B-XRD 1057 MiniFlex300/600 可変ナイフエッジの特長 はじめに 粉末X線回折装置はセラミックや鉱物などの無機材料から医薬品などの有機材料まで、多くの産業・研究分野で幅 広く用いられています。MiniFlexシリーズは、据え置き型粉末X線回折装置と比較して、本体体積が1/20、重量1/10、 AC100Vコンセント電源で動作可能なデスクトップ装置です。MiniFlexシリーズの最新機種として、最大定格出力 600Wの高出力タイプ(MiniFlex600)と、水道設備不要・省スペースの300Wタイプ(MiniFlex300)があります。 測定・解析例 10000 Intensity (CPS) MiniFlex300/600 では、強度を得るために、高速1次元X 線検出器 D/teX Ultraを搭載することができます。この検 出器は検出面が広く、試料からの回折X線を効率よく計数 することができるため、シンチレーションカウンターと比較 して数十~百倍程度の強度を得ることができます。また、 蛍光X線軽減モードやナイフエッジ等で、バックグランドを 低減させることもできます。図1に、ナイフエッジを使用した 場合と使用していない場合で得られたX線回折パターンを 示します。ナイフエッジを使用することで、低角度側の散 乱を極めて小さくすることができます。また、ナイフエッジ は回折角度2に依存して移動するので、高角度側のブラ インド(強度減衰)もなく、低角度側から高角度側までの測 定が可能です。 ナイフエッジ無 ナイフエッジ有 8000 6000 4000 2000 0 10 20 30 2θ (°) 40 50 図1 ナイフエッジ使用・未使用で測定した ゼオライトのX線回折パターン(拡大) 図2には、ナイフエッジを使用して測定したミルクチョコレートとビターチョコレートのX線回折パターンを示します。低 角度側のバックグランドが低く抑えられており、チョコレートに含まれているカカオバター(POS:パルミチン酸-オレイ ン酸-ステアリン酸が結合した構造)の低角度側の回折ピークが明確に観測されていることがわかります。 測定データ:Bitter/Data 1 測定データ:Milk/Data 1 Intensity (CPS) 400000 300000 200000 100000 0 Sucrose β1-POS 10 20 30 40 2 (°) 図2 ミルクチョコレートとビターチョコレートの定性分析結果 測定条件 : MiniFlex600(ファインフォーカス管球 40 kV, 15 mA), 検出器 : D/teX Ultra(Kβフィルター使用), スリット系 : DS = 0.625°, SS = 8 mm, RS = 13 mm, 入射・受光ソーラスリット = 5°, 入射高さ制限スリット = 10 mm 測定条件 : 測角範囲 2θ = 3 ~ 40°, サンプリング間隔 0.02°, 走査速度 20° / min.(約2分) (K1114ja)
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