Yano Research Institute Ltd

2015 年 6 月 9 日
中古車流通市場に関する調査結果 2015
-消費税増税の影響を受けた中古車流通市場-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の中古車流通市場の調査を実施した。
1.調査期間:2014 年 8 月~2015 年 5 月
2.調査対象:自動車メーカー、自動車ディーラー、オートオークション・入札会開催事業者、中古車販売事業者、
中古車買取専門事業者、自動車ユーザー等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、自動車ユーザーに対するインター
ネットアンケート調査ならびに文献調査併用
<本調査における中古車流通市場とは>
本調査における中古車流通市場とはオートオークション市場(入札会含む)、中古車買取市場、中古車輸出市
場、中古車小売市場の 4 市場で構成される。
<中古車小売台数とは>
中古車販売事業者から自動車ユーザーへ販売された台数(B to C)で、個人間売買による取引台数(C to C)は
含まない。
<個人間売買市場とは>
個人間売買市場では、個人間で売買された中古車の中で、購入前に現車確認をせずに第三者から購入した
車両のみを対象とする。なお本調査における中古車流通市場には含まない。
【調査結果サマリー】
 2014 年の中古車小売市場規模は台数ベースで 270 万台、金額ベースで 2 兆 8,566 億円
2014 年の国内の中古車小売市場規模は、台数ベースで 270 万台、金額ベースで 2 兆 8,566 億円と
推計した。2014 年の 1 月~3 月は消費増税前の駆け込み需要が発生したものの、4 月以降は駆け込み需
要後の反動減と消費マインドの低迷で中古車販売業者は苦戦を強いられた。大手中古車販売事業者を
中心に早い店舗では夏頃から来客数、および販売台数が回復した。
 2014 年の個人間売買市場の取引台数は約 40~60 万台規模、今後、拡大の可能性あり
本調査に関連したユーザーアンケート調査では、現車を確認せずにタブレット端末等の画像確認で
車両を購入する自動車ユーザーは中古車小売市場の 2 割程度を占めていることから、個人間売買市
場の潜在需要について中古車小売市場(200 万台~300 万台)における販売台数を前提として試算す
ると、約 40 万~60 万台規模と推定される。インターネット通販やインターネットオークションを当然のよう
に利用する世代が車両購入世代になることで、潜在需要が顕在化し、需要の拡大が更に進むものと考
える。
◆ 資料体裁
資料名:「中古車流通総覧 2015 年版」
発刊日:2015 年 5 月 29 日
体 裁:A4 判 334 頁
定 価:150,000 円(税別)
◆ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2015 年 6 月 9 日
【 調査結果の概要 】
1. 中古車流通市場~主要取引市場別概況
1-1. 中古車小売市場
2014 年の国内の中古車小売市場規模は、台数ベースで 270 万台、金額ベースで 2 兆 8,566 億円と推
計した。2014 年の 1 月~3 月は消費増税前の駆け込み需要が発生したものの、4 月以降は駆け込み需要
後の反動減と消費マインドの低迷で中古車販売事業者は苦戦を強いられた。大手中古車販売事業者を
中心に早い店舗では夏頃から来客数、および販売台数が回復したことで、通年では 270 万台となった。
中古車平均小売価格は 105.8 万円であった。単価の高い未使用車や良質な中古車の流通台数が増
加したほか、同位クラスでガソリン車よりも高額なハイブリッド車等の環境対応車が販売されたことが要因
である。この結果、中古車平均小売価格に中古車小売台数を掛け合わせた金額ベースの市場規模は 2
兆 8,566 億円となった。
1-2. オートオークション市場
オートオークション市場は、新車・中古車販売台数の増加に伴って出品台数が増加した。特に消費増
税前の駆け込み需要でディーラーや中古車販売事業者における在庫が急激に膨らんだことで在庫調
整が発生したため、例年よりも良質な中古車(年式:7 年以内、走行距離:5 万 km 未満)の流通台数が
増加した。また、平均成約単価は、中古車輸出市場が好調に推移する中で、中古車輸出事業者、中古
車販売店、解体事業者による仕入競争が激化したことで、リユースオークション※を含めて全体的に年
間を通して高騰する結果となった。
※リユースオークションとは、オークション会場において低年式過走行車両のような低価格帯車両を中心に出品されるコ
ーナーをさす。
1-3. 中古車買取市場
2014 年の国内の中古車買取市場は約 70 万台と推計した。メーカー系ディーラーによる下取強化、
中古車販売店やカー用品店、ガソリンスタンド等の異業種からの参入によって買取価格は高騰している。
引き続き、メーカー系ディーラー、中古車買取専門店、新規参入事業者による競争は激化すると見る。
1-4. 中古車輸出市場
財務省貿易統計によると、仕向地別の中古車輸出台数は、トップを続けていたロシアが情勢悪化や
ルーブル安の影響を受けて輸出台数が落ち込んだものの、好調を維持するミャンマー向け、ニュージ
ーランドやグルジア向けの輸出台数が増加し、中古車輸出市場全体を牽引した。
また、経済発展を背景にアフリカ諸国向けの中古車輸出台数が拡大している。引き続きアフリカ諸国
の経済発展が見込める中で、現地に拠点を構える事業者が出てきており、アフリカ諸国における需要が
中古車輸出市場を支えている状況は続くものと見る。
2. 個人間売買市場
個人間売買市場とは個人間で売買された中古車の中で、購入前に現車確認をせずに第三者から購
入した車両のみを対象とするが、本調査における中古車流通には含まない。
個人間売買市場は、消費増税を契機として複数の仲介サイトが登場して形成された市場である。仲
介サイトが個人間売買で必要とされる“査定(品質・価格の裏付け)”、“代行(事務手続きの代行)”、“保
証(購入後の車両保証)”の 3 つのサービスを提供していることから、個人間売買市場が拡大する最低
限の下地は整った状況となった。しかしながら、仲介サイトのユーザー認知度が高まっていないこと等が
要因となって、仲介サイトの登場が個人間売買市場の拡大を牽引するには至っていない。
本調査に関連したユーザーアンケート調査では、現車を確認せずにタブレット端末等の画像確認で
車両を購入する自動車ユーザーは中古車小売市場の 2 割程度を占めていることから、個人間売買市
場の潜在需要について中古車小売市場(200 万台~300 万台)における販売台数を前提として試算す
ると、約 40 万~60 万台規模と推定される。インターネット通販やインターネットオークションを当然のよう
に利用する世代が車両購入世代になることで、潜在需要が顕在化し、需要の拡大が更に進むものと考
える。
Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
2015 年 6 月 9 日
図 1.
2014 年 中古車流通フロー
車両(新車中古車含む)購入ユーザー
リース会社
【リースアップ車両60万台(ELV除く)】
車両下取・売却
(ELV除く)
294万台
車両売却
70万台
小売
12万台
買取専門店
中
古
車
ユ
ー
ザ
ー
小売
110万台
業販市場へ
58万台
解体用落札
50万台
業販市場へ
60万台
新車ディーラー
解
体
業
者
業販市場へ
184万台
輸出用落札
127万台
業販市場(オークション、入札会含む)【出品747万台、成約468万台】
車両下取
(ELV除く)
40万台
小売台数
270万台
仕入
148万台
業販市場へ
40万台
小売
148万台
輸
出
市
場
中古車輸出
7万台
輸出台数
141万台
中古車輸出
7万台
中古車販売店
解体台数
339万台
矢野経済研究所推計・作成
注1. 業販市場と中古車販売店の仕入れ販売台数は在庫入替用の仕入れ販売台数を除く
注2. ELV とは自動車リサイクル法に準じ、リサイクル工程に出される使用済自動車をさす
注3. 図 1 のうち、輸出台数は一般社団法人日本自動車販売協会連合会データ、解体台数は公益財団法人自動車リサ
イクル促進センターデータからの引用
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