主要マーケットの経済状態はあまり良くありません。しかしながら、これらの国々では
強い購買力をもつ人々、具体的には政府もしくは準個人法人の従業員がプールされています。彼らは
多かれ少なかれ収入を保証されており、経済の変動には影響を受けません。
更に戦後生まれのベビーブーム世代は、そろそろ豊かな年金と預金を手に、年金生活に入ろうとい
う頃です。そういった人々は時間もたっぷりあって、旅行への欲求が強いのです。
結論:
タイミングは決して理想的ではないかもしれませんが、日本には多くのチャンスがあります。
に愛知万博はいいセールスポイントになり、2005 年のハイライトになるでしょう。
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特
2.2 愛知万博に向けての状況
A) 旅行業界へのセールス
A-1) ツアー・オペレーター
日本と比べて、ヨーロッパのツアーオペレーターはカタログ作成により多くの時間を割きます。ITB
(国際ツーリズム・エクスチェンジ・ベルリン)は今年は 3 月 12 日から 16 日にかけて開催されます
が、これはツアーオペレーターにとっては来年のハイシーズン(4 月から 10 月まで)に向けての企画
を立てるスタートとなります。スケジュールは会社や国によって多少違うでしょうが、一般的には下
記のチャートに示したようになるでしょう。
活動内容
開始
終了
サプライヤー(愛知万博)との交渉
3月(ITB 開催期間)
7月・8月
商品選択やカタログ頁数の初期決定
3月
5月・6月
内容の決定
8月
9月
カタログ印刷
11 月
12 月
リテーラー向けプレゼンテーション
1月
2月
従って、きたる ITB は、決定権のあるツアーオペレーターたちに、愛知万博を行程に含ませるよう
アプローチするには絶好の機会となるでしょう。
前述の定例のパッケージツアーに加えて、大抵のツアーオペレーターは、別カタログで特別な商品
を売り出そうと考えていることと思います。例えば
「日本と愛知万博」
といった具合に。
こういった特別なキャンペーン・ツアーは、
「一夜漬け」での企画がほとんどかも知れません。しか
し、次の点は考慮に入れなければなりません:
①
そういった特別カタログを成功させるには、1月か2月にはリテーラーへのプロモーシ
ョン用に使えるようにして、最大の宣伝効果を上げなければなりません。リテーラーへ
の配布が遅れた場合は、引き出しにしまいっぱなしになってしまうか、セールス手段と
しては使えなくなってしまうことが多いのです。
②
ヨーロッパ人は一般的に長期の休暇プランを立てます。海外旅行となればなおさらです。
ですから、そういった特別のプロダクトを 2005 年の 2 月以降に売り出すのは賢明な投
資とは言えません。最低価格で提供するのなら別ですが。
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A-2) インセンティブ・オーガナイザー
www.maritz.com のような大企業が、この業界のエキスパートとして動いているアメリカと違って、
ヨーロッパの市場はもっと多様化しています。メジャーな旅行業者は大抵の場合、愛知万博のような
特別なプロダクトには特設部署をもっています。しかし、ヨーロッパの到る所で見られる、中小企業
のスペシャリストたちのほうが、もっと成功を収めていることが多いのです。
2002年まで、MICE 向けの大きな見本市がヨーロッパで開かれていました。EIBTM という見本市
で、5 月にスイスのジュネーブで開催される定例イベントの一つでした。
2003 年からは、次のチャートでご覧いただけるように、2 つのイベントが凌ぎを削ることになりま
した。
見本市名
ホーム頁
都市名
開催日(2004 年)
IMEX
www.imex-frankfurt.com
フランクフルト
5 月 12 日∼14 日
EIBTM
入手不可
バルセロナ
11 月 30 日
∼
12 月 2 日
そのうちの一つはバルセロナで、これは愛知万博にインパクトを持たせるには時期が遅すぎます。
しかし私は、もう一つのフランクフルト見本市には是非参加し、可能性を模索していただきたいと思
います。
ここで問題なのは、この見本市は新しいもので、今年が第二回目の開催となります。ですから、既
に確立されている見本市に比べると、参加者数の点で見劣りがするかもしれません。
B) 旅行業者(リテーラー)へのプロモーション
旅行業者へのプロモーションに最適な時期は、2005 年の1月から2月初旬にかけてです。その頃に
はツアー・オペレーターも、新しいカタログをリテーラーに提示できます。これは通常、ショー・ス
タイルのイベントという形を取ります。
このやり方は大抵の場合、学ぶこと − 新製品についての知識を得ることと、楽しむこととの両
方を結びつけたもの −
となります。これは、若手のカウンター・スタッフの間で、既に好評を博
している、効果のほどが証明済みの方法です。
(このカウンター・スタッフこそが 2005 年の愛知万博
へのツアー売り込みに欠かせない人たちです。
)
できるだけ多くのイベントに、ツアー・オペレーターとともに参加されることをお勧めします。勿
論この中に 2005 年愛知万博のプロダクト・ラインを含まなければなりません。
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C) 消費者へのプロモーション
この話題についてコメントするのは少々困難です。というのも、そのための予算枠がどれほどなの
か把握していないからです。
ただ、このプロモーションはタイミングが大切になります。顧客が秋冬の休暇のプランを練ってい
る最中で、まだどうするか決めかねているときに行っても、あまり注意を引かないかもしれません。
私は、宣伝キャンペーンに参加することで、ツアー・オペレーターとともに潜在顧客を掘り起こし、
確保しておくことを提案します。多くの人が、一年の最初の数ヶ月に、今年の休暇の予定を立てる手
段として旅行会社の出版物や広告を利用するのですから。
D) メディア・プロモーション
ここで述べるメディアとは、招待されたジャーナリストの記事や、プレスリリースに基づいた出版
物の記事についてであって、広告についてではありません。
一番理想的なのは、愛知万博に関する情報が 9 月初旬を皮切りに、メディアに大々的に登場するこ
とです。大抵の人が休暇中の 7 月や 8 月に報じても、大して意味がありません。
E) 基本方針
ヨーロッパは多言語の国々をかかえた大陸であり、このイベント開催まであまり時間の余裕があり
ません。これらの条件を考慮すると、不必要にお金・時間・労力を「ばらまく」より、特定のプロジ
ェクトに集中して使うことをお勧めします。
3. 日本のイメージ
3.1 一般的なコメント
すでに前述のレポート「日本を売り込む」でいろいろと述べさせていただいておりますが、人はい
いイメージの所へ旅行したいと思うものであり、これは観光ビジネスを考える上で非常に重要な論点
です。ですから、私はここで、少し追加論評をさせていただきたく存じます。
3.2「トップからボトムへ」
日本は世界的な産業大国です。ですから、ヨーロッパ人は日本からのニュースに対しては関心を払
っています。
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その中にはたとえば、小泉首相の言動なども含まれます。靖国神社参拝問題に関しては、私たちヨ
ーロッパ人は直接の感慨があるわけではなく、メディアを通して見聞きしているだけです。ただヨー
ロッパ人は、礼儀正しく誠実で他者を思いやる国民性でよく知られた国の首相ともあろう人が、どう
して近隣諸国の感情を逆なでするような行動を取るのかと、不思議に思うのです。
もし、小泉首相が
「日本を売り込むトップバッター」
であろうとするなら、そういった行動は慎むべきです。首相が靖国神社を参拝するたびに、日本を観
光したいと思っている潜在的な顧客を怒らせ、日本のイメージを悪くして、何千ドルもの広告費が無
駄になってしまうのです。
3.3「日本は世界に物申す」
以前、世界中で放送された「国際捕鯨委員会」の会議の中で、日本代表の一人が他国の代表と、い
ささか不愉快な「罵声の応酬」をしたことがあります。
捕鯨についても、私たちヨーロッパ人は直接心を動かされることはありません。私たちが驚いたの
は、日本人がああいった振る舞いをするのだ、ということについてです。
ヨーロッパ大陸の多くの人々は、環境やエコロジーの問題と聞けば、どんな問題に対しても大変な
関心を寄せます。この問題は、正に愛知万博の取り組んでいる課題であり、ヨーロッパから観光客を
呼ぶ上での利点となるでしょう。しかしヨーロッパ人は一方で、日本ほどの豊かな国が、他にいくら
でも余剰の食糧はあるというのに、なぜわずかな生存数の鯨を巡ってあれほどの騒動を起こさねばな
らないのか、理解できずにいるのです。
3.4 結論
ヨーロッパにおける日本の評判は大変よいものです。日本のライフスタイルや習慣、職業倫理、人
が親切なことなどを賛美する人もいます。
しかし、国際的に日本の顔となる官僚が節度のない振る舞いを見せてしまうと、日本はもはやかつ
ての日本ではないのか、と世界中に間違ったメッセージを送ることになってしまいます。
4. 観光のデスティネーションとしての日本のプロモーション
4.1 日本はヨーロッパのやり方について行けるか?
ヨーロッパ諸国の、海外――主としてアメリカ合衆国、日本、アジアにおけるプロモーションは、
過去においてかなりの成功を収めました。地域や地方の旅行会社は、国の資金や援助を得た団体の傘
下に入り、宿泊設備に対する地方税もしくは特別税の融資を受けて、合同もしくは独自にプロモーシ
ョン活動を行いました。
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このような広範囲でのプロモーション活動が可能だったのは、それができるだけの十分な資金があ
ったためです。地域や地方の旅行会社にさえ、日本に代表部を開設できるほどの余裕があったのです。
今日ではヨーロッパ諸国の政府の多くが、海外での観光プロモーションに割り当てる経費を打ち切
るか、少なくとも現状以上にはしない、という方針をとっています。
一方で、不足を補うために、しばしば私営のセクターとの合併事業という形で、様々なビジネスモ
デルが試みられてきました。しかしこれまでのところ、関係者全員を喜ばせるような解決策はどの国
も見つけることができず、様々な組織の間で軋轢が生じたりもしています。誰もが自分こそいい成績
を上げたいと思っている一方、失敗の責任を負いたいとは思わないからです。
結論:
私たちは関係者全員を一振りで成功に導く「魔法の杖」を所持することはできませんし、そんなも
のは恐らく存在しないでしょう。将来、インターネットを通して全てのプロモーション活動が可能に
なるまで、どんなビジネスモデルにも欠陥があることを覚悟しなければならないのです。
4.2 日本への提言
ヨーロッパにおけるプロモーションでの、JNTO と「ようこそジャパン」の役割分担についてはよ
く分かりません。
ですから、具体的な提言をすることはできません。その代わりに、ヨーロッパ市場へのアプローチ
する際に念頭に置くべき重要事項を、以下に提示します。
★豪華なホテルでのカクテルパーティー付きのワークショップを設定した、伝統
的なデスティネーションプロモーションのやり方は業界からは賛同を得ない
でしょう。ショーや特別なイベントなどで、人々は歓待されることに慣れきっ
ています。そのため、こういった「伝統的なプロモーション」への招待状は、
社内のスタッフからスタッフへと手渡された結果、この会合に出席する以上の
仕事がない人の手に行き着くのです。
★旅行業界の厳しい現状においては、責任ある適切な企画者に、視察旅行への参
加を促すのは難しくなっています。その上、企画者の多くはいくつかの違うデ
スティネーションを一手にかかえており、視察旅行に自分のスケジュールを合
わせることがなかなかできないのです。
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★創造性というものは、
「なにかアイディアを出せ」と言われれば簡単に発揮さ
れる、というものではありません。そしてまた多くの人は、毎年次から次にア
イディアを「ヒット」させることなどできません。ですから組織には、新しい
アイディアをもった新しいスタッフを、アイディアが出尽くすまで期間限定で
投入することが必要なのです。
★ヨーロッパは様々な言語とメンタリティーで成り立っています。ですから、ヨ
ーロッパ市場の担当者はヨーロッパ人の心情を理解するために、ヨーロッパのそ
れぞれの国についてルーツ(拠り所)を把握していることが極めて重要です。
★ヨーロッパ全土をカバーするような、多国籍の広告・コンサルティング会社を
利用するのには、非常に経費を要します。その上、ここ数ヶ月の間に学んだこ
とですが、そのような会社を利用したからといって、成功への保証はありませ
ん。そこで、国ごと、もしくは言語圏ごとに、異なった会社を探すことをお勧
めします。なぜなら、こういった会社のほうが、多国籍の会社よりも、自国民
のメンタリティーについてより良く理解しているからです。
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5. 愛知万博のヨーロッパ向けセールス活動への提言(概略)
2004
期日
旅行
業界
行動
3月
ツアーオペレーター (TO)と交渉開始
ツアーオペレーター(TO)との詳細交渉
6 月/ 7 月
9月/10 月
ツアーオペレーターとの話し合い終了
気候が相応しくない(雨期)のため
ジャーナリストは招待しないこと。
プレス・リリースで ヨーロッパを「爆撃」
特定ツアーオペレーターを、必要なら、実情視察旅行
に招待(グループとしてではなく)
9 月∼11 月
愛知 EXPO プロジェクトのための特別カタログを作
成するよう ツアーオペレーターを訪問/依頼。
Important : このようなプロジェクトには資金援
助が必要。
ツアーオペレーターとのジョイント・プロモーション。
(2005 年1月/2月の終了に向かい)
消費者
X
X
X
X
X
X
X
X
X
定期的にプレスリリース発表
6 月∼8 月
業界
X
ITB Berlin の期間中にプレス・コンファレンス開催
3 月∼5月
メディア
X
X
X
X
2005
ツアーオペレーターの新商品プレゼンテーションに積極的に
参画。業界メディアも共に同商品を PR。
1 月/ 2 月
X
X
上記活動の結果を踏まえて、次に取るべき活動を決定する。
注 :
a)
この提言は
b)
上記チャートには消費者向マスメディアに於けるプロモーション活動は含まれていない。
(専門家
今日までの実際の活動の経緯を知らぬまま裁定されたものである。
の範疇のため。
) ここでは、ジャーナリスト達が業界イベントやプレス・コンファレンスに参加
する場合を想定して業界/消費者―メディアのみを含めた。
c)
消費者向トレード・フェアは取り上げていない。これは同種フェアはしばしば期日も場所も変わ
るためである。
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6. 世界市場における観光プロダクトとしての日本
私の一般的な意見は前レポートのパラグラフ 2.2 にて既に述べておりますが、今回は 3 項目ほど追
加させていただきたいと思います。
6.1 ヨーロッパ人の旅行の仕方
ヨーロッパ人が日本にやってくる場合、全旅程は 3 週間が普通です。年間大抵 4 週間かそれ以上の
休暇を取るヨーロッパ人にとっては、これは充分可能な長さです。
一番一般的なのは、
「周遊の後はリラックス」
、つまり 2 週間ぐらいの移動+浜辺での1週間のバカ
ンス、というパターンです。この観点から、過去にはヨーロッパの代理店は、日本とタイやフィリピ
ン、マレーシアを組み合わせたこともありました。
しかし今日では、こういった旅行はアレンジするのが難しくなりました。というのはこれらの地域
への航空券を確保するのが難しくなってきたからです。
日本はヨーロッパ人の顧客の、そういったニーズにかなった商品を提供する必要があります。沖縄
は米軍が駐留しているため、セールスの対象とはなり難いです。グアムやサイパンは、ヨーロッパ人
の期待する夢の国のイメージには全くそぐいません。沖縄の近くには多くの美しい島々があると聞き
ましたが、私自身行ったことがないので、この島々についての具体的な提言はできません。
もしも日本に適切なビーチリゾートがないのならば、そんな島があって、簡単に飛行機で移動でき
る近隣の国とジョイントしたキャンペーンなどを考えてはどうでしょうか。
6.2 ローカルガイドの重要性
A-1) 日本にとっての親善大使
日本では 1949 年に、ガイド業務を規定する法律「通訳案内業法」が発効し、これは今日でも変わ
りません。
けれども、旅行者のタイプや態度は、その時以来かなり変化しています。
ヨーロッパからの観光客は、過去の歴史について際限なくデータを並べ立てる、
「教師」タイプのガ
イドを普通好みません。求めているのは、現代の日本の生活についての情報を、歴史的な事柄も「交
えながら」
、個性的かつ心地よいやり方で示してくれる「エンターテイナー」です。このパフォーマン
スのタイプを、ヨーロッパでは「インフォテイナー」と呼んでいます。このレポートのパラグラフ 4.2
もあわせてご参照ください。
若い日本人の多くは、遠い国への旅行ができるツアーエスコートになりたいと思っています。
そしてローカルガイドを務めようという人たちは、なんらかの個人的な理由によって、長期間国許
を離れることができないでいる、というパターンが多いのです。その結果、ローカルガイドを務める
人は、好きでローカルガイドになった、ガイドになるのが夢だったというより、単に他に選択肢がな
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かっただけという人が大半です。
しかしローカルガイドというのは、外国からの観光客にとっては、その国に関する唯一の情報源で
あったりするのです。したがって、外への窓口たるローカルガイドを務める人々には、高度なモチベ
ーションと情熱を持って職務をまっとうすることが不可欠となります。
一方では、訪問客のニーズを満たし、情報を得、同時に自分自身も仕事を楽しむことができる人た
ちが、ガイド試験の厳しさゆえに合格することができない、ということもあり得ます。
以上を踏まえ、私は次のことを提案します。すなわち、ローカルガイドを選出する現在の評価基準
が、今日の経験豊かな旅行者のニーズにまだかなったものであるかどうか、見極めるための分析を行
うことをです。
A-2) 適切なローカルガイドの選び方
状況改善のためには二つの方法があります:
提案 1:
ローカルガイドを二つのカテゴリーに分けます:
カテゴリー A
全部の免許保持
これまでと同じ状況
カテゴリー B
簡単な許可
免許の代わりに許可を保持した
「エンターテイナー」の新しいカテゴリー、
美術館内部案内以外のツアーガイド
カテゴリーB のシステムは、数年前パリで試みられ、いい結果を出しております。この試みは、ガ
イドの競争力を高める、つまりガイド許可希望者を増やすことで、各人がより良いパフォーマンスを
発揮するよう競わせ、ガイド全体の質を高めようというものです。
提案 2:
カテゴリー A
全部の免許保持
提案1と同様
カテゴリー B
簡単な許可
条件は提案1と同じですが、このタイプの
「許可」は、自国から来たツアーグループ
のみをガイドする外国人か、もしくはその
グループが使う言語に堪能な者にのみ
与えられます。
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ヨーロッパからのグループにとって理想的なのは、8 日から 10 日ぐらいの日本滞在期間中、1∼2
度自国のガイドを雇うというやり方です。下記はヨーロッパ各都市と東京の日本語スピーキング・ガ
イドの比較データーです。
都市名
日本語ガイド総数
日本人(外国籍取得日本人も含む)
ヨーロッパ人
ハンブルク
5
ナシ
ロンドン
24
6
パリ
36
18
ローマ
19
23
ウィーン
9
2
チューリッヒ
8
ナシ
全員
ナシ
東京
6.3 年間のデスティネーションとしての日本
平均的なヨーロッパ人にとって、日本の冬といえば、札幌の雪祭りと長野のオリンピックがまず思
い浮かぶでしょう。
しかし、東京や太平洋側地域の冬は、カラっとしていてそんなに寒くなく、冬の旅をするには最も
理想に近い気候です。そして何より羨ましいのは、ヨーロッパ人を苦しめている「霧」がかからない
ことです。ですがそのことを知っているヨーロッパ人はほとんどいません。
ヨーロッパの知人と話しているとき、私はしばしば、日本の冬の天気と、彼らが誇らしげに「シャ
ンペン・エアー」と呼ぶ有名なサンモリッツのスキー場とを比べたくなってしまいます。これはちょ
っと大げさかもしれませんが、日本の冬の旅の素晴らしさは、もっと声を大にして潜在的な訪日客に
伝えるべきだと思うのです。
7.「ビッグバン」又は、既に 2008 年までに 1 千万人達成への提案
昨年、我々旅行業界は SARS やイラク戦争の影響で手痛い打撃を受けました。しかしそういった厳
しいビジネス環境にもかかわらず、オペレーションの拡大を継続できた、いくつかの成功例もありま
した。ここで取り上げたいのは、いわゆる
「ノー・フリル
又は
ローコスト・エア・キャリアー」
即ち
「機内サービスなしの低価格航空会社」
についてです。
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14
この成功者たちは、新しいビジネスを発明したわけではありません。サウスウェスト・エアラインが
20 年以上も前から米国でやってきたことを、コピーし、適用したに過ぎないのです。まずは Ryanair
と Easyjet がこの方法を開始し、その後ヨーロッパ中の多くの会社が続きましたが、これらの会社の
成長率やバイタリティーには目を見張るものがあります。
この取り組みは以下のような、旅行業界関係者以外も含めた様々なところに利益をもたらしました:
*
低価格になったことで、これまで旅行する余裕がなかった人々にも海外渡航への道が急
に開けました。例えば、ロンドン ー パリで数千円という安さです。
*
そういった航空路線が使用するのは地方の空港だけなので、都市部の活性化をもたらし
ました。そのいい例は、フランクフルト近郊のハーンという(横須賀のような)米軍基
地のある都市、それにケルンです。両空港とも、この低価格路線登場までは経営難に陥
っていましたが、今日では活気に満ちたオペレーションで利益を上げています。
*
このエア・キャリアーを利用するビジネスマンも増えています。その結果、以前からの
航空会社各社は
競争がなかったために高値だった運賃の値下げを余儀なくされていま
す。
*
この路線の運行地域にあるホテルや、地元サプライヤーのビジネスも急激に伸びていま
す。運賃が格安なため、その分宿泊費や食事、買い物などに予算を振り向ける乗客が増
えてきているからです。
結論:
米国やヨーロッパで成功を収めているこのタイプのオペレーションを、日本にも導入して地方経済
の活性化に繋げられないでしょうか。韓国、台湾、中国など近隣諸国には何百万人もの人々がいるの
です。彼らに数日間日本に来てもらえれば、数多くの地域に計り知れないビジネスの機会をもたらし、
目標の 1 千万の来日客を既に 2008 年までに確保できるのではないでしょうか。
下記はヨーロッパで最も成功を収めている「ノー・フリル・エア・キャリアー」のリストです。
航空会社名
ホーム頁
本社
Air Berlin
www.airberlin.com
ドイツ
Easyjet
www.easyjet.com
英国
Ryanair
www.ryanair.com
アイルランド
その他、ヨーロッパ中に多数有。
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8.終わりに
8.1 一般的なコメント
いままで述べましたように、特定の場所を海外にプロモートするうえで、最良の策というのはまだ
見つかっていません。それでも、ヨーロッパは日本人の訪問客数をかなり増やすことに成功しました。
そして、日本人訪問客がヨーロッパで居心地よく過ごしてもらえるよう努めました。では一体、どの
ようにしたのでしょうか?
我々(デスティネーションプロモーション組織ならびにサプライヤー)は、20 年以上前に日本へ来
て、自分たちヨーロッパのことを語るだけでなく、
「日本人が旅行者として何を必要としているのか」
を問いました。
ヨーロッパへ戻ってからは、日本独特の習慣である、席についたらすぐ水を出すことを新たに導入
しました。また、ヨーロッパ全土で働く日本人のビザ発給数を増やすよう、政府に強く働き掛けまし
た。しぶしぶではありましたが、政府は聞き入れてくれました。
パンフレットやマニュアルは全て日本語に訳しました。かのイタリア人も、日本人の訪問客に対し
ては時間を守るよう努めました。日本人がダブルよりツインベッドを好むことを知って、フランスの
ホテルはツインルームを増やしました。このように、我々が行った工夫の数々は、枚挙に暇がありま
せん。
つまり、我々は常に
ツーリズムとは、何よりもまず Service があって、そのあとでビジネスがある
というモットーのもとに努めてきたのです。
8.2「言葉の威力」
最近、
「Yokoso Japan」は「Yookoso Japan」と名称変更しました。これはとても良いアイディアだ
と思います。
私たちが最初耳にしたときには、
「Yokoso」であれ「Yookoso」であれ、どのみち意味はわかりませ
ん。しかしヨーロッパの言語感覚では、前者はなんとなく「虚ろな」感じが、後者は「愉快な」感じ
がします。そのため、
「Yookoso」のほうに、より引き付けられる感じを持ちます。
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私は二つのレポートの中で、日本が外国人訪問客に提供できるものがいかに沢山あるかについて述べ
てまいりました。加えて、日本はサービスにかけては世界のリーダーです。
日本にあと必要なのは、
「メッセージを伝える」力強い声です。声高であればあるほど結構です。
ヨーロッパは日本からのメッセージにいつでもお応えできます。ヨーロッパ人の中には、日本がこ
こ最近あまりにも静かだったので、寂しがっている者もいるほどです。
そこで私は、次の言葉でこのレポートを締めたいと思います。
ようこそヨーロッパ人
がんばれアンビシャス・ニッポン
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