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医療機関の税務
法人税
法人の種類
348 第Ⅱ部 医療法人の税務
第2章 医療法人の法人税
第1節 法人税法上の法人の種類
1 法人税法上の種類
法人税法上の法人は、普通法人、公共法人、公益法人等及び協同組合等
に区分され(法法2五、六、七、九)
、それぞれにおいて、異なる課税関係
が定められています。
医療法人は、社会医療法人が収益事業の所得のみに課税がなされる公益
法人等に該当し、他の医療法人は全所得に対して課税がなされる普通法人
に該当します。
国税庁長官から承認を受けた特定医療法人(措法 67 の2)は、低率課税
がなされますが、普通法人と同様に全所得課税です。
2 持分の定めのある医療法人と持分の定めのない医療法人
医療法人には、経過措置型医療法人である持分の定めのある医療法人と、
持分の定めのない医療法人とがあります。持分の定めのない医療法人には、
財団医療法人と、持分の定めのない定款を定めた社団医療法人が該当しま
す。持分の定めのない医療法人は、資本金等の額の定めのない法人であり、
交際費課税、寄附金課税、中小法人の判定、法人住民税の均等割などにお
いて、持分の定めのある医療法人と課税関係が異なります。
3 内国法人と外国法人
法人税法上の法人は、国内に本店又は主たる事務所を有する内国法人(法
法2三)と内国法人以外の法人である外国法人(法法2四)とに区分され
ますが、国外に本店を設置する医療法人は存在しません。
医療機関の税務
収益の計上時期・社会保険診療報酬
第2章 医療法人の法人税 353
第4節 収益の計上時期
1 収益の計上時期
医療法人が患者に行う医療行為は、患者との間で口頭による治療契約を
結んだ上で行われており、治療契約は、民法上の準委任契約(民法 656)と
解されています。準委任契約は、委任契約が準用されますが、委任契約に
ついては、
「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方
がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」(民法 643)とされて
います。
そして、この収益の計上時期は、役務の提供(医療行為)が完了した時
点となります。
つまり、入金の有無に関わらず、患者の診療が終了した段階で収益を計
上することになります。治療費の一部を保険請求できる場合には、病院窓
口で患者の一部負担金のみが入金となるため、残額を未収入金に計上しな
ければなりません。期中、現金基準で売上を計上している場合には、期末
に未収入金を計上することになります。
2 窓口収入
⑴ 自己負担割合
窓口収入とは、外来患者や入院患者の一部負担金につき、病院の窓口で
入金される金額をいいます。入院患者に対しては、定期的に締め日を設け
て請求し、口座振込又は窓口にて入金してもらうのが通例です。保険診療
の一部負担割合は、国保及び社保では3割、老人保健医療では1割(高額
所得者は3割)となっています。
また、乳幼児医療や母子家庭等の公費受給者証の提示があれば、国又は
都道府県等が患者の一部負担金を負担するため、窓口収入はありません。
後日、国又は都道府県等に請求をすることになります。社会保険の適用の
ない自由診療の場合には、治療費の全額が窓口収入となります。
⑵ 入院収入
入院患者の一部負担金は、定期的に締め日を設けて請求をしているので、
期末において未請求のものや未入金のものがないかの確認が必要です。
患者へ請求し、未収となっているものは、電子カルテを導入している医
354 第Ⅱ部 医療法人の税務
療機関では、電子カルテのデータを確認することにより把握が可能です。
また、レセプトコンピュータを導入している医療機関は、レセプトコン
ピュータのデータや未収金台帳などにより把握が可能です。
期末において診療行為を行ったが、患者への請求を行っていないという
ケースもないとは限りませんが、このようなものは、ヒアリング等により
把握するしかありません。
⑶ 現金実査
窓口収入はその大部分が現金であるため、現金過不足や不正が起こり易
く、毎日きちんと管理(実査)する必要があります。そのため、2名で管
理する体制をお勧めします。また、上司が予告なく現金実査を行うことも
不正の防止に効果的です。
⑷ 自由診療報酬の注意点
自由診療報酬には、健康診断、診断書作成収入、歯科のインプラント収
益などがあります。これらは保険請求の対象とならないため、計上漏れが
ないよう管理する必要があります。また、消費税の課税取引となることに
も注意してください。
⑸ 一部負担金の免除
従業員に対して福利厚生の一環として、一部負担金を免除している医療
機関があります。一般的な診療報酬の値引きは、保険医療機関及び保険医
療養担当規則5条により禁止されています。また、免除分を何も処理せず、
その金額が多額であるときは、レセプトコンピュータのデータから徴収し
なかった金額が把握できるため、その原因が税務上問題となることがあり
ます。このため、一部負担金の免除をする場合でも、窓口では、一度、支
払いをしてもらい、その後、給与を支給するときに一緒に返金することで、
税務上及び医療法上の問題を回避することができます。この場合には、福
利厚生費と診療収益の両建ての会計処理をしなければなりません。社会保
険診療報酬が 5,000 万円以下の医療法人はその社会診療報酬に係る経費を概
算で計算することができます(措法 67)が、両建て処理をしなかった結果、
税務調査で免除分の収入計上漏れが指摘され、概算計算を否認された事例
もあります。
第2章 医療法人の法人税 355
(仕訳例)
⑴ 従業員の治療費のうち自己負担部分3千円は、医療法人が負担
することになっています。
現 金 3千円 / 外来診療収益 3千円
⑵ 翌月の給与と一緒に返金します。
福利厚生費 3千円 / 現 金 3千円
また、理事長など特定の者について、従業員と異なる基準で一部負担金
の免除をしている場合には、その免除額は税務上の役員賞与となるものと
考えられます。
3 社会保険診療報酬
⑴ 締め日及び入金日
医療法人の保険請求の手続きは、毎月月末に締め、翌月 10 日までにレセ
プト(診療報酬明細書)を保険者へ提出します。請求した金額は、請求月
の翌々月に入金がされます。このため、期末では2か月分の医業未収金が
計上されているはずです。
⑵ レセプト返戻・減額査定
保険者への請求額は、必ず2か月後に入金されるとは限りません。レセ
プトの一部に不備があった場合には、審査支払機関(社会保険診療報酬支
払基金・国民健康保険団体連合会)から差し戻され、その部分の入金はあ
りません。これを返戻といいます。その原因としては、保険証の記号・番
号の不備、診療内容と病名の不一致などがあります。返戻された場合、支
払が遅れるだけで、診療報酬が減らされた訳ではありませんので、売上を
取り消してはいけません。その後、適正な内容に修正し、再提出をすれば
入金されます。
一方、請求額から減額、減点される場合(減額査定)があります。この
場合の会計処理は、減額の通知(入金)があった月に「保険等査定減」の
科目で売上の取消しをします。決算月(3月)とその前月(2月)の診療
報酬について2か月後に減額査定があった場合、3月末の決算調整仕訳で、
356 第Ⅱ部 医療法人の税務
売上を取り消します。法人税法上、事業年度終了の日の現況により適正に
見積もることになります(法基通2-1-4)ので、減額査定後の金額(減
額された金額のうち、再請求する金額を含みます。)が適正な見積額と解さ
れます。その減額査定に不服の場合、6か月以内に再審査請求をすること
ができます。減額査定があった月の翌月までに、再請求をするかどうかを
検討し、再審査請求をする場合には、再審査請求をした月の診療収益に計
上します。
(仕訳例)
⑴ 5月診療、6月 10 日に 100 万円で請求しました。
医業未収金 100 万円 / 診療収益 100 万円
⑵ 7月 25 日に、10 万円減額されて入金されてきました。
預 金 90 万円 / 医業未収金 100 万円
保険等査定減 10 万円 / ⑶ 8月 10 日に、7月診療分 110 万円と、減額された分の 10 万円
を合わせて請求しました。
医業未収金 120 万円 / 診療収益 120 万円
なお、減額査定があった場合、患者の一部負担金も売上の取消しをし、
返還しないといけません。しかし、返還請求は、その患者自らが各健保組
合等から送られてくる医療費通知をもとに医療機関に対して行うことに
なっており、医療法人が実際に返還することはあまり多くありません。実
務上、一部負担金については、実際に返還請求があったときに売上の取消
しを行うのが通例です。
4 自賠責保険診療による収入
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険・自動車損害賠償責任共済)とは、
自動車損害賠償保障法によって、自動車及び原動機付自転車に加入が義務
付けられている損害保険です。自賠責保険診療による収入は、医療法人か
ら損害保険会社に治療費を請求するので、患者が窓口で金銭を支払うこと
はありません。
交通事故でムチ打ちになった場合など、治療期間が数週間から数か月に
及びますが、この場合にも、診療報酬の計上は毎回の診療が終了した時と
第2章 医療法人の法人税 357
なります。
一方、保険請求は、患者の治療費がある程度固まった時点で行われます
ので、期末においては、保険請求をしていない診療報酬を集計して未収金
に計上する必要があります。
保険請求後の入金日について、医師会と損害保険協会及び損害保険料率
算出機構との申し合わせでは、①自賠責保険のみの請求の場合には、請求
書類の受付日から2か月以内に支払を行い、②自賠責保険と任意保険の一
括請求の場合には、請求書類の受付日から翌月末日までに支払うこととなっ
ています。
しかし、多くの場合、保険会社と被害者(患者)との間で過失相殺をめ
ぐり協議中であったり、被害者が保険料を滞納しているなどの理由により、
決まった時期に入金されないことも少なくありません。定期的に入金がさ
れないため、自賠責管理台帳を作成し、期末に未収金の計上漏れがないよ
うに日々管理をする必要があります。
また、自賠責保険収入の入金口座は、損害保険会社ごとに指定すること
ができますが、1つの口座で管理するのがよいでしょう。
5 休日・夜間診療の委託料
医療法人は都道府県医師会から委託を受け、輪番で休日・夜間診療を行
う場合があります。この場合、診療費は患者負担で、診療報酬は医療法人
の売上となりますが、その他、医療法人に対し医師会から委託料が支給さ
れます。医療法人が受け取る委託料は、1休日1医療単位を基礎として計
算されますので、未請求の委託料についても収益計上しなくてはなりませ
ん。また、締め日及び入金日は、契約により異なりますので、必ず確認を
してください。
なお、この委託料は、消費税の課税売上となります。
6 健康診断・予防接種の自治体補助金
患者が健康診断や予防接種を受ける場合に、市町村が診察料の一部を補
助することがあります。この補助金は、医療法人が各市町村へ請求するの
ですが、保険請求のように請求日と入金日が決まっていません。医療法人
によっては、3か月単位、6か月単位に請求しているようです。
未請求のまま期末を迎えたときは、未収入金に計上されているか確認が
358 第Ⅱ部 医療法人の税務
必要です。
また、各市町村へ請求をしても未入金で期末を迎えることもあります。
各市町村等への請求額は、保険請求のようにレセプト総括表の控えがない
ため、きちんと管理をし、売上の計上漏れがないように気を付けてください。
その他、各自治体に請求するものとして、公費負担(老人・乳幼児・母
子家庭等)する治療を行った場合に作成する書類の事務手数料があります
が、上記と同様に請求日と入金日が決まっていませんので、気を付けてく
ださい。
7 矯正歯科の診療報酬
矯正歯科で行われる歯列矯正収入について、国税庁のホームページの所
得税質疑応答事例で紹介されていますが、基本的には、医療法人において
も同じ取扱いと考えられます。
歯列矯正には、通常、数年の治療期間を必要とします。この場合に、治
療期間を通じての基本料金、矯正装置の代金及び装着料を治療の開始時に
一括して入金してもらうことも少なくありません。
この歯科矯正の基本料及び矯正料(
「基本料等」といいます。)の収益計
上時期は、患者との契約に応じ、次のようになります。
① 矯正装置の装備などの役務提供が完了したときに、基本金等の全額に
ついて請求し受領することになっている場合には、その役務提供の完了
した日
② 期間の経過又は役務の提供の進捗に応じて、基本料等を請求している
場合には、その期間の経過した日又はその役務提供の完了した日
③ 上記以外の場合には、次によります。
イ 支払日が定められている場合には、その支払日
ロ 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日又は請求
日
ハ 上記イ及びロのうち、支払日が矯正治療を完了した日後となってい
る場合には、矯正治療の完了した日
8 仕入割戻し
医療法人が医薬品の仕入れを行う場合に、年度の仕入高に応じて仕入割
戻しを受けている場合があります。この仕入割戻しは「雑収入」として収
未収金管理
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
1
深刻化する未収金問題の背景
>>>経営を圧迫しかねない未収金の現状
今後も医業収入の大きな伸びが期待できない経営環境の下、医療機関においては発生し
た未収金を放置することは自院の経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。未収金の
発生が回収額を上回るようになると、徐々に経営を圧迫する要因になりかねません。
診療報酬のプラス改定が望めず、医業収入増加策の選択肢が乏しくなるにつれ、コスト
削減やレセプトチェック強化など診療報酬請求業務の見直しに注力する医療機関も増えて
います。しかし、増患への取り組みの成果として外来・入院患者数が増加しても、これに
比例して回収できない負担金累積額も増えてしまっては、いつまでも院内の改善努力の結
果が反映されないことになるといえるでしょう。
このような未収金の発生をゼロにすることは、現実的に不可能であるともいわれていま
す。その理由として、医療機関には次のような重要な側面があります。
【医療に固有の側面】
○医師法第 19 条(応召義務)
「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な理由がなけ
れば、これを拒んではならない」
○1949 年 9 月厚生省(当時)医務局長通知
「患者の貧困や医療費の不払いがあっても、直ちにこれを理由として診療を拒む
ことはできない」
医療費を支払わない、あるいは支払能力のない患者であることは、それのみ
で診療拒否の正当な事由には該当しない
∴
仮に、医療費を支払わない患者に対しても、医療サービスを提供せざ
るをえない
営利を目的とする企業の場合、通常の取引でサービス提供とその対価支払が相互に課せ
られている状況において、支払能力がないことが明らかであれば、サービス提供を拒否す
ることも可能です。しかし、医療機関においては法的にこれらの行為を禁じています。
医療供給体制の信頼性を確保するための根本的な原則ですが、常習的かつ作為的に医療
費を支払わないケースにおいても、この定めがあることによって、診療やその他医療サー
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企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
ビスを拒否することができないことも事実です。
一方で、医療機関における未収金問題は、近年深刻化の様相を示しています。その要因
としては、下記のような事由が挙げられます。
【未収金問題が深刻化する主要な要因】
①診療報酬改定による患者負担割合の増加
⇒
自己負担割合が増えたため、受診しても経済的な理由で支払が滞る、または
支払能力がないケースであり、大部分が該当
②低所得者層の増加
⇒
①同様に高齢者や定職に付かないもの、いわゆる「ワーキング・プア」等の
ように収入が低い層の患者割合が増加
③診療内容への不満を原因とする治療費支払の拒否
⇒
患者の権利意識が向上し、提供を受けた医療サービスに納得がいかない場合
や医療機関への不信感から、支払を拒否するケースが増加
これらの要因別に、発生した未収金の回収方法や予め回避するための方策を検討し、院
内に徹底することによって、医療機関の経営安定に一定の効果を及ぼすことができます。
また、未収金の予防策は、医療費を支払う意思がない患者に対しては、前述のように応
召義務との関連で困難な問題がありますが、同様の患者に対する回収方法については、厳
しい手段を講ずることも求められるでしょう。
2
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
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発生原因別にみる未収金の分類
>>>発生の態様と処理対応の問題
医療機関に発生する未収金には、下記のようなものがあります。
【医療機関に発生する未収金の種類】
①患者の窓口負担金
②返戻・過誤未収金(再請求による)
③自賠責・生活保護・労災関連未収金(未請求による)
③については、医療機関における診療報酬その他保険等請求手続に関する問題から生じ
るため除き、本稿では、患者側の未払が要因となる未収金に関して解説を行います。
【未収金の発生原因別による分類∼患者負担金】
(1)入院医療費の未払
支払能力がないことを理由とするが、最も多くの割合を占める
(2)定期通院患者の外来医療費の未払
保険証を確認できないまま外来受診を継続し、未払負担金が累積する
(3)夜間・休日受診の患者負担金の未払
治療費を計算せず預り金で処理したために、清算未了の間未収金として残る
(4)緊急受診による未払
住所等連絡先が不明瞭で、後日連絡が取れなくなり未収債権になる
入院医療費は、期間によっては1件で数十万円に上るケースも少なくなく、経済的理由
で未収となる割合も高くなります。また、自由診療による医療費も高額に上るため、特定
の診療科(産科、形成外科等)では、経営に与える影響は大きいといえます。自由診療に
ついては、予め治療費に関する説明を十分に行うなど、工夫が求められるでしょう。
その他、夜間や休日、時間外の受診患者やいわゆるとび込みの急患については、患者や
同行者の所持金不足などの理由で受診時に治療費が領収できないケース、また、住所や連
絡先が明らかでないため、後日の来院や請求の連絡がつかないケースなど、回収の可能性
が極めて低い状況になりかねません。よって、未収金の予防には、これらの要因を踏まえ
て、類型に応じた対応策が必要だといえます。
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企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
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回収方法を院内でシステム化する
>>>不十分な未収金管理・回収が累積の要因
【未収入金の防止・回収方法の院内システム化に必要な視点】
①
管理の徹底
⇒
保険証+運転免許証等の確認
②
回収強化
⇒
段階に応じた督促方法の検討
③
簡便な回収方法の工夫
⇒
カード決済システム導入等
>>>段階に応じた未収金回収の方法を実施する
患者からの支払が滞った場合、医療機関は段階を追ってこれを回収する努力が必要にな
ります。まず、患者側に対しては、自身が支払うべき治療費が残っており、支払の義務が
あることを認識してもらわなければなりません。その上で、医療機関としてそれを回収す
る権利の行使を意思表示することが第一です。
窓口で一部負担金を支払えない患者に対しては、支払期日を設定し、当該期日までに支
払うという誓約書を作成しておくことが賢明でしょう。
(1)電話による督促
支払期日の2∼3日前に患者に電話をかけて、期日が到来することを
確認する。医療機関側の回収意思を改めて表示する意味合いもあり、
期日までに支払われなかった場合には、翌日にも再度架電で督促す
る。支払準備の余裕を持たせるために、前日の連絡は控える。
(2)文書による督促
支払期日に来院せず、翌日も電話連絡がつかない場合、あるいは電話
での督促に応じない場合には、文書で請求する。毎週督促文書を郵送
し、文調も徐々に強め、勤務先や連帯保証人への連絡も選択肢である
ことを伝える。
「内容証明郵便」などで支払期日を明確にする。
(3)訪問による督促
文書による督促にも応じない場合には、患者宅を直接訪問して、支払
意思と期日厳守の確約を得る。経済的理由を主張する患者には、分割
払いなど支払方法を提案する。この時点で法的手段を想定し、患者側
との交渉経過(行動と対応)を時系列に整理し、記録しておく。
(4)法
院内で定めた基準を超えた長期間、未収金残高の高い患者に対して
は、法的手段に訴える方法を検討する。1)弁護士に債権回収委託、
2)裁判所による手続(支払督促、民事調停、少額訴訟)のうち、コ
ストおよび未収金残高を比較して、適切な手続を選択する。
的
回
手
収
段
4
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
>>>保険者との交渉∼「善管注意制度」の活用
前述のような任意の交渉で患者から支払いを受けられなかった場合、健康保険法および
国民健康保険法には、医療機関が一定の回収努力をしたにも関わらず、患者が一部負担金
を支払わない場合において、保険者が患者に代わって未収金を徴収したうえで医療機関に
支払う「善管注意制度」という規定があります。
この制度を活用することによって、簡単な手続きで未収金を回収することができますが、
保険者側に制度の認識が薄弱なために対応を拒まれるケースが非常に多いようです。よっ
て、保険者に対して適切な対応を求めるべく交渉を行う必要がありますが、督促経過など
回収努力を客観的に示すものなどを提示するだけでよいため、法的手続の代替法として選
択肢とするのも一案です。
各制度の概要は次のとおりです。
【善管注意制度の概要】
健康保険法第 74 条第2項(国民健康保険法第 42 条第2項に同旨規定)
根拠条文
「善良な管理者と同一の注意をもってその支払いを受けることに努め
たにもかかわらず(中略)請求に基づき、この法律に規定による徴収金
の例によりこれを処分することができる」
医療機関が徴収努力をしたことが客観的に明らかであること
●一部負担金発生日から2ヶ月間で数回(概ね2週間に1回)にわたり、
活用時の
留意点
内容証明郵便で督促を実施
●電話による交渉経過の記載
●来院の都度、支払催促を実施
など
①申込書
提出書類等
②医療費請求書
③経緯の記録
④負担金振込先口座番号
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企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
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有効な予防策で未収金ゼロを目指す
>>>予防策を重要視する∼回収は困難で高コスト
発生した未収金を回収するには、医療機関にとって時間的・経済的コストも伴う上に容
易なものではないことから、これを発生させないことが必要だといえます。また、未収金
問題が深刻化している状況にあっては、予防策の徹底が経営安定化につながる一助として、
極めて重要な要素であることは否めません。
未収となる患者のうち、回収の見込みがあるのは大部分が医療保険に加入し、あるいは
保険資格を喪失した患者であり、これらの患者を対象にした取り組みを進めることが有効
であり、効率的な対応策といえるでしょう。
では、具体的にどのような予防策が効果的であるのかについて、以下に取り組み例を解
説します。
>>>有効な未収金予防対策とは
【未収金予防策】
(1)保険証の確認
(2)連帯保証人の自筆署名∼入院誓約書
(3)医療費の事前公表・説明
(1)保険証確認の徹底
医療保険の受給資格の有無を確認するために、患者に対して保険証の提示を求めること
は最も基本的であり、かつ重要な予防策に挙げられます。
初診時あるいは定期通院患者の毎月最初の受診時での保険証の確認は、いずれの医療機
関においても、取り組まれている対応策であると思われます。しかし、特に定期通院の外
来患者の場合、月が改まってからの初回受診時に保険証を持参しなかったなどの事情が重
なり、結果的に確認を怠ってしまうケースも珍しくありません。こうした状況を含め、一
定期間保険証により受給資格が確認できない場合には、一旦、医療費の全額を支払っても
らうということも検討すべきです。
まず、自院での状況を把握した上で、院内の取り扱いルールを策定し、これを職員全員
に周知することが必要です。
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企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
【保険証の取り扱いの院内ルール(例)】
1)毎月初診時に保険証の提示を求め、コピー(*)をとって保管
2)連続して3ヶ月以上確認できない患者には、一旦、医療費全額の支払を求める
3)2)の際、請求全額に満たなくても最低 5,000 円∼1万円は預かる
4)保険証を確認後に保険給付分を払い戻す
(*)保険証に記載されている情報は、個人情報に該当するため、院内の当該規定
に則って患者から適切な同意を得ておくことが必要
上記のような流れで対応するルールを取り決めます。この場合、保険証を確認できない
期間には、自院としての未収金に対する姿勢について、来院の都度、患者に対して意思表
示しておくことも必要になるでしょう。同時に、医療相談室や相談担当者がいつでも支払
の相談に応じる旨を告知していくことも、未収金の防止には重要です。
(2)連帯保証人の自筆署名∼入院誓約書
入院が決定した際に、患者に入院誓約書を差し入れる旨を求めている医療機関は少なく
ないはずですが、当該誓約書に連帯保証人の署名を必要とする書式を採用しているケース
は、未だ一般的ではないようです。
民法上、保証債務の請求を受けた場合に「抗弁権」を行使できる保証人と異なり、連帯
保証人は本人と同様の支払責任を負うものとされているため、患者本人の弁済資力の有無
に関わらず、保証債務の履行を求めることができます。この違いは、本人が支払を拒否し
た場合、あるいは事実上支払いが困難である場合に発生した未収金のいずれについても、
まさに大きな「保証」を得ることができます。入院誓約書に保証人の記載を要求する書式
を準備しているものの連帯保証人ではない場合には、保証人に対して患者の医療費支払債
務について保証債務の履行を求めたとしても、回収できる見込みは低くなってしまいます。
ただし、連帯保証人には、本人の保証意思を明確にするために、自筆の署名と捺印を受
領することに留意しなければなりません。
(3)医療費の事前公表・説明
患者は、既に医療サービスの提供を受けた後で医療費の総額を知らされるケースが少な
くありません。診療内容に納得がいかず、患者が医療費の支払を拒否して未収金が発生す
る要因としては、医療費後払いという点が大きく影響しています。
不用意に概算を伝えることも、支払時のトラブルを招く可能性があることから慎重にな
る必要がありますが、患者の一部負担金が高額になる検査や手術、長期入院が予定されて
いる場合には、事前に大まかな料金表を提示して、同意を得ておくことも必要でしょう。
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企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
予め、一部負担金が特に高額となる検査項目別や手術別に一覧表を作成し、これを患者
に手渡して説明することが有効です。
なお、高額療養費制度に関しても説明して、多額の医療費であっても支払方法を医療機
関と患者双方で模索し、未収金発生の予防に努めることが重要です。
>>>「返戻未収金」を発生させないための対応法
保険資格を喪失した患者が、失効した保険証を提示して診療を受け、医療機関がその保
険証に基づいて保険請求を実施した場合には、保険者からは資格喪失を理由にレセプトが
返戻されてしまいます。保険請求分が未収金となった場合、窓口一部負担金が未収となる
よりも多額となります。医業収入に対する影響が大きくなることから、これを防止する対
策が必要となります。
この「返戻未収金」対策には、健康保険法および同法施行規則の定めを根拠として、保
険資格を喪失した後も保険者に対して保険証を提出せずに、これを不正に使用して保険給
付を受けた患者に対しては、保険者自身が当該患者から給付額を回収すべきであることを
主張して、再請求することができる制度を利用します。返戻後に再請求を行う際には、医
療機関が保険資格喪失後も保険証が患者の手元にあったことを立証しなければなりません。
よって、外来初診時あるいは入院時に保険証の提示を求めた際、保険証のコピーをとる
ことを徹底する理由はここにあります。併せて、定期通院の外来患者、入院患者共に、月
が改まったら必ず最初に提示を受けた保険証と同一であるかを照合しなければなりません。
チェックした日時を記録することも徹底します。
その上で、保険者から返戻の旨の連絡があった際、患者が提示した保険証コピーとこれ
を定期的に確認した記録があることを主張して、再請求手続きを申し出ます。その場で保
険者側から同意を得て、後日保険証コピーを郵送して手続きすることにより、保険給付分
相当額を受け取ることが可能になります。窓口負担金未収金、返戻未収金などの項目別に
未収金管理マニュアルを作成し、院内に周知することによって、回収・予防策の効果が一
層強化されるでしょう。
<未収金を発生させないための主要取り組み項目>
未収金管理
マニュアルの整備
督促および
催告の迅速化
連帯保証人への請求
の積極的な実施
高額債務者に対する
督促手続きの明確化
消滅時効対策の
十分な措置
8
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
5
未収金管理体制徹底のポイント
>>>未収金情報は院内で共有する
未収金を管理するためには、発生時点を確定させることが必要です。どの時点から「未
収金」として認識し、管理しなければならないのかを明確にするため、請求金額確定から
支払までの期間、未収金としての取扱を開始する院内基準を策定することから、管理体制
を構築することが重要です。
発生した未収金を主に管理するのは、事務部門のなかでも医事部門が多いと思われます
が、回収期間が長期になるにつれて、経理・財務部門においても未収金情報は重要さを増
すことになります。これら部門によって未収金管理の目的は異なるため、管理方法も統一
されていない場合があります。
未収金情報は院内で共有し、同一の情報をいずれの部門でも取得できるようにしておく
ことで、院内での未収金管理への意識がより徹底されます。
また、未収金の状況に関しては、金額と発生理由、医業収益に対する割合等を把握し、
これらの情報については経営幹部が共有できる体制が望ましいとされます。
<共有すべき未収金状況に関する項目>
①
金
額(総額および推移)
②
発生理由
③
経過期間(患者単位)
④
長期滞留案件の状況
⑤
医業収益に対する割合(推移)
未収金状況に
対する危機意識を
共有する
>>>未収金管理体制の枠組み構築
医事部門においては、未収金回収がその管理目的となるので、患者単位の情報管理が求
められる都合上、医事会計システムとは別個に、個別管理を実施している医療機関も少な
くないようです。患者個別で督促を行う際には、回収状況が把握しやすいためです。
医事会計システムと連動させた一般的な管理体制としては、次のような枠組みの例があ
ります。
9
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
<入院診療分>
未収金リスト削除
未収入金処理
請求額もしくは
一部金額の受領
未収金登録
請求書発行
請求額の確定
請求書の発行と同時に未収金として認識、登録され、その後支払を受けた金額について
未収入金処理を実施して、患者個別のリストから除くという流れです。
よって、請求額全額の支払を受けた場合には未収金リストから全部削除されますが、支
払が一部であった場合にはリストに掲載されたままになります。
<外来診療分>
未収入金処理・
患者単位に整理
請求額または
一部支払金受領
未収金登録
前日会計締後から
当日会計締までの
診療の未払請求分
外来診療の場合には、前日から残存している未払の請求金額を未収金として認識し、登
録処理を実施することになります。
このため、会計システムの都合により夜間・時間外・休日に受診した外来患者について、
「預かり金」を受領して後日清算する処理方法を取っている医療機関の場合には、清算
が完了しない限り、未収金は債権として残ります。
10
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
>>>管理体制の徹底のために必要な取り組みとは
患者の窓口負担金による未収金については、院内の管理体制を徹底することによって回
収および予防策の双方に効果があるといえます。
職員全体が未収金状況に関する情報を共有化し、未収金回収の困難性とコストを認識す
ると、予防に主眼を置いた管理体制が重要であることの理解を得ることができるでしょう。
【管理体制の徹底のために必要な取り組み】
①
経理と医事担当者間の連携強化
②
内部統制体制の構築
③
医事請求の院内研修(全員)
>>>法的手段の選択肢∼適切性の判断基準
電話・文書・訪問の順番で督促を行っても、患者側に支払に応じてもらえない場合には、
法的手段を講じるという選択肢も検討しなければなりません。実際には、このような回収
プロセスに費やすコストを勘案し、弁護士に依頼して債権回収を実施している医療機関も
あります。回収にかかるスタッフの人件費と時間に比しては、弁護士に対して成功報酬を
支払っても回収実額が増加したという例も聞かれます。
また、大部分の医療費未払患者は、経済的理由や現金の持ち合わせがないなど、確実な
回収の方向へ解決を図ることができるケースですが、当初から支払意思のない患者に対し
ては、直ちに法的手段を取ることも必要でしょう。
【裁判所による法的手続き】
①
支払督促
②
少額訴訟
③
民事調停
裁判所による法的手続として取りうる代表的な選択肢には、上記の3つが挙げられます。
いずれも万能ではなく、全額の回収に至るとは限らないものの、裁判所を介在させた手続
であるため患者側に心理的な圧力を与えることができ、さらに結果として回収へのモチベ
ーションになりうるものです。
11
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
上記の法的手続を比較すると、次のように整理できます。
【法的手続きの比較表】
概
要
支払督促
少額訴訟
民事調停
債権者の申立に応じ、
書面審理のみで簡易
裁判所が債務者に支
払を命じる督促状(支
払督促)を送付する制
度
60 万円以下の金銭支
払請求について、原則
審理1回即日結審と
なり、簡易裁判所が迅
速に判決を下す制度
当事者の間に、裁判官
や民間有識者から選
ばれた調停委員が入
り、双方の主張を整理
して話し合いにより
解決を図る制度
メリット
・請求金額に上限なく ・通常訴訟より手続が ・第三者が公平な立場
簡便な手続きで費
簡略で、低コスト
で意見調整する
用が安い
・審理1回、即日判決 ・低手数料で手続容易
デメリット
・債務者からの異議申 ・ 請 求 額 に 上 限 ( 60 ・調停不調あるいは相
立により通常訴訟
万円)あり
手方が話し合いに
に移行する(時間、 ・同一管轄裁判所に対
応じなければ、訴訟
コストを費やすお
する訴訟提起は年
へ移行する可能性
それ)
に 10 回を限度とす
がある
る
12
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
6
事例にみる未収金債権管理体制の実際
>>>事例∼未収金管理マニュアルとシステムの運用状況
未収金管理を徹底するためには、院内でマニュアルを作成し、これを職員全員に周知す
ることが有効です。こうしたマニュアルと電算システムを併用した管理体制を構築してい
る医療機関の事例を紹介します。
<未収金対応マニュアルの概要>
A病院では、平成 15 年度から医事システムと未収処理システム(電算処理システム)が
導入されたことに伴い、未収金に対する対応マニュアルが策定され、以後これに従った債
権管理が実施されています。
同院においては、納付書発行(請求)時から 21 日以内の支払を通常とし、その後1ヶ月、
1年ごとに管理方法を定めています。その概要(主要項目)は、以下のとおりです。
ア
納付書の発行と未収リストの作成
全患者に対し支払約束の有無に関わらず納付書を発行し、原則として窓口で手交(手交
できなかった場合には郵送)。
納付書発行当日に支払がなかった者について未収リストを作成する。
イ
納付相談
入院患者のうち退院時に医療費の全額支払が不可能な者で、下記のような患者を対象と
して、医事課の担当者が面談し、納付相談を受ける。
【納付相談対象者】
①21 日以後の支払を希望する者の全員
②20 日以内の支払を希望する者であっても過去の支払状況、保険の有無、勤務先等
により支払の確実性に疑問のある者
13
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
ウ
管理方法
期間別の具体的管理方法
受診日ごとの未収患者一覧表を作成し、下記のとおり分類して固有番号を付記。
1か月経過まで
①相談歴のある患者
②後日払患者
③自動受付停止患者
④居所不明・返戻患者
⑤透析患者
⑥病院職員
⑦請求不能患者
分類に基づいて未収患者一覧表を作成し、納付書の手交又は郵送の別、未収理
由、支払予定日等のデータを入力。
1か月から1年以内
個人別及び督促毎に経過記録を作成し、電話等についてはその内容も記録。
月に1度入金の確認をし、督促状の送付又は電話連絡を1年間継続する。入院
患者で支払相談を行った者について滞納が発生した場合には、電話催告を行い、
状況を確認したうえ支払条件の変更も考慮する。
督促状が返戻された場合には、住民票を請求して住所の確認を行う。再三の催
告にも応じず、特に高額の入院費については、保証人へ請求する旨の通知文を
患者あて送付する。
2年以内
3か月に1回の頻度で電話又は督促状を送付。
分割払いを継続している患者については月1度支払状況を確認。電話や督促状
の送付に対し、全く反応のない患者に対しては、自動受付を停止させ、次回来
院時に医事課で支払相談を行う。
2年以上
3か月に1度の文書による督促を原則として継続するが、未収金が少額のもの
については郵便料金等を勘案して督促。
未払が継続していても時間の経過とともに支払可能となることもあるので、督
促行為は継続する。
分類された患者に対しては、納付相談や面談などの接触機会を持つことを中心にして、
それぞれ個別の管理を行っています。
14
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
>>>未収金債権管理の実情∼電算処理システムの効用
(1)債権管理簿と未収金管理システム
同院においては、平成 15 年度以降、債権管理簿は作成せず、これに代わるものとして「医
事システム」及び「未収金管理システム」の2つの電算処理システムによる管理事務が実
施されています。
これらのシステムが導入されるまでは、自己負担金収入原簿(自己負担金の内訳と入金
の状況等を記載)、自己負担金未収入原簿、未収処理簿(督促行為や分割納付書の交付の場
合等に当該時期、内容、経過等を記載)が作成され、これらによって債権管理が行われて
いました。平成 14 年度以前からの未収患者については、これら帳簿が現在も併用されてい
ます。
「未収金管理システム」は各患者の氏名、住所等の個人情報のほか、医療費の支払者、
保証人等に関する情報、未収金に関する納付書ごとの金額と支払期限、支払日とその金額、
支払相談の内容や面談により得た情報、督促状の送付や電話による催促等を行った場合に
はその時期、内容、分割納付の誓約書等が提出された場合には、その内容、保証人や支払
人の名前、連絡先、勤務先等を必要に応じて記録しています。
(2)未収金管理事務の実施状況
未収患者に対しては、管理期間に応じて次のような督促行為が行われています。
【未収患者に対する督促行為】
①文書の送付と電話による支払督促
②来院時の面談
③医療費の分割支払申出書又は支払誓約書等を提出
④住居所不明者の住民票写しの取得等
ほとんどの場合、患者らの来院時に面談を実施し、その結果、医療費の分割支払申出書
や支払誓約書の提出が行われているケースも少なくありません。
これは、未収患者のうち治療継続中の者は引き続き来院しており、担当者と接触する機
会が多いほか、今後発生する医療費についても納付相談を受けたり、高額医療費の補助制
度等を利用したりする場合には、医療費の分割支払の申出書や支払誓約書を提出する必要
があり、その作成等のため医事課担当者の指導が必要となることなどによるものと考えら
れます。
15
企業経営情報レポート
未収金管理の徹底法∼発生予防と回収のポイント
(3)課題
∼
面談機会と情報の積極的活用
面談の際には、未納原因を調査し、その解消の可否ないし支払の可能性等を判断するた
めに必要な情報を入手するとともに、履行可能な支払方法を検討させるなど種々な活動が
行われています。
しかし、その情報入手の方法は、面談相手から口頭で説明を受けるに止まり、収入・支
出、資産・負債等に関する客観的な裏付け資料(例えば、給与明細書や納税証明書、多重
債務者に対する請求書や振込証明書等)の提出を求めることまでは行われていません。や
むを得ず、法的手段に訴える場合を想定して、面談時は患者の資力に関する情報収集も積
極的に進め、今後の回収率の向上を図ることとしています。
未収金管理は、医療機関の規模や未収金割合などによって、その選択すべき対策項目と
管理基準(金額・期間)が異なります。
第一に発生予防のために取りうる基本的対策を徹底すること、さらに回収可能性を向上
させるためには、督促実施を想定して対象となる金額(∼万円以上)、期間(∼ヶ月以上)
の基準を設定し、段階に応じた対応を行うことが必要です。
やむを得ず、法的手続を選択する場合であっても、未収金全額を回収できる保証はなく、
時間・費用等あらゆるコストを勘案しなければなりません。
未収金を防ぐためには、未払いの医療費を回収する強い意思を、あらゆる段階で患者に
示す姿勢を継続することが重要なのです。
16
企業経営情報レポート
海外療養費
海外療養費給付制度について(概要)
第17回高林ツアー ご案内
国民健康保険または社会保険等の被保険者が海外渡航中に病気やけがで止むを得ず治療を受けた場合、その医
療費は帰国後、申請することによって海外療養費として給付を受けることができます。(但し、治療目的の渡
航による医療費は給付の対象外となります。)
A. 注意事項
1. 国内での保険医療機関等で給付される場合を標準として給付額が決定されます。
基本的には、実際に支払った額(実費)が日本国内の保険医療機関等で給付される場合を標準として決定した額
(標準額)より大きい場合は、標準額から被保険者の一部負担金相当額を控除した額となります。また、実費が
標準額より小さいときは、実費から被保険者の一部負担金相当額を控除した額が給付されます。
国により医療体制や治療方法及び物価も異なることから実費と標準額との差が非常に大きくなることもあります
ので充分にご留意下さい。
2. 日本国内で保険適用となっていない医療行為は給付の対象になりません。
3. 海外転出の届出をされた場合には、資格が喪失されますので適用されません。
4. 所定の請求期限が定められております
注: 詳しくはご加入の健康保険窓口にご確認下さい。
B. 申請の方法
1. 予め(出発前に)ご加入の健康保険窓口でご相談の上、必要書類をお受け取り下さい。
2. 現地の医療機関で治療を受ける際は一旦、治療費を全額自己負担します。
3. 受診した医療機関で治療内容の証明書(診療内容明細書 フォームA)及び診療に要した医療費の証明書(領収明
細書 フォームB)を記載してもらいます。
* 社会保険用または国民健康保険用の添付見本は参考としてください。
フォーム見本
社会保険用
国民健康保険用
4. 帰国後、社会保険の場合は海外療養費支給申請書、国保の場合は国民健康保険療養費支給申請書を作成し 3.の書
類と一緒にご加入の健康保険窓口に提出します。
* 診療内容明細書と領収明細書等が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付してください。
注: 申請の方法についてご不明の点等ございましたら、ご加入の健康保険窓口にお問い合わせ下さい.
以上
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費) > 海外で急な病気にかかって治療を受けたとき
病気やケガをしたとき
海外で急な病気にかかって治療を受けたとき
保険証を提示して治療を受け
るとき(療養の給付)
医療費が高額になりそうなと
平成26年07月01日
き(限度額適用認定)
高額な医療費を支払ったとき
海外療養費とは
(高額療養費)
病気やケガで会社を休んだと
き(傷病手当金)
医療費の全額を負担したとき
海外療養費制度は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどによりやむを得ず現地の医療機関で診療
等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けられる制度です。
(療養費)
海外で急な病気にかかって治
療を受けたとき(海外療養
費)
柔道整復師(整骨院・接骨
院)のかかり方
※添付書類はこちらからご確認ください。
はり・きゅうのかかり方
あん摩・マッサージのかかり
給付の範囲
方
海外療養費の支給対象となるのは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られま
す。そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使
用された場合は、給付の対象になりません。
こんなときどうする
健康保険について
保険料率
療養(治療)を目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。日本で実施できな
い診療(治療)を行った場合でも、保険給付の対象とはなりません。
支給金額
日本国内の医療機関等で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払っ
た額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額を支給します。
日本と海外での医療体制や治療方法等が異なるため、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し
引いた額よりも、支給金額が大幅に少なくなることがあります。 外貨で支払われた医療費については、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて円に換算し
て支給金額を算出します。 手続きに必要な書類
海外療養費の申請については、以下の申請書と添付書類が必要です。
医科の場合
歯科の場合
1. 療養費支給申請書・・・ア
1. 療養費支給申請書・・・ア
2. 診療内容明細書(様式A)・・・イ
2. 領収明細書(様式B)・・・ウ
3. 診療内容明細書(様式A)の日本語訳
3. 領収明細書(様式B)の日本語訳
4. 領収明細書(様式B)・・・ウ
4. 歯科診療内容明細書(様式C)・・・エ
5. 領収明細書(様式B)の日本語訳
5. 歯科診療内容明細書(様式C)の日本語訳
6. 現地で支払った領収書の原本
6. 現地で支払った領収書の原本
7. 渡航期間がわかるパスポート等の写し(海外渡
航中の加入者が当該期間に診療等を受けた場
合)
7. 渡航期間がわかるパスポート等の写し(海外渡
航中の加入者が当該期間に診療等を受けた場
合)
提出していただく書類等
ア)健康保険療養費支給申請書(立替払、海外療養費、生血等)
申請書はこちら[pdfファイル]
記入例はこちら[pdfファイル]
申請書の印刷についてのお願い
イ)診療内容明細書(様式A)[pdfファイル]
※健康保険用国際疾病分類番号をご証明いただく場合は、 「国際疾病分類表」を参照してく
ださい。
ウ)領収明細書(様式B)[pdfファイル]
エ)歯科診療内容明細書(様式C)[pdfファイル]
様式A・様式B・様式Cの記載について
様式A~Cは、審査を行うにあたり、とても重要な書類のため、証明していただく海外の医療機関に
は、できるだけ詳細に証明していただくよう、お願いしてください。特に、様式Aの傷病名や疾病分
類番号、様式Bの通貨単位は、必ず記載してください。
様式A~Cは、1ヶ月ごと、受診者ごと、医療機関ごと、入院・外来ごとに1枚ずつ、それぞれの医
療機関での証明が必要です。
様式A~Cは、それぞれ、必ず日本語訳を添付していただき、翻訳者の住所・氏名を記入し押印をし
てください。
様式A~Cは、同様の項目・内容が記載されていれば、独自に作成した様式をご使用されても構いま
せんが、日本語訳は必ず添付が必要です。
注意事項
海外で治療費の支払いをした翌日から2年を経過すると、時効により申請できなくなります。
海外療養費の審査には、被保険者や医療機関等に照会することがありますので、時間がかかる場合が
あります。
海外療養費の支給は、海外への直接送金はできません。事業主または日本在住のご家族に受け取りを
委任してください。(療養費支給申請書の受取代理人の欄にご記入ください)
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健康保険では、保険医療機関などで直接医療サービスが受けられる「療養の給付」を原則としていますが、やむを得
ない事情により療養の給付が受けられない場合で、健保組合などの保険者が認めた時は事後に、支払った医療費から自
己負担相当分を控除した額が「療養費」として払い戻されます。
海外療養費もその一つで、海外渡航中に急な病気でやむを得ず現地で治療を受けた場合、加入する健保組合などの保
険者に申請手続きを行うことにより、海外で支払った医療費の一部の払い戻しを受けることができます。
高額療養費
海外療養費の払い戻し額
出産育児一時金
海外療養費は、原則として日本で医療を受けた場合の診療報酬点数に換算して算定され、(1)算定した額が海外で
海外療養費
ジェネリック医薬品とは
時間外診療
実際に患者が支払った額(日本円に換算した額)を下回る場合には、算定した額から自己負担分(原則3割)を控除し
た額が払い戻されます。(2)算定した額が海外で実際に支払った額(日本円に換算した額)を上回る場合には、実際
に支払った額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。
例)
特定健診・特定保健指導
健診結果をもらった
ら・・・
健康保険は、日本国内で治療を受けることを原則としているため、日本国内で治療を受けることが可能であるにもか
かわらず、治療を目的として海外渡航し、療養を行った場合には、「海外療養費」は支給されません。また、日本国内
で保険適用されていない医療行為等も支給の対象外となります。
例)
臓器移植
美容整形手術
人工授精などの不妊治療
性転換手術
海外療養費(療養費)の申請手続き
1. 海外の医療機関の窓口で医療費全額を支払う
2. 海外の医療機関で治療内容の証明書(診療内容明細書)と診療に要した医療費の明細書(領収明細書)を受け取る
3. 「療養費支給申請書」と日本語の翻訳文を添付した「診療内容明細書」「領収明細書」を加入する健保組合などの
保険者に提出する
※留意事項
海外で支払った日の翌日から起算して2年を経過した日をもって、申請する権利がなくなります。
海外で治療を受けた場合、国や医療機関により日本と請求金額が大きく異なることがあります。
民間の海外旅行保険などから保険金が給付される場合でも、その給付額とは関係なく請求することができます。
詳細は加入する健保組合などの保険者にご確認ください。
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消費税
課税対象
医療機関の税務
消費税
P25-P26
お わりに
問題 解決には、会員、国民をはじめ多くの関係者と
控除対象外 消費税問題の解決なくして、
消費税問題の解決なくし
合意形成を図り、法律を改正する必要があります。
地 域医療の継 続は
続はありません。
本冊子では、控除対象外消費税問題とは何
本冊子で
控除対象外消費税問題とは何か、
その解決方法として社会保険診療を課税にすること、
その解決方法として社会保険診療を課税にするこ
財務省
厚生労働省
等をお示ししてきました。
医療関連団体
中医協
保険者
社会保険診療が課税になると、消費税の納税が免除されてきた
社会保険診療が課税になる
小規模医療機関にも納税や還付のための手続きが発生します。
小規模医療機関にも納税や還付のための手続きが発生しま
経済団体
ゼロ税率でなければ、患者さんにも一定の税負担が生じてしまいま
ゼロ税率でなけれ
患者さんにも一定の税負担が生じてしまいます。
日本医師会
仕入業者
郡市区
医師会
国会、国会議員
この問題は医療機関だけでなく、患者さんの問題でもあるので
この問題は医療機関だけでな
患者さんの問題でもあるのです。
都道府県
医師会
地方議会、地方議員
医薬品・材料
医療設備
これらのことについて、何より会員のご理解が大切で
これらのことについ
何より会員のご理解が大切です。
社会保障の安定を図るための消費税の引き上げによって
学識経験者
医業経営が困難になって
経営が困難になっては、本末転倒で
本末転倒です。
今こそ、
今こ
、この問題を解決し、
この問題を解決
国民とともに地域医療を守りましょ
国民
ともに地域医療を守りましょう。
税理士、税理士会
労働団体
患者・国民
マスコミ
他医療機関における診療に要する費用
保医発0604第1号
平成22年6月4日
地 方 厚 生 ( 支 ) 局 医 療 課 長
都 道 府 県 民 生 主 管 部(局)
国 民 健 康 保 険 主 管 課(部)長
殿
都道府県後期高齢者医療主管部(局)
後 期 高 齢 者 医 療 主 管 課(部)長
厚生労働省保険局医療課長
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について
下記通知の一部を改正することとしたので、その取扱いに遺漏のないよう貴管下の保険医療機
関、審査支払機関等に対し、周知徹底を図られたい。
記
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成22年3月5日保医
発0305第1号)について、別紙のとおり改正する
(別紙)
1
別添1の第1章第2部<通則>の5の(4)のアを次のように改める。
ア
入院医療機関において、当該患者が出来高入院料を算定している場合は、出来高入院
料は当該出来高入院料の基本点数の30%を控除した点数により算定すること。
2
別添1の第1章第2部<通則>の5の(7)を(9)とし、(3)から(6)までを(5)から(8)ま
でとし、(2)の次に次のように加える。
(3)
(2)のただし書にかかわらず、出来高入院料を算定する病床に入院している患者の場合
には、他医療機関における診療に要する費用のうち、当該専門的な診療に特有な薬剤を用
いた投薬に係る費用は算定できる。
(4)
本通則において、出来高入院料とは、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基
本料及び特定入院基本料を除く入院基本料をいう。
(参考)
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」
(平成22年3月5日保医発0305第1号)
第2部
入院料等
<通則>
5
入院中の患者の他医療機関ヘの受診
(1)
入院中の患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、入院している保険
医療機関(以下本項において「入院医療機関」という。)以外での診療の必要が生じた場
合は、他の保険医療機関(以下本項において「他医療機関」という。)へ転医又は対診を
求めることを原則とする。
(2)
入院中の患者(DPC算定病棟に入院している患者を除く。)に対し他医療機関での診
療が必要となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて
診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限
る。)は、他医療機関において当該診療に係る費用を算定することができる。ただし、短
期滞在手術基本料2及び3、医学管理等(診療情報提供料は除く。)、在宅医療、投薬、
注射(当該専門的な診療に特有な薬剤を用いた受診日の投薬又は注射に係る費用を除き、
処方料、処方せん料及び外来化学療法加算を含む。)及びリハビリテーション(言語聴覚
療法に係る疾患別リハビリテーション料を除く。)に係る費用は算定できない。
(3)
(2)のただし書にかかわらず、出来高入院料を算定する病床に入院している患者の場合
には、他医療機関における診療に要する費用のうち、当該専門的な診療に特有な薬剤を用
いた投薬に係る費用は算定できる。
(4)
本通則において、出来高入院料とは、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基
本料及び特定入院基本料を除く入院基本料をいう。
(53)
(2)の規定により入院中の患者が他医療機関を受診する場合には、入院医療機関は、
当該他医療機関に対し、当該診療に必要な診療情報(当該入院医療機関での算定入院料及
び必要な診療科を含む。)を文書により提供する(これらに要する費用は患者の入院して
いる保険医療機関が負担するものとする。)とともに、診療録にその写しを添付すること。
(64)
(2)の規定により入院中の患者が他医療機関を受診する日の入院医療機関における診
療報酬の算定については、以下のとおりとすること。この場合において、1点未満の端数
があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算すること。
ア
入院医療機関において、当該患者が出来高入院料療養病棟入院基本料、有床診療所療
養病床入院基本料及び特定入院基本料を除く入院基本料(以下、通則において「入院基
本料等」という。)を算定している場合は、出来高入院料入院基本料等は当該出来高入
院料入院基本料等の基本点数の30%を控除した点数により算定すること。
イ
入院医療機関において、当該患者が特定入院料、療養病棟入院基本料、有床診療所療
養病床入院基本料又は特定入院基本料(以下、通則において「特定入院料等」とい
う。)を算定している場合であって、当該他医療機関において特定入院料等に含まれる
診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を算定する場合は、特定入院料等は、当該特定
入院料等の基本点数の70%を控除した点数により算定すること。
ウ
入院医療機関において、当該患者が特定入院料等を算定している場合であって、当該
他医療機関において特定入院料等に含まれる診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を
算定しない場合は、特定入院料等は、当該特定入院料等の基本点数の30%を控除した点
数により算定すること。
(75)
他医療機関において診療を行った場合には、入院医療機関から提供される当該患者に
係る診療情報に係る文書を診療録に添付するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に「入院
他
医療機関名」、「当該患者の算定する入院料」、「受診した理由」、「診療科」及び「 ○
(受診日数:○日)」を記載すること。
(86)
入院医療機関においては、診療報酬明細書の摘要欄に、「他医療機関を受診した理
由」、「診療科」及び「 ○
他 (受診日数:○日)」を記載すること。ただし、特定入院料等
を30%減算する場合には、他医療機関のレセプトの写しを添付すること。
(97)
入院中の患者(DPC算定病棟に入院している患者であって「診療報酬の算定方法」
により入院料を算定する患者に限る。)に対し他医療機関での診療が必要となり、当該入
院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて診療を行うことができな
い専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限る。)の他医療機関におい
て実施された診療にかかる費用は、入院医療機関の保険医が実施した診療の費用と同様の
取扱いとし、入院医療機関において算定すること。なお、この場合の医療機関間での診療
報酬の分配は、相互の合議に委ねるものとする。
入院中の患者に係る対診・他医療機関受診
の取り扱いについて
平成 21 年 12 月 18 日の中医協基本問題小委において、入院中の
患者に係る対診・他医療機関を受診する際の診療報酬の算定の考
え方について整理案を示した。
関係者からの意見を踏まえ、さらに見直しを行ったので、再度
提示する。
対診の整理案については、前回の提案内容と同様となっている
が、入院中の他医療機関受診の取扱いについては変更している。
(参考資料P1~4)
入院中の患者に係る対診・他医療機関受診の取扱い
原則:他医療機関での診療の必要が生じた場合は、転医又は対診を求めること。
入院中の患者に係る対診の取扱い
(入院中の患者に係る対診の費用について)
現状
○算定可能
△一部算定可能
×算定不可
―想定外
出来高病棟
A医療機関(患者入院中)
B医療機関
初・再診料/往診料
―
○
診療行為に係る費用
○
※1
×
※1
対診
特定入院料等算定病棟
A
包括部分
×
※1
B
○
―
初・再診料/往診料
診療行為に係る費用
包括外部分
○
※1
×
※1
1
整理案
出来高病棟
A
B
初・再診料/往診料
―
○
診療行為に係る費用
○
※1
×
※1
対診
対象
象病
病院
院
特定入院料等算定病棟・ DPC
対
DPC
A
包括部分
―
初・再診料/往診料
診療行為に係る費用
※1
※2
包括外部分
× ×※2※2
B
○
○
※1
×
※1
AからBに合議で精算
DPC対象病院の場合、Bが提供する診療行為を含めて
診断群分類が変更される場合がある。
2
入院中の患者の他医療機関受診の取扱い
(入院中の患者の他医療機関受診の費用について)
現状
特定入院料等算定病棟
眼科等の専門的な外来診療を受ける場合
(特定入院料等に含まれる診療が行われた場合に限る)
A医療機関(患者入院中)
包括部分
―
初・再診料
診療行為に係る費用
B医療機関
包括外部分
―
○
―
※1
※2、3
外来
対象病院
DPC
A
包括部分
初・再診料
診療行為に係る費用
包括外部分
B
―
×
×
※3
3
整理案
出来高病棟
A
初・再診料
対象病院
DPC
※3
○
○
※2
※2
A
包括部分
―
初・再診料
診療行為に係る費用
包括外部分
―
B
○
―
※1
外来
特定入院料等算定病棟
※2
※4
―― ※4
診療行為に係る費用
※2、3
A
包括部分
初・再診料
診療行為に係る費用
※1
B
包括外部分
○ ○ ※5 ※5
×※6
特定入院料については70%を控除した点数を算定
医学管理、在宅等は算定できない。
「ガンマナイフによる定位放射線治療」、
「直線加速器による定位放射線治療」は算定可能。
※5
※5
○○
※4
※5
※6
B
※5
※3※5
× ×
入院基本料については30%(案)を控除した点数を算定
AからBに合議で精算
4
DPC対象病院の場合、Bが提供する診療行為
を含めて診断群分類が変更される場合がある。
税務調査のポイント
病医院における税務調査のポイント
1
税務調査の実施状況と申告漏れ所得金額
>>>国税庁発表による所得税調査等の状況について
国税庁が毎年発表している所得税、個人事業者の消費税の税務調査の結果は次の通りで
す。所得税(譲渡所得を除く)の調査等の総件数は 781 千件(前年対比-18 千件)。実地調
査については、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを優先して調査を実施しているよ
うです。調査等の総件数のうち申告漏れのあった件数は 568 千件、追徴税額は 1,162 億円
となっています。
実地調査
簡易な接触
調査等合計
調査等件数
239,687 件
540,906 件
780,593 件
申告漏れ件数
198,987 件
368,594 件
567,581 件
申告漏所得金額
7,859 億円
1,103 億円
8,962 億円
追徴税額(本税)
934 億円
65 億円
999 億円
追徴税額(加算税)
156 億円
7 億円
163 億円
1,082 万円
20 万円
1,102 万円
168 万円
1 万円
169 万円
29 万円
0.1 万円
29 万円
調査1件当たり
申告漏所得金額
追徴税額(本税)
追徴税額(加算税)
>>>1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種
順位
業種目
1 件当たりの申告漏れ所
得金額(万円)
4,329
2,512
1 件当たりの追徴税額(含
加算税)(万円)
1,446
696
1
2
貸金業
キャバレー
3
4
5
6
風俗業
商品販売外交
病 院
くず金卸売業
2,166
1,505
1,344
1,250
551
344
553
278
7
焼
肉
1,211
272
8
9
10
人材派遣業
バー
廃棄物処理
1,161
1,149
1,112
206
193
235
1
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
申告漏れ所得金額が高額な上位 10 業種の順位5番目に病院(含診療所)がランクされて
いますが、この上位 10 業種は脱税を指摘されたものとは異なります。
医療機関は、脱税の意識はないものの、経理ミスや申告ミスなどが多い業種といえるか
もしれません。
医療機関は比較的に黒字申告の割合が多く、また、シルバービジネスがクローズアップ
されてきていることから、国税当局は好況な業界として注目していると思われます。
2
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
2
病医院における税務調査のポイント
>>>税務調査の進め方
税務調査官は、身分証明書を納税者に提示後、一般的に、照合、質問、検査、確認の手
順で実地調査を行います。
(1)照
合
調査は、納税者の申告内容の適否を検討するところにあります。このため、この検討方
法として、証拠書類と帳簿の記帳内容との照合及び計算を照合します。
その照合の目的は以下の通りです。
<証拠書類と帳簿の記帳内容の照合の目的>
①金額の誤記ないしは不正記入
②勘定科目の誤記ないしは不正記入
③転記漏れ
(2)質問及び検査の内容と対応
調査を行うにあたり税務調査官は、納税者対して税務調査に必要な情報を得るために質
問及び検査を行う権限を有しています。
また、質問及び検査の対象者は、納税者が対象ですが調査官が必要とあれば、職員や親
族に対しても質問を行うことができます。
質問内容は、納税者の状況により変わりますが、調査開始時確認されることとしては、
一般的に下記の項目があります。
<調査開始時に確認される項目>
①事業の概要(当医院の特徴、来院患者数、診療設備の内容)
②開業時の資金の流れ
③納税者の家族構成、職員の構成
④会計帳簿の状況・保管資料の確認及び会計処理者
税務調査官は、納税者の基本的な情報を得て、会計帳簿を確認しながら申告内容に係わ
る質問を行ってきます。税務調査官の質問に対し、必ずその場で回答する必要はありませ
ん。その場で回答できることが望ましいですが、曖昧な回答をするのではなく、事実関係
を確認した後、間違いの無いことを回答をするという考えが重要です。
3
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
確認する事項は、次の項目(6W1Hの方法)に従って、行うと明確になります。
<6W1Hの方法>
①誰が(人・Who)
②いつ(時・When)
③どこで(場所・Where)
④何を(物・What)
⑤何をもって(用具・Where by)
⑥なぜ(動機・Why)
⑦いかにして(方法、手段・How)
(3)確
認
税務調査官は、質問検査に基づく結果について、その裏付あるいは補完により事実関係
を確認しようとします。具体的には調査対象納税者の取引先、取引金融機関等への反面調
査、並びに関係親族の所得の調査によって調査対象納税者との契約、決済等の適否、勘定
残高の適否等を確認します。
確認の方法としては、文書によるものと相手方を訪問して直接質問検査をする方法とが
あります。
>>>事前準備と調査当日の対応
(1)税務調査の連絡があった場合
税務調査が行われる際、あらかじめ知らされる場合と調査日の通知なしで突然、行われ
る場合との2つがあります。原則として、事前通知することとされていますが、事前通知
が税務調査を行なう上での法律上の要件ではないことと理解しておく必要があります。
各税務調査があった場合の準備はどうすれば良いか、それぞれの場合に分けてみます。
■事前の調査の連絡があった場合(事前通知あり)
任意調査では、このケースが1番多いのですが、税務署から「○月○日に調査に伺いた
い」と連絡がきます。これは、税務調査を受ける側の都合を考慮するとともに、準備の時
間を与えて、調査をスムーズに実行しようという税務署の合理的な考えからきていると思
われます。
4
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
◆連絡を受けた時の注意
①予定日の都合の検討
連絡を受けた日時、曜日には、できるだけ応じるように努めることです。
ただし、その日に既に重要な得意先との打合せや出張の予定などが組まれている場合に
は、遠慮なくその事情を具体的に説明して調査日を変更してもらうことです。大抵の場合
は日程変更が可能と考えられます。
しかし、単純な調査の引き延しや作為的な変更と見られると後日の調査の際に良くない先
入観を持たれたり、次回からの調査の際に事前通知がされなくなりますから、安易な変更
はしないことが賢明といえます。
②調査担当官の部署・氏名の確認
担当官の所属部門と氏名を良く聞いておくことが重要です。例えば、「個人○○部門の○
○さん」というように、調査予定日と同時にハッキリと確認し、メモしておいてください。
これは、関与税理士への連絡や何かの都合で担当官に連絡の必要ができたときのためで
す。
③関与税理士への連絡
納税者に事前の連絡をする場合には、関与税理士にもその旨を通知することになっていま
すが、念のため、直接連絡を行ってください。当日、調査の立会いが可能か都合を確認し
ておく必要があります。
◆調査を受けるにあたっての心得と準備
①会計事務所との連携
ドクターの中には「税務調査」と聞いただけで頭が重くなる人も少なくないと思いますが、
具体的な数字や細かい問題点については、経理担当者または会計事務所が受け持ち、病医
院の概況や業績などはドクターが直接説明するといったチームプレーで税務調査に対処
するようにします。
②金庫や引き出し、キャビネットなどの整理・点検
任意調査として行われる場合でも、必ず金庫や担当者の引出しまで検査されるものと考え
て、整理・点検しておくことが必要です。
③手許現金と出納帳との照合
現金は、常日頃から確実に照合され、合致しているのが普通です。
調査の際に食い違いがあれば、当然疑念を持たれ、不利な立場を招くことになります。食
い違いに相当な理由があって納得できる説明ができれば良いのですが、平素の管理体制に
問題があると見られないよう、完全に合致させておきます。
④いらざる疑いを招かないように
税務署は、職業上全てのことに疑いを持っていると考えなければなりません。従って、何
か気を回されたり疑いを持たれそうなものに関しては、事前に目のつかないところへ整理
しておくに越したことはないでしょう。
例えば、直接取引きしている銀行以外のマッチや手帳、カレンダーなどが目に入れば、内
緒の預金があるのではないかと一度は疑ってみたくなるのが常識です。念には念を入れ
て、一度見回してください。
5
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
⑤一般従業員への注意
平素の状況を知るには一般の従業員、事に現場の従業員から聞くのが良いということか
ら、調査担当官は機会をつくり現場の人に接触し、それによって調査のキッカケをつかむ
ようにしています。調査の前には、従業員にも注意を促す方が良いと考えられます。
ただし、「税務署の人から聞かれても返事をするな」とか「こう答えよ」とかは言うべき
ではありません。聞かれたことで、解ることは返事をしても良いが、解らないことは想像
して話したり、自分の意見は述べないように、という程度に注意をしておくべきでしょう。
⑥経理担当者としての準備
調査対象年過去の3年分の帳簿や伝票、証拠書類はいつでも取り出せるように準備してお
く必要があります。調査担当官がきてから帳簿や伝票をゴゾゴゾ探して時間を費やさせる
のは、賢いやり方ではありません。
帳簿や伝票、請求書、領収書などは所定の場所にファイルして、期別・年月を記入して準
備しておきます。このような準備や態度が、調査担当官の信頼をえることになり、調査を
早く済ませることにもなります。
⑦IT時代の調査、嘘は墓穴を掘る結果に
調査対象会社の情報、その取引会社の情報、金融機関からの情報等、膨大な情報が当局の
ホストコンピューターに収集・整理されています。調査官は、税務署の端末を操作して調
査対象会社のデータを瞬時に見ることができます。そのため、見え透いた嘘で言い逃れを
しようとしても無駄です。税務署にその場で問い合わせることで、調査対象会社及びその
取引先データも簡単に照会できます。
そこで疑念をもたれると、直ちに指示がでて、反面調査のために、取引先や銀行へ別働隊
が向かうのです。極めて合理的、組織的に調査が実施されます。情報と機動力がIT時代
の調査の特色です。
■事前の連絡なしに来た時の心得(無通知)
これは「現況調査」といわれ、下記のような項目において、その実態と証拠を押さえる
ために行なわれます。
(1)現金売上が主体の業種
(2)証拠隠滅の恐れのあるもの
(3)不正の疑義のあるもの
この場合、次に挙げる2つの項目については、徹底的に調査が行なわれるものと覚悟しな
ければなりません。
①現金の実際有り高と現金出納帳との突き合わせ
②金庫や机の引出しの中の書類やメモの調査
こうした目的で予告なしに来た場合には、どのように対応すれば良いでしょうか?
まず、顧問税理士に連絡をしてください。正確には強制調査でない限り、こちらの業務
遂行上重大な支障をきたす場合には、調査を延期してもらうことは可能です。しかし、調
6
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
査の目的が現況の把握である以上、相手が納得できる十分な理由がなければ、まず延期は
難しいと考えなければなりません。したがって、この場合は調査を受けるという姿勢、態
度を整えるということになります。
税務調査官の要求する調査に対しては、差し支えない限り応じていくことです。腹を立
てたり、感情的な対立意識を持つことは、結果としてプラスにはなりません。
ただし、業務に関係ない私物の検査や質問項目については、検査を拒否しても差し支え
はないと考えられます。また、疑念を抱かれるような事項が発見されたときは、その疑い
を解く説明をしなければなりませんが、相手が不当と思われる見解をもっているときは、
その撤回を要求すべきでしょう。
代表者や責任者が不在の場合には、在席者の中で1番責任ある従業員が調査官を応対し、
お引取りを頂くのが賢明な方法といえますが、事前連絡なしに調査にきているため簡単に
は引き取ってくれないでしょう。可能な限りの調査が行なわれると考えられます。
具体的には、代表者のほかその代理人、使用人その他の従業員に対するものも含まれま
す。使用人のなかには、家族事業専従者なども含めての対象になりますから、理解してお
いてください。
しかし、いくら税務署員といっても令状なしに強制調査はできませんから、通常代表者
や責任者がいない場合には、開けることがない金庫や机の引出し等を開けたり、許しがな
ければ見ることのできない帳簿書類等を見せたりする必要はありません。良く解らないこ
とについて想像で答弁したり、できない約束をしたりすることがないよう注意すべきです。
(2)調査当時の対応
税務調査官は、内容や疑問点対して納税者に質問や証拠資料の提示を求めます。以下の
点に注意してください。
(ア)調査中
①質問に対して想像や推測で話をしない。余計なことは話さない。余計なものは見せない。
②的確、迅速に対応し答える。
(場合によっては即答を避け、関係者や税理士等と相談のうえ、後日回答を行う)
③書類のコピーを求められた場合には、自社用のものも保有し、後日相互に理解できるよ
うに準備する。
④書類の提出を求められ、見当たらない場合には、探している途中であることを告げ、誤
解されないように留意する。
⑤部下の作成した提出書類等は、必ず上司等が目を通しておく。
(計数的なものは検算を怠らない)
7
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
⑥取引先からの原始記録や自社作成書類等に不備な点があっても、自ら手を加えないで提
出し、口頭で事由なり実情を説明することとする。
⑦納得がいかない場合には、しっかり反論し妥協しない。対決するのではなく、会社を良
くするために改善点を相談する。
⑧当局の証拠になるためのような文書の作成は極力避ける。
(例えば申立書、申述書、供述書、念書等)
⑨安易な修正申告は避ける
(救済の権利を失うことにもなるので、毅然とした対応をし、安易な妥協はしない)
(イ)調査後
①当局の指摘事項に対しての事実確認を行ない、処理上の判断を決定する。
②当局に対し取引先に影響のある場合は、善意にその対策を講ずる。
③是否認事項、指摘事項等は社内の関係部署へ連絡し、今後同じような誤りを繰り返さな
いよう反省を促す。
(改良、改善を図る)
④説明不足のものは時間をかけ説明する。
⑤陳情(嘆願)可能なものは、積極的に取り組む。
⑥証拠書類の提示により理解なり確認可能の場合は、極力資料の収集に努める。
(3)その他
①立会いには、なるべく直接の担当者が回答するようにし、その中でも精通者があたる。
②回答には「手際よく」を心掛け、誠意を持ってあたる。
③教えを乞うようにし、苦手意識を払拭する。
④対等の立場で接し、常に受身の姿勢で、短気を出さず冷静であるように努める。
⑤あまりムキにならないよう心掛ける。
⑥調査には積極的に協力し、自己の主張はハッキリと言う。
⑦嘘や言い訳はしない。
⑧税務調査は社内監査と思い、有効に活用する。
⑨担当者ベースで日頃から税法知識を会得するように努める。
⑩反論は最終段階で行なうようにする。
⑪調査官が複数の場合は、立会い者を複数にする対応を考える。
>>>個人開業医特有の調査事項
個人の税務調査の特殊事項は、個人的支出と医業関連支出が明確に区分されていない事
を前提に実施されていることにあります。
<個人的支出と混同されやすい支出>
①診療所と自宅が同一の建物の場合、水道光熱費・通信費の混入
②車両関係費用の区分 特に複数車両を保有した場合の必要性
③接待交際費 事業に対する関連性(いつ、だれと、何の目的だ)
④家族従業員の勤務実態(実態と給与の妥当性)
8
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
3
B/S(貸借対照表項目)の調査指摘ポイント
>>>現金・預金関連
現金・預金は、税務調査では必ず確認される重要チェックポイントです。ほとんどの収
益・支出等の取引は現金・預金勘定で記帳されるため、この科目の整合性を保つことは、
記帳全体の正確性に大きく関連してきます。また、税務当局に与える印象も違ってきます。
<現金・預金のポイント>
・現金出納帳が正しく記帳されているか
・現金有り高が出納帳と一致しているか
・現金が長期にわたって必要以上に多額の残高となっていないか
・預金残高が残高証明と一致しているか
>>>未収入金関連
法人税法上、収益の計上時期は原則として、診療行為が行われた時点で計上することに
なります。従って、当期で計上すべき収益のうち、現金預金がまだ入金になっていないも
のであっても未収入金として収益計上します。
<未収入金のポイント>
・保険請求収入を正しく請求しているか
・市町村から助成がある乳幼児医療費や予防接種や事務手数料等を正しく計上しているか
・歯科では、矯正治療などの自費の未収部分を正しく計上しているか
>>>棚卸資産関連
期末時点で在庫となっている薬品、診療材料等の数量・単価を把握し、期末の棚卸資産
として計上することにより、当期の原価を決定し、医業利益を確定します。
また、棚卸資産の評価方法は「最終仕入原価法」、「移動平均法」、「後入先出法」等であ
り、事前に税務署に届ける必要があります。
<棚卸資産のポイント>
・期末時点での在庫を正確に把握し、計上漏れはないか。開封済みの端数在庫が計上漏れ
になるケースが多い。
・棚卸資産は税務署に届けている評価方法で正しく評価しているか
9
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
>>>減価償却資産関連
期中に特に大きな設備投資や土地建物等の購入が行われた場合は、その理由をはじめ、
購入資金の源泉、企業利益の全体的なバランス等が調査の対象となります。契約書や証拠
書類は物件ごとに整理しておくことが必要です。
また、経費計上した資産のうち、減価償却資産として計上すべきものが混入していない
か、個人的に使用されているものはないか等の確認も重要です。
<減価償却資産のポイント>
・減価償却資産の耐用年数は適切か
・購入資産に関する資料は整理されているか
・個人的に使用している資産を減価償却資産として計上していないか
・資産の現物を確認し、架空計上しているものがないかを確認する
>>>未払金関連
当期で計上すべき経費は発生主義で認識することが基本となっています。従って、当期
に購入した物品や提供されたサービスの代金や対価が未払いであっても、未払金として経
費計上することになります。
税務調査では、この未払金の計上基準が適切に処理されているか、架空計上がないかチ
ェックします。
<未払金のポイント>
・未払金の計上は適切に行われているか
・架空計上されているものはないか
>>>借入金関連
借入金に関しては、その使途や借入先、借入条件が調査の対象となります。悪質なケー
スとして、医療機関が借入した資金を役員個人が使用している場合があり、税務調査では、
この点がポイントとなります。
<借入金のポイント>
・借入れた資金の使途を明確に説明できるか
・借入利息の計上は適切に行われているか
・借入金の残高は正確か
10
医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
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P/L(損益計算書項目)の調査指摘ポイント
>>>収入関連
医業収益の税務調査で指摘を受ける代表的なものは大別すれば、収入除外(もしくは一部
抜き取り)に関するものと収益計上のタイミングに関するもの(実現収益の医業未収金計上
漏れ)の2種類になります。
(1)収益計上漏れ(収入除外、一部抜き取り)はないか
①自賠責収入の入金先
自賠責収入の入金先は請求ごとに個別に指定できるため、これを事業用口座以外にするこ
とで収入の隠匿を図るケースがあります。これは、保険会社等への聞取り調査・資料箋な
どによる反面調査・カルテ閲覧などを通じて税務調査で早晩明らかにされることですが、
意図的で大規模な収入除外であると認定された場合には重加算税の対象となりますので
注意を要します。
②自由診療収入の除外
自由診療収入は、病医院と患者間の金銭直接授受という特性から、過少計上や脱漏が生じ
やすい項目です。
当局には調査資料によって算定した標準的な自由診療収入割合のデータがあり、診療料や
規模により一定の傾向が見られるため、税務調査の際には、それら標準データとの乖離の
程度もひとつの目安とされます。
③窓口収入の一部抜き取り
医療保険(社保・国保)の患者自己負担は、外来診療のつど窓口で徴収するものと、入院
費のように 10 日、20 日、月末、退院時等の締日を設けて請求し、口座振込もしくは窓口
現金にて精算するものとに大別されますが、現金収受の形態をとるものが大半であるた
め、一部抜き取りの誘因が生じやすくなります。
患者自己負担金と保険者(組合・政府・市町村等)が支払う給付金との割合は明確に定め
られていますので、給付金(社保・国保の診療報酬)から逆算して患者自己負担金の推計
をすることは容易です。
窓口収入と給付金とのバランスに異常点がみられる場合には、当局の税務調査を招く誘因
となりますので注意を要します。
④患者自己負担金免除の取扱い
病医院の関係者を診療した際に患者自己負担金(窓口徴収分)を免除した場合、入金がな
いために窓口収入計上から患者自己負担金の計上が漏れてしまうことになりかねません。
しかし、③のとおり当局は保険者の給付金のデータから患者自己負担金を推計し、申告さ
れた患者自己負担金収入額との差額をチェックしますから、免除した患者自己負担金が累
積で多額に上れば特に問題となってきます。
また、免除したわけではなくても患者さんから窓口負担金を徴収できずにそのまま貸倒れ
になってしまうケースなどでは、窓口収入計上を通さないため貸倒れの金額を把握するこ
とさえ困難になってしまう場合もあるでしょう。
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病医院における税務調査のポイント
(2)期末医業未収金の計上漏れはないか
医業収益は発生主義が原則であるため、期中に現金主義で収益計上を行っている場合に
は特に期末の未収金に注意を払う必要があります。
期末未収計上の際、漏れに気をつけたいのは、例えば次のような点です。
①入院費自己負担分
病院・有床診療所では、患者への入院費自己負担分の請求を、たとえば月末〆翌月 10 日
に行うケースなどもあるでしょう。診療報酬支払基金への請求のように毎月未収計上する
のではなく、患者の負担分は患者からの入金時に収益計上する便宜的方法を採用している
場合には、期末に発生主義に基づいて月末〆請求額を未収計上する必要がありますが、税
務調査で指摘されるまで気づかずにいる場合が多いようです。
②その他の医業未収金
休日・夜間診療のように都道府県郡市医師会との契約が事業年度をまたがっていても、平
日・休日・年末年始で支払単価が決まっている場合には受け入れた患者数を基に、また生
命保険会社から委託を受け審査医を行っている場合には、その審査件数を基に、期末まで
の医業収益を未収計上しなければなりません。
③入金サイクルが不定であるもの
医業未収金の計上漏れが税務調査で指摘されるのは、入金サイクルが不定であるものがほ
とんどであり、それを入金時に収益計上している場合です。
④クレジットカードによる収入
自費診療、高額医療費をクレジットカードで決済するケースですが、入金時に収入計上す
るのではなく、期末までに発生した収入を計上することになります。
>>>医業原価
(1)材料費(医薬品費・給食費・診療材料費・医療消耗器具備品費)に対する税務調査のポ
イント
①架空・水増し・仮装計上の有無
病院・診療所の費用は薬品材料代と人件費が大きなウエートを占めます。人件費の水増し
もさることながら、金額の大きさと扱い品目の多さから、いきおい薬品材料仕入に不正が
集中する傾向があります。費用項目の税務調査で不正経理として大きな問題となるのは、
架空・水増し・仮装計上の3点ですから、薬品材料仕入の税務調査のポイントは架空仕入
の有無・水増し仕入の有無・仮装仕入の有無ということになります。
②不審点の洗い出しの手法
上記のような不正経理、または間違いを見抜くため、税務調査では仕入れについて次のよ
うなアプローチで不審点を洗い出し、個別に適否を検証します。
〇事前のデータ収集
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病医院における税務調査のポイント
仕入の相手科目である「買掛金」の税務調査の項にもありますが、事前に出入業者からの
情報収集を行い、資料箋等からの取引の相手先・金額の規模等の概要を把握します。
標榜科目別の材料費割合等の標準データを参考にして、調査先の薬品材料費の割合に異常
な点がないかチェックします。同時に、過去数年の材料比率の変動状況から不審な点がな
いかもチェックします。
〇月別の推移と収入の対比
月別の仕入高の推移を前期のそれと比較し、異常な仕入月と仕入金額を摘出して検討しま
す。また、各月の仕入高と診療収入とを対比して仕入の適否を吟味します。
〇仕入証憑書類の整備保存状況の調査
仕入の納品書・請求書・領収証・薬品受払い簿等の証憑・帳簿類の整備保存状況を確認し、
薬品仕入の管理状況を把握します。
〇仕入証憑書類の有無
通常の仕入では、納品書・請求書・領収証が全くない取引は考えられないため、証拠書類
の有無を調査し、証拠書類が欠落している場合には、その原因が管理上のものであるのか、
それとも意図的な架空仕入であるのかが追及されます。証憑があっても住所や電話番号、
社印等のない場合には、取引先や銀行を反面調査し、その信憑性を確かめます。
〇臨時・小口・現金の仕入の信憑性調査
臨時・小口・現金仕入は安易な不正経理の手段となりがちなため、相手先を確認するなど
の反面調査によりその信憑性を確かめます。
○資産の混入の有無
上記のような架空・水増し仕入等の不正経理に関する調査以外にも、次のような仕入関連
の税務調査があります。
③個人消費・家事消費の有無
④リベート計上脱漏の有無
⑤仕入戻し・値引き・割戻し金額の計上の適否
特に、簿外処理による金銭の使い込み、私消、および割戻しの期ずれ(買掛金の項を参
照)
⑥翌期首以降仕入の繰上げ計上の有無
⑦在庫圧縮の有無
利益を少なくする方法として、用いられるのが在庫金額の圧縮です。病院・診療所では、
期末の在庫金額の決定は実施棚卸だけで帳簿棚卸は行わないところも多く、期中の仕入経
理と独立していることから、在庫金額は比較的院内操作しやすい面があるといえます。
税務調査では、利益操作の温床としての棚卸資産の期末計上額に厳しい目が注がれます。
具体的には、在庫品の実査や理論値の計算を通じて計上額の適否が検討されることになり
ます。理論値からアプローチする場合、医療総利益から逆算して在庫の概数の正否をとわ
れることもありますし、よく用いられるのは「在庫回転期間」を用いた手法です。
在庫回転期間(日)=(在庫高÷医業収益)×365 日
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病医院における税務調査のポイント
算式の在庫回転期間にあたる日数で平均在庫が常備されていると考えれば在庫高の概数
の把握でき、仕入納品書等の資料を精査することで平均在庫の適否が検証されます。
医療収益の増減、薬品等仕入の変動により棚卸の数字は大きく影響を受けますが、それ
らには相関関係が保たれていることが必要です。もし、そこに過去の実績値や標準値と比
較して異常な点がみつかれば、そこに調査の重点がおかれ、原因を追究されることになり
ます。
(2)委託費(検査・寝具・清掃・洗濯・器械補修)に対する税務調査のポイント
委託費の税務調査で確かめられる項目を列挙してみると、たとえば次のとおりです。
・架空、仮装計上の有無
・家事使用等、業務外使用の有無
・リベートや値引き処理等の妥当性
・委託費計上の根拠資料(契約書・納品書・請求書・領収書等)の整備状況
・期間計上の妥当性(翌期以降の損金となる前払部分の有無)
委託費の場合、検査委託や歯科技工委託のような医療収益に比例して、増加する変動費
的なもの、給食委託や寝具委託、洗濯委託のように相当程度医業収益(特に入院収益)と
の相関関係が認められるもの、一方、月極めで保守委託契約を結んでいる器械保守委託料
のように医業収益とは直接無関係な固定費的なものなど、発生形態はさまざまです。
したがって、税務調査の際には上記の項目につき委託費の発生態様それぞれに応じた調
査がなされます。
①月極め・年契約の委託費の調査
月極めや1年契約、場合によっては複数年契約の委託費の場合、まず契約書の提出を求め
られ、契約書の内容が吟味されます。契約書の相手先は実在し、委託業務の内容と金額は
妥当であるか、実際の支払いと合っているか、また、数年契約を一括で支払っている場合
には未経過分につき前払処理しているか確かめられます。
②医業収益と比例するもの、相関関係があるもの
①のような契約に基づく定額の支払いではなく、委託量に応じて委託費を支払うケースで
は、納品書・請求書・領収書等の証憑を中心に計上の妥当性が確かめられます。
その際には、先方への反面調査データや、医業収益とのバランスなどの分析データが活用
され、異常点があれば重点的に調査されます。特に不正経理として問題となるのは、やは
り水増し・架空計上および家事使用の混入といたところでしょう。
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病医院における税務調査のポイント
>>>人件費
給与費(職員給与賃金・退職金・法定福利費)に対する税務調査のポイント
給与費のうち、法定福利費は比較的問題となる点が少なく、病医院の給与費で特に問題
となるのは、アルバイト等を使った架空人件費の計上、専従者への不相当に高額な給与の
支払い、非常勤医師の給与源泉の率や交通費の問題などです。
一般的には次の留意点に基づき調査が進められます。
・源泉所得税を免れる為に給料手当てを過少に計上し、差額を別途賃金から補充していな
いかどうか
・他の経費科目に仮装した支出はないかどうか
・専従者の業務内容は給与額に見合っているか
>>>一般管理費
(1)減価償却費に対する税務調査
減価償却費の計算は毎期同様であり、かつ単純・機械的であるので、前期の計算に準じ
て行われてしまう傾向があるので、税務調査時において、減価償却資産自体に変化があっ
た場合、法定耐用年数が変わった場合等、減価償却の計算が適切に行われているか調べら
れます。
(2)修繕費に対する税務調査の対処法
①資本的支出と修繕費との区分
修繕費は特に資本的支出と修繕費の区分が難しく、厳密にして正確な資本的支出と修繕費
との区分が不可能なため、税務調査時において、修繕費を資本的支出として否認されるケ
ースが多いようです。
②多額の修繕費をピックアップすること
修繕費勘定を分解して、そのうち1回の修繕費が多額であれば、大規模修繕が含まれてい
る可能性が高いので、その内容に応じた処理を行い、会計処理時において、工事見積書、
請求書等の内容をチェックする必要があります。
(3)旅費交通費に対する税務調査のポイントと留意点
旅費交通費の場合のポイントには、下記のようなものがあります。
・業務上必要なものであるか
・実際に要した金額に限られるか
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病医院における税務調査のポイント
具体的には、たとえば以下のような点が調査の対象となります。
①私用および観光目的の旅行を出張扱いしていないか
出張旅費、研修費の中には「研修会参加」
「視察」
「学会参加」等の名目で私用および観光
目的の旅行が経費に紛れ込んでいることがあるため、税務調査では領収証のみならず参加
した学会等の日程表その他業務に関連した出張であることを立証できる証憑類の提示が
求められます。
②カラ出張や架空交通費の計上はないか
税務調査では、頻繁に行われる小口出張を中心に、証憑類のチェック、特に、業務目的の
出張であることを立証できる書類の存在の有無や日付の整合性の確認といったことが行
われます。また、職員等でタイムカードなど業務記録がある者については、出張日と業務
記録との突合がなされます。
③出張仮払の精算は妥当か
出張旅費や日当をまとめて仮払いして後日精算するケースについては、精算時に使途秘匿
金や交際費、給与にあたる私費が混入する場合があるため、精算の内訳が調査されます。
④渡切り交通費で未精算のまま放置されているものはないか
渡切り交際費と同様、渡切り交通費で未精算のまま放置されているものは給与所得とみな
されるため、特に家族従業員に対する渡切り交通費がないかチェックされます。
⑤通勤費の非課税限度枠を利用した給与所得の移し替えはないか
通勤費は所得税非課税限度の枠が比較的大きいことから、これを利用して個人の実質給与
にあたる額を通勤費に混入するケースがあり、これについて調査される場合もあります。
(4)損賠賠償金に対する税務調査のポイントと対処法
①個人負担に帰すべき支出が含まれていないか
損害賠償金のうちに業務遂行に直接関連しない支出が含まれている場合には、その支出は
事業主貸として経費から除外されることになります。
②故意または重大な過失はないか
事業に関連して支払われるものであれば原則として全額損金算入が認められていますが、
故意または重大な過失があった場合には損金になりません。特に医療過誤のケースにおい
ては、重大な過失の有無がポイントとなってきます。
③損金計上のタイミングは適正か
裁判で判決が確定したものについては、その一切の資料の提示が求められ、特に損金処理
のタイミングが調査されます。
裁判を経由しないものについては、先方との交渉の経緯について説明を要し、示談金等の
支払いがある場合、先方の受取りを確認できる書類があるかおよび金銭の動きに不明瞭な
点がないか等がチェックされるとともに、損金計上のタイミングが適時であるかが検討さ
れます。
(ただし、賠償金の損金計上のタイミングは、原則として「支払額が確定したとき」であ
り、示談金等で先方に期末までに申し出た金額を未払計上している場合には、その金額の
損金計上が認められます。
)
④関連支出および保険金の填補などは正しく経理されているか
損害賠償に関連した仮出金等が整理されているか、また、損害賠償にかかる保険等の補填
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病医院における税務調査のポイント
がある場合に正しく処理されているかが、仮払金、仮受金、雑収入等の関連勘定とあわせ
てチェックされます。
特に保険金の補填がある場合には、支払口座や支払決定通知の管理を徹底して適時な計上
を心がける必要があります。損害賠償金の科目は性質上金額が多額にのぼり、判断が微妙
であることから、特に関係書類の整備が要求されます。
具体的には、カルテの保存はもちろんのこと、裁判記録、顛末の記録、仮出金等の明細お
よびその証憑類に至るまで各種資料を時間の経過に従って整理しておくことが求められ
るでしょう。
(5)家事費按分
個人事業の場合、事業と家事費との按分が必要になるケースが多々あります。
主な対象は、下記の項目になります。
①車両費
②通信費
③水道光熱費
④借入利息
⑤損害保険料
按分の基準には絶対的なものはありませんが、通常は、事業と家事の使用割合、面積割
合等に基づき按分することになります。
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病医院における税務調査のポイント
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診療科目別 留意ポイント
医療機関の場合は各診療科目により診療科目独自の収入や必要経費があり、納税者サイ
ドとして注意すべき点を列挙します。
>>>内科・小児科
保険診療収入以外の収入計上洩れが無いか確認されます。
①往診交通費 : 患者から支払われるお車代
②室料差額収入
③そのた自由診療収入
予防注射や予防接種による収入、保険証を持参しない患者からの診療収入、健
康診断による収入
④雑収入
薬剤の容器代、入院患者の付添人の食事代、診断証明書の作成料、薬品購入に
伴うリベート収入、入院患者への貸テレビ料やコインランドリ使用料、自動販
売機設置収入
⑤治験受託収入
収入の計上は当然ですが、その治療内容から収入の計上時期に注意をしなけれ
ばならない。長期間に渡る治験については受託内容を契約書により明確にすべ
きである。
>>>外科・整形外科
①自動車賠償責任保険収入(自賠責収入)
外科・整形外科においては、保険外収入の主要収入となっている。税務当局は
損害保険会社に保管されている保険金支払請求書とその添付書類などの資料照
会を綿密に実施し、その金額を正確に把握する。
②労働者災害補償保険収入(労災保険収入)
労災保険収入は各都道府県の労働基準局へ保険請求しますが、その労災認定の
決定、入金に時間がかかるケースがあり期間損益計算を正確に把握する必要が
あります。
<派遣医給与支払>
外科・整形外科の場合、大学教授又は外部からの医師の招へいにより手術を行い
ます。この時に支払われる報酬に対し徴収する源泉徴収税額の取り扱いは、勤務
実態により徴収方法に異なります。
このため税務当局より源泉徴収不足を指摘されるケースがあります。また、実際
に派遣医の勤務実態を把握するためカルテの確認や出勤簿の確認をします。
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病医院における税務調査のポイント
>>>産婦人科
①分娩収入
正常分娩については健康保険が不適用となります。このため分娩料 入院料、
沐浴料などの収入が自由診療として正しく計上されているか検討されます。
税務当局は、出産件数の収入の適正を把握するため請求書等から胎盤処理件数を
確認するケースがあります。母体保護法による人工妊娠中絶手術による診療収入
は自由診療収入であり、税務当局はその回数(麻酔薬の使用量から推計)と単価を
調査し、その正否を推計計算します。
>>>精神科
①自由診療収入
室料差額等の自由診療収入の計上漏れを過去の収入割合の比率や一般的な精神
科の比率と比較し検証します。
②薬品材料費
精神科では診療内容によって、薬品材料費に大きな差異が発生し、利益に影響
が出ます。したがって薬品材料費を中心とした医業経費が調査のポイントにな
ります。
③入院患者数と給食
入院患者数と給食費との整合性を月別に検証し、入院収入の計上漏れ、給食費
の架空・水増し計上の有無を確認します。
>>>耳鼻いんこう科
①リベート収入
補聴器を使用する患者さんをメーカーに紹介している場合、メーカーからのリ
ベートが発生するケースがありますが、これは雑収入として計上する必要があ
り、調査の対象となります。
>>>皮膚科・泌尿器科
①診療収入
皮膚科は、5∼9月に診療収入が増加する比較的季節変動が明確な診療科目で
す。したがってピーク時の収入を中心に過去の診療収入の推移や抗生物質・塗
布薬・調剤容器の使用料などから収入の適否の確認を行います。
泌尿器科の診療単価は比較的高額で、とくに自由診療収入の漏れを中心に調査が
進められます。とくに医療機関に設置されている診察・治療機器の稼働実績と収
入の適否の検証が行われます。
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医業経営情報レポート
病医院における税務調査のポイント
>>>眼
科
①コクタクト会社との取引
コンタクトレンズの販売を別会社を通して患者に行う場合、別会社と眼科との
経費区分がされていないケースがある。特にコンタクトの使用指導を眼科の職
員が行う場合は、その人件費の区分又は業務受託内容を明確にする。
>>>歯
科
①保険外収入
矯正歯科収入は、患者の診断、装置装着、治療・調整の項目に区分できる。税
務当局は当該診療所の料金体系を確認しその料金表に基づき適正に収入計上が
されているか確認する。矯正歯科は、治療が長期間になるためその収入計上時
期は各治療項目が終了した時期としている。このため矯正歯科収入の内金額が
高額になる装置装着時期と収入計上時期が税務調査のポイントになる。
メタルボンド・インプラントの治療把握は、材料仕入や技工指図書から治療本
数を確認し、収入金額の正否が推計計算されます。
②雑収入
窓口での歯ブラシの販売が主ですが、その他患者より取り出した金属の売却収
入も含まれます。
税務当局は 金属の売却収入を処理業者の記録により確認いたします。
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医業経営情報レポート
経営指標
医療法人財務分析に関する報告書(抜粋)
3.
分析内容
(1) 医療法人形態別財務指標
平成 20 年度
医療法人の種類
社会医療法人
平均
収益性分析
本来業務損益率(*1)
事業利益率(*2)
経常収益対経常利益率(*3)
経常収益対支払利息率
総資本経常利益率
総資本回転率(回転)
事業未収金回転期間(月)
棚卸資産回転期間(月)
特定医療法人
平均
医療法人
平均
6.9%
6.0%
7.5%
0.9%
3.3%
0.72
3.3
0.1
1.4%
0.8%
1.6%
0.7%
1.0%
0.9
2.0
0.1
1.5%
1.4%
0.7%
1.5%
1.7%
1.21
1.9
0.1
機能性分析
1病床当たり総資産(千円)
1病床当たり固定資産(千円)
24,363
16,477
27,560
18,513
15,363
10,808
安全性分析
自己資本比率
固定長期適合率
流動比率
医業収益対借入比率(*4)
52.5%
79.2%
347.4%
78.1%
56.4%
76.7%
460.7%
37.7%
25.2%
82.5%
281.8%
56.4%
6
平成 21 年度
医療法人の種類
社会医療法人
平均
収益性分析
本来業務損益率(*1)
事業利益率(*2)
経常収益対経常利益率(*3)
経常収益対支払利息率
総資本経常利益率
総資本回転率(回転)
事業未収金回転期間(月)
棚卸資産回転期間(月)
特定医療法人
平均
医療法人
平均
4.4%
4.2%
4.5%
1.2%
2.9%
0.79
2.4
0.1
5.3%
4.8%
5.7%
0.7%
4.0%
1.02
2.0
0.1
2.4%
2.3%
1.8%
1.2%
2.5%
1.30
1.8
0.1
機能性分析
1病床当たり総資産(千円)
1病床当たり固定資産(千円)
24,313
17,590
29,468
19,185
15,421
10,401
安全性分析
自己資本比率
固定長期適合率
流動比率
医業収益対借入比率(*4)
44.2%
86.0%
284.3%
71.8%
57.7%
72.5%
526.3%
34.8%
26.0%
79.9%
256.3%
51.6%
(*1) 本来業務損益率=本来業務損益/本来業務事業収益
(*2) 事業利益=医業収益-医業費用
医業収益=本来業務+附帯業務+収益業務
(*3) 経常収益=医業収益+医業外収益
(*4) 医業収益対借入比率=借入金残高/医業収益
法人形態別の財務指標の平均値を比較したところ、下記のような結果となった。
①
収益性分析
・ 平成 20 年度は、本来業務損益率、事業利益率(事業利益/医業収益)は、社会医療
法人が特定医療法人、医療法人と比較して、高い収益性を上げている。平成 21 年度
は特定医療法人が最も高い収益性となっている。
これは医療法人形態の異動に主な原因がある。社会医療法人として新たに認定され
た4法人のうち3法人は平成 21 年度の当期純利益は赤字であった。そのため、社会
医療法人の収益性に関する指標は悪化したが、他の医療法人の収益性に関する指標
は好転した。
・ 経常収益対支払利息率では、平成 20 年度は社会医療法人、特定医療法人が 1%を切
っているのに対し、医療法人は 1.3%と支払利息の割合が高めである。しかし、平成
21 年度になると社会医療法人は 1.2%となり平成 20 年度の 1.3 倍となっている。
7
・ 事業未収金回転期間分析では、平成 20 年度は、特定医療法人、医療法人が約 2 ヶ
月であるのに対し、社会医療法人は 3.3 ヶ月とやや長めになっている。平成 21 年度
は 2.4 カ月と平成 20 年度に比べかなり短くなっているものの、医療保険が通常患者
負担分を除いて 2 ヶ月後に入金されることから考えるとやはり通常よりも長すぎる
のではないかと考えられる。これについては、
(2)各種財務指標の状況において詳
述する。
②
機能性分析
・ 特定医療法人が 1 病床あたりの総資産、固定資産ともに一番大きくなっており、1
病床あたりの設備投資額が大きいことが分かる。
③
安全性分析
・ 自己資本比率は、平成 20 年度は社会医療法人、特定医療法人が 50%を超えている
のに対して、医療法人は 25%となっている。平成 21 年度は社会医療法人が 44%と
なり数値が小さくなっているものの、医療法人の自己資本が社会・特定医療法人に
比して小さいことが分かる。
・ 流動比率は、いずれの法人形態も 200%を超えており、短期支払能力としては問題
ないと思われる。
医療法人の形態別に経営分析数値を比較したが、平成 20 年度と 21 年度において数値に
変化があった。これは、平成 20 年度から 21 年度にかけて社会医療法人に移行した法人の
うち、3 法人は最近建物を建替えもしくは新設しており、また 1 法人は現在建て替えを進め
ているところであった。病院の場合、診療報酬は同医療行為に対して一定であり、大きな
設備投資を行った際には損益が一時的に悪化することが多い。この影響が大きく出ている
ものと考えられる。
なお、社会医療法人の認定には、特に損益については基準とされず、公的な医療が十分
に行えているかが判定の基準となる。
(2) 各種財務指標の状況
①
事業利益率
平成 20 年度
上位5法人
下位5法人
平均値
12.3%
-5.2%
最大値
最小値
15.8%
10.2%
-4.4%
-6.0%
平成 21 年度
8
上位5法人
下位5法人
平均値
12.1%
-1.9%
最大値
15.3%
-0.3%
最小値
8.2%
-3.9%
事業利益率は法人経営の根幹をなすものであり、ある程度のプラスが経営のためには必
要である。ただ一時的にはマイナスとなる可能性があり、その要因によっては特に問題が
ないものもあると考えられる。平成 20 年度の下位 5 法人の中には近年病院の建物を建替え
を行った 3 法人および現在建替え途上にある 1 法人が含まれているため、一時的に償却費
等の費用が多くなり損益が悪化している可能性がある。
① 事業未収金回転期間(月)
平成 20 年度
上位5法人
下位5法人
平均値
1.5
4.2
最大値
1.7
7.1
最小値
1.2
2.2
平均値
1.3
3.3
最大値
1.5
7.6
最小値
0.9
2.1
平成 21 年度
上位5法人
下位5法人
未収金の回転期間は、保険診療を行っている医療機関の場合ある程度の範囲に収まると
考えられる。保険医療を行っている場合には、未収金は医療保険に対する未収金と患者負
担分の未収金に分類される。医療保険に対する未収金は通常診療 2 ヶ月後には現金化され
るため、保険からの未収金は通常 1.4 から 1.9 カ月程度になる。患者負担分の未収金は本来
窓口において現金回収されるものであるため、あまり多額にはならない。
しかし、上記の下位 5 法人には、平成 20 年度は 7.0 および 7.1 カ月、また平成 21 年度
は 7.6 カ月と 7.0 カ月以上の回転期間となっている法人が 3 法人あったため、平均値も標準
値を大きく上回っている。この 3 法人はともにその年度に社会医療法人化している。2 年間
の損益計算書を比較すると、社会医療法人化した年度の収益・費用はともに、それ以外の
年度の約 4 分の 1 になっていた。これは社会医療法人の認定が 12 月にあり、1 月より医療
本体が無税となるため、年度初めから 12 月までで税務上はいったん決算を行い、翌年 1 月
から新たに年度が始まり 3 カ月決算を組む処理を行っている。上記 3 法人は、この税務上
の 3 カ月決算分についてのみ決算報告を行っていたため、回転期間が約 4 倍になったこと
が異常値の出ている原因であった。ただし、社会医療法人化した法人についても、社会医
療法人化前の 9 カ月と社会医療法人化後の 3 カ月を合算して 1 年間で決算報告している法
人もあった。
このように、公表されている財務諸表が、異なる基準により開示されると、その情報の
9
読み手は誤解する可能性がある。社会医療法人化前とその後を合算するもしくは別々にで
もかまわないが、他の医療法人と比較可能な状況において決算報告するように改善すべき
である。
② 医業収益対借入比率
平成 20 年度
上位5法人
下位5法人
平均値
1.9%
133.2%
最大値
最小値
5.6%
0.0%
235.2%
95.6%
平均値
1.9%
136.2%
最大値
6.6%
284.6%
平成 21 年度
上位5法人
下位5法人
最小値
0.0%
86.5%
医療法人は、病棟・中央診療棟等の建物、高額医療機器といった設備を備えるなど設備
投資を行う際には、多額の借入を行うケースがある。しかし、医業収益対借入比率が 100%
を大きく超える場合には、返済負担が大きくなり経営に悪影響を及ぼす場合がある。
しかし、この指標についても、②事業未収金回転期間と同様に、損益計算書と貸借対照
表の両者の数値を使用する指標である。そのため、異常値が算出されている場合がある。
異常値を除くと下位 5 法人の平成 20 年度は最大値が 120.0%、平成 21 年度の最大値が
108.8%となり、年間収益を大きく超える法人はないことになる。これも 3 カ月決算が公表
されていることの弊害であり、改善が求められる。
③ 総資本経常利益率
平成 20 年度
上位5法人
下位5法人
平均値
11.2%
-5.0%
最大値
最小値
12.8%
9.7%
-3.6%
-7.9%
平均値
11.1%
-2.4%
最大値
13.1%
-0.1%
平成 21 年度
上位5法人
下位5法人
最小値
8.0%
-3.9%
総資本経常利益率は事業利益率と似通った順位となっている。事業規模を示す医業収益
と総資本の金額はほぼ比例しているということがうかがえる。
これも上記2指標と同じように利益金額が約 4 分の 1 になっており異常値が算出されて
いるが、あまり目立った異常値とはなっていなかった。
10
④ 自己資本比率
平成 20 年度
上位5法人
下位5法人
平均値
85.6%
-0.6%
最大値
最小値
91.4%
81.3%
4.8%
-6.9%
平均値
83.4%
1.4%
最大値
90.5%
5.7%
平成 21 年度
上位5法人
下位5法人
最小値
79.5%
-5.4%
自己資本比率がマイナスである場合には、いわゆる債務超過の状況である。債務超過と
なっても、病院は認可事業であり、地域住民の医療需要に応えられるよう倒産を回避する
ため金融機関が貸し付けを続ける例が多いといわれている。しかし、経営改善の兆候が見
られない場合には、理事・社員の交代等が避けられない状況といえる。
4.
課題
医療法人の財務諸表を分析した結果は上記のとおりであるが、この分析を通じて、当委
員会としては以下のような課題があると認識している。
① 公表財務諸表の様式
今回分析を行った財務諸表は、平成 19 年 3 月 30 日の医政指発第 0330003 号「医療
法人における事業報告書等の様式について」に基づいて作成されているものである。当
様式は、貸借対照表については、ほぼ現在の企業会計の基準に等しいものとなっている。
しかし、損益計算書については、大区分として「事業損益」、「事業外収益・費用」「特
別利益・損失」の区分があるが、事業損益は「本来業務事業損益」「附帯業務事業損益」
「収益業務事業損益」の区分があるのみであり、
「本来業務事業損益」の内訳も、
「事業
収益」
「事業費用(事業費、本部費)
」のみである。通常病院の決算書に表示される、医
業収益の内訳である「入院収益、外来収益、室料差額収益」等の区分がなく、医業費用
も「材料費」
「給与費」
「減価償却費」等の区分がない。平成 16 年に公表された病院会
計準則にはこのような区分があったが、今回の様式には採用されていない。財務諸表の
利用者が病院の経営状況を判断する場合、現在の様式の財務諸表では十分な判断が行え
ない可能性が高い。財務諸表の様式については、「病院会計準則」が病院の実態に即し
てその様式を指定しているため、それに準じたものが望ましいと考えられる。
11
経営指標
医療機関の部門別収支に関する
調査報告書(抜粋)
第3章
調査結果(概要)
(3) 開設者別収支の状況(全診療科合計)
216 病院の収支計算結果(全診療科合計)を、開設者別に集計した結果を以下に示す。
医業収益
医業費用
材料費
給与費
委託費
設備関係費
その他医業費用
収支差額
国立公立
構成比
金額(円)
(%)
468,870,304
100%
459,325,137
98%
115,388,286
25%
246,677,296
53%
26,145,318
6%
47,036,721
10%
24,077,516
5%
9,545,167
2%
入院
医療法人
構成比
金額(円)
(%)
261,612,094
100%
244,382,760
93%
57,161,074
22%
133,069,682
51%
11,346,537
4%
24,065,637
9%
18,739,830
7%
17,229,334
7%
その他
合計
499,872,653
488,076,352
131,570,527
257,694,473
22,967,656
48,175,741
27,667,955
11,796,301
構成比
(%)
100%
98%
26%
52%
5%
10%
6%
2%
金額(円)
410,503,762
397,724,090
101,343,195
212,802,423
20,280,529
39,844,621
23,453,322
12,779,672
構成比
(%)
100%
97%
25%
52%
5%
10%
6%
3%
金額(円)
国立公立
構成比
金額(円)
(%)
182,997,321
100%
209,258,343
114%
61,895,617
34%
92,857,429
51%
23,536,211
13%
20,050,599
11%
10,918,487
6%
-26,261,022
-14%
外来
医療法人
構成比
金額(円)
(%)
100,444,619
100%
109,358,964
109%
21,301,075
21%
60,458,965
60%
9,080,883
9%
10,224,027
10%
8,294,014
8%
-8,914,345
-9%
その他
合計
247,729,901
261,084,570
86,193,190
116,279,506
22,177,771
22,754,307
13,679,796
-13,354,669
構成比
(%)
100%
105%
35%
47%
9%
9%
6%
-5%
金額(円)
176,240,717
192,736,711
56,201,277
89,581,550
18,357,034
17,671,736
10,925,114
-16,495,994
構成比
(%)
100%
109%
32%
51%
10%
10%
6%
-9%
金額(円)
国立公立
構成比
金額(円)
(%)
651,867,626
100%
668,583,480
103%
177,283,903
27%
339,534,724
52%
49,681,528
8%
67,087,321
10%
34,996,003
5%
-16,715,854
-3%
入院外来計
医療法人
その他
構成比
構成比
金額(円)
金額(円)
(%)
(%)
362,056,713
100%
747,602,554
100%
353,741,723
98%
749,160,922
100%
78,462,149
22%
217,763,717
29%
193,528,646
53%
373,973,979
50%
20,427,421
6%
45,145,427
6%
34,289,664
9%
70,930,048
9%
27,033,843
7%
41,347,751
6%
8,314,990
2%
-1,558,368
0%
合計
586,744,479
590,460,801
157,544,472
302,383,973
38,637,563
57,516,357
34,378,436
-3,716,322
構成比
(%)
100%
101%
27%
52%
7%
10%
6%
-1%
金額(円)
医業外収益
医業外費用
44,582,854
20,324,661
10%
4%
4,043,056
2,660,116
2%
1%
15,551,741
10,630,526
3%
2%
22,117,848
11,466,402
5%
3%
7,241,384
3,326,558
4%
2%
841,942
633,111
1%
1%
2,511,443
2,196,525
1%
1%
3,648,808
2,085,461
2%
1%
51,824,238
23,651,218
8%
4%
4,884,998
3,293,227
1%
1%
18,063,184
12,827,051
2%
2%
25,766,656
13,551,863
4%
2%
総収支差額
33,803,361
7%
18,612,275
7%
16,717,516
3%
23,431,117
6%
-22,346,195
-12%
-8,705,514
-9%
-13,039,752
-5%
-14,932,646
-8%
11,457,166
2%
9,906,761
3%
3,677,764
0%
8,498,471
1%
病院数
平均入院延べ患者数
平均外来延べ患者数
77
8,653
71
5,060
68
8,231
216
7,339
77
71
68
216
13,606
8,022
15,850
12,477
77
8,653
13,606
71
5,060
8,022
68
8,231
15,850
216
7,339
12,477
(4) 病床規模別収支の状況(全診療科合計)
216 病院の収支計算結果(全診療科合計)を、病床規模別に集計した結果を以下に示す。
医業収益
医業費用
材料費
給与費
委託費
設備関係費
その他医業費用
収支差額
199床以下
構成比
金額(円)
(%)
136,000,085
100%
134,706,584
99%
29,172,245
21%
76,797,590
56%
6,092,735
4%
13,428,261
10%
9,215,754
7%
1,293,501
1%
入院
200~499床
500床以上
構成比
構成比
金額(円)
金額(円)
(%)
(%)
404,961,583
100% 1,018,854,296
100%
387,267,368
96%
994,389,385
98%
90,984,976
22%
285,103,728
28%
211,999,198
52%
509,016,096
50%
20,127,745
5%
51,365,637
5%
39,310,349
10%
98,390,615
10%
24,845,100
6%
50,513,308
5%
17,694,215
4%
24,464,911
2%
合計
410,503,762
397,724,090
101,343,195
212,802,423
20,280,529
39,844,621
23,453,322
12,779,672
構成比
(%)
100%
97%
25%
52%
5%
10%
6%
3%
金額(円)
199床以下
構成比
金額(円)
(%)
73,556,893
100%
76,580,170
104%
16,244,228
22%
42,804,285
58%
5,911,770
8%
6,656,243
9%
4,963,644
7%
-3,023,277
-4%
外来
200~499床
構成比
金額(円)
(%)
168,546,773
100%
184,170,712
109%
50,330,785
30%
87,401,724
52%
18,186,670
11%
17,460,277
10%
10,791,255
6%
-15,623,939
-9%
500床以上
構成比
金額(円)
(%)
418,846,297
100%
466,805,825
111%
158,302,426
38%
196,554,092
47%
45,721,552
11%
42,054,813
10%
24,172,941
6%
-47,959,528
-11%
合計
176,240,717
192,736,711
56,201,277
89,581,550
18,357,034
17,671,736
10,925,114
-16,495,994
構成比
(%)
100%
109%
32%
51%
10%
10%
6%
-9%
金額(円)
199床以下
構成比
金額(円)
(%)
209,556,978
100%
211,286,754
101%
45,416,473
22%
119,601,875
57%
12,004,505
6%
20,084,503
10%
14,179,398
7%
-1,729,776
-1%
入院外来計
200~499床
500床以上
構成比
構成比
金額(円)
金額(円)
(%)
(%)
573,508,356
100% 1,437,700,593
100%
571,438,080
100% 1,461,195,210
102%
141,315,761
25%
443,406,154
31%
299,400,922
52%
705,570,189
49%
38,314,416
7%
97,087,189
7%
56,770,626
10%
140,445,429
10%
35,636,355
6%
74,686,250
5%
2,070,276
0%
-23,494,617
-2%
合計
586,744,479
590,460,801
157,544,472
302,383,973
38,637,563
57,516,357
34,378,436
-3,716,322
構成比
(%)
100%
101%
27%
52%
7%
10%
6%
-1%
金額(円)
医業外収益
医業外費用
4,125,476
2,209,110
3%
2%
19,634,137
10,445,778
5%
3%
67,665,879
34,213,027
7%
3%
22,117,848
11,466,402
5%
3%
1,110,674
593,158
2%
1%
3,405,553
2,067,493
2%
1%
9,787,537
5,360,136
2%
1%
3,648,808
2,085,461
2%
1%
5,236,150
2,802,269
2%
1%
23,039,690
12,513,271
4%
2%
77,453,416
39,573,163
5%
3%
25,766,656
13,551,863
4%
2%
総収支差額
3,209,867
2%
26,882,574
7%
57,917,763
6%
23,431,117
6%
-2,505,761
-3%
-14,285,879
-8%
-43,532,127
-10%
-14,932,646
-8%
704,106
0%
12,596,695
2%
14,385,636
1%
8,498,471
1%
病院数
平均入院延べ患者数
平均外来延べ患者数
80
3,060
99
7,616
37
15,851
216
7,339
80
99
37
216
5,744
12,847
26,046
12,477
- 27 -
80
3,060
5,744
99
7,616
12,847
37
15,851
26,046
216
7,339
12,477
(5) DPC対象・DPC準備・DPC対象以外病院別収支の状況(全診療科合計)
216 病院の収支計算結果(全診療科合計)を、DPC 対象・DPC 準備・DPC 対象以外病院別に集計した結果を以下に示す。
医業収益
医業費用
材料費
給与費
委託費
設備関係費
その他医業費用
収支差額
DPC対象
構成比
金額(円)
(%)
492,167,470
100%
472,629,968
96%
121,857,321
25%
252,185,591
51%
24,237,092
5%
46,708,349
9%
27,641,615
6%
19,537,501
4%
入院
DPC準備
その他
構成比
構成比
金額(円)
金額(円)
(%)
(%)
426,427,201
100%
133,646,667
100%
458,081,026
107%
132,096,300
99%
131,663,519
31%
25,075,924
19%
229,532,791
54%
76,974,299
58%
22,116,507
5%
6,595,165
5%
52,546,538
12%
13,673,805
10%
22,221,671
5%
9,777,107
7%
-31,653,825
-7%
1,550,367
1%
合計
410,503,762
397,724,090
101,343,195
212,802,423
20,280,529
39,844,621
23,453,322
12,779,672
構成比
(%)
100%
97%
25%
52%
5%
10%
6%
3%
金額(円)
DPC対象
構成比
金額(円)
(%)
213,376,309
100%
233,274,341
109%
70,536,759
33%
106,076,832
50%
22,049,510
10%
21,442,428
10%
13,168,812
6%
-19,898,032
-9%
外来
DPC準備
その他
構成比
構成比
金額(円)
金額(円)
(%)
(%)
160,361,335
100%
56,246,350
100%
180,713,410
113%
60,393,556
107%
42,660,177
27%
11,771,967
21%
90,404,885
56%
34,270,077
61%
19,094,773
12%
5,834,234
10%
19,268,055
12%
4,668,450
8%
9,285,521
6%
3,848,828
7%
-20,352,076
-13%
-4,147,207
-7%
合計
176,240,717
192,736,711
56,201,277
89,581,550
18,357,034
17,671,736
10,925,114
-16,495,994
構成比
(%)
100%
109%
32%
51%
10%
10%
6%
-9%
金額(円)
DPC対象
構成比
金額(円)
(%)
705,543,778
100%
705,904,309
100%
192,394,081
27%
358,262,423
51%
46,286,601
7%
68,150,777
10%
40,810,427
6%
-360,531
0%
入院外来計
DPC準備
その他
構成比
構成比
金額(円)
金額(円)
(%)
(%)
586,788,536
100%
189,893,017
100%
638,794,436
109%
192,489,856
101%
174,323,696
30%
36,847,891
19%
319,937,676
55%
111,244,376
59%
41,211,280
7%
12,429,400
7%
71,814,593
12%
18,342,255
10%
31,507,192
5%
13,625,935
7%
-52,005,901
-9%
-2,596,839
-1%
合計
586,744,479
590,460,801
157,544,472
302,383,973
38,637,563
57,516,357
34,378,436
-3,716,322
構成比
(%)
100%
101%
27%
52%
7%
10%
6%
-1%
金額(円)
医業外収益
医業外費用
27,814,926
14,202,590
6%
3%
14,403,671
10,511,283
3%
2%
5,056,760
2,570,232
4%
2%
22,117,848
11,466,402
5%
3%
4,402,653
2,531,423
2%
1%
3,184,365
2,094,647
2%
1%
1,249,228
593,412
2%
1%
3,648,808
2,085,461
2%
1%
32,217,579
16,734,012
5%
2%
17,588,036
12,605,930
3%
2%
6,305,988
3,163,644
3%
2%
25,766,656
13,551,863
4%
2%
総収支差額
33,149,838
7%
-27,761,437
-7%
4,036,896
3%
23,431,117
6%
-18,026,802
-8%
-19,262,358
-12%
-3,491,391
-6%
-14,932,646
-8%
15,123,035
2%
-47,023,795
-8%
545,505
0%
8,498,471
1%
病院数
平均入院延べ患者数
平均外来延べ患者数
157
8,471
12
6,393
47
3,798
216
7,339
157
12
47
216
14,519
11,098
6,010
12,477
- 28 -
157
8,471
14,519
12
6,393
11,098
47
3,798
6,010
216
7,339
12,477
外部監査の義務化
医療法人制度の見直し
外部監査の義務化
平成27年6月
公認会計士・税理士
金子明嗣
2025年に向けた各種取り組みが予定されている一方で医療法人制度などの見直し
が行われている
2025年に向けた医療・介護提供体制の見直しスケジュール
2013年度
(H25年度)
医療計画
第5次計画
医療費適正化計画
第2次計画
医療法人制度の
見直し
社会福祉法人制度
の見直し
2017年度
(H29年度)
2018年度
(H30年度)
2025年度
(H37年度)
地域医療構想(ビジョン)策定
第6次計画
第7次計画
第3次計画
診療報酬改定
介護報酬改定
新公立病院
改革プラン
2016年度
(H28年度)
第7次計画
地域医療
構想GL
介護保険事業計画
地域医療介護総合
確保基金
2015年
(H27年度)
第6次計画
地域医療構想
診療報酬改定
2014年度
(H26年度)
診療報酬改定
介護報酬改定
診療報酬改定
介護報酬改定
地域包括
ケアシステム
医療分
介護分
新改革プラン
GL
改革プラン
策定①(推奨)
改革プラン
策定②
非営利型法人の創設
医療法改正(予定)
社会福祉法改正(予定)
H27/6法案成立、H28/4法令交付
改革プラン実行(∼H32年度)
外部監査の義務化(予定)
外部監査の義務化(予定)
出所:厚生労働省、宮嵜医療課長資料等よりキャリアブレインが作成。一部加筆
1
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医療法人の経営の透明性の確保に向けて「外部監査の法制化」の検討が今国会で
行われる予定である
医療法人を取り巻くガバナンスの変遷
現在
 【厚労省「医療法人の事業展開等に関する検討会」における討議内容】
医療法人について経営の透明性の確保及びガバナンスの強化が求められていることから、以下のことが
当期国会で議論される予定。
○一定規模以上の医療法人に会計基準の適用・公認会計士等の外部監査を義務付け
○社会医療法人については、社会福祉法人改革も踏まえ、全法人に外部監査を義務付け
ガ
バ
ナ
ン
ス
強
化
の
動
き
H26
 「医療法人会計基準」の取りまとめ
平成26年2月に四病院団体協議会によって「医療法人会計基準」が取りまとめられた。
なお、従来の「病院会計準則」等は明確な会計処理基準ではないため外部監査の判断指針となるものではなかった。
⇒ 外部監査導入を妨げる要因となっていた「会計基準」が一応の完成をみる。
H19
 社会医療法人の設立
第5次医療法改正によって、医療法人の新類型として設立。公共性の高い医療を地域に提供するという使命を負っている。
社会医療法人になるには厳格な要件を満たす必要があるが、以下のようなメリットも享受可能。
• 税制面で優遇措置がある
• 医療以外の収益業務を実施することが可能
• 社会医療法人債の発行が可能(外部監査が必要)
⇒ 限定的に外部監査が義務付けられ、ガバナンス強化にむけて前進が見られた。
H2
 「医療法人運営管理指導要綱」の文言改正
「医療法人運営管理指導要綱」において、「医療法人の監査については外部監査が行われることが望ましい」と明示。
⇒ 医療法人についてもガバナンス強化が要望され始める。
2
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現状の制度においては、医療法人は「望ましい」基準、社会医療法人は社会医療法
人債を発行する場合に「外部監査」が義務付けれている
各法人制度における外部監査(財務)の状況について
見直し予定
出所:第6回医療法人の事業展開等に関する検討会(H26.9.10) 資料3
3
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社会医療法人及び一定規模以上の医療法人に会計基準の適用と公認会計士による
外部監査の義務付けが検討されている
医療法人の制度の見直しについて
経営の透明性の確保
(1)一定規模以上の医療法人に、会計基準の適用・外
部監査を義務付ける
(2)一定規模以上の医療法人に、計算書類の公告を義
務付ける
(3)メディカルサービス法人(MS法人)との関係を毎年
度、都道府県知事に報告させる
一定規模以上の医療法人への義務付け
「負債100億円以上」が一定の目安
さらに非営利・公益性のあるサービスを提供規模や監査
費用の負担能力を考慮し、収益による基準も検討される
見込み
社会医療法人は社会福祉法人改革も踏まえ、全法人に
義務付け見込み
平成29年度の適用を目指す方針
ガバナンスの強化
(4)理事長の設置・権限、忠実義務・任務懈怠時の損
害賠償責任などを規定して明確化する
会計基準の適用
四病院団体協議会が2014年2月に作成した「医療法人
会計基準」をベースに作成
(5)医療法人の分割の規定を創設する
<現状の会計処理から変更の可能性が高い項目>
・リース取引:賃貸借取引→売買取引/資産計上
・退職給付会計:未計上→負債(引当)計上
・キャッシュフローの状況:未計上→注記
・MS法人などの関連当事者取引:未計上→注記
(6)社会医療法人について、地域の実情を踏まえた認
定要件を加えるとともに、取り消し時の経過措置を設
ける
出所:地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人
制度の見直しに関する取りまとめについて
4
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社会福祉法人は社会福祉法改正(平成28年4月施行)により、平成29年度決算から
外部監査の導入が義務化される
社会福祉法の改正ポイントと施行時期(予定)
No
項目(一部)
施行時期(予定)
1
業務執行機関の
明確化
・理事会設置と権限について法律で明確化する。
・理事長の代表権について法律上明確化する。(現在は各理事が代表することとなっ
ており、理事長の代表権については、定款に記載する場合に限り発生することとなって
いる。)
平成28年4月1日∼
・理事会の牽制機能を明確化する。
・各理事の構成学識経験者または福祉関係者、施設長等で構成することを明確化する。
・理事の報酬について明確化する。(現状は社会福祉事業の特殊性から社会福祉法
人全体の約半数が無報酬となっているが、今後責任や役割を明確化することに伴い、
適切な報酬を払うことができるように法律で整備する。)
等
2
理事会の監督機能の
明確化と法人の議決
機関の明確化
・評議員及び評議員会の設置を法律上必須とする。(現状は任意)
・法人運営にかかる重要事項(合併や解散、重要な財産の処分、理事・監事・会計
監査人の選任解任・報酬の支給基準等)については、評議員会決議事項とする。
・理事との兼職禁止
等
平成28年4月1日∼
3
監事の要件の明確化
・会計及び福祉の両方の専門家であることを明確化する。(現状は会計又は福祉のど
ちらかわかる人員を2名監事として配置していれば問題なかった。)
平成28年4月1日∼
外部監査導入を
義務化
4
再投下計画
の確認
5
主な改正内容(予定)
・年間収益が10億円又は負債金額が20億円以上の社会福祉法人に対し、
会計監査人の設置が義務付けられる。
・社会福祉法人の内部留保については、再投資計画書を作成し(内部留
保の社会福祉事業等への再投資方針を記載する計画書)、その計画に公
認会計士等の確認書を添付して、所轄庁の承認を得ることが求められる
平成28年4月1日∼
(会計監査人は平
成29年4月1日∼)
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参考資料
監査(財務諸表監査)とは
今から何をすればよいのか
「外部監査(財務)」とは
外部監査(財務)=公認会計士による財務諸表監査
外部監査(財務)は財務諸表監査、会計監査ともいい、公認会計士の独占業務とされており、独立の第三者の立場から、
法人が作成した財務諸表等が会計基準に従って適正に表示されていることを証明する。
•
•
•
•
独立監査人である公認会計士又は監査法人による財務書類(財務諸表や計算書類)の監査
目的:開示情報である財務諸表を利用する公益の保護のために実施
「公認会計士又は監査法人による財務諸表監査」が法律で義務付けされていることを「法定監査」制度という
法定監査制度の代表例
・ 金融商品取引法に基づく上場会社等の有価証券報告書の財務諸表の監査
・ 会社法に基づく株式会社(資本金5億円以上又は負債の部の合計が200億円以上)の計算書類の監査
・ 私立学校振興助成法に基づく学校法人等(補助金額が1千万円に満たない場合を除く)の計算書類の監査
・ 公益法人認定法に基づく公益社団法人または公益財団法人の財務諸表の監査
・ 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づく一般社団法人・一般財団法人の財務諸表の監査
・ 労働組合法に基づく会計報告(計算書類)の監査
・ その他、信用金庫及び信用組合、保険相互会社、農林中央金庫・労働金庫、投資事業有限責任組合など
・ 独立行政法人、地方独立行政法人、国立大学法人の監査
社会福祉法人の監査(予定)
・ 政党助成法に基づく政党交付金による支出などの報告書の監査 など
公認会計士又は監査法人が実施する財務諸表監査は、保証型監査であり、税理士の税金対策のチェックや所轄庁の指
摘型監査とは異なる。
• 保証型監査…財務諸表が全体として適正に作成・表示されているという合理的な保証を基礎とした意見表明(監査報告)によって財務諸
表全体の信頼性を付与する(保証する)監査
• 指摘型監査…チェックした項目・取引等についてのみ合規性等があるかどうか確かめた結果を報告するもので、チェックした項目・取引等
以外の部分(監査対象情報全体)については確かめることは出来ていないため何らの報告・コメントもできない監査
7
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外部監査のメリット:
外部監査による指導は、経営管理の仕組み(≒内部統制)の構築にも寄与する
内部統制
<内部統制とは>
経営者が医療機関内の業務を適正かつ効率的に遂行する仕組み
<内部統制の4つの目的>
◆業務の有効性・効率性
◆財務報告の信頼性
◆事業活動に関わる法令等の遵守
◆資産の保全
・理事会や経営会議でどのような内容が報告され
ているか?
・誰でも同じ水準の業務が実施できるように業務
マニュアルがあるか?
・従業員が施設の資産を横領しないように定期的
な実物検査を実施しているか?
・書類に間違いが無いように担当者と課長でダブ
ルチェックしているか?
・一定期間、証拠書類を保管しているか?
・不正は許さない組織風土であるか? 等
8
証憑類照合
上席者承認
ガバナンス
内部統制
ID・パスワードの
設定
外部監査
内部牽制
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指導項目:病院の各業務プロセスにおける内部統制上の問題点を指摘し、改善案に
ついて指導・助言を行う
改善指導例
業務プロセス
内部統制上の問題点
ガバナンス
 理事会や各種委員会などの一部で形
骸化した会議体が散見される
 各会議体の目的を明確にし、統合や
廃止を含めた見直しを行う
財務管理
 一部の業務委託契約は機械的に継続
されており、見直しがなされていない
 新規だけでなく、継続する契約につい
ても業者の決定プロセスが明瞭する
請求管理
 医事課担当者の判断でレセ保留を行
い、管理が十分に行われていない
 保留レセの状況は内容別に分類し毎
月の経営会議で管理を行う
購買管理
 透析室や検査センターなど各部門で
発注業務を行っている
 口頭発注など発注内容が担当者以外
も管理できる方法に見直しを行う
現金管理
 小口現金について、各窓口や売店等
に分散化しており、管理できていない
 日常業務において各小口現金につい
て現金実査を行い、承認・報告を行う
在庫管理
 病棟等に配置された定数在庫につい
ては、医薬品を除き管理されていない
 定数在庫についても実地たな卸を行う
とともに、定数自体の見直しを行う
固定資産管理
 各現場に配置された機器等の管理が
できていない
 たな卸しや管理シールの貼り付けを実
施し固定資産台帳の整備を行う
情報システム
 PACSのデータのダウンロードが俗人
的に行われている
 事前申請等のルールを設けるとともに
個人情報のマスキングの徹底を行う
9 Proposal Template
改善の方向性
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指導事例(課題指摘):不正に結びつきやすい現金管理は、一つの部門(人)で完結
すると、内部牽制が働かず不正の温床となるリスクがある
外来窓口に係る内部統制の見直し(1/2)
患者
外来基本
伝票 等
医療費明細
兼領収書
医療費明細
兼領収書控
レジ
レジ
ジャーナル
チェック
医療費明細
兼領収書控
違算調整
日次締め
医事課
外来基本
伝票 等
医療費明細
兼領収書
仕訳伝票
窓口会計
日報
医事会計システム
経理課
10
仕訳伝票
チェック
窓口会計
日報
財務会計
システム
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指導事例(改善策の提示):
経理課等による牽制機能を加え内部牽制を働かせることが必要
外来窓口に係る内部統制の見直し(2/2)
患者
外来基本
伝票 等
日次締め
医事課
外来基本
伝票 等
医療費明細
兼領収書
医療費明細
兼領収書
医療費明細
兼領収書控
レジ
現金
忘失届
レジ
ジャーナル
医療費明細
兼領収書控
チェック
承認
仕訳伝票
レジ
ジャーナル
窓口会計
日報
医事会計システム
経理課
11
仕訳伝票
窓口会計 チェック
レジ
日報
ジャーナル
現金忘失
届
財務会計
システム
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外部監査の指導への対応には「一定の準備期間が必要」なものもあるため、十分な
事前準備が必要となる
外部監査(法定監査)導入までの準備例(平成27年度∼平成29年度)
Step 1
予備調査
Step 2
内部統制構築
Step 3
内部統制の運用・定着
Step 4
法定監査導入
 法定監査の実施
 モニタリング
 チェック体制の整備・強化
予備調査にて把握された内部統
制上の問題点等については、新
 現状の把握・評価
たなチェック体制を導入したり、
更なるチェック体制の強化を検
経理規程類や各種業務マニュア
討したりすることで、法定監査に
ル類の整備状況や内部統制の整
必要な内部統制を構築する。
備状況を調査し、法定監査導入
までに必要な準備作業を明確に
する。
12
法定監査が導入されるまでに、
各種の内部統制手続が適切に
運用されていることが必要。
構築した内部統制が各職員に
浸透し、内部統制手続が適切に
実施されていることを確認する
必要がある。
運用定着が進んでいないようで
あれば、ボトルネックとなってい
る業務の分析・助言や理解が進
んでいない内部統制に係る研修
会等を実施する。
当該プロセスを経て法定監査を
受ける。法定監査の過程で懸案
事項が生じれば、情報の共有と
改善に向けて批判的に監査が
実施される。
また法定監査の前に任意で監
査を実施する事も、現場のストレ
スの軽減としては有効。
© 2015. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC.
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過去の掲載履歴
平成27年6月5日
「情報提供等記録開示システムの運営に関する事務を対象とする特定個人情報保護評価書」を
平成27年6月5日
「情報提供等記録開示システムの運営に関する事務を対象とする特定個人情報保護評価書
公表しました。
(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)の結果を公表しました。
平成27年5月27日 マイナちゃんが「マイナちゃんのマイナンバー日記」をはじめました。 各地でのマイナン
バーPRの活動を報告します。
平成27年5月15日 「ご自由にお使いいただける資料」を掲載しました。研修会やセミナーでの説明資料、機関紙
への掲載等にもお使いいただけます。
●動画でみるマイナンバー(一般の方向
●動画でみるマイナンバー(事業者・人
マイナちゃんが制度についてわかりやすく
マイナちゃんが制度についてわかりやす
け)
事給与担当者の方向け)
教えてくれます。
く教えてくれます。
(14分33秒の映像です)
(20分54秒の映像です)
●外部サイト
●Yahoo!JAPAN企画
関連リンクです
4コマ漫画を掲載中!
※4コマ漫画は「スケ
ジュールチェック」の中に
あります(全6話)
広報媒体のご紹介
こちらの「フリーダウンロード資料」中に掲載され
ている資料は、ご自由にダウンロード・プリントア
ウトして各セミナーや情報収集にご利用いただけま
す。
マイナちゃんのマイナンバー解説
マイナンバー(社会保障・税番号)制度の広報につ
「動画で見るマイナンバー(一般の方、事業者の
方)」のDVD貸出について
番号制度公式Twitterアカウント
(運用規程はこちら(PDF:88KB) )
※「マイナンバー」「マイナちゃん」を使用した
Twitterの類似アカウントにご注意ください※
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