第19期 経営指針書

第19期
経営指針書
2012年度(2012.10~2013.9)
株式会社 合同経営
2012年度(2012.10~2013.9)
1.0 経営指針書の発表にあたって
1.合同経営は、こういう集団になりました
今期で、創業から18年目(期数では19期目)となりました。
実質は、濱田さんと2名で創業した直後に酒井さん、塩田さん、赤松さんと合流してきて、現在の陣容となりました。初
期は、増田税理士、米澤税理士、藤本税理士に多大な尽力をしてもらいました。行政書士業務や社会保険労務士業務は、わ
からないことを讃岐商工業協同組合の佐藤さんにたずねながらの船出でした。労働保険事務組合も、佐藤さんから県庁の部
局宛てに親身に推薦してもらえ設立しました。いずれも地域の心ある誠実な専門家の助力によるものでした。
関与する顧客は、わずか数件の取引先から出発しました。世間の士業事務所によくある勤務した事務所の顧客を裏で訪問
し「引き抜く」ような卑劣な行為をせず、正々堂々と運営してきました。見るに見かねた人達から、善意の紹介を受けなが
ら積み重ねてきたものです。
「個人的なカリスマ性で集まった」というような簡単なものでありませんでした。初期には、毎
日毎日、関与先をまわり、信用を得る努力をしてきました。顧客が困ったこと、行き詰まったことに、経営者と一緒に考え
悩みながら深い信頼を得てきたと思います。
規制緩和の流れのなかで「組織的な専門家集団の形成」を目的に、県下の10名ほどの資格者で「協同組合KIND」を
設立し、共同受注を展開し、
「組織的専門家集団はどのようなことをしてくれるのか」と注目を集めました。この協同組合は
数年の活動を経て解散しました。この体験は、その後の合同経営のあり方に大きな影響を与えました。
そうして行政書士業務、税理士業務、事務組合で実績を積み重ね、各分野で柱が明確になり「合同経営に相談すれば何と
か一つところで解決できる」と言われ、頼れる専門家が育ち、
「ワンストップサービス」と表現するに至りました。
2000年の介護保険施行を目前に、新規創業の業域である介護事業領域での影響力拡大を考え香川県ケアマネジメント
センター(株)を1999年4月に設立し、事業参入支援事業を展開し、自らも居宅介護支援事業所となりました。今日の県
下の介護事業所に信頼の基礎を確立しました。
合同経営労働保険事務組合は一人親方特別加入にも対応出来るようになり、社労士が対応することで総合的な公的保険サ
ービス支援が出来ることとも相まってフル装備の事務組合となりました。
2.
「輝きと笑顔を創造する」という合同経営の使命
前期も、多くの輝きの物語が生まれました。
「おかげで創業1年を迎えました。どのように事業を進めて良いかわからない
ときに、示唆をしてもらえ助かった」
「一家崩壊の危機に、社長と一緒に労災申請をしてくれて家族が生きていけるようにな
った」
「香川の介護が熱く燃える企画をしてくれた」
「行政から意味のわからない指摘を受けたが、見事に解決してくれた」
。
10数年の経営を総括し、基本理念を確立してきました。この理念を「笑顔創造集団」と表現する意見も出されました。
この理念は、私たちが、日々、仕事をしていることの意味づけをしたものです。同じ仕事をしても「金のため」と意味づ
けるか、
「笑顔のあふれる会社を創るため」と意味づけるかによって、苦労の意味が違うものになります。
よい会社となるためには、社員が笑顔になれる場であることが、絶対に必要な条件です。
売上不振、資金繰り破綻をしている会社では笑顔は生まれません。使用者が社員を金槌やノコギリのような道具扱いをし
ては、社員の満足感は失せてしまいます。また、他人の不出来を触れて回るような社員関係では、泣き泣き働かなければな
らない会社になってしまいます。
私たちが合同経営で働くことは「会社を少しでも良くしたい(輝きたい)と願い、社員も幸せに生きて欲しい」と願う経
営者と社員の願いを実現するために、大切な私たちの命を使って「使命」を果たしているのです。
例えば、合同経営が給与計算を受諾するのは、その会社の「やりたくないことを外注している」のではなくて、私たちが
法律や規則を正確に理解し、筋道の明確な判断を積み重ねた対応をすることで社員が安心して給与を受け取れる労使関係を
維持・発展させることに関与しているのです。
私たちは、今後とも、輝きと笑顔の物語を広げるために存在し続けたいと願います。その結果が、合同経営の事業成績と
して結実すると考えます。
3.
「人間」がやらかす不出来なことについて
「輝きと笑顔」で生きる人間集団になろうとする目的は、合同経営の皆が了解合意しており、その前提で、良い人間関係
をつくっていこうとしています。しかし、生まれや生い立ちによって、性格や人間性、能力は、各人各様です。
合同経営という人生を過ごす空間と時間の中で、気持ちよく育ち合いたいのですが、残念ながら、自分の真の顔は見えま
せん。他人の不出来や努力不足はよく目立ちます。
人の性格や人間性、
能力はそう易々とは変わりませんが、
お互いがこの合同経営で気持ちよく働けるようになるためには、
多少の摩擦(感じたことを率直に指摘し合うこと、という意味で)を起こさなければ何も変化は生まれないことも事実です。
摩擦のひとつは「相互批判」です。しかし、合同経営での「批判」は、ただただ「言いつのる」だけのことや、評論的な
もの、言い放つようなものではありません。批判は解決と成長のためです。
批判の目的は「批判は自己批判の促進にある」と考えています。相手を批判し「言い負かせる」ことが目的ではありませ
■1■
2012年度(2012.10~2013.9)
ん。批判によって「過去の自分の意見に拘泥せず、新しいことに気づく」ことが目的です。
「相手を言い負かすことで自分が
満足」しても、おそらく「禍根」だけが残り、言い負かしたことで得られた、
“ゆがんだ満足感”だけが残ることになります。
思うことがあれば、直接、当事者に、事実に基づいて、淡泊に(感情的にならず)
、率直に伝えることが大切です。
最悪なのは、本人に伝えず、他の者に言いふらして同意を求め、愉快がって満足したり、鬱憤を晴らす行為です。風評を
広げるだけでは、疎外する環境を広げ、人間関係の不調を広げます。他人の噂話で盛り上がる「醜悪な自分の姿」を誰も教
えてくれません。
「この世の中は不完全な男と不完全な女しかいない」のであって、成長の物語があるからこそ面白いのです。成長や解決
のための気づきあいが楽しいのです。それを追求してきたのが私たちの歴史です。
4.成長をめざす勇気、そして学び合う集団の素晴らしさ
「誠意があっても自らの能力や資質を高めようとしない者」
、或いは「能力や資質があっても誠意が無い者」は、いずれも、
社会からは認められません。与えられた仕事に取り組むためにも、成長をめざす「学び」は大切だと常々話をしてきました。
前期では、
「学ぶということ」は、どういう意味があるのか、改めて考えさせられました。
教師が教壇を目指す学生時代に最初に教えられる言葉ですが、次のような言葉があります。
教えるとはともに希望を語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと。
この詩の一節はルイ・アラゴンの「ストラスブール大学の詩」の一節です。ある人は、これを「教えるとはともに未来を
語ること。学ぶとは真理を胸に刻むこと。
」と意訳しています。
この詩が出された時代背景はきわめて熾烈で、生と死が隣り合わせの時でした。1943年、ナチスの弾圧によりストラ
スブール大学の数百名の教授・学生が銃殺、逮捕されたことを痛み、書きました。ストラスブール大学はナチスの戦火を逃
れてフランス中部に疎開し新たに開学しました。その困難の中でも大学を続けたのです。そこではまさに教えることが希望
を語ることだったようです。
「教えるとは希望を語ること」とありますが、振り返って、近年の企業ではどうでしょうか。企業経営では、目先の成果
を追い求め、学び育つということが「コスト」とされているような風潮が蔓延しています。また、
「作業」を教えられること
があっても「希望を語る教育」にはなっていないような気がします。
合同経営は、
「作業場」としての空間であるとともに「育ちの場」でもあります。専門知識を身につけて、専門家として育
ち将来の豊かな能力の開花をめざし、一人前の専門家となることを基本理念としてきました。後輩への教えが「目先の作業
教育」に矮小化していないか、育ちの目を摘んでいないか、考えてみる必要があります。
また、
「学ぶとは誠実を胸に刻むこと」とあります。社員にとって学ぶとは何でしょうか。
「知識を増やすこと」
「技術を身
につけること」
「資格を得ること」
、それらはとても重要です。
考えてみると、知的な誠実さの対極にあるのは「知的な傲慢さ」や「知的な怠惰」ではないでしょうか。
私たちは一度聞いたような事柄について改めて聞いても、あまり深く考えないこともあります。しかし、同じことに取り
組んでも、
「さらに新しい発見はないか」と問題意識を持って取り組む場合と「どうせ同じ単なる作業の繰り返し」と割り切
って取り組む場合とは、後ほどには大きな差が出ることは容易に想像できます。いつも「前のとおり」
「誰かのいうとおり」
と仕事をする人との差も歴然でしょう。角度の1度の開きは100キロ先では大きな違いになります。
そういう意味でプロには慣れは無いのであって、プロはいつも初心であるべきではないでしょうか。再び、そうした意味
から、私たちは「誠実を胸に刻んでいるか」を再考すべきだと思います。
数年を費やす資格試験に根気強く一生懸命に勉強している人、家事の時間をやりくりして早朝・深夜の時間に学んでいる
人、専門外の勉強に取り組む人、ちょっと休憩しているけど諦めない人、いずれも真摯な生き方をしていると思います。
「新しいこと、知らないことを学ぶ」ことに挑戦することは、苦労が伴います。
「学ぶことをやめたとき」は、誠実さを失
い、希望を失うときなのかもしれません。勇気を持って生きて欲しいと願います。
この詩から思うのですが、
「人が育つ場」ということは、
「その人の人生の夢をかなえる手伝い」をすることかと思います。
真の学ぶ集団として、この合同経営を「私の居場所」
「ずっと居たい場所」など、自らの人生と一体にして考えられる誇れる
場にしたいものです。
■2■
2012年度(2012.10~2013.9)
2.0 当社の概要等
2.1 概要
設
役
立:
員:
株
主:
所 在 地:
H
P:
業務内容:
1995年6月13日設立
代表取締役 林哲也
取締役
赤松良樹、酒井洋美、濱田幸子
監査役
増田晃一
執行役員
岩田健生、岡野里恵、是松郁子、近藤麻美、長門恵子、堀川伴和、松本秀紀 ( は新任)
相談役
乃口健一
林哲也(475 万円) 酒井洋美(50 万円) 濱田幸子(50 万円) 赤松良樹(25 万円) 乃口健一(30 万円)
持株会(370 万円)
760-0080 香川県高松市木太町3396番地11
電話 087-812-5010(代) FAX 087-812-5036
http:www//godo-k.co.jp
①行政書士部門業務
②社労士部門業務(人事労務管理、社会労働保険手続き代行、経営方針策定支援、給与計算)
③税理士部門業務
2.2 歴史
年代
1995.9
1996.9
1997.9
1998.9
1999.9
2000.9
2001.9
2002.9
2003.9
2004.9
2005.9
2006.9
2007.9
2008.9
2009.9
2010.9
2011.9
2012.9
期 売上(千)
経営状況・沿革
1
創業(林社労士開業 増田・藤本・米澤税理士と提携開始)
2
8,940 合同経営労務協会設立
3 14,256 濱田行政書士開業
4 18,818 酒井社労士開業
5 26,807 助成金の波、岩倉社労士開業、介護保険展望し県ケアマネ設立
6 47,762 介護保険施行で県ケアマネがケアプラン作成開始
7 69,135 ペイロール事業開始、合同経営組織変更・ワンストップとアイキューブ設立
8 71,058 ながと行政書士開業、岩倉社労士廃業、アイキューブ休止
9 77,198 上場企業連結と社福法人会計着手、大西税理士独立、佐藤税理士提携
10 80,914 CTI システム導入、就業規則コンサル展開、米澤税理士死去
11 85,017 給与計算業務の抜本的見なおしの開始
12 87,973 ワンストップとの経営統合。持株会の運用開始。
13 83,605 乃口税理士開業登録、情報管理改善に着手。
14 93,206 年度目標を達成し、停滞から前進へ転じる。
15 97,975 年度目標達成、初の決算賞与、「介護職員処遇改善交付金」でリード
16 103,057 年度目標達成、事務所移転決断
17 137,186 年度目標達成、事務所移転、税理士法人四国設立、是松社労士開業
18 149,379 年度目標達成、鈴木行政書士開業
人数
経済情勢等
阪神大震災発生
3
NTT 分離分割化決定、住専処理始まる
3
消費税 5%、大手銀行証券の利益供与事件発覚
6
金融再生関連法成立
6
改正男女雇用機会均等法施行
10
沖縄サミット 介護保険施行 循環型社会基本法
13
アメリカ多発テロ勃発、中国 WTO 加盟で中国ブーム開始
16
日韓共催ワールドカップが開催
18
イラク戦争始まる
18
アテネオリンピック、消費税税込み表示スタート
19
郵政民営化を争点に解散総選挙で自民圧勝
19
会社法、役員報酬損金不算入制度、高年齢者雇用安定法施行
20
不二家偽装等ねつ造事件、ライブドア堀江氏実刑判決
20
北京オリンピック開催、サブプライム問題
20
裁判員裁判施行、民主党政権誕生
バンクーバーオリンピック、上海万博、イラク駐留軍撤退
東日本大震災、福島原発事故
ロンドンオリンピック、消費税増税可決
22
24
25
2.3 第18期の主な出来事
23年
10月 15日事務所遠足(京都)
11月 10日労働保険3期
27~28日全社面接実施
19日事務所総会 25日忘年会
12月 ★年末調整 5日大掃除(美装3日)22日賞与
24年
1月
★年末調整
2月
3日全社研修「部門別報連相シートの具体化」 ★16日~確定申告
3月
★~15日確定申告 30日確定申告等打ち上げ(ボーリング大会)
4月
4.5日全社面接実施 15日鈴木行政書士開業
5月
15日事務組合年度更新 ★3月末決算提出
6月
7日事務組合総会、労務協会セミナー「これからのメンタルヘルス」8日 開業者会議 29日3末決算年度更新打ち上げ
7月
3~5日PC研修「desknet’sの便利な使い方」
8月
3日全社研修「品質マネジメントシステム」 10日賞与
9月
10日労働保険2期 ★基幹SYSマスタ移行開始
■3■
勤務開始26日(鈴木)
2012年度(2012.10~2013.9)
3.0 経営理念
合同経営の理念
私たちは、
会社の輝きと社員の笑顔を
創造する総合支援チーム
として社会に貢献します
合同経営の使命
①「日本国憲法」の原理原則を大切にします
日本国憲法は「法の下の平等、租税法律主義、生存権・社会保障」など、この国の有り様の原理原則を明確にしていま
す。
私たちは、時代の変化・各分野の法制度改正を日本国憲法の原理原則から検証し、解明・適用する専門家です。
「合同経営」は、
「日本国憲法」の原理原則を大切にする総合支援を提供する「志」のチームです。
②「会社の輝き」を創造します
会社は、顧客に必要とされている何らかの「輝き」を持っています。その「輝き」が大きくなれば良い会社となります。
私たちは、
「会社の輝き」を大きく創造する「総合支援チーム」となります。
「合同経営」は、
「会社の輝き」を支援する総合支援を提供する「志」のチームです。
③「社員の笑顔」を創造します
人は、人生を楽しみ、人間らしく愛されて「笑顔」になります。
社員の「笑顔」は、私たちの幸せです。
私たちは、
「社員の笑顔」を創造する「総合支援チーム」となります。
「合同経営」は、
「笑顔の社員」を広げる総合支援を提供する「志」のチームです。
合同経営の行動指針
当社の全社員は、次の行動指針を実践し、生きたあかしが実感できる運営をします。
①
専門的知識及び技術を組み合わせ、総合的なサービスを顧客に提供します。
②
総合力を発揮し「理性的支援関係」を確立します。
③
毎年、ひとりひとりの資質向上と新知識獲得をします。
④
顧客情報の取り扱いには、
「絶対管理」をします。
⑤
クレームには、再発防止策を策定し継続的改善を行います。
⑥
言葉使いは、知性的な「丁寧語」を使用します。
⑦
「地球に優しい環境企業」として資源を大切にします。
以上の行動指針を実践し、何事も一生懸命に頑張ります。
理念、使命、行動指針を文書化し、全社員に伝え、毎年方針の見直しを課題とします。
■4■
2012年度(2012.10~2013.9)
3.1 合同経営の基本理念と使命
1.
「会社の輝きを創造する」とは、
「会社」は複数の人達からなる人間集団です。人間の集団が一つの共同体をつくり、ひとつの目的にむかって行動する組
織が企業です。組織が組織としての機能を果たすための要件は、次の3つと言われています(中小企業家同友会「経営指針
作成の手引き」より)
。
①共通の目的がある。②一人ひとりのメンバーに一緒に働くという意欲、協働意欲がある。③成員の間にコミュニケーシ
ョン、意思の疎通がある。
特に、
「共通の目的」と表現していますが、その内容が大切です。企業の存在目的とはなにか、企業で働くことはどういう
ことなのかということが問われていることでもあります。
企業の目的は、
「顧客に満足される商品やサービスを提供し、役に立つ」ことにあります。
その満足が提供出来てこそ売上を受け取ることができます。
「役に立った」
「良かった」
「嬉しかった」などの満足=喜ばれ
るものがあるから納得して対価を支払ってくれるのです。顧客に満足が提供できる、喜ばれる商品やサービスが提供できる
「輝き」があるからこそ、その企業は存在し、社員の雇用を維持出来るのです。
企業が存在するためには、商品やサービスが顧客に支持され満足され「輝く」こと、更にはそこで働く社員が社会に価値
ある商品やサービスを提供している使命感や誇りを持って「輝く」ことが不可欠なのです。
私たちは、単なる「代書屋」ではありません。常に書類に接しますが、それは入り口であり「作業」です。その「作業」
の目的は、関与する会社が「良い会社」となるように支援することにあります。
「作業」は手段であり、目的は、その「作業」
を通じて関与する会社が「良い会社」となり、
「輝く」ことにあります。
私達(合同経営)が支援する関与先が「輝き」を増すことは私達の目的ですが、その「輝き」によって私達の「輝き」も
得られるのだと考えます。
2.
「社員の笑顔を創造する」とは、
「社員」が働く目的を考える際には、まず、
「生きる」ために働くということが入り口となります。自らの生命を維持する
ためには、
「貨幣」を媒介にした取引を行う資本主義社会ですから「貨幣」を得て、商品を購入しなければなりません。
同時に、子や配偶者などの生活を維持するという意味で「暮らしを守る」ことも目的となります。そのためにも、
「貨幣」
は不可欠であります。
では、
「貨幣を得るために働く」ことを自己目的とするとどうなるのでしょうか?
そうなると、その人の人生は、途端に殺伐とした貧しいものとなります。何をしても「貨幣」を得ることが「自己にとっ
ての正義」となると、回りの人々は、その「貨幣を得るための道具」となります。
「貨幣」の呪縛にのみこまれ社会犯罪に手
を染めた事例は「ホリエモン」に限らず人類の近代史では多々散見されます。そこには本当の幸せは無かったようです。
私達は、
「人間らしく生きる」ために「生きる」ことや「暮らしを守る」ことを追求します。所得の増加にも最大限の努力
を払います。繰り返しますが、
「人間らしく生きる」ことが目的であり、
「生きる」
「暮らしを守る」ための「貨幣」の獲得は
手段です。
「人間らしく生きる」ためには、この世において必要とされる価値のある商品やサービスの提供を通じて、関わりのある
人から歓迎されるという人間としての関係性を大切にすることが基本となります。
社員の「笑顔」がある企業では、顧客から「美味しかった」
「助かった」
「元気になった」など「心から喜んでくれた」こ
との喜びが広がっています。顧客の喜びが絶えず社内で話題となり、その実現を目的として社内が躍動しています。会社で
働く時間が単なる「労務の提供」ではなくて「喜んで喜ばれる時間」となっています。そして、その時間を共有する一員で
あることが、自己の喜びとなるという喜びの連鎖の輪が広がっています。
私達(合同経営)には、将来、全ての関与先の企業の輝きを広げながら、全ての関与先で働く経営者や社員が「泣く」こ
となく、心からの「笑顔」で過ごせるようにすることに使命があります。
3.
「総合支援チームとして社会に貢献する」とは、
合同経営がめざす今後の私達のあり方の理念
は、
「共に歩み育つ」という関係性を一歩すすめ
て「総合支援チーム」の実現にあります。
合同経営は、創業以来、一貫して士業事務所
にありがちな「大先生の命令に服従する丁稚集
団」にはならないことを宣言してきました。し
かし、それは、
「仲良しクラブを目指す」という
意味ではありません。
「仲良しクラブ」と「支援チーム」は、メン
区分
大先生と丁稚
仲良しクラブ
支援チーム
■5■
集団の目的
人間関係
大先生の目的を実現す
メンバーは、大先生の「道具」とな
ることに従属
り、
「忍従」
「服従」が原則
人間関係を良好なもの
とりまきは、お局や黒幕のメンツを
にすることが自己目的
第一義とし、恐怖と保身に呪縛。
「ゴールへ向かう」とい
ゴール達成へ最高の選択肢を追求
う明確な目的がある
する支援関係。自己正当化は不要
2012年度(2012.10~2013.9)
バーの集合体としては共通していますが、その目的や人間関係の有り様は、全く異なる集団です。逆説的に言えば「仲が良
くても支援チームにはなれない」のです。
これは合同経営の、数年間の誤りからも痛切な学びがあります。
お局・黒幕問題の総括でも明らかでしたが、その動機は「人間関係を良好なものにする」ために、メンバー同士が仲良く
なろうとしました。メンバー同士が仲の良いことはチームにとって良いことですが、しかし、いくらメンバー同士が仲良く
なろうとも、それは「支援チーム」にまでは高まりませんでした。
それは「仲の良いこと」が必須条件ではなかったのです。逆に、
「仲良しクラブ」を形成し、自己の狭い支配関係を確立す
ることに利用されたのです。
良い「支援チーム」になるための必須条件は「明
確な目的」です。
「どこへ向かって進むのか」などの
目的の共有がなされていることが最も大切なことで
す。自分たちが何を成すためのチームなのかが分か
っていることが大切です。
チームダイナミクス
チームの価値・情報共有
そしてもう一つの条件としてそこへ向かう思いを
全員が共有することです。中途半端な気持ちでかか
チームの構成メンバー
チームのコントロールを
の多様性から生まれ
わるのではなく、全員がチームのゴールへ向かう思
生む源泉となるもの
る、動的なエネルギー
いを確実に共有しています。
それが強いチームです。
この思いの共有が最も大切な点です。
良い「支援チーム」は時にケンカのような激しい
チームの構成メンバーがバラエティに
目的や方針や目標、達成すべき期待
意見のぶつけあいを起こします。それは、多様な意
富んでいると、相互に補完しあえる領
成果が明確に共有化されている状態。
域が広く、また、相互作用で生まれる
これらの認識に統一感があることは強
見のぶつかり合いからゴール達成のための最高の選
新しいアイデアや変革の幅も広がる。
いチームとなる源泉です。
択肢が生まれるからです。そしてゴールへ向かう思
いが共有されている場合には不必要な自己正当化は
必要ではありません。お互いが同じゴールへ向かっ
て本気で向かっていることを知っていて、不要な自己正当化によりゴールからそれてしまうことを避けるからです。
これがきちんとなされていると、お互いに対する敬意、尊重の気持ちが生まれ、衝突を前進の力に転化することができま
す。それがないとゴール達成のためではなく、自分の主張を通し、存在を正当化するための衝突になってしまうのです。
お互いが「仲良くないと不安になる」ようでは本当の組織の力を発揮する「支援チーム」にはなれません。もちろん、メ
ンバーの中にそう考える人がいることは思考の多様性の観点から当然のことですが、
「仲が良い=良いチーム」ではありませ
ん。
私たちは、
「会社の輝きと社員の笑顔を創造する」という崇高なゴールをめざし、時にはお互いの意見をぶつけあい、最高
の選択肢を考え続ける、そして、お互いの足らない技術があれば、どんどん指摘し教え、トレーニングに協力(支援)する
ことで最強の「支援チーム」となることをめざします。
真の「支援チーム」とは
4.
「
『日本国憲法』の原理原則を大切に」することとは、
理念の本文には記載をしておりませんが、使命の部分の第 1 に、この「日本国憲法」が少し唐突に表現されています。
私達の仕事は、分類としては「専門的法務サービス業」と言えます。従って私達の各業務は、必ず何らかの「個別法」を
背景にして実施されています。また、関わる「個別法」の根本には「日本国憲法」があることも十分に知っていることと思
います。
現実には、実際の「業務」の実施ではあまり意識せずに「処理」をする場合が多いのではないでしょうか?
私達が提出する書類によって、依頼者の権利や義務が確定したり場合によっては損失を与えたりすることもあります。単
に「紙」を届けているのではないのです。
権利義務の根本には、この国の有り方を定めた日本国憲法が基本にあります。個別法と日本国憲法の関連の全体を視野に
いれて、常に議論できるようになってこそ、専門的法務サービスを提供する総合支援チームとなれるのです。
■6■
2012年度(2012.10~2013.9)
3.2 合同経営の行動指針
行動指針 前文 生きたあかしが実感できる運営をします。
(1)「楽しめる」会社になります。
孔子の「論語」は「子の日わく、
『これを知る者はこれを好む者に如かず これを好む者はこれを楽しむ者に如かず
幸せを知る者は幸せを好む者に如かず 幸せを好む者は幸せを楽しむ者に如かず』
」
[如(し)かず=及ばない]とあります。
私達は、単に「法律知識を知っている」という段階ではなく、
「高度な専門的知識を有したうえで、
『大いに楽しもうでは
ないか』と言い合える人間集団」となり、
「生きたあかし」を実感できる運営をします。
(2)合同経営の哲学-「会社の輝きと社員の笑顔を創造する」は「共に歩み育つ」という哲学が根本
顧客から「相談し展望がもてた」と喜ばれ「相談利益」を実感し
示唆
てもらえることは、私達も喜びを実感できる瞬間です。そのために、 助言
経営者への「示唆・助言・指導」を行います。これは、解決策を共
指導
提言(suggestion)、考えさせる(thought-provoking)
助けになるような意見を、そばから言うこと。(advice)
ある目的に向かって教え導くこと。(lead,direction)
に悩み考え、場合によっては経営者と人間として向かい合いながら解決策を模索することです。
私達は「人間」です。経営者の苦労や立場を尊重したうえで、弱さや甘え、考え違いを認め、頼り頼られながら、問題解
決の喜びを共有することをめざします。私達の関係性の根源は、顧客を、自分の領地とする「職務財産権主義」*1の「呪縛」
から自己解放した哲学領域があります。人間としての「対等平等」の見地から関係性を確立しています。
(3)
「組織所有」のあり方の具体的探求
合同経営は、社長の子息が後継者となる世襲制を排除しています。合同経営は、「組織所有・組織運営」を基本とします。
近い将来、仲間の中から次代の経営陣が構成されます。各人の可能性を追求し、限りないチャンスを提供します。
行動指針① 専門的知識及び技術を組み合わせ、総合的なサービスを顧客に提供します。
合同経営のサービスの最大の「良さ」は、行政書士、社労士、税理士の3領域の専門性が総合的に融合しながら、新しい
総合的専門サービスとして展開されていることです。単に、与えられた仕事をこなすだけでなく、安定的で高度な品質のサ
ービスを実現するために専門的知識及び技術を高め続けます。
行動指針② 総合力を発揮し「理性的支援関係」を確立します。
「総合力」とは、個々別々のものをひとつにまとめあわせ、新しいものをつくる力です。その為に、お互いを支援し成長
する「品格のある理性的支援関係」を実行します。
「パワハラ」や「お局」支配は絶対に許しません。
行動指針③ 毎年、ひとりひとりの資質向上と新知識獲得をします。
私達の専門家のエネルギーの源は、毎年、資質向上に挑み、新しい知識を獲得することにあります。
一般的に、士業事務所では「職務財産権主義」の呪縛に縛られ「丁稚奉公」的な職員の取り扱いが横行しています。合同
経営は全社員を「人」として対等な立場で運営しています。また、資格受験には最大限の制度的支援策を実施します。
行動指針④ 顧客情報の取り扱いには、「絶対管理」をします。
私達には、元々、士業法で守秘義務が課せられています。しかし、それは「注意を払う」レベルではなく「絶対管理」が
求められるものです。最高度の緊張感と具体的措置がとられている事務所となります。
行動指針⑤ クレームには、再発防止策を策定し継続的改善を行います。
私達は、行政などに書類を提出する際には、事務所から文書が出る瀬戸際で、内容の間違いを防止する審査をおこなう制
度を確立してきました。今後ともマンネリを防止しながら緊張感を持って審査を継続し、継続的改善をはかります。
同時に、顧客が「クレーム」としないまでも「黙って我慢」されている可能性にも注意を払います。
行動指針⑥ 言葉使いは、知性的な「丁寧語」を使用します。
「学び」
「支援関係」を日常化するためには、共通言語として「知性的な丁寧語」を使用することとします。不用意なタメ
口や、ベランメエの口調、突然の大声、奇異な独り言など集団の中での言葉使いは、成長する集団には不要です。
行動指針⑦ 「地球に優しい環境企業」として資源を大切にします。
私達の事務所が、存在し行動すること自体が地球環境に負荷をかけていることを自覚します。
クールビズ、ウォームビズに積極的に取り組みます。機密文書の処理は、専門業者に溶解処理を委託します。人類の英知
が結集されているコンピューターなどは、大切に使用し可能な限り永続的な利用に努めます。
*1 【職務財産権主義】アメリカの「成果主義給与制度の弊害」として指摘されている思考。
「資本主義社会での、個人の財産は不可侵である。
『自分の担当す
る仕事領域』は『財産』だから、仕事への口出しや教えることも不必要」とする思考。実際の弊害は、自分に与えられた仕事をこなすことが目的化する。同僚
の仕事に援助の手を出すと、仕事を取ることになるし、援助を求めると自分の仕事を取られることになると考える。
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