ISO/TC 4/WG 20 第 1 回パリ会議報告

ISO レポート
ISO/TC 4/WG 20 第 1 回パリ会議報告
(転がり軸受の損傷及び故障)
㈱ジェイテクト
1.
白木
利彦
まえがき
2011 年 6 月のブリュッセルでの TC 4 本会議において,ISO 15243(損傷及び故障-用語,特性及び
原因)の規格改正作業を,新設した作業グループ WG 20 で行うことが決議された。今回 TC 4/WG 20
としての第 1 回会議が 3 月 6 日~7 日の二日間にわたってフランス・パリの機械関連規格協会(UNM)
で開催され,日本のエキスパートとして会議に出席したので,その概要及び今後の予定について報告
する。
2.
TC 4/WG 20 第 1 回パリ会議の概要
関連文書を表 1 に,議事次第を表 2 に示す。
表 1-WG 20 関連文書
文書番号
提出国
題目又は内容
発行年
月
TC 4 N 1506
幹事国
ISO 15243 改正に関する TC 4 新作業項目提案
2010-12
TC 4 N 1523
幹事国
TC 4 N 1506 に関する投票結果
2011-04
WG 20 N 001
幹事国
ISO 15243 改正に関する改正素案付き新作業項目提案
2011-08
(元資料 TC 4 N 1506)
WG 20 N 002
幹事国
WG 20 N 001 に関する投票結果(元資料 TC 4 N 1523) 2011-08
WG 20 N 003
幹事国
TC 4 ブリュッセル会議決議事項(元資料 TC 4 N 1547) 2011-08
WG 20 N 004
幹事国
TC 4 ブリュッセル会議議事録(元資料 TC 4 N 1548 2011-08
13.1 項及び Annex B)
2011-08
幹事国
WG 20 コンビーナの任命投票
WG 20 コンビーナの任命,投票結果
WG 20 N 007
幹事国
WG 20 第 1 回パリ会議の案内
2011-11
WG 20 N 008
幹事国
WG 20 第 1 回パリ会議議題
2012-01
WG 20 N 009
幹事国
WG 20 N 001 改正素案に関する各国意見
2012-02
WG 20 N 010
幹事国
WG 20 第 1 回パリ会議議事録
2012-03
WG 20 N 011
幹事国
WG 20 N 001 改正素案に関する各国意見及びパリ会 2012-03
WG 20 N 005
幹事国
WG 20 N 006
2011-09
議での審議結果
表 2-WG 20 第 1 回パリ会議の議事次第及び参照文書
議題
議事次第
参照文書
1
開会
-
2
出席者の点呼
-
3
議題の採択
WG 20 N 008
1/4
構成
4
3.
1)
ISO ツールの説明
WG 20 N 010 Annex 2
2)
新作業項目の説明
WG 20 N 010 Annex 3
3)
作業の目的
WG 20 N 010 Annex 4
4)
会議の構成
5
改正素案に対する各国意見の審議
6
次回の会議予定
-
7
その他の業務
-
8
閉会
-
WG 20 N 009
会議の内容
議題 1
開会
WG 20 コンビーナの Mr. Walter Verhaert(TC 4 議長,ベルギー)が,定刻に開会を宣言した。
議題 2
出席者の点呼
WG 20 第 1 回パリ会議には,表 3 に示す 6 か国 11 名が参加した。なお,オーストリアのエキス
パートからは,事前に欠席の連絡があった。
表 3-WG 20 第 1 回パリ会議参加者(文書番号 WG 20 N 010 Annex 1)
番号
議題 3
参加者名
国名
所属
1
Walter Verhaert
ベルギー
WV Consult(TC 4 議長及び WG 20 コンビーナ)
2
Dirk Reel
ベルギー
SKF
3
Tom De Rooster
ベルギー
SKF
4
Nadiege Ludivion
フランス
UNM(WG 20 幹事)
5
Daniel Girodin
フランス
NTN-SNR(プロジェクトリーダー)
6
Alan Gezault
フランス
SKF
7
Gunnar De Wit
オランダ
SKF
8
Bernd Kölbl
ドイツ
Schaeffler
9
Tim Krabill
アメリカ
Timken
10
益田
直樹
日本
JTEKT Europe
11
白木
利彦
日本
JTEKT
議題の採決
日本からの補足意見(WG 20 N 010 Annex 5)を加えた議題(WG 20 N 008)が承認された。
議題 4
1)
構成
ISO ツールの説明
Ms. Nadiège Ludivion(WG 20 幹事,フランス)より,ISO 電子ツールについての説明があっ
た。
(WG 20 N 010 Annex 2)

ISO オンライン(TC でのナビゲート方法及び一般情報の見つけ方)

ISO 電子サービス(作業域での ISO 電子アプリケーションの保護及びアクセスのためのログ
インやパスワード)
2)
新作業項目の説明
プロジェクトリーダーの Mr. Daniel Girodin(フランス)より,現行規格(ISO 15243:2004)
に対する主な指摘に基づく新作業項目についての説明があった。(WG 20 N 010 Annex 3)
3)
作業の目的
2/4
コンビーナの Mr. Verhaert より,幾つかの点でコンセンサスを得るために作業グループの目
的について説明があった。(WG 20 N 010 Annex 4)
コンセンサス: 本質的な問題について,重要な利害関係者の中に妥協できない反対意見が
なく,かつ,すべての関係者の見解を考慮することに努める過程及び対立した議論を調和さ
せることに努める過程を経た上での全体的な一致。
注記
コンセンサスは,必ずしも全員の一致を必要としない。
作業グループが合意した点
・適用範囲を明確にする。
・図 1 の故障モード分類の合意を得る。
・損傷の説明をより正確にする。
・写真を改善する。
4)
会議の構成
本議事録の議題 5 で合意された計画及び議題 6 を参照。
議題 5
改正素案に対する各国意見の審議
改正素案(WG 20 N 001)に対する 100 ページ以上ある各国意見(WG 20 N 009)について審議
した。審議した結果は WG 20 N 011 である。内容を以下に示す。
主な結論

この素案の本文に記載する損傷は,非破壊調査で目視観察できるものとするコンセンサスによ
る。例えば,現行規格に記載されている“バタフライ現象”などは,軌道輪を切断した断面の
顕微鏡観察写真なので附属書(参考)に記載する。

電食については,作業グループは専門知識が少ないため,この改正素案では変更しない。

図 1 の故障モード分類の“フレッティング腐食(fretting corrosion)”及び“擬似ブリネル圧
痕(false brinelling)”は,規格使用者が混乱しないように“摩耗(wear)”ではなく,現行
規格のまま“腐食(corrosion)”のモードに入れる。しかし,これら二つの現象の説明につい
ては,各々のエキスパートが満足するように改善していく。
これは,ISO 規格の本文としてはシンプルに統一し,各地域での故障モードの分類の考え方や
用語の使い方などの違いは,附属書などで補足するというコンセンサスによる。

継続して残す写真のリストを提供する。その他の写真については,鮮明なものにしていく。
(担当:コンビーナ)

附属書のマトリックスのレイアウトは,今後検討していく。2 ページに亘って記載することが
可能なら理解しやすいので,ISO 中央事務局に確認する。
(担当:事務局)
作業グループの次ステップ

各国意見(WG 20 N 009)について, 改正素案に関する 各国意見及び パリ会議での審議結果
(WG 20 N 011)は,2 週間以内に回付される。
(担当:事務局)

この会議の報告書に基づいて,適用範囲を検討して提案する。

この会議の報告書に基づいて,表 A.1 及び用語集を少しずつ検討して提案する。
(担当:コンビーナ)
(担当:コンビーナ)

適切で鮮明な写真は,各々のメーカが現象(サブモード)ごとに,各 2 枚準備する。
(担当:エキスパート)
議題 6
次回の会議予定
3/4
アメリカ,アジア及びヨーロッパの異なった地域の職場であることを考慮すると,Webex 会議(イ
ンターネット TV 会議)はあまり適当でない。よって,作業は主に通信で行い,必要なときに対面
会議(face-to-face meeting)を開催する。
次回の対面会議は,2012 年秋に開催予定(開催場所は後日決定)
。
議題 7
その他の業務
特になし。
議題 8
閉会
コンビーナから会議ホスト国であるフランス UNM 及び会議参加者に謝意が述べられ,閉会した。
4.
あとがき
WG 20 第 1 回パリ会議は,作業グループなので,各国からの意見というより,各エキスパートか
らの意見を提出しており,同じ内容の意見を複数の他国のエキスパートが提出するというものがあ
った。しかし,よく見ると同じ内容の意見は SKF の統一意見であった。さらに,フランス同士でも
NTN-SNR と SKF では損傷及び故障モードの考え方が異なり,さらに個人の考え方を主張する場合
もあり,各々の軸受メーカや個人の考え方を完全に統一して規格にまとめるのは難しいと感じた。
よって,ISO 規格としては統一した規格とするが,各地域の考え方をうまく付け加えることで,全
世界の使用者が使いやすく,混乱しない規格にしていく必要がある。
例えば,英語の表現で“Primary cause”と“Root cause”について,現状は“Primary cause”を使
っているが,アメリカより“Root cause”が一般的との意見があった。最終的には“根本”原因で整
理するのではなく,“主な”原因で整理するので,“Primary cause”で統一することになった。こ
のような内容は,英語のニュアンスの議論であり,なかなか日本人としては難しいと感じた。
今後も日本ベアリング工業会各社の皆様方にご協力いただきながら,現状の JIS の分類や用語な
どで一部 ISO 規格と異なるところを盛り込めるよう規格改正を進めていきたい。
以上
写真 1
会議メンバー
4/4
(右端が筆者)