海外ブランドに関するユーザーアンケート調査結果 2013

2013 年 8 月 9 日
海外ブランドに関するユーザーアンケート調査結果 2013
~ユーザー評価の高いブランドと販売規模の関連性が明確に~
【調査要綱】
矢野経済研究所では次の調査要綱にて国内の海外ブランドに対するユーザーの嗜好を調査した。本アンケー
ト調査は今後毎年実施し、海外ブランドに対するユーザーの評価、嗜好の変化などを分析する予定である。
1. 調査期間:2013 年 6 月
2. 調査対象:過去 2 年内に海外ブランド商品(T シャツを除くアパレル製品、バッグ、革小物、シューズ、腕時
計を対象)を購入したことがある、関東(1 都 6 県)及び関西(2 府 4 県)地区在住 18~69 歳の男
女 6,220 名(男性 3,018 名、女性 3,202 名)
3. 調査方法:インターネットアンケート調査
<海外ブランドユーザーアンケート調査とは>
国内市場における海外ブランドに対するユーザー嗜好の実態を把握することを目的に実施し、①海外ブランドに対
するユーザーの嗜好分析、②海外ブランドを販売する施設の評価・分析、③国内市場における有力 152 ブランドの評
価分析の 3 つの視点から分析しているが、ここでは主にユーザーの購買行動や嗜好、ユーザーの有力ブランドに対す
る評価を取り上げる。
なお本アンケート調査における海外ブランド商品とは T シャツを除くアパレル製品、バッグ、革小物、シュ
ーズ、腕時計を対象とする。
【調査結果サマリー】
◆ 海外ブランド商品購入に影響があると回答したユーザーは全体の 13.2%
消費増税の影響はさほど影響なし
現在、高い関心を集めている消費増税に対する消費者の反応であるが、海外ブランド商品購入につい
て「影響はない・影響は少ない」とする回答が全体の 66.2%、「影響がある・影響が大きい」とする回答は
13.2%と、海外ブランドユーザーは一般的な予想に反して、さほど影響がないという結果であった。
◆ 海外ブランド購入時に「正規価格のみで購入」の回答は全体の 4.2%、
一方「セール価格のみで購入」は 22.6%
海外ブランド市場におけるディスカウント販売が常態化しつつあるなか、全体では「通常価格のみで購
入」が 4.2%、「通常価格で購入することが多い」が 27.2%である一方で、「セール価格で購入することが多
い」が 46.0%、「セール価格のみで購入」が 22.6%という結果であった。年代別にみた場合、年齢層が若
い世代(37 歳以下)の方が「通常価格で購入することが多い」傾向にあり、中・高年層(38 歳以上)は「セ
ール価格のみで購入」する比率が高い傾向である。
◆ 海外ブランドで最も高い評価を得たブランドはやはり「ルイヴィトン」、
有力ブランドにおけるユーザー評価と市場における販売規模との関連性が明確
有力ブランドに対するユーザー評価として、総合評価の最も高かったブランドは「ルイヴィトン」で 16.3 ポ
イント、次いで「エルメス」14.9 ポイント、「バーバリー」14.3 ポイント.「グッチ」13.9 ポイントであった。
ユーザー評価の高いブランドは、国内の海外ブランド市場における販売規模とおおよそ比例しているこ
とから、こうしたユーザー評価の高さが海外ブランドの購買行動に直接的に結びついているものと考える。
◆株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 営業本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
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2013 年 8 月 9 日
【調査結果の概要】
1. 消費増税が与える海外ブランド商品購買行動への影響
現在、高い関心を集めている消費増税に対する消費者の反応であるが、海外ブランド商品購入につい
て「影響はない・影響は少ない」*とする回答が全体の 66.2%、「影響がある・影響が大きい」**とする回答
は 13.2%、「わからない」が 20.6%という結果となった。また男女別では「影響はない・影響は少ない」とす
る回答が男性の方が高く 68.0%、女性は 64.4%であった。
本調査から海外ブランドユーザーは一般的な予想に反して、さほど影響がないという結果であった。
2013 年に入ってからも為替変動や原材料費高騰を理由に値上げを行なったブランドも少なくない等、海
外ブランドユーザーもこうした動きには慣れてしまい、海外ブランドの商品価格上昇に対する懸念(警戒
感)は低いことが示唆される。
*「消費増税はあまり関係がない」、「消費増税時、欲しい商品は購入すると思うが、衝動買いは少なくなる」、「増税当初は
購入をしなくなるかもしれないが、慣れてくると欲しい商品があればまた購入し始める」の回答比率の合計値
**「消費増税時には海外ブランド品を購入する機会が全体的に少なくなる」、「消費税 10%ではさすがに購入しなくなる」の
回答比率の合計値
図1. 消費増税が与える海外ブランド商品購買行動への影響
影響はない・影響は少ない
28.1%
男性_n=3018
26.7%
19.4%
女性_n=3202
28.4%
23.6%
全体_n=6220
0%
10%
13.2%
16.6%
27.6%
20%
30%
40%
15.0%
50%
60%
7.0% 5.0%
8.4% 6.1%
7.7% 5.5%
70%
80%
19.9%
21.2%
20.6%
90%
100%
矢野経済研究所作成
消費増税はあまり関係がない
消費増税時、欲しい商品は購入すると思うが、衝動買いは少なくなる
増税当初は購入をしなくなるかもしれないが、慣れてくると、欲しい商品があればまた購入し始める
消費増税時には海外ブランド品を購入する機会が全体的に少なくなる
消費税10%ではさすがに購入しなくなる
わからない
注 1. 調査時期;2013 年 6 月、調査対象(集計対象);過去 2 年内に海外ブランド商品(T シャツを除くアパレル製品、
バッグ、革小物、シューズ、腕時計対象)を購入したことがある、関東(1 都 6 県)及び関西(2 府 4 県)地区在住 18
~69 歳の男女 6,220 名(男性 3,018 名、女性 3,202 名)、調査方法;インターネット形式、単数回答
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2013 年 8 月 9 日
2. 海外ブランド商品の購入方法について
海外ブランド市場におけるディスカウント販売が常態化しつつあるなか、海外ブランドユーザーが実際
にどのような購入をしているかについて、全体では「通常価格のみで購入」が 4.2%、「通常価格で購入す
ることが多い」が 27.2%である一方で、「セール価格で購入することが多い」が 46.0%、「セール価格のみ
で購入」が 22.6%という結果であった。本調査結果では全体の約 7 割が「セール価格」での購入を嗜好し
ていることが示されている。また年齢別にみた場合、年齢層が若い世代(37 歳以下)の方が「通常価格で
購入することが多い」傾向にあり、中・高年層(38 歳以上)は「セール価格のみで購入」の比率が高い傾向
である。
図 2-1. 海外ブランド商品の購入方法
26.9%
女性_n=3202 4.0%
27.5%
44.5%
全体_n=6220 4.2%
27.2%
46.0%
0%
10%
20%
21.1%
47.5%
男性_n=3018 4.5%
30%
40%
50%
24.0%
22.6%
60%
70%
80%
90%
100%
通常価格でしか購入しない
通常価格、セール価格、いずれでも購入するが通常価格で購入することが多い
通常価格、セール価格、いずれでも購入するがセール価格で購入することが多い
セール価格でしか購入しない
矢野経済研究所作成
図 2-2. 年齢別海外ブランド商品の購入方法
18-22歳_n=512 3.3%
23-27歳_n=608
27.3%
6.4%
31.4%
28-32歳_n=622 4.5%
25.5%
43-47歳_n=646 4.5%
24.9%
48-52歳_n=655 3.2%
27.5%
53-57歳_n=642 3.9%
25.9%
58-62歳_n=642 3.3%
25.1%
63-69歳_n=615 4.1%
24.2%
10%
20%
17.8%
47.9%
32.2%
38-42歳_n=650 4.0%
19.3%
44.4%
28.3%
33-37歳_n=628 4.9%
0%
50.0%
19.3%
45.5%
17.4%
46.9%
23.5%
45.4%
25.2%
44.6%
24.7%
43.5%
26.8%
47.5%
24.1%
44.7%
30%
40%
50%
27.0%
60%
70%
80%
90%
100%
通常価格でしか購入しない
通常価格、セール価格、いずれでも購入するが通常価格で購入することが多い
通常価格、セール価格、いずれでも購入するがセール価格で購入することが多い
セール価格でしか購入しない
矢野経済研究所作成
注 2. 調査時期;2013 年 6 月、調査対象(集計対象);過去 2 年内に海外ブランド商品(T シャツを除くアパレル製品、
バッグ、革小物、シューズ、腕時計対象)を購入したことがある、関東(1 都 6 県)及び関西(2 府 4 県)地区在住
18~69 歳の男女 6,220 名(男性 3,018 名、女性 3,202 名)、調査方法;インターネット形式、単数回答
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2013 年 8 月 9 日
3. 海外ブランドのイメージに影響を与える販売方法
ブランドイメージが落ちる懸念があるとされるディスカウント販売であるが、どの程度影響があるのかにつ
いて、「ブランドイメージが落ちない」との回答で最も高いのは「正規販売店におけるセール販売」で
70.1%であり、次いでアウトレットで 56.1%、インターネット通販(外部サイト)で 53.2%であった。一方、「ブラ
ンドイメージが落ちる」は「ディスカウント店での販売」で 41.6%と最も高い比率であった。
本調査結果からはインターネット通販やアウトレット販売は一部のユーザーには多少懸念される傾向に
あるが、大方は海外ブランドの一つの販路として認知されつつあることが示唆される。
図 3. 海外ブランドのイメージに影響を与える販売方法
正規販売店でセール販売_n=6220
アウトレットで販売_n=6220
イン ターネット通販(外部サイト)で販売_n=6220
30.1%
53.2%
16.7%
20%
イメージが落ちる
20.3%
38.1%
41.6%
10%
21.6%
56.1%
22.3%
ディスカウン ト店で販売_n=6220
0%
17.8%
70.1%
12.2%
30%
40%
50%
60%
イメージは落ちない
70%
80%
90%
100%
どちらともいえない
矢野経済研究所作成
注 3. 調査時期;2013 年 6 月、調査対象(集計対象);過去 2 年内に海外ブランド商品(T シャツを除くアパレル製品、
バッグ、革小物、シューズ、腕時計対象)を購入したことがある、関東(1 都 6 県)及び関西(2 府 4 県)地区在住 18
~69 歳の男女 6,220 名(男性 3,018 名、女性 3,202 名)、調査方法;インターネット形式、単数回答
4. 海外ブランドに対するユーザー評価
有力ブランドに対するユーザー評価として 10 の評価項目***を設定し、現在の市場において、どのブラ
ンドの評価が高いのかをポイント数で示した。なおここでは上位 25 ブランドのみ抽出した。
本調査からは、「ルイヴィトン」が 16.3 ポイントで最も高く、次いで「エルメス」14.9 ポイント、「バーバリー」
14.3 ポイント.「グッチ」13.9 ポイント、「ティファニー」13.7 ポイント、「コーチ」13.5 ポイント、「シャネル」13.4
ポイントであった。
ユーザー評価の高いブランドは、国内の海外ブランド市場における販売規模とおおよそ比例しているこ
とから、こうしたユーザー評価の高さが海外ブランドの購買行動に直接的に結びついているものと考える。
***本調査における 10 の評価項目とは、①(該当の)ブランドを知っている、且つここ1年以内に購入したことがある、あるい
は買ってもらったことがある、②ブランドイメージが高い、③安心感がある、あるいは間違いがない、④人に推奨できるブラン
ドである、⑤オンタイム(仕事・フォーマルな会合等)用途としてよく使用している、⑥オフタイム(休日時・外出時)用途として
よく使用している、⑦自身にとって特別なブランドである、⑧品質がよい、⑨デザイン性が高い、⑩価格と商品のバランスが
取れている、の 10 項目について各項目 1 ポイントとして調査対象者 6,220 名の評価(ポイント数)をブランド毎に集計し、全
体のポイント数(6,220 名×10 ポイントで 62,200 ポイント)に対する比率を算出し、総合評価としている。
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2013 年 8 月 9 日
図 4. 海外ブランドに対するユーザー評価(総合評価)
16.3
ルイヴ ィトン
14.9
エルメス
14.3
バーバリー
13.9
13.7
グ ッチ
ティファニー
13.5
13.4
コーチ
シャネル
12.8
カルティエ
12.2
11.9
ブルガリ
プラダ
11.0
ディオール
10.8
10.4
フェラガモ
ギャップ
9.4
ポロラルフローレン
9.0
8.6
ジョ ルジオアルマーニ
ダン ヒル
8.6
セリーヌ
8.4
8.1
ポールスミス
フェン ディ
サン ローラン
7.6
クロエ
7.6
エイチアン ドエム
7.3
ヴ ァレン チノ
7.3
6.8
ザラ
6.7
ドルチェ&ガッバーナ
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
矢野経済研究所作成
注 4. 調査時期;2013 年 6 月、調査対象(集計対象);過去 2 年内に海外ブランド商品(T シャツを除くアパレル製品、
バッグ、革小物、シューズ、腕時計対象)を購入したことがある、関東(1 都 6 県)及び関西(2 府 4 県)地区在住 18
~69 歳の男女 6,220 名(男性 3,018 名、女性 3,202 名)、調査方法;インターネット形式
注 5. 10 評価項目(***参照)とは本調査対象の 152 ブランドに対し各項目 1 ポイントで回答した結果を各ブランドのポイント
数として集計し、全体に対する比率にて算出、ここでは上位 25 ブランドのみ抽出している。
5. まとめ(考察)
国内の海外ブランド市場はやや持ち直している状況とはいえ、一時期の勢いは薄れているなかで、今回
の調査結果から海外ブランドに対するユーザーの見方を考察すると、市場に定着した定番ブランドのパ
ワーはさほど衰えておらず、消費増税や値上げなどの様々な外的要因に対してもあまり影響は受けない
状態にある。またそれらの定番ブランドを脅かすような新たなブランドの出現も感じられず、よく言えば安
定、悪く言えば膠着状態にある市場であるといえる。
ただ、見方を変えれば海外ブランドであるという特別感は希薄になりつつあり、ユーザーにとって通常の
生活シーンの中にある一つの商品として、選択されているという状況が現在の市場の実態であるものと考
える。
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