企業 Web サイトの有効活用

企業 Web サイトの有効活用
新鮮な情報は企業イメージを向上させる
インターネットの商業利用が普及しはじめた頃は「持っていれば合格点」だった企業 Web サイト。とりあえず
Web サイトは公開したものの、その後、全く見直すことなく古い情報のままになっている企業もある。これでは、
企業PRになるどころか、逆にイメージを損なってしまうことがある。一方で積極的に活用し、商品の販売や人材
の採用などに効果をあげている企業も多くなっている。
こうしたなか、中堅・中小企業において「Web サイトの運営に積極的に取り組みたいが、何から手をつけてい
いのかわからない」という声も多く耳にする。
World Wide Web(WWW)
インターネットの機能の一
つ。インターネットにある
文書、画像などをリンク
し、簡単なボタン操作で、
相互に参照可能にした情
報ネットワーク。蜘蛛の巣
(Web)をイメージさせるこ
とから名づけられた。商
業用の Web サイトは、
1990 年代後半に急速に
増加し、2006 年には 1 億
サイト、350 億ページある
と推定されている。
Webサイト
WWW 上でひとまとまりに
公開されている Web ペー
ジ群。また、その Web ペ
ージ群が置いてあるイン
ターネット上での場所。
Web サイト内のページは
連結され、互いに行き来
できるようになっている。
Webサイトの入り口である
トップページ(ホームペー
ジ)と、その他の Web ペー
ジ、画像ファイルなどから
成る。Webページを表示さ
せるには Web ブラウザが
必要。
ホームページ
Web サイトの起動時に最
初に表示されるページ。
多くは Web サイトのトップ
ページを示すことになる
が、Web サイト全体をホー
ムページと呼ぶこともあ
る。
Webブラウザ(Browser)
Web ページを閲覧するた
めのソフトウェア。本を拾
い読みする「Browse」が
語源。指示された Web サ
イトから情報を入手し、文
字、画像等を再現、表示さ
せる。
Internet Explorer ( IE ) 、
Mozilla Firefox 、 Opera 、
Safari、Google Chrome な
どが代表的。
JBT Report Vol.7 1
今回は、自社の Web サイトを企業活動に活かすためには、どのような運営が求められるかをレポートする。
企業Webサイトの改善に積極的に取り組む企
2.ターゲットを想定する
業が増えており、「会社案内や商品を紹介する」と
Webサイトの目的を明確にすると、ターゲットが
いう利用から「自社と顧客との相互コミュニケーショ
明確になってくる。採用目的であれば、当然、自
ンの場」として活用し、利益を伸ばしている。
社への採用希望者が中心となる。ターゲットを想
本レポートは、これからWebサイトを有効活用し
定すれば、提供するコンテンツ(Web ページの内
たいと考えている企業向けに、ポイントとなる考え
容)、提供の仕方、コンテンツ更新の頻度などが自
方や、具体的な運営方法についてレポートする。
ずと決まる。
自社 Web サイトを再考する
3.コンテンツの洗い出し
自社のWebサイトは、ユーザーの興味を惹く内
次は、コンテンツを考えたい。まず、コンテンツ
容になっているだろうか。Webサイトは、ユーザー
を構成する「キーワード」を絞り込むとその後の作
から訪問してもらい見てもらうことで、役目を果た
業が容易になる。このキーワードは、企業イメージ、
す。ユーザーにせっかく訪問してもらっても「見た
商品ブランドなどとの関係を重視する。いってみ
い」とう興味を抱かせないと素通りされてしまう。次
れば「企業の顔」の再確認になる。
に示したチェックポイントについて自社のWebサ
このキーワードに基づいて社内外からまず既存
イトを確認するとともにライバル企業のWebサイト、
のパンフレット、カタログ、その他の資料を収集し、
できれば評判の良いWebサイトと見比べてみると
コンテンツを編集していく。必要があれば新たに
よい。そうすると、自社のWebサイトの改善点がわ
取材する、といった作業を行う。
かり易い。
Web サイトを改善するポイント
1.Web サイトの公開目的を明確にする
Webサイトは業務アプリケーションや家電製品
Webサイトを公開するには、何らかの目的があ
などと違い「操作マニュアル」がない。ユーザーの
り、効果を期待している。しかし、年月の経過ととも
直感により操作してもらう必要がある。ユーザーが
に「Webサイトの目的は?」と聞かれて、明確に答
扱いやすいWebサイトに改善するポイントは、視
えられなくなっている企業は意外と多い。Webサ
覚的表現と、ページの階層性である。操作性や心
イトは企業活動の一部であり、目的、目標がなく公
理面、ユーザーのハンディキャップなども考慮して
開することはコストの無駄づかいになる。
構成を検討する。
1.ビジュアル面を検討する
■デザインの方向性
「目的を達成するため」のデザインには細心の
注意を払うことが大事である。例えば、製品の高級
感をアピールするページでは、動画等を駆使して
芸術性を高くする必要があるが、逆に製品の安さ
HTML(HyperText Markup
Language)
Web ページを記述するた
めの言語。コンピュータの
メーカーや機種、オペレ
ーティングシステムなど
に影響されないこと、ほ
かの文書などへのリンク
を設定でき、WWW上に
ある情報を簡単に利用で
きることが特徴。
テンプレート
よく使うパターンをあらか
じめ用意しておき、生産
性を向上させるための定
型書式。
PDF(Portable Document
Format)
米 Adobe Systems 社によ
って開発された電子文書
のための様式。利用する
コンピュータの機種など
にかかわらずオリジナル
の文章や画像を、レイア
ウトなどを変えずに再現
することができる。また、
パスワードの設定により
閲覧者や編集者を制限す
ることもできる。
表示速度が遅いことが難
点。
スタイルシート(CSS:
Cascading Style Sheets)
WWW Consortium(W3C)で
標準化されている Web ペ
ージのレイアウトを定義
する規格。フォントや文字
の大きさ、文字飾り、行間
などの見栄えに関する情
報を文書本体(及び文書
の 論理構造を 記述し た
HTML)から切り離すこと
ができ、複数のレイアウト
から選択できる。
ナビゲーション・ポップア
ップ
ナビゲーションポイントに
マウスを重ねるとリンク先
のWebページの内訳が
表示される仕組み。
JBT Report Vol.7 2
をアピールするには簡易な「スーパーのチラシ」を
イメージさせることも必要かも知れない。
■コンテンツの構成
コンテンツは主にHTMLという言語を使って文
字情報(テキストデータ)を編集し、画像等を表示
する。既存のカタログ等のテキストデータを画像処
理して複数のページで繰り返し利用することもでき
るが、内容を変更する際には画像の再製作が必
要で面倒になる。メンテナンスを考慮した構成に
することも重要である。データの更新頻度が高いと
②サブナビゲーション
コンテンツの中・小分類を示したサブメニュ
ー。ページの左右いずれかに配置すること
が多い。
図1.代表的なナビゲーションメニューの配置
①グローバルナビゲーション
大分類A
大分類B
大分類C
大分類D
②サブナビゲーション
a1 >
a2 >
a3 >
a4 >
Webページ
ナビゲーション・ポップアップを利用して、各々
のメニューの詳細を表示することもできる。
図2.ナビゲーション・ポップアップ
マウスでポイント
a1 >
a2 >
a3 >
a4 >
a2-1
a2-2
a2-3
メニュー詳細
が表示される
思われる場合には、テンプレート化するとメンテナ
ンスが容易になる。
また、異なるコンピュータでも元のレイアウトどお
りに表示、印刷できるようにしたい場合には、PDF
化や、印刷用と特記したボタンなどで、印刷用レイ
アウトを表示するスタイルシートの利用を勧める。
■レイアウト
(1) 視線の動き
横書きのページを見る場合、無意識に左上から
右下に向かって視線を移す。コンテンツは左上に
あるものほど見やすいため、重要なものは左上か
ら優先的に配置する。
■ナビゲーションメニュー
ユーザーは画面のリンクポイントをクリックするこ
(2) 画面のスクロール
Webサイトのページの左右、上下の長さには特
とで、ページ間を行き来しながら閲覧する。リンク
段の制約は無い。ただし、左右、上下ともに一画
ポイントを集約したナビゲーションメニューはWeb
面に納まらないと大変見にくくストレスの原因にな
サイト上の案内表示の役割を果たす。直感的に内
る。また、左右が一画面の幅に納まっても上下に
容がイメージできるナビゲーションメニューは、We
長いとページの下部までは見られにくい。
bサイトの操作性を大きく向上させる。このナビゲ
トップページは企業のブランドイメージを左右す
ーションメニューの配置や役割には、次に例示す
る重要なページであるため、文章を極力省き「読
るようなセオリーがある。
ませる」より「視覚に訴える」ページとし、スクロール
① グローバルナビゲーション
しないでページ全体が一画面に納まるデザインが
全ページに表示するコンテンツの大分類を
良い。その他のページも1ページは2~3スクロー
示すメインメニュー。ページ上部に配置する
ル分に納まるようにしたい。
とわかり易い。
(3) 空白の使い方
Webサイトは、一般的に紙のメディアより理解速
ユーザーがトップページから3クリック以内で
度が遅くなると言われている。文章をより簡潔にす
目的のページにたどり着けない場合は、閲覧を中
る。また、あえて空白を少なくし情報量の多さをア
断してしまうという目安がある。3クリックルールと言
ピールすることもあるが、空白の少ないページは
われる。階層構造が多層の場合や階層が複雑に
読み辛く、ユーザーはストレスを感じる。適度な空
なっている場合に起こりやすい。
白を設けると理解し易くなるため、テキストや画像
の配置にも気を配ってページの構成を考える。
■Web ユーザビリティ
近年、Webサイトの利用し易さについては、ユ
ユニバーサルデザイン
障害者に限らずできるだ
け多くの人が利用し易くす
るという設計思想。Web
サイトのデザインでも
WWW Consortium(W3C)の
Web Accessibility Initiative
(WAI)が発表しているガイ
ドラインが事実上の世界
標準となっている。
CMS(Contents
Management System)
CMS とは、コンテンツマネ
ジメントシステムの略称
で、その名の通り、Web サ
イトのコンテンツを管理す
るためのシステム。その
特徴は、従来 Web サイト
の更新に必要だった専門
知識(HTML など)を知ら
なくてもサイトの更新が行
えることにある。
ある。先ほどの直感的に解り易い操作性に加え、
少なくとも次の点への配慮が必要。
①わかり易い階層構造
②わかりにくい階層構造
トップページ
トップページ
ショルダー
ページA
ショルダー
ページB
ショルダー
ページC
ショルダー
ページA
ページa1
〃 a2
〃 a3
ページb1
〃 b2
〃 b3
ページc1
〃 c2
〃 c3
ページa1
ページa2
ショルダー
ページB
a21
a22
a23
ページb1
ページb2
b12
b13
b2
ページc
まず、できれば文字の大きさについて大中小の
サイズが選択できるようにしたい。弱視、高齢者な
どへの配慮である。スタイルシートを利用すると、
次に、明度と彩度に注意したい。青い色の背景
Web サイト公開後の運用について
Webサイトは企業の顔である。定期的な保守を
怠ると古いデータによる誤解、リンク切れなどが発
に黄色の字といった同一の明度の色使いをしてい
生し、企業イメージを低下させマイナス要因となる。
ると、色弱の人などが利用しにくくなる。「白黒」の
常に最新の情報にしておくことが重要。
コピーの際にも、内容が判別しにくくなる。
■メンテナンス性
トピックスなど更新頻度の高いページについて
■節度あるFlashの利用
Flashは、ユーザーの注意を喚起するには有
効な手段であるが、動画の終了まで時間がかかる
為、多用するとユーザーにストレスが生じる。スキ
は、自社で更新を行いたい。制作会社に外注する
こともできるが、時間とコストが嵩む。メンテナンス
性を考える場合、注意点は次の通り。
ップさせる工夫が必要。また、動画を再生できない
①各ページの更新頻度を把握しておく。
環境のユーザーがいることにも留意する。
②更新頻度の高いページは極力画像を利用せ
ずテキスト中心の構成としてメンテナンスし易
2.Web サイトの階層構造
Webサイトは、トップページ→ショルダーペー
JBT Report Vol.7 3
図3.Webサイトの階層構造
ニバーサルデザインの視点からも重要な要素で
字体、文字サイズの変更が容易にできる。
Flash
米 Adobe Systems 社が開
発したソフトで、音声やグ
ラフィックスの動画を組み
合わせてページ内容(We
bコンテンツ)を作成する
ことができる。
■3クリックルール
くする。
なお、簡易なページの更新が多い場合には
ジ(扉ページ)→詳細ページと階層を持たせてペ
CMS を導入し、自社で更新することが有効。
ージを構成することが多い。
トップページには最も伝えたいことを明確に示
■不正アクセスを定期的に監視
インターネットの弱点はセキュリティにある。イン
し、次の階層で目的ごとのページを用意するとわ
ターネットの接続技術自体にセキュリティ機能が組
かり易くなる。
み込まれていない為、ユーザー側でのセキュリテ
ファイアウォール
外部との通信を制御し、
社内のネットワークの安
全を維持することを目的
としたソフトウェアや機
器。通信を常に監視し、事
前に定められたルールに
従い、通信を制御する。
アクセスログ
Webサイトにアクセスし
てきた相手先の IP アドレ
ス、アクセスしてきた日
時、アクセスしたページ等
を記録したもの。解析ソフ
トを利用して分析する。
IPアドレス
インターネット網の中のコ
ンピュータ機器等を認識
できるように1台1台に割
り当てられた住所のよう
なもの。
SEO(Search Engine
Optimization)
サーチエンジン最適化の
こ と で あ り 、 Google や
Yahoo といった検索エンジ
ンの検索結果において上
位に表示されるよう、適切
なキーワードの選択とい
った Web サイトの記述変
更など対策を加えること
を指す。
Webサーバー
Webサイトに記載した文
書や画像を、インターネッ
トを通じて送信するコンピ
ュータ。
C G I ( Common Gateway
Interface)
Web サーバーが、Web ブ
ラウザからの要求に応じ
て、プログラムを起動する
た めの仕組み 。従来、
Web サーバーは蓄積して
ある文書をただ送出する
だけであったが、CGI を使
うことによって、プログラ
ムに基づいて自動的に文
書を生成し、送出すること
ができるようになった。現
在ではほとんどの Web サ
ーバーソフトが CGI に対
応している。
PHP
動的なホームページを作
成するために用いられる
プログラミング言語の一
種。
ィ対策が不可欠である。悪意を持った者は、企業
■自社サーバーかレンタルサーバーか
規模の大小に関わらず無作為にWebサイトに攻
Webサーバーの設置形態には自社サーバー、
撃を加える。ファイアウォールの設定を強化する
レンタルサーバーなど幾つか選択肢がある。自社
他、ページが改ざんされていないか日々監視する。
にインターネット専用線を引いている場合、Web
また、不正アクセスによる障害に備え、復旧体制を
サーバーを一台設置すれば容易にWebサイトを
整えておくことが欠かせない。自社のWebサイト
構築できる。しかし、前述の通りWebサイトは常に
がウィルスに感染されると、さらに自社Webサイト
不正アクセスの脅威にさらされている。自社にWe
の閲覧者に感染が広がっていくことが多い。
bサーバーを設置し、運営する場合、セキュリティ
■ユーザーの解析
アクセスログを解析することで、検索してきた元
対策のために相応の人員や費用が必要だ。一方、
のサイト、キーワードや、ページを見た回数、滞在
セキュリティ対策を継続的に施している。高レベル
時間の分布などが数値とグラフで把握可能である。
のセキュリティを低コストで運用できるため、特別
これを基にWebサイトの目的に沿って利用されて
の理由が無いかぎりレンタルサーバーを選択する
いるかユーザーを解析する。会社名を検索した場
ことを推奨する。
合、画面の上位に表示させる、あるいは、アクセス
数の増加等を図るため、SEO 施策などを行い、適
■レンタルサーバーは共用か専用か
レンタルサーバーは、共用サーバーと専用サー
宜見直しを図っていく。
バーの2つの形態がある。共用サーバーは接続
レンタルサーバーを利用すれば業者側で堅牢な
回線、サーバーなどを複数企業で共有するため、
Web サイトのコスト
レンタル費用は月額 2~6 千円と安いが、使用で
1.イニシャルコスト
きるソフトウェアに制限がある場合が多い。専用サ
20~30 ページ程度のWebサイトを構築する費
ーバーは、接続回線、サーバーなどを1社で独占
用は、20 万円程度から 300 万円以上かかることも
するため制限が少ない一方、月額 20~90 千円と
ある。自由度はあまりないが定型のテンプレートを
コスト高となる。アクセス数、必要なソフトウェアとコ
利用すると安価に済む。費用はかかるが、コンサ
スト等を考慮して選択する。
ルタントを活用するとコンセプト作りからデザインま
でアドバイスしてもらえるため、満足度の高いサイ
トが期待できる。
2.ランニングコスト
Webサイトを公開するためには、サーバーコン
ピュータ(Webサーバー)が必要である。Webサ
ーバーは、動画の利用、アクセスカウント等の目
的に応じた技術環境(CGI/PHP/データベー
スなどの利用)や、保守性などを考慮し、適切に選
択する。
ユーザーに喜んでもらえるWebサイト作りに以
上のようなポイントを役立てていただければ幸い
である。
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JBT Report Vol.7 4
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