海外安全対策情報(平成28年第2四半期) 在ベネズエラ日本国大使館 1 社会・治安情勢 (1)ベネズエラでは,4月25日以降,ベネズエラの電力の約6割をまかなっ ているグリダムの水位が低下したため,カラカスを除くベネズエラ全土において 計画停電が行われている。雨期に入った現在も,水位が充分回復していないため 計画停電は継続されており,商店の閉店や工場の操業停止により,国民の生活に 大きな影響を与えている。また,経済状態の悪化から,食料品等の生活物資の深 刻な物不足に陥っているほか,高インフレによる物価高,断水及び治安の悪化に より,国民の不満は,かつてないほど高まっている。報道によると,5月までに ベネズエラ全土で2,138件の抗議活動が行われ,このうち,508件が食糧 品不足への抗議デモであった。また,食料品を狙った略奪事件等も増加しており, 1月から4月までに,166件の略奪事件及び未遂事件が発生し,国家警察(G NP)や国家警備軍(GNB)が,催涙弾やゴム弾を使用して鎮圧する事態とな っている。 (2)野党連合(MUD)は,大統領罷免国民投票の年内実施を求め,全国選挙 評議会(CNE)への圧力を強めており,ベネズエラ全土でデモ活動を行ってい る。5月11日及び18日には,デモ隊と治安機関が衝突し,GNBは,催涙弾 やゴム弾を使用して鎮圧したため,多数の負傷者や逮捕者が出た。MUDは,国 民投票の年内実施が確定するまで抗議活動を続けると宣言しており,今後,治安 機関とさらなる衝突が懸念されている。他方,政府・与党でも,こうした野党連 合の動きに対抗するため,6月をデモ月間と定め,多くの政府支持のデモを実施 した。 2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)邦人被害事案 なし (2)邦人以外の被害事案 カラカス首都圏においては,昼夜,地域を問わず,殺人,強盗,誘拐及び 発砲事件等が発生している。また,生活必需品(牛乳,食用油,米,小麦粉, トイレットペーパー等)等の物不足が顕著になる中,換金性の高い携帯電話, 自動車部品を狙った強窃盗事件や略奪行為が増加傾向にある。特に,バイクに 乗った強盗犯人が,車両や徒歩で移動中の市民にけん銃を突きつけて,現金や 携帯電話を強奪する手口が多数発生している。 ア 5月6日午後8時頃,カラカス首都圏チャカオ市アルタミラ地区の一戸建 て住宅に,ライフル銃,手榴弾で武装した8人組の男が侵入し,被害者に暴行 を加えた後,現金等を奪って逃走した。また,犯人は逃走時,偶然通りかかっ た車の運転手に発砲して,重傷を負わせて車両を強奪した。 イ 5月18日,カラカス首都圏チャカオ市カントリークラブ地区の一戸建て 住宅において犯人が侵入し,シーツで首を絞めて,世帯主の男性を殺害した。 また,同人の運転手も,同宅付近において,後頭部をけん銃で撃たれ殺害され た。 ウ 5月26日,カラカス首都圏スクレ市サンタ・エドゥビヒス地区のホテル の客室内において,男性が猿ぐつわで拘束された状態で刺殺された。 3 テロ・爆弾事件発生状況 なし 4 誘拐・脅迫事件発生状況 2016年5月末までで,全国で137件発生した(2015年は,5月末 までで127件発生)。治安機関関係者が短時間誘拐事件に関与している場合も 多く、引き続き十分な注意が必要である。 以上
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