SMGレポート2307-その3の① ※ジャンルごとに、毎回テーマを変えてご案内します。 【トピックス】 恐るべしサムスン!その一人勝ち戦略に見る光と影- ◇「中小企業の国際戦略」(専修大学大学院商学研究科&東京信用保証協会共催・本年7/30)でテーマ の一つとなった「躍進する韓国企業=サムスン=の戦略」(日本サムスン元顧問講演)に ついて、オフレコが適当では?と思わせる興味深い発言も含め、レポート致します。 ◇サムスンは現在、GDPの22%を占め売上高20兆円を超える 韓国随一の巨大企業集団で、超優良企業※としてその驚異的な躍 進ぶり(5年で売上倍増)が世界中から注目される存在となっています。 ※売上高営業利益率11.2%、純利益率10.4%(2010年度)-因みに日本のエレクトロニクスメーカーの純利益率は平均 2-3%-。この調子だと、世界一のコングロマリットになる可能性すらあります。 ◇それにしても、これ程までの成長を可能にしたのは一体どのような秘密=戦略 とそれを可能にした背景=があったのでしょうか。 戦略的要因の第一に挙がったのは、専門経営者の育成システム※の構築です。 ※先ず役員候補者が年2回部長クラスから選抜され、延べ380時間に及ぶOFF・JT、ON・JTを受ける。役員クラスも泊り込み で経済や経営状況、経営理念、組織管理等の諸課題を徹底的に叩き込まれる一方、昇格(常務→専務)に当っては平均7年 程を掛け2-3事業部門を経験、その間の評価は常にAランクを維持する事が求められ、グループ会社のトップに抜擢された 後でも-毎週水曜開催の「社長団協議会」では部門の統廃合や副社長以上の人事異動を決定-年度評価がボトム10(下位 10%以下)に該当すると否応なく更迭となる、サッカーのリーグ入れ替え制のような峻烈な競争原理の下に置かれる。 日本でよく見られる情実人事や入社年次昇格、ゼネラリスト型人材重視の選別などは論外といった処でしょうか。 ◇狙いは、育成された専門経営者が交渉の席に必ず同行、プロの知識と素養及 び鍛え上げられた経営判断により、その場で結論を下す体制…稟議・根回しの日 本式方法では到底追いつけない意思決定スピード…を武器とする事にあります。 ◇そして、この仕組みを機能させる為の人材のプールとして、地域専門家(グロー バル人材)制度と次世代リーダー養成制度※がしっかり用意されています。 ※グローバル人材の対象は入社時TOEIC900点上が前提。各現地語での情報収集ができ、現地スタッフとの交流に過半の時 間を使い、その家族の名前が言える事が評価基準。中国は勿論、総人口14億を抱えるインド他の西南アジア、最後の未開 拓市場アフリカ等をマーケットとする世界戦略が背景にある。ときにサムスンのイメージキャラクターは「少女時代」でLGが 「KARA」。余談ですが、ベトナムでは韓国情報がテレビを通じ溢れ出ている中「なでしこジャパン」は話題にすらならないとか。 又、次世代リーダーの場合は、初日の漢江(カンガン)渡河訓練が必須で、その後におよそ1ヶ月の合宿教育が施される由- ◇随分と高いハードルですが、多言語を操り、意志強固(幅500メートルを超える漢江を対岸に泳 ぎきる渡河で精神力の強さが試される)であるだけではリーダーの条件は満たされないようです。 会社が求めるのは思考型リーダー、つまり前例や過去の事例に頼らず、非連続の 突発事案に対しても対処できる力を有する者(入社試験でいきなり舞台に立たせ、テーマを与えて対応力 を見るのも、その一環でしょうか)であり、「未来戦略室」 (次号にて御紹介します)という組織はそのインキ ュベーションとしての位置づけにあるのかもしれません。 既に違和感を覚えている方もいらっしゃるでしょうが、いま少し「光」の部分をお伝えしてゆきます。
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