研究課題

研究課題
肉用牛の飼養管理の改善に関する研究
雌牛の繁殖成績の向上、哺乳子牛の下痢予防と育成成績の向上などの肉
用牛の飼養現場における諸課題について、肉用牛の繁殖生理、生産・衛生管
理の面からとり組んでいる。2008 年度における分娩牛49頭のうち2産次以上
雌牛の分娩間隔は 12.6±1.3 ヶ月(n=40, 10.8~ 16.7)であった。分娩に関連した
労働負担の軽減を図るため、難・死産、夜間分娩などに対する対応についても
検討している。
未利用資源の開発と環境負荷軽減に関する研究
木質系資源、食品製造副産物、地域における耕種との連携により得られる
未利用資源などを用いて、飼料・敷料などとして開発するとともに、地域内にお
ける耕畜連携を視野において、窒素、リン、カリなどのフローの把握に基づく環
境負荷の軽減について検討している。京都府南丹地域で発生する食品製造副
産物の飼料資源賦存量について調査するとともに、これらの資材が同地域で
飼育されている肉用牛、乳用牛および肉用豚の飼料として利用可能なことを提
言している。また附属牧場構内における生産部門を肉牛、堆肥および牧草の3
つに分けて相互の部門間における元素のフローについて調査し、元素によって
フローの様相に違いのあることを明らかにしている。
搬入(I)
濃厚飼料 5.46t
粗飼料 0.31t
0.15t
敷料
導入牛 0.01t
システム境界
肉牛生産部門
5.93t
糞尿と敷料の混合物
3.08t
堆肥生産部門
化学肥料 1.14t
0.01t
種子
搬出(E)
出荷牛 0.53t
バランス(B)
サイレージ
2.23t
堆肥
2.32t
+余剰, ‐収奪
4.55t
0.76t
1.35t
1.15t
天然供給(S)
降雨 0.11t
牧草生産部門
a) Nフロー (表記はN t /年 /牧場)
肉用牛の機能開発に関する基礎的研究
肉用牛を用いて、筋肉組織内における脂肪細胞分化、ビタミン C 製剤の利用
性、精巣由来幹細胞株の樹立、ミネラル代謝と腎機能、被毛中の安定同位体
比、胎盤からの新規化合物の探索、音声解析および行動解析などの研究を行
っている。ビタミン C(VC)が牛の脂肪前駆細胞の分化を促進することが明らか
にされていることから、コーティング処理した VC 製剤を肥育牛に投与したときの
血中 VC 濃度の経時的変化と用量依存性および尿中への VC 排泄などの面か
ら VC の利用性について検討し、血漿と尿中 VC 濃度に明らかな用量依存性が
認められること、尿中への VC 排泄量を推定すると給与された VC のほぼ半量
が尿中に排泄されることなどを明らかにしている。
血漿中VC濃度 (mg/L)
5.0
尿中VC排泄 (mg/g Cr)
3500
4.5
3000
4.0
c
3.5
2000
b
a
1000
a
2.5
ab
1500
ab
3.0
c
2500
a
500
bc
a
0
2.0
0
10
20
40
VC補給量 (mg/kg BW/d)
60
● 尿中VC排泄量の少ない個体
◇ 尿中VC排泄量の少ない個体を除いて計算
平均値±標準誤差(n=4)
0
10
20
40
60
VC補給量 (mg/kg BW/d)