夏場対策:分娩舎のワンポイント いよいよ西から梅雨も明け夏も本番です。各農場では特に力を入れて夏場対策をされているでしょうが特に分娩舎 の母豚が最も重要です。この時期の母豚が食欲を落とすことで、秋から冬にかけての繁殖成績の低下および来年の5 ~6月の出荷頭数の減少に繋がります。継続生産上の重要な要ですので、管理上のワンポイントとしておさらいして おきましょう。 母豚の泌乳停止(食欲不振)防止策 分娩舎への導入は分娩3日前に完了。 豚に移動は数頭ずつ、グループで移動させること。またやさしくいたわる。 オーバーコンディションに注意。 飲水不足の兆候です、便秘に注意。(ふすまなどの繊維質や硫酸マグネシウム)特に分娩間近になったら、し っかりと飲水させる。 GP パウダーで十分な飲水確保と食欲増進が図れる! 分娩舎の温度を頭部への送風・ドリップで対応。(呼吸状態のチェック重要)工業扇は丈夫で安価、お勧め。 ドリップクーリングの設置で母豚に快適な環境を与えよう。ドリップホルダーを利用すると、簡単にしっかり涼し い環境が与えられる。 分娩後の子宮洗浄の徹底。(解熱剤と抗生物質、あるいはイソジンを混ぜて注入) 分娩の次の日の検温(調子が悪くなくても子豚の調子で即検温)。目安は腹のふくらみとツヤ。39.0℃以上な らすぐ解熱剤を注射する。 このように分娩舎は、様々な管理の中で最も重要でかつ大きな影響を与えるステージです。一番力を入れられるよ うに農場内の人員配置にも注意しましょう! 分娩柵に設置されたドリップホルダー(左)とどぶ付けしたタイプ(右) 弊社では、このドリップホルダーを鉄工所で作ってもらっています。プラスチックのパッカーがついた本格的なもの です。農場によってこの幅(芯芯)と鉄管の太さを調べてオーダーを取っています。 注文生産になるためすぐには出荷できませんが、5月から10月ごろまで天候によってはがんがん使いますので、早 めに準備しておくと安心です。 そのためには相当数のペットボトルと冷凍庫の常備も必要です。 哺乳中の下痢対策の重要なワンポイント 母豚の泌乳停止は、母豚の体調不全に起因することが多く、その為に乳質の変化が重要です。こまめに母豚 の体温を測りましょう。 下痢原因菌のうち、いくつかのものについては母豚へのワクチンがありますが、ほとんどは常在菌に対する母豚 の免疫不足が原因です。適切な馴致を母豚群内で上手に出来るように、獣医師に相談しましょう。 暑い季節には、どうしても母豚の見た目がよいので過剰なドリップをしがちです。しかし床面や母豚の体表が 異常に濡れてしまうと、下痢発生の下地を作りますので、ドリップの温度設定から再確認しましょう。例えば31 度以上で作動、あるいは間欠に設定する必要があります。 保温箱の温度に注意しましょう。昼間の保温しっぱなしは電気代の無駄だけでなく、子豚が外で寝る機会を増 やすので、思わぬ吹込みや夕立の後の冷えにさらされて調子を崩すもとです。 保温箱へのミストラル(水分吸着剤)の利用は、特にこの時期にお勧めです。子豚が直接濡れることは最大限 に避けましょう。 基本に戻って石灰ぬりで菌をシャットアウト(季節を問わず下痢の多い農場)すると豚舎に残っている各種細菌 類を封じ込めることが出来ます。ただし石灰塗りはかなりの発熱を伴いますので、十分に時間をおいてから豚 を導入するようにします。このような分娩舎に関する衛生レベルの努力は常に何らかの成果が出るものですの で出来る範囲で努力しましょう。 子豚に対する下痢の悪化要因としてコクシの問題は常にあるので、担当獣医師との相談の上、対処をしましょう。 母豚のバイオセキュリティは非常に重要です。母豚を洗って導入する。毎日の管理の初め、豚房を替わるごとに 手を石鹸で洗う、手袋を着用するようにしましょう。 母豚や子豚の糞便処理のたびに道具(糞かき棒など)を洗って消毒して使用すると管理者による下痢の伝播が 防げます。 子豚への餌付けは、余り早く始めても食べないばかりか不衛生な環境になるので、状況に応じて18日くらいから はじめるくらいでも十分です。 2009 年 7 月 グローバルピッグファーム㈱
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