www.pwc.com 政府、企業、NGOの連携によるREDD+支援の形を考える勉強会 REDD+の民間参入: 民間参入の機会、官民連携とパートナー 戦略の進め方 2011年11月11日 PwC Japan あらた監査法人 サステナビリティ・サービス Natural Capital担当 野村 恭子 Email; [email protected] Strictly Private and Confidential Confidential 1. どこで、REDDは動いているのか? REDD活動は、現在64カ国の熱帯諸国で始動しつつあります。 下記は、国連(UN)、世界銀行(WB)も支援する、REDDに積極的な国々です。 2010-2012“Readiness” $4.5bn 先進国は、45億ドルを2012年までの3年間に REDDに拠出(COP15コペンハーゲン) Forest Carbon Partnership Facility $10mm 日本政府:温暖化関連150億ドル、 森林炭素ファンド(FCPF)に1000万ドル拠出 Forest Carbon Market $0.43bn 2010年までに、49カ国で、 7,500万トンの森林炭素が市場で取引された PwC 2 Confidential 2-1. PwCのREDD関連実績 1.政策立案の支援 政策案の評価・分析 プロジェクトの実現可能性調査 2.プロジェクトの資金管理 ファンドマネジメント プロジェクトの財務保証 ※実績の一部 コンソーシアム:気候と開発 に関する知識ネットワーク(英 国国際開発省予算) ファンドマネジメントおよび潜 在的なREDD+プロジェクトの 実現可能性評価 ノルウェー政府 REDD+政策とインドネシアと の二国間パイロット計画策定 英国政府 REDD+政策の策定 3.プロジェクト開発の支援 戦略策定、リスク管理 社会環境影響評価 利害関係者との対話 PDD作成 方法論の構築 コンソーシアム:アンゴラ・放棄植林地 のREDD+化とセメント工場のバイオ燃 料利用FS調査(2011年度環境省) REDDを含む植林事業、セメント燃料 代替事業の事業可能性 英国鳥類保護協会 (2008年~) ハラパン熱帯雨林プロジェクト におけるREDDプロジェクトの 資金管理、リスク管理、炭素ク レジット創出に関する支援 南米REDDプロジェクト開発 会社 プロジェクト設計支援 世界土地基金(2009年~) REDD+プロジェクトのプロ ジェクト設計、PDD作成など の支援 熱帯雨林国 PwC拠点のある熱帯雨林国 PwCが実績のある国 アマゾン持続可能基金 (2009年~) アマゾンJuma Reserveの REDDプロジェクトのプロ ジェクト財務保証 コンゴ盆地森林基金ファンド (2011年~) REDDを含む森林保全プロ ジェクトの基金管理 自然保全金融連合 (2010年) 南米、中央アフリカ、東南ア ジア12カ国におけるREDD+ プロジェクトの資金の流れに 関する調査 PwC 3 Confidential 2-2. アンゴラ国でのREDD+のFS調査(環境省予算) その他 森林保全によるREDD+化 炭素クレジット 獲得 事業可能性調査の概要 65,000haの放棄植林地 1.放棄植林地の植林地、保 全区域に区分化 2.植林・チップ(セメント工場 利用)の事業採算性の検討 衛星画像解析・林分調査により事業化エリアを区分 植林事業化 事業化(合弁会社等) 森林保全 事業 植林・チップ 製造事業 炭素クレジット 獲得 3.森林保全、セメント燃料代 替によるCO2削減効果、クレ ジット取得可能性の検討 4.事業化に対するアンゴラ 国政府、ローカルパートナーと の関係構築 5.国際機関等からの資金援 助等、資金調達策の検討 セメント工場での 燃料代替化 PwC 4 Confidential 2-3. REDD+では、どのような民間参入の機会があるのか? 土地資産の権利調整・ 契約・管理 資金調達・管理 プロジェクトマネジメント REDD+での、民間(企業・NGO・大学・研究機関)が保有する 住民参加型資源管理 (リード、コーディネート) 技術・ノウハウ・資金・人材の活躍範囲は広い! ビジネスモデル策定・ リスク管理 リスク保証・保険 企業の場合、 持続可能な森林管理 リモートセンシング 社会貢献活動(狭義のCSR)では限定的な小規模な関与に留まる。 「如何に本業を通した参入の仕方ができるか」が重要! PDD作成 森林認証 農作物認証取得 PwC 炭素クレジット取引 環境社会影響・生態系 モニタリング 5 Confidential 2-4. 本業、ビジネスとしての民間参入の機会とは? 事業会社(サービス提供) 金融機関 農地・森林開発は将来困難になる状況が予想 され、農地・森林管理ノウハウ(土地・人材・ステーク ホルダ・GIS)をサービスとする新事業の開発 土地・クレジット・その他資産の管理・運用・取引、 権利調整の手続きのノウハウの提供 ツーリズム、水資源、風力・水力、有用生物資源 など生態系サービスを活かす新事業の開発 気候変動・生物多様性・貧困撲滅などのグロー バル課題への金融商品・コンサルサービスの開 発、リスク評価の知見蓄積 REDD+、生態系オフセットなど新種のクレジット 取引事業の開発 気候変動・生物多様性のリスクを保証する保険 商品開発、リスク評価の知見蓄積 事業会社(リスク・コンプライアンス) コンサル・調査会社 CO2オフセット、開発行為による生態系オフセッ トなど、会社のグリーン化、事業のグリーン化策と して、資金/技術/人材面での参画 現地国・地域の抱えるグローバル課題、開発課 題の解決に資する開発事業モデルの企画提案、 事業化(BRICsなど新興国企業の国際競争下で の差別化) PwC ODA系のPPPスキーム、民間主導プロジェクトの 企画・提案、プロジェクトマネジメントの提供 モニタリング・CO2のMRVの合理的かつ低廉な 技術の開発、標準化 ローカル/国際的調査会社・コンサル・Auditorと のコラボレーション、アライアンスによる海外での 提供力の強化 6 Confidential 2-5. REDD+プロジェクトへの民間参入-世界の実情 土地資産の権利調整・ 契約・管理 資金調達・管理 【生態系保全関連基金・ 金融・投資家・コンサル】 【金融・不動産】 プロジェクトマネジメント 住民参加型資源管理 【コンサル・事業主】 【NGO・大学・研究機関】 ビジネスモデル策定・ リスク管理 【ビジネスコンサル】 リスク保証・保険 【損保・再保険】 リモートセンシング 持続可能な森林管理 【調査コンサル・大学・ 研究機関】 【土地管理者・NGO】 PDD作成 炭素クレジット取引 【VCS・取引所・ 排出権バイヤー・ブローカー】 【CDMコンサル】 森林認証 農作物認証取得 【認証コンサル】 PwC 環境社会影響・生態系 モニタリング 【調査コンサル・NGO・ 大学・研究機関】 7 Confidential 2-6. REDD/REDD+への海外企業の参加事例 REDD/REDD+プロジェクトが活発な各国では、様々な業界の企業がプロジェクトに積極的に参加 しています。下記は、プロジェクトに参加する海外企業の一例です。 プロジェクト 実施国 ブラジル 産業 プロジェクト British Sky TV メディア Acre State Carbon プロジェクト Marriot Hotel chain ホテル Juma reserve REDD プロジェクト Hyundai Motors Americas 自動車 Genesis REDD プロジェクト インベスター 米国環境コンサル Oddar Meanchey ブローカー 豪州の銀行 熱帯雨林の保護 インベスター 関係企業 カンボジア Terra Global Capital インドネシア Macquarie Group PT Rimba Makmur Utama kagtingan Shell Canada 現地企業 石油 PT Rimba Makmur Utama kagtingan Peat forest conservation project Mawas Peatland Conservation Project 役割 バイヤー/ インベスター ファイナンス/ クレジット買取 デベロッパー 資金支援 出典:PwC, “Report for the Conservation Finance Alliance Ntional REDD+ funding frameworks and achieving REDD+ readiness – findings from consultation” PwC 8 Confidential 2-7. REDD+プロジェクトへの民間参入-日本の実情 土地資産の権利調整・ 契約・管理 資金調達・管理 【金融・コンサル】 【金融・不動産】 プロジェクトマネジメント 住民参加型資源管理 【コンサル・事業主】 【NGO・大学・研究機関】 ビジネスモデル策定・ リスク管理 CDM、国内クレジットビジネスではなく、 リスク保証・保険 【損保】 【ビジネスコンサル】 REDD+ビジネスで実質的に機能発揮していない分野が多い? 持続可能な森林管理 リモートセンシング 【製紙会社・建材会社・商社】 【航測会社・大学】 炭素クレジット取引 PDD作成 【CDMコンサル】 森林認証 農作物認証取得 【認証コンサル】 PwC 環境社会影響・生態系 モニタリング 【調査コンサル・NGO・ 大学・研究機関】 【商社・排出権バイヤー ・ブローカー 】 9 Confidential 3-1. 何故、REDD+への民間参入が活発化しないのか? 民間参入の具体事例、ビジネスとしての CO2e? $? Who? Where? 機会&リスクが分かりづらい。 実施サイド、投資サイドの情報がないのか? プロジェクトのFS/立上げの資金調達メニュー が乏しい。資金調達力に貪欲でない。 インベスター、基金の支援は使えないのか? 単独方式のプロジェクトが多く、コスト、リスク、 労力の負担が大きい。 コンソーシアム方式、PPP方式の連携は? PwC JICA METI MOE Funds? Policy makers International organization Private sector NGOs Research Institute 10 Confidential 3-2. REDD+プラットフォームのフル情報活用 1. Conservation Finance Alliance National REDD+ funding frameworks and Achieving REDD+ readiness-findings from consultation 2. Forest Trends -Building Forest Carbon Projects - State of Forest Carbon Markets 2011 PwC 11 Confidential 3-3. 通常の海外事業とREDD+事業の進め方の違い? 土地(森林)が国有地であることが大半。 Policy makers International organization Private sector NGOs Research Institute 相手国政府、地元政府との土地・森林政策との整合 地域コミュニティとの利害調整(生計・伝統文化への配慮、便益の分配) 地域に精通し、中立なNGO、研究機関などのファシリテート役、キャパシ ティビルディング役との連携 国際機関による二国間(複数国間)のプロジェクトの利害調整 PwC 12 Confidential 4. 日本企業のREDD+参入のアプローチ/連携のあり方 ITTO Local Government ITTO JICA 貴社↓ Private sector NGOs Research Institute 各役割を担う組織と組み 「コンソーシアム」を立ち上げる。 プロジェクトのビジネスプランを作成。 ITTO等のREDD+プログラムを 有する国際機関への案件形成申請。 JICA・ITTO加盟国間での案件 のコンサルテーション。 官民パートナーシップの REDD-plus事業 プロジェクトが認定されれば、 ODAとして途上国側に直接資金援助。 途上国政府からプロジェクトへの 経済支援を受ける。(Two step) 中央/州政府との連携。 現地パートナー(NGO、地域コミュニティ、 地元企業、研究機関)との連携。 プロジェクトのビジネスプランの精緻化、 財務リスク評価を行う。 上記により、森林基金・生態系保全基金、 投資家からの資金調達を促進。 PwC 13 Confidential 問い合わせ: 野村 恭子 yasuko.y. [email protected] PwC 14 Confidential 参考:PwCの取り組みと出版物 森林炭素プロジェクトとREDD+ Forest Carbon Projects and REDD+ Conservation Finance Alliance (CFA)の調査業務 WBCSDとの共同開発 現在および将来における、REDD+のファンディングの管理や、 被援助国間での分配について、初めて詳細な分析が実施され た。12カ国における政府やプロジェクトデベロッパー、投資家、 NGOのREDD+活動について調査を実施。各国が直面する REDD+の実施やプロジェクト活動、関係者に関する課題を明 らかにした。PwCは本プロジェクトを通じて、関係60機関の主 要関係者との関係を構築した。 PwCとWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会 議)は、金融セクター向けに、森林資産マネジメント支援 ツールを共同開発。 (2010年12月) 同ツールは、森林に影響を与える産業のサステナブル・ ファイナンスを通じて、金融セクターが森林資産マネジメ ントを行うことを支援し、森林炭素とREDD+の問題の理解 促進を目的としている。 (2010年2月) PwC 15 Confidential 参考:PwCの取り組みと出版物 保全のための市場メカニズム Market Mechanism for Conservation 中南米におけるハビタット・バンキング 国連開発計画(UNDP)からの依頼によ り、中南米各国(メキシコ、コスタリカ、 パナマ、コロンビア、ブラジル、ペルー、 アルゼンチン、チリ)におけるハビタット バンキング、湿地バンキングの実現可 能性調査を実施。政策、潜在的需要、 バンクの設置、クレジット供給能力など から、各国におけるハビタットバンキン グ導入可能性の分析を実施。 生物多様性オフセットに対する金融業の現状 国連環境計画金融イニシアティブ (UNEP-FI)とビジネスと生物多様性オ フセットプログラム(BBOP)からの依頼 により、世界の主要な銀行が生物多 様性に関わるビジネスリスクと、生物 多様性オフセットをどの程度理解して いるかの現状を調査し分析。 PwC オーストラリアにおけるハビタット・バンキング オーストラリアビクトリア州のブッシュブローカーシステム (土地固有の植生をクレジット化し保全するシステム、ハ ビタットバンキングとしては世界をリードする事例)の構 築に関して、オーストラリア持続可能性・環境省へのア ドバイザリーを提供。 生物多様性保全のための持続可能な投資 PwC独自の研究として「生物多様性保全のための持続 可能な投資」プロジェクトを実施。エコツーリズムなどを 含む様々な生物多様性のファイナンスを分析し、研究 結果を欧州委員会へ報告した。 16 Confidential 参考:PwCの取り組みと出版物 企業の生物多様性戦略 Corporate Biodiversity Strategy 企業の生態系サービス評価(CEV) 英国大手スーパーマーケットの戦略策定支援 WBCSD生態系プロジェクトにおいて テクニカルアドバイザーを務め、CEV の開発およびトライアル運用に参画。 現在は、CEVプロジェクトの窓口業務 も担当。 英国の四大スーパーマーケットの一社へのアドバイザリー サービス。現在から2020年までの環境政策や法規制に関連 した将来の潜在的ビジネスコストの予測を実施。調査では生 態系サービスの価値の変化は新たな環境法規制に関する コストの増加をもたらすことを指摘。生物多様性に関するビ ジネスリスクとオポチュニティの意識を高めることにより、クラ イアント企業の環境戦略の立案に貢献した。 生態系と生物多様性の経済学(TEEB) TEEBビジネスレポートの作成におい て中心的役割を担う(PwCはコンサル ティングファームとして唯一の参加者)。 生物多様性および生態系の経済価 値をビジネスの意思決定に組み込む ことで、潜在的なビジネスリスクとオポ チュニティ―が分析できることを示唆。 PwC 17 本冊子は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受け ることなく、本冊子の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本冊子に含まれる情報は正確性または完全性を、(明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証する ものではありません。また、本冊子に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査 法人、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2011 PricewaterhouseCoopers Aarata. 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