1.社会・治安情勢 (1)ホンジュラス政府によれば、殺人事件は昨年比で減少傾向にあるとしているが、依 然として連日多数の殺人事件が全国各地で発生しており、また、女性被害者の割合が増加 傾向にある等、治安情勢は厳しい状況が続いている。国家警察についてはテグシガルパ市 内における警察官のスト実施や国家犯罪捜査局の業務一時停止等、組織的に混乱している 兆候もみせている。 (2)5月末、当地治安悪化の大きな要因とされている青少年犯罪組織「マラス」の2大 勢力(MS13 及び MARA18)による和平協定(抗争及び犯罪行為の停止)の可能性が浮 上したが、事実上、同協定は不成立に終わったとみられ、その後も組織間の抗争とみられ る事件も多発している。また本年秋に予定されている大統領選挙に伴い、政治絡みの犯罪 も増加する可能性もあり、今後の治安情勢には引き続き注意を要する。 2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)依然として犯罪組織間の抗争とみられる殺人及び怨恨が原因とみられる請負殺人が 多発しており、対象者だけでなく付近に居合わせた人々に対しても無差別に発砲する事件 も散発している。また、商業施設等の駐車場における短時間誘拐や路上及び公共交通機関 (乗り合いのタクシーやバス)内において、現金及び携帯電話等を狙った強盗殺人事件も 多発しており、これらの犯行の殆どに銃器が使用されている。中でも銀行等にて現金を引 き出した者を車両等で尾行し、銃器等で脅して現金を奪い取る強盗事件も散発しており、 同種事件は邦人も被害者となる可能性が十分にあることから特に注意を要する。 (2)邦人被害事案 在留邦人が乗ったバスがコマヤグア県内を走行中、乗客を装っていた男3名が他の乗 客に銃器を向けながら金品を差し出すように要求し、同邦人も現金等の入ったバックを奪 い取られた。 (3)邦人以外の被害事案 ア 4月上旬、テグシガルパ市内の交差点(ミラフローレス地区)において、自家用車 を運転中の男性がオートバイで近づいてきた男らに銃撃され死亡した。 イ 5月上旬、テグシガルパ市内の路上(ミラフローレス地区)にて、男性がオートバ イで近づいてきた男らに銃撃され死亡した。 ウ 5月下旬、テグシガルパ市内の金融機関(ロマス・デル・ギハロ地区)で多額の現 金を引き出した男性2名が、何者かに尾行された後、運動公園(ビジャオリンピカ)付近 において射殺された。 エ 6月下旬、テグシガルパ市内の交差点(ファンパブロ・セグンド通りとセントロア メリカ通りが交差する飲食店が多く所在するテペヤック地区)にて、車両を運転中の男性 がバイクで近づいてきた男らに銃撃され死亡した。 3.テロ・爆弾事件発生状況 5月29日夜から30日未明にかけて、テグシガルパ市内の飲食店(3店舗)のトイレ から手榴弾(真正)が発見されたが、いずれも爆発物処理班によって爆発は未然に防いで おり、物的及び人的被害は無し(事件の背景は不明)。 4.誘拐・脅迫事件発生状況 日本人被害は無し。 5.日本企業の安全に関する諸問題 (1)ホンジュラスの対日感情は良好であり、日系企業を対象としたテロの可能性は低い とみられるものの、強盗等の一般犯罪は深刻な状況にあることから、同種犯罪に対する防 犯対策の強化が必要である。 (2)6月13日付で当地の一部地域に対する渡航情報が更新されたが、 「渡航の是非を検 討」の地域(外務省 HP 渡航情報参照)については継続であるため、該当地域における業 務予定がある場合は、これまで以上に安全対策の強化及び現地治安情報の収集を行うこと を勧める。
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