「米国IT業界動向2006年3月」(PDF/34KB)

米国 IT 業界動向 2006 年 3 月
JETRO, New York
1.
企業動向
(1)アップルコンピュータ
テレビ局大手 CBS とアップルは、今年の全米大学競技協会(NCAA)の男子バスケット
ボール選手権の試合放送の販売を「i チューンズ・ミュージック・ストア」で開始した。
全 63 試合の短縮版が、1 試合につき1ドル 99 セント、全試合パッケージの場合は 19 ドル
99 セント。
アップルはまた、テレビの人気番組シリーズを月決めで配信する「マルチパス」も開始。
提供する番組には、バイアコムのケーブルネットワーク、コメディ・セントラルが放送す
る番組などが含まれる。価格は1本1ドル 99 セントで、月額契約にすると、翌月に放送
される番組計 16 本を9ドル 99 セントで視聴できる【3 月 9 日、15 日】
同社は、i ポッドを直接接続できるホーム・スピーカー・ボックス「i ポッド・ハイファ
イ(Hi-Fi)」とインテル製プロセッサを搭載したマックミニを発表した。価格は 349 ドル。
マックミニは、コア(1.5 ギガヘルツ)が1つの機種が 599 ドル、デュアルコア(1.66 ギガ
ヘルツ)が 799 ドル。従来のマックミニに比べて最大で4倍高速となる。【2 月 28 日】
(2)シスコシステムズ
シスコは、およそ 30 種類のソフトとハードウェアをパッケージ化した「シスコ・ユニ
ファイド・コミュニケーションズ」に、マイクロソフトの「オフィス・コミュニケータ
2005」「オフィス・ライブ・コミュニケーションズ」を統合していく。オフィス対応の新
製品は今年の8月に発売する見込み。【3 月 7 日】
(3)デル
デルの 2005 年における売り上げの伸びが予想以下にとどまった件で、デルのロリンズ
最高経営責任者(CEO)は、2−4月期の売上高が前年同期比で6∼9%の増収となり、
持ち直すとの見通しを示した。同社はまた、より高価な製品とサービスの販促で成長を押
し上げたい考え。【3 月 2 日】
(4)ヒューレット・パッカード(HP)
HP は、パソコンメーカー大手ゲートウェイと特許紛争訴訟で和解した。これに伴い、
ゲートウェイが 4700 万ドルを HP に支払う。HP は、ゲートウェイが 27 件の特許を侵害し
ているとして提訴。これに対して、ゲートウェイとその子会社は、HP が 13 件の特許を侵
害していると訴えていた。【3 月 2 日】
HP は、デジタル写真をその場ですぐ印刷できる写真印刷コーナー「HP フォトスマー
ト・スタジオ」をスーパーマーケット内に設置する計画だ。これに伴い、スーパーマーケ
ット・チェーン大手アルバートソンズなどと提携した。コーナーでは、同社のインクジェ
ット技術を取り入れることで、デジタル写真1枚を最速5秒で印刷できるという。小売り
店舗における写真印刷の売り上げは、米国ないで 350 億ドルの市場規模がある。【2 月 24
日】
(5)IBM
IBM は、中小企業向けに 3 種類のコンサルティング・サービスを提供していく。通常は、
大企業向けに 15∼20 万ドル提供しているサービスをスケールダウンして 6 万 5000 ドル程
度にする。同社は、地域の IBM 代理店を通して提供していくことで、地域市場に食い込み
たい考え。【3 月 14 日】
IBM は、他の IT 企業らとともに、ID 盗難に対抗するために新たにプロジェクト「ヒギ
ンズ(Higgins)」を発足した。オープンソース・ソフトを使ってユーザーが自ら個人情報
を管理できるソフトを開発するのが目的。ウィンドウズや Linux に対応する。IBM はヒギ
ンズをベースにした商業版も来年に提供開始する予定。参加企業には、新興企業のパリテ
ィ・コミュニケーションズ(Parity Communications)が参加する。また、今後はノベルも
ソースコードを提供する予定だ。【2 月 27 日】
IBM の研究者らは、既存の半導体製造技術を利用して当初考えられていた限界よりも小
さく、そして安価な超小型プロセッサ(MPU)を製造できるリソグラフィ技術の開発を進
めている。深紫外線(DUV)を使うことによって、線幅を現行標準である 90 ナノメート
ルから限界と言われていた 32 ナノメートル以下の 29.9 ナノメートルにまで狭められると
いう。【2 月 22 日】
(6)インテル
インテルは、2006 年下半期に投入する新半導体「コンロー」(開発コード名)を開発業
者向け会議(IDF)で実演した。コンローの処理速度は、現行のペンティアム D950 に比べ
40%向上し、消費電力量が 40%減少する。65 ナノメートルの微細線幅加工技術を採用し
たマルチコア型で、設計仕様はイスラエルの同社研究開発部門が開発した。同様の設計仕
様を持つプロセッサには、「メロム」やサーバ向けの「ウッドクレスト」がある。インテ
ルは現在、総工費 40 億ドルを投入して、イスラエルのキルヤトガトに半導体工場を建設
中だ。【3 月 1 日、8 日】
(7)マイクロソフト
欧州委員会は、マイクロソフトの欧州連合(EU)競争法違反問題で、同社が委員会の決定
に従っていないと非難、1 日当たり 200 万ユーロの制裁金を科すとの警告を出した。マイ
クロソフトは現在、決定を不服として提訴している。最初の審理は、4 月 24 日から開催さ
れる。委員会はこれまで、同社に対して競合のサーバ・ソフトとウィンドウズの互換性を
持たせるように命じていた。
一方、マイクロソフト側は、委員会に対して自社技術に関するさまざまな書類を提出し
たものの、いずれも使い古された機能に関するものだったという。また、委員会からソー
スコードの開示に対する問い合わせを受けていたフリー・ソフトウェア・ファンデーショ
ン・ヨーロッパ(FSFE)などは、開発者が開示されているソースコードを閲覧することで
高い訴訟リスクにさらされる可能性がある点を指摘している。【3 月 8 日、13 日】
マイクロソフトは、新携帯情報端末の開発プロジェクト「オリガミ」を正式に発表した。
端末機器「ウルトラモバイル PC(UMPC)」は、キーボードではなく液晶画面に手書きで
入力できる超小型パソコンで、単行本サイズになる見込み。OS には当面、タブレット PC
用の「ウィンドウズ XP」を搭載。次期 OS「ビスタ」発売後にはビスタ版に切り替える予
定。また、プロセッサには、インテルの「ペンティアム M」や「セレロン M」を搭載する。
韓国サムスン電子が4月までに製品を発売するほか、韓国 LG 電気も5月に製品化する予
定。【3 月 10 日】
マイクロソフトは、オンライン検索エンジン「ウィンドウズ・ライブ・サーチ」の試験
版の提供を開始した。新サービスでは、画像やニュース、RSS、地域情報などを分野別に
検索できる。また、検索した画像を小さなプレビュー画面で見ることができるのが特徴だ。
今後は、MSN の検索エンジンに統合する予定だ。【3 月 9 日】
マイクロソフトは、今年下半期にも発売予定のウィンドウズ・ビスタ」を用途別に6種
類発売する。このうち「ウィンドウズ・ビスタ・ホーム・プレミアム」を中心とする3種
類が消費者向けとなる。そのほか、企業版が2種類と簡易版を提供する。これらすべての
製品に対して 32 ビット版、64 ビット版が用意される予定だ。【2 月 27 日】
2. パーソナル・コンピュータ(PC)と OS
(1)エイリアンウェアは、ゲーム愛好家向けというニッチな市場向けに高価なコンピュータ
の製造・販売し、業績を伸ばしている。例えば、同社の最高機種「ALX」モデルはデュア
ル・コア・プロセッサ、テラバイトのストレージなどを装備すると1万ドル近くになる。
直販方式で販売しているが、顧客サービスで差別化を図っているという。05 年の売り上げ
は 1 億 7200 万ドルになったが、06 年は 2 億 2500 万ドルを見込んでいる。【3 月 14 日】
(2) コンピュータ関連機器メーカー、イマージョンが、ゲーム機用振動機能付きコントロ
ーラの特許を侵害したとしてソニーを訴えた件で、カリフォルニア州の連邦地裁は同社の
控訴を退けた。ソニーが敗訴したことで、ソニー・コンピュータエンタテインメント
(SCE)が発売する「プレイステーション(PS)3」にも影響を及ぼす可能性がある。同地
裁は、SEC に対して 9070 万ドルの賠償金支払いとゲーム機「PS」「PS2」の米国での販売
差し止めを命じていた。【3 月 14 日】
(3) 高額なプリンタ・カートリッジの代わりに登場した格安の詰め替えサービスが人気を
博している。例えば、ドラッグストア大手ワルグリーンが、近く傘下の 5000 店舗のうち
1500 店で 10∼15 分の詰め替えサービスを始める予定。そのほか、オフィス用品チェーン
大手オフィスマックスやオフィス・デポもサービスを試験的に導入している。詰め替えサ
ービスの料金は新品カートリッジを購入した場合の約半分で、12∼15 ドル程度。しかし、
一部のアナリストは、品質の問題を指摘している。【3 月 14 日】
(4) リサーチ・イン・モーション(RIM)と特許管理会社 NTP は、携帯電子メール端末
「ブラックベリー」の特許侵害をめぐって争っていた件で和解した。その結果、RIM が
NTP に 6 億 1250 万ドルを支払う。しかし、今回の訴訟がきっかけとなり、顕在化した米
国特許システムの見直し議論が過熱するとの見方もある。和解金額は、RIM が 1999 年に
ブラックベリーを発売して以来の累積純利益を上回る規模となり、特許侵害訴訟の和解金
としては過去最大規模の1つとなった。
RIM はまた、アセンデント・システムズ(Ascendent Systems)を買収した。アセンデン
トは、携帯電話と企業の交換機(PBX)を接続するソフトを開発しているが、RIM は年内
に同社のソフト機能を自社のシステムに統合する計画。同社の技術を使うと複数の電話で
の同時着信や電話の転送、高機能の電話会議などが可能になる。【3 月 6 日、10 日】
(5) 映画監督、ジェームズ・キャメロン氏と名プロデューサーのジョン・ランドー氏が、
ビデオゲーム技術を開発する新興企業、マルチバース(Multiverse)の役員に就任し、注目
を集めている。マルチバースは、複数のユーザーが参加できるオンラインゲーム
(MMO)技術を開発し、デベロッパ向けに配布している。MMO では、参加者の行動が互
いに影響しあい、その後の展開に影響していく。キャメロン監督は次回の映画を発表する
前に、プロモーションの一環として MMO ゲームを発表する予定。【2月 28 日】
(6) オンラインのデザイン処理などを手がけるバルセイザー(Balthaser)がリッチメディ
ア・サービスの作成技術に関する特許を取得した。米特許商標庁(USPTO)によると、同
社が取得した特許は、「ネットを経由してリッチメディア・アプリケーションをデザイン
および作成する際の手法、システム、プロセス」を網羅するという。オンラインのリッチ
メディア技術には、アドビシステムズの「フラッシュ」や AJAX、Java などが含まれてい
る。同社は、関連技術を使用している企業にラインセンスを提供していく考えだ。逆に、
契約を結ばない企業が特許侵害で訴えられる可能性もある。
3.インターネットとメディア・ビジネス
(1)アメリカ・オンライン(AOL)は、ドラマやアニメ番組をネットで無料配信するサービス
「In2TV」を開始した。チャネル数は全部で6つ。番組はワーナー・ブラザースから提供
を受けるが、数千本のタイトルを取り揃える。収入はサイトに掲載する広告でまかなって
いく考えだ。また、サービスには、インテルやクラフト・フーズなど大手企業がスポンサ
ーとなっている。【3 月 16 日】
AOL はまた、ウェブ会議サービス大手ウェブ EX コミュニケーションズと提携し、イン
スタント・メッセージング・サービス(AIM)「AIM プロ」をビジネス・ユーザー向け提
供していく。サービスは、第2四半期から開始し、小規模ビジネス向けのものと大企業向
けのものと2種類のパッケージを用意する。インターフェースを改良し、セキュリティ機
能ほか、音声、ビデオ、ウェブでの共有機能などを加えている。【2 月 23 日】
(2)ドメインネーム管理大手ベリサインは、ネットスケープの従業員が設立したネット配信
サービスのコンチキ(Kontiki)を 6200 万ドルで買収した。コンチキはこれまで、ピア・
ツー・ピア(P2P)技術を利用してファイルを高速転送するサービスを ISP 向けに提供し
ていた。ベリサインは今後、コンチキの技術を取り込み、コンテンツ・サービスに市場を
拡大していく考え。【3 月 13 日】
(3)テレビ番組制作会社大手 NBC ユニバーサルは、女性向け情報サイト「i ビレッジ
(Village)」を約6億ドルで買収する。買収後は、女性視聴者を対象にした人気テレビ番
組の補完情報を i ビレッジに提供していく。買収手続きは4∼6月期に完了する予定。米
国では旧メディアが若者層に人気のサイトを買収する例が相次いでいる。i ビレッジの現
在に利用者は 1400 万人を超えている。【3 月 7 日】
(4)米司法省は、楽曲配信ビジネスに絡んで、大手レコード会社が配信料金をめぐり共謀し
た事実を調査している。当局は、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いがあると見てい
るようだ。同様の調査では、昨年 12 月にニューヨーク州のスピッツァー司法長官がワー
ナー・ミュージック・グループに対して召喚状を送っている。【3 月 6 日】
(5)大手企業や図書館協会は、政府の電子文書に使用される技術開発で、新団体「オープン
ドキュメント連盟」を結成した。同団体には、IBM ほか、サン、オラクルなどを含む世界
各国の 30 の団体や企業が参加を表明、「オープンドキュメント(OpenDocument)」と呼
ばれるフォーマットを推進する。自社独自の電子文書技術を提供しようとするマイクロソ
フトに抵抗するのが狙い。マイクロソフトは現在、独自のフォーマット「オープン
XML」を推進している。同社は、アップルやインテルがオープン XML を支持しているこ
とを挙げて、「1 社独自の技術」という批判に反論している。【3 月 3 日】
(6)P2P(ピア・ツー・ピア)を使った高速ファイル交換ネットワークを提供するビットト
レント(BitTorrent)は、独自のビデオ小売りサイトを開設する。同社は現在、コンテンツ
の販売代理権を得るために、コンテンツを保有する企業数社と交渉しているという。同社
は昨年、アメリカ映画協会(MPAA)に対し、P2P エンジンの検索結果に違法ファイルが
表示されないようにすることを確約している。【3 月 2 日】
(7)デジタル・ビデオ録画(DVR)サービスを提供するティーボ(TiVo)は、子供向けの
パッケージサービス「キッドゾーン」を今年の夏から開始する計画だ。番組はいずれも、
民間団体「コモン・センス・メディア・アンド・ペアレンツ・テレビジョン・カウンシ
ル」が推薦するもので、保護者が特別に設定したパスワードを入力しない限り、テレビに
はこれらの番組しか表示されない。【3 月 2 日】
一方、ティーボは、現在販売している専用のセットトップ・ボックス(STB)の無料配
布を検討している。同社は現在、激化する競争に対応するためいくつかの料金プランを検
討しているが、STB の無料配布はその1つとなる。その代わり、同プランでは契約を長期
にし価格を高めに設定する。【2 月 28 日】
(8)衛星放送大手ディレク TV は、ブロードバンドを使ったビデオ・オン・デマンド
(VOD)配信サービスを、自社の DVR サービス「ディレク TV プラス」の加入者向けに
年内に開始する予定。利用者は、テレビあるいはウェブサイトから自分の好きなタイトル
を選択して、ダウンロードする。DVR に録画されたビデオは、予約当日あるいは翌日まで
に閲覧できる。同サービスを利用するには、ブロードバンド接続サービスへの加入が必要
になる。【2 月 26 日】
4.電子商取引
(1)Amazon.com は、米金融サービス大手フィデルティ・インベストメント(Fidelity
Investment)と金融サービスの「オンライン・ストア」を提供で提携した。ユーザーは、
Amazon.com のサイトからフィデルティの年金プラン、信託投資、トレーディング、教育
費積み立てプランなどの商品を購入できる。さらに、Amazon.com のサイトに宣伝も掲載
する。【3 月 17 日】
Amazon.com は、Web サービス「S3」に、ストレージのホスティング・サービスを追加
した。開発者は、ウェブ・アプリケーションで利用する様々なデータを記録できる。スト
レージ・サービスには、XML で定義した REST インターフェース、あるいは SOAP でアク
セスできる。サービスの料金は、1 ギガバイトにつき月額 15 セント。データの転送は 1 ギ
ガバイトごとに月額 20 セント。【3 月 17 日】
また、同社は現在、パラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワー
ナー・ブラザースの米映画製作大手3社と交渉中だ。映画やテレビ番組のデジタル配信サ
ービスの導入が狙い。【3 月 18 日】
(2)検索エンジン大手グーグルは、クラシファイド形式の物品販売情報を掲載する「グーグ
ル・ベース」の利用者を対象に導入した代金の決済処理サービスをさらに拡大している。
同サービスでは、物品の売り手が、手数料として一律 25 セントと取引高の 2.5%をグーグ
ルに支払う。自分でクレジットカードの処理やその他の決済方法を利用する場合は無料。
同社はさらに、「G バイ」と呼ばれる決済サービスを試験導入する話も出ている。【3 月
16 日】
(3)世界における、楽曲のダウンロードや定期購入サービスの売り上げが、2007 年までに
ネットでの CD 販売を上回ると見られ、さらに 10 年までに市場規模が7倍に拡大する見込
みだ。リサーチ会社イン・スタットが報告した。楽曲のダウンロード、定期購入サービス、
CD のオンライン購入額は、05 年の 15 億ドルから 10 年には 107 億ドルに増加する。ただ
し、オンライン販売が音楽市場全体の売り上げに占める割合は依然として低い。音楽市場
全体の売り上げは 05 年に約 330 億ドルに達した。
また、オンライン・パブリッシャーズ・アソシエーション(OPA)によると、米国にお
ける昨年のネット経由でのコンテンツ購入は総額で前年比 15%増の 20 億ドルとなった。
01 年の7億ドルから4年で約3倍に成長したことになる。市場のけん引役となったのは、
アップルが主導するネット楽曲配信事業。【3 月 16 日】
(4)新興企業ララ(la la)は、要らなくなった CD を交換する会員制オンライン・サービス
「Lala.com」を試験的に開始した。新サービスでは、会員がそれぞれ所有する CD メニュ
ーの中から欲しい CD を選んでクリックすると、CD 所有者にリクエストが自動的に送信
される。リクエストに最初に応じた人だけに CD 希望者の住所が開示され、料金前払い封
筒を使って CD を発送したところで取引が完了する仕組みだ。封筒はサービス加盟時に
Lala.com が郵送する。料金は受け取った CD あたり1ドル。【3 月 9 日】
(5)米玩具小売り大手トイザラス傘下の Toysrus.com が、独占販売権に関する契約に違反し
たとして Amazon.com を訴えていた訴訟で勝訴した。ニュージャージー州の裁判所は、両
社の契約を破棄し、Toysrus.com が独立したネット小売りサイトを運営することを認める
判決を下した。トイザラスは、Amazon.com のサイトで玩具やゲーム、ベビー用品を独占
販売する契約を締結したが、その後 04 年に Amazon.com が独占販売の権利を侵害したとし
て提訴していた。【3 月 3 日】
5.半導体
(1)携帯楽曲プレーヤ向け半導体製造大手ポータルプレーヤ(PortalPlayer)が、ノートブッ
クに接続する極小ディスプレイ向けのチップを開発し、さらなる市場拡大が期待されてい
る。同社のチップが採用される「パーソナル・メディア・ディスプレイ(PMD)」は、ユー
ザーが、電子メールや連絡情報などを確認するためにコンピュータを起動する必要がなく
なる。同チップは今年末にウィンドウズ・ビスタとともに出荷される予定だ。年内に出荷
されるノートブックはおよそ 6500 万台。2008 年には 1 億 400 万台に達すると見られてお
り、これに伴いポータルプレーヤのチップ販売も増加が見込まれている。同社の大口顧客
にはアップルがある。【3 月 15 日】
(2)ハードディスク・ドライブ(HDD)最大手のシーゲート・テクノロジーは、1インチ
型 HDD の新製品「ST1.3 シリーズ」を、7∼9月期から量産出荷する。新製品は、垂直磁
気記録方式を採用することで記録容量を 12 ギガバイトに増量。消費電力を従来製品に比
べて 30%向上させたほか、サイズを 23%小型化した。すでに、携帯楽曲プレーヤ・メー
カーなどに評価用として出荷を始めたという。 【3 月 10 日】
(3)半導体大手マイクロン・テクノロジーは、メモリカード開発レキサー・メディアを約7
億ドル相当の株式交換で買収する。レキサーは、競争激化によって収益が悪化しており、
マイクロンとの合併によってコスト削減効果を期待している。同社はフラッシュメモリ技
術をめぐり、東芝を提訴。現在は、同裁判の再審理が行われている。【3 月 8 日】
6.その他
(1)ISP 大手アースリンクは、ブロードバンド事業者コバド・コミュニケーションズ・グル
ープ(Covad Communications Group)と共同でラインパワード(line-powered)音声サービ
スの提供を拡大する。提携に伴い、アースリンクは、コバドに 5000 万ドルを投資する。
ラインパワード技術では、VoIP 技術に必要なソフトとハードをすべてコバドの中央局に設
置する。これにより、利用者が電話アダプタなどの新しいハードを追加しなくても、既存
の電話のジャックに電話線を差し込めば IP 電話が使える。【3 月 18 日】
アースリンクは、グーグルと、サンフランシスコが進める高速無線 LAN「Wi-Fi」敷設
プロジェクトに共同入札した。両社の計画では、47 マイル四方にわたり「Wi-Fi」接続を
無料で提供する。接続速度はおよそ毎秒 300 キロビットになる見込み。アースリンクはさ
らに、毎秒1メガビットのアップグレード・サービスを月額 20 ドルで提供する。アース
リンクは、フィラデルフィア市とも Wi-Fi ネットワークの提供で契約している。【2 月 23
日、3 月 3 日】
(2)AT&T(旧 SBC コミュニケーションズ)は、ベルサウスを約 670 億ドルで買収すること
で合意に達した。買収が完了すれば、時価総額が 1500 億ドルを超える巨大通信会社が誕
生することになる。一方、2社にハードやソフト、サービスを供給する業者の中には、取
引高が大幅に拡大する企業もあるが、AT&T の価格交渉力が高まり、大きな値引きを余儀
なくされる企業や取引を打ち切られる企業も出てくる可能性がある。同社は合併後 3 年間
にわたって、毎年 5 億ドルのコスト削減を行っていく予定だ。【3 月 6 日、15 日】
(3)IP 電話サービス大手スカイプ・テクノロジーズは、小規模事業者向けサービス「スカ
イプ・フォー・ビジネス」を提供していく。同パッケージには、有料と無料サービスが含
まれている。その一環として、スピーカーフォンやコードレス電話ほか、文書共有、プレ
ゼンテーション、通話の翻訳などを支援するソフトも紹介している。【3 月 9 日】
(4)特許コンサルティング会社オーシャン・トモ(Ocean Tomo)は4月5日、400 件の公開
オークション(競売)をサンフランシスコで開催する。競売では、半導体、無線 ID 技術
の RFID、エネルギー、食品など多様な分野の特許が 68 のブロックに分類されて出展され
る。オーシャン・トモは、それぞれの価値を 10 万ドルから高いものでは 500 万ドルに達
すると見込んでいる。競売参加料は 500 ドルで、参加者には特許の概要を記載した 310 ペ
ージのカタログを配布する。【3 月 7 日】
(5)米国における IP 電話サービスの加入者は昨年、前年度の 130 万人から3倍増の 450 万
人となり、売り上げも 10 億ドルを超えた。テレジオグラフィが報告した。また、昨年の
10∼12 月期だけで 90 万人が IP 電話サービスに加入したという。企業別に見ると、ケーブ
ルテレビ会社が最もシェアが多く、全 IP 電話市場の 52%を占めている。IP 電話サービス
最大手は依然としてボナージュ・ホールディングスで、次いでタイムワーナー・ケーブル
(TWC)となっている。【3 月 2 日】
(6)調査会社パークス・アソシエーツによると、米国世帯のネット普及が頭打ちになってお
り、向こう数年間で成長は余り望めない見通しだ。同社の報告によると、昨年、米国民の
64%が自宅で何らかのネットサービスを利用しているが、増加率は 2009 年までにわずか
3%増に留まると見ている。
また、ピュー・インターネット&アメリカン・ライフ・プロジェクト(PIALP)も昨年、
米国のブロードバンド・サービスの加入が全人口の 42%で頭打ちになっていると発表して
いる。【2月 26 日】