1999年7月15日 第136号 《速 報 版》 (1) 日本聖公会管区事務所 〒162‐0805 東京都新宿区矢来町65 電話03 (5228) 3171 FAX03 (5228) 3175 発行者 総主事 司祭 輿石 勇 『私たちは十字架につけられたキリストを告知する』 管区事務所総主事 司祭 サムエル 輿石 勇 福音信仰を生きるということはなかなか容易なことでないことを、 このところ実感させられています。例えば、 四月にソウルで開かれま した「全聖公会正義・平和ネットワーク」 の集まりの最終段階で、一 つの文書の承認と関連して、 ちょっとした対立が生じました。その文 書の中の「弱さの中に働く神」 という表現をめぐる対立でした。 この 表現は当然、 「十字架はユダヤ人には躓くもの、 ギリシャ人には愚 かなもの」 ということを前提としたものでしたが、 ある人々は「『神は 弱くない』のでこういう表現は適切ではない」 と主張したのです。 こ の反対意見を出した人々は、 希望らしいものが見出せない状況の 中にあるので、 「神は強くなくては困る」 という事情を抱えていたと 言うことができると思います。その厳しい事情はよく分かるのです が、 だからと言って、 「神の勝利(強さ) 」は十字架という 「神の敗北 (弱さ) 」が前提となるという逆説性を否定してしまっても良いという ことにはなりません。 今年の六月に発行されたばかりの、 白井尭子著『福沢諭吉と宣 教師たち―知られざる明治期の日英関係』 (未来社) という本を勧 められて読みました。慶応義塾の創立者福沢諭吉とSPGの宣教 師であったアレキサンダー・ショーやアーサー・ロイ ドなどとの交流に 焦点を当てた興味深い書物です。中でも私の興味を惹きましたの は、 福沢諭吉が慶応義塾を大学にするに際して旧知の間にあった ロイ ドではなくハーバード大学出のユニテリアン (単一神主義者) を 主任教授として採用したということです。 この出来事は、 当時欧米 で生じた教会立の学校の世俗化の結果を反映するものであったと 思われます。教会立であったケンブリッジ大学やオックスフォード大 学は、 従来聖公会の聖職・信徒以外には門戸が閉ざされていたの でした。 しかし、 西洋近代の合理主義の前にその伝統を変えること を余儀なくされたのでしょう。聖公会の人々以外にも門戸が解放さ れるのが当然であったのは確かです。 しかし、 これが近代合理主 義的なキリスト教の解釈ともいうべきユニテリアンと神学と関係して いたということは、 非常に象徴的だと思います。ユニテリアンの神学 が影響力を増したのは三位一体神学の周縁化に対応するもので はないかと思います。つまり、 近代という時代の主張から見て「躓 □会議・プログラム等予定 (前回報告以降追加分 および9 9年7月15日以降) 7月 7日 (水)正義と平和委員会在京委 員会 10日 (土)正義と平和委員会在京委 員会 12日(月)天皇制靖国問題委員会 (名古屋YWCA) 12日(月)部落差別問題委員会(神 愛教会、 東京) 14日 (水)各教区人権担当者連絡協 ∼15日 (木)議会 16日 (金)6委員長会 (京都) 18日(日)日韓協働委員会 (目白聖公 会) 22日 (木)生野センター運営委員会 23日 (金)管区常置委員会 8月 3日 (火)建築金融資金委員会 4日 (水)文書保管委員会 ∼6日 (金) 5日 (木)日韓聖公会青年交流 ∼10日 (火)キャンプ (沖縄) 16日(月)聖歌小委員会 ∼17日 (火) 23日(月)第1 8回部落解放セミナー ∼25日 (水) (千葉県佐倉) 25日 (水)部落差別問題委員会(千 葉県佐倉) 9月 1日 (水)広報主査会 1日 (水)主事会議 13日(月)聖公会/ルーテル教会協 議会 23日 (金)管区常置委員会 30日 (木)聖歌集改訂委員会(名古 屋カトリック研修センター) 10月 1日 (金)教区礼拝音楽担当者会 ∼2日 (土) (名古屋カトリック研修セン ター) (2) 《速 報 版》 1999年7月15日 第136号 き」 となる、 また、 「愚か」な要素…つまり、 神でもあ のが異端、 非国民、病人などの烙印のもとに排除 り人でもあるキリストという神学――をキリスト教 され、 同化が進行することになります。 信仰から排除してしまったということです。 これも 「十字架にかかったイエス=復活のキリスト」 また、 私たちが生きる現実を福音に優先させるこ は、 私たちに他者として常に立ち現れる方の筈で との一つの例として見ることができるのではない す。他者は私とは全く違っていますので、 他者と でしょうか。 の出会いは私たちへの挑戦とならざるを得ませ ロンドン大学の組織神学の先生をしているコリ ん。 「十字架にかかったイエス」 は私たちにどのよ ン・ガントンという方が『一つ、三つ、多数』という うな挑戦を投げかけるのでしょうか。 「あなたは私 奇妙な題の本の中で、 「近代という時代は三位 を誰というか」 というのが最初の挑戦のはずであ 一体の神を追放することによって、 それが含む関 ります。 これに対する答えが分かれ道になります。 係性を排除してしまった」 と述べています。そのよ もし、 「十字架にかかったイエス」が救い主である うにして、 個人の人権の尊重の名のもとに、 個人 とするならば、 次の挑戦は「我に従え」 という内容 による意思決定がほぼ絶対的な価値を持つこと になるのではないでしょうか。ユダヤ人には「躓か になったというのです。人権が尊いことは誰でも せる」、 ギリシャ人には 「愚か」な道は、 今、 ここで、 承知していますが、 個人による意思決定の絶対 どのような生き方をすることなのでしょうか。そのよ 化は、 「私のからだをどう使おうと私の自由じゃな うな、 「十字架にかかったイエス」 という他者と常 い」という売春少女の論理に行き着きます。 この に新たに出会うことが、 ユーカリストにあずかり 少女の言葉に欠けているのは、 彼女を生み育て 「想起する (リ ・メンバー)」こと、 宣教に自己投与 た親との関係という要素です。つまり、 個人の意 するということなのではないでしょうか。 思決定を絶対化するということは「他者」との関 係を切り棄てるということに他なりません。かくし (表題はKenneth Leech, We preach the Christ cruて、 個性の尊重の名のもとで、 本当に個性的なも cified, Cowley から取らせて頂きました。) □管区常置委員会 ・ 次回: 9月23日 (金) □主事会議 7月7日 (水) 主な議題 ・ キリスト教「日の丸・君が代」法制化反対署 名運動センター事務局分担金の支出につ いて ・ 祭壇用大判祈祷書再版について ・ 次回: 9月1日 (水) □ 各教区 北海道教区 ・ 旭川頌栄保育園 保育園認可50周年記念感謝礼拝・式典・ 祝賀会 7月20日 (火) ・ 教区サマースクール 8月2日 (月) ∼5日 (木)赤井川コロポックル村 テーマ: 「キャンプ、 よろず実験室」 北関東教区 ・ 日曜学校キャンプ 8月6日 (金)∼8 (日) 立教学院 みすず山荘(軽井沢) 1999年7月15日 第136号 《 速 東京教区 ・ 祈りと学びの集い ―沖縄からの風 PARTII 7月9日 (金)、 牛込聖公会聖バルナバ教会 ・ 教区フェスティバル 9月23日 (木・休日) 立教小学校 横浜教区 ・ サーバー研修会 7月28日 (水) ∼30日 (金) 、 長坂聖マリヤ教会 ・ 神奈川県小学生キャンプ 8月5日 (木) ∼7日 (土) 、 横須賀学院星望山荘 ・ 千葉県小学生キャンプ 8月18日 (水)∼20日 (金)、 内浦・県民の森 ・ 教区大家族キャンプ 8月9日 (月) ∼11日 (水)、 清里・清泉寮 ・ 教区中高生キャンプ 8月9日 (月) ∼12日 (木)、 清里 中部教区 ・ 松本聖十字教会創立百周年記念礼拝 7月18日 (日) 京都教区 ・ 教育部キャンプ 小学生部門: 7月26日 (月) ∼28日 (水) 北小松キャンプ場 中学生部門: 7月28日 (水)∼31日 (土) 北小松キャンプ場 高校生部門:日程・場所は後日決定 ・ 第4 0回 「信徒の集い」 ―心豊かに主に感謝― 9月23日 (木) ∼24日 (金) 、 鳥羽グランドホテル 講師:青木嘉子氏(奈良キリスト教会) 大阪教区 ・ 愛の園高校生キャンプ 8月4日 (水)∼7日 (土) 特別養護老人ホーム愛の園 ・愛の園一般キャンプ 8月18日 (水)∼21日 (土) 特別養護老人ホーム愛の園 報 版》 (3) 神戸教区 ・ サーバートレーニングキャンプ 8月2日 (月) ∼3日 (火)、 神戸聖ヨハネ教会 ・ 神戸教区青年交流会サマーキャンプ 8月13日 (金)∼15日 (日) 鳴門聖パウロ教会 ・ 神戸教区教役者神学塾 8月17日 (火)∼19日 (木)、 売布黙想の家 主題: 「叙任されたミニストリー」 指導: 功神父 ・ 神戸教区召命黙想会 8月17日 (火)∼19日 (木)、 売布黙想の家 主題: 「霊性を高める」、 指導:中村 豊司祭 ・ 教区大礼拝 9月26日 (日) 11 : 00、 神戸聖ミカエル大聖堂 さかばやし 九州教区 ・ 九聖保夏の教師研修会 8月18日 (水)∼20日 (金) 湯布院町、 山荘春夏秋冬・四季ホテル テーマ:遊びと保育 講師:荒金 学先生(元別府大学助教授) 沖縄教区 ・ SSこどもキャンプ 7月29日 (木)∼31日 (日) 、 屋我地荘 □ 日本聖公会GFS 全国リーダー研修会 7月26日 (月) ∼29日 (木) 国民宿舎「あしべつ」 (芦別市) □ プレ全国青年大会1999 8月13日 (金)∼15日 (日) 名古屋学生青年センター テーマ: みつめよういろいろな壁∼歩もうキ リストとともに∼ (4) 《速 報 版》 1999年7月15日 第136号 21世紀を生きる管区機構を目指して ―管区機構改革検討委員会から― われわれの身の回りに、望ましい21世紀の実 現に向けて大きな社会的変革が日々起こりつつ あり、 教会もまた、 それにふさわしい姿は何かを考 えつつ、 より広くみ言葉を伝えて行くように求めら れています。 第51 (定期)総会において、 このような課題に 応えるべく、 聖公会の将来に対する、 もっとも適切 な管区機構のあり方を検討し、 成案をまとめること が決議され、 「管区機構改革検討委員会」が立 てられて、 その役割を付託されました。 検討をはじめるにあたって、 まず再確認してお かねばならなかった基本的な事柄は、 日本聖公 会における意思決定と、 宣教を中心とする活動 の主体となるのはどこか、 ということで、 ここで確認 したことは次のとおりであります。 (1)管区の意思決定機関は総会である。 (2)宣教活動を実行していく主体は、 管区で はなく教区である。 この認識に立って、 現在の管区の意思決定が 時機にかなって適切になされるような仕組みに なっているかどうかを見てみると、 いくつかの問題 があることがわかってきました。 ひとつは、 2年の間隔をおいて開催される総会 と総会の間において、 総会の代行をする役割を 担うのはどこかということです。法憲法規によれ ば、常議員会は年1回の開催で、 なおかつ、 緊急 かつ軽微な事項を審議すると定められています。 次に、 管区常置委員会ですが、 この委員会は、 管 区事務所の監督と助言をするのがその役割で す。 したがって、 臨機応変に意思決定をするとい う点では、 制度上十分な働きができそうにありませ ん。 この点を改善するため、 常議員会と管区常置 委員会を一本化し、 総会でないと議決できない最 小限の重要事項を定めて、 それ以外は新しい常 議員会が機動的に意思決定をしていく方法を考 えています。 もうひとつの課題は、 管区の諸委員会の役割と 位置づけについてであります。総会において、 そ の時々の必要に応じて委員会が立てられていま す。この委員会の働きについては、 総会という多 人数の会合に、 2年に1回報告することが義務づ けられているだけで、 管区事務所や教区とのつな がりは必ずしも明確ではありません。特に、 管区事 務所の働きの中心となる、 管区担当主事との連 携をどうしていくかが、 十分に取り決められていな いので、 今後の大きな社会変動に対して、 管区全 体として効果的に対処していけるのかどうか疑 問が出されています。 この点を一元化し、 より効果的な運営ができる ようにするため、 管区の諸委員会を原則として、 管区担当主事のもとに置く方向で検討を進めて います。 なお、 この場合でも、 担当主事のもとに置 くのが難しいと見られる委員会については、 管区 総主事、 あるいは総会議長の直轄担当とすること になるでしょう。 また、 こうした委員会の役割は周囲の状況に 応じて時々刻々変化して行くでしょうから、 特別な 目的をもって立てられた、 いわゆるタスクフォース的 な委員会については、原則として存続期限を定 めて、 期限毎に継続の必要があるかどうかを再 確認することが望ましいと考えられます。 今後、管区機構改革検討委員会では、 関係各 位のご意見、 ご助言をいただきながら、 引き続きい ろいろな課題についての検討を進め、 来年の総 会までに成案をとりまとめて参りますので、 よろしく ご協力いただきますようお願いします。 (委員長 西村 逸郎) 1999年7月15日 第136号 《 速 報 版》 (5) □ 新刊紹介 牛込宣教120周年記念特別号『光の矢』 日本聖公会 東京教区 牛込聖公会聖バルナバ教会 1873 (明治6) 年、 英国の宣教団体SPG (福音 宣布協会) のショーとライトの二宣教師が日本の地 を踏んだ。 ライト師は明治8年、 牛込区四谷箪笥町 22番地に仮会堂を組織し、 平日は普通教育、 夜は 伝道活動の拠点とした。 これが聖十字仮会堂で、 1878 (明治11)年市ヶ谷本村町に移転して市ヶ谷 会堂と呼ばれた。 ライト師によって洗礼を受けた牛 込区居住者が同区古川町に講義所を設けて、 これ が同区水道町2番地の会堂となっていく。聖バルナ バ教会の前身となる「牛込昇天教会」である。 1878 (明治11) 年5月に献堂式を挙げている。 翌年、 市ヶ谷会堂が暴風によって倒壊し、 この会衆 が牛込昇天教会に合流して同教会は大いに興隆 した。 1897 (明治30)年、 昇天教会が老朽化した ため、 牛込赤城坂下に新会堂を建築、 6月12日に 「捧堂式」を行い、 同時に名称を「聖バルナバ教会」 と改めた。 1945年(昭和20)、 教会は空襲による戦 火をうけて消失、 跡地に建てられた牧師宅で礼拝 が行われた。 52年(昭和27) 、 現在の新宿区矢来 町65番地の地に、 木造平屋建ての仮聖堂が建設 され、 以後約40年間にわたり礼拝が捧げられた。 82年 (昭和57) 、教会の将来計画を検討する 「バルナバ特別委員会」が東京教区に設置されて 構想を練り、 聖バルナバ教会の土地に日本聖公会 センターと聖バルナバ教会を共に建設することとなっ た。 90年(平成2) 約6億円の予算で建築工事が始 まって2年後の92年2月15日に日本聖公会センター の落成式が、 3月1日に聖バルナバ教会の献堂式が 相次いで行われた。 ──以上が、 この教会の所在地と建物だけにつ いてのまことに多彩な変遷であるが、 ここに去来した 聖職と信徒の活動を重ね合わせていけば、 それは 単なる一教会史の枠を越えて東京の山の手を中心 とした教区史へと発展していく広がりを秘めている と考えてもよいのが、 ここ牛込の地に続いてきた聖バ ルナバ教会の120年の歴史であろう。 「牛込宣教120周年に寄せて」、 竹田眞教区主 教、 加藤博道・小笠原忍・八木文子(八木立三執 事夫人) ・速水敏彦・後藤真・加藤俊彦師ら歴代の 諸聖職がお祝いの言葉と思い出を寄稿され、 関係 者がそれぞれの立場から教会小史を綴り、 信徒33 人が教会への思いを記す。 ──「この教会が“昇天教会”だった時代から 今日まで、 立派な建物だった時も 「畳二十畳」の仮 建築だった時も、 さまざまな事情で 「折りが良い時 も」 「悪い時も」 (『テモテへの第二の手紙』第四 章)教会を教会として守り導かれたのは、 ただひた すら神の恵みだったことを、 ご一緒に深く心にとどめ たいと思う ものです。」あとがきに記された加藤博道 司祭の言葉をもって、 『光の矢』牛込宣教120周年 記念特別号の紹介を終わりたい。 (広報主事・鈴木 一) 訂正 「管区事務所だより」 135号7ページ、 新 刊紹介『草津のタルピッ〈月あかり〉』の中で 「愛楽園」 は、 「楽泉園」 が正しく、 訂正いた します。 速報 人権問題担当者連絡協議会を開催 7月14日 (水) 、 15日 (木) の二日間、 第1回日本聖 公会人権問題担当者連絡協議会を、 管区事務所 で開催した。 日本聖公会各教区の人権問題への 取り組み状況と、 それぞれの抱える課題についての 情報交換を行った。 あわせて現在の日本社会にお ける人権問題と運動その他の取り組みの現状につ いて、 部落解放・人権研究所所長の友永健三氏よ り講義を受けた。 特に、 現在、 人権擁護推進審議会 (6) 《速 報 版》 1999年7月15日 第136号 (沖縄は欠席) 。 が「答申案」 としてまとめつつあるものの問題点につ 州・太田国男執事 管区よ り竹田眞首座主教、 高野晃一主教、 輿石 いての明確な指摘は、 今後の日本聖公会における 前田良彦司祭 (宣教主事) 、 田 人権問題に取り組む方向と具体策を協議する上で 勇司祭(総主事)、 光信幸司祭 (人権問題担当) 、 鈴木一 (広報主事) 参考になった。 人権担当者・連絡協議会の各教区からの出席 が出席。 はじめての連絡協議会の場で、 人権問題への共 者は、 北海道・須田明夫氏、 東北・進藤栄子氏、 北 連携してこれからの課題に取り組む 関東・小野寺達司祭、 東京・高橋顕司祭、 横浜・田 通理解を深め、 澤利之司祭、中部・松本普氏、京都・塚田道生司 方向を確認し合った意義ある集いであった。 (鈴木 一) 祭、 大阪・小川博司司祭、 神戸・角瀬克己司祭、 九 聖公会/ローマ・カトリック教会共通の「主の祈り」試用について――《資料再録》 日本聖公会主教会 議長 首座主教 竹田 眞 主の平和がありますように。 通訳検討ワーキング・グループで試用状況を見なが 日本聖公会とローマ・カトリック教会が、 同じ「主の ら若干の変更を加えることもあります。 (来年の総会 祈り」 を捧げたいという願いをもって、 両教会共通の までにはテキス トが確定します) 「主の祈り」 を訳出する作業が続けられて参りました 以上、 この件についてのお問い合わせは、 それぞ が、 ついにそのテキス トができ上がりました。 (「管区 れの教区の教区主教までお願いいたします。 事務所だより」 1999年3月15日第133号2頁参照) 救主降生2000年6月8日に予定されております、 ローマ・カトリック教会では司教総会がこの試用を 聖公会=ローマ・カトリック教会合同一致祈祷会に 認めましたので、 全国の教会・修道会などですでに は、 聖公会もローマ・カトリック教会も共同の 「主の祈 用いられています。 り」 をお捧げできますようにと心から願っております。 日本聖公会では、 主教会がこのテキス トを教理礼 拝組織調査委員に検討を諮問し、 その答申を受け た後、 去る6月15∼17日に開かれた主教会で検討 聖公会/ローマ・カトリック教会共通訳 し、 このテキス トによる 「主の祈り」 を、 来年5月の日本 主の祈り (案) 聖公会総会に主教会から祈祷書改正議案として 出すことを決めました。 天におられるわたしたちの父よ、 さらに、 今回開かれた主教会では、 全主教が、 そ み名が聖とされますように。 れぞれの教区で来年の総会まで、 この共同の「主 み国が来ますように。 の祈り」の試用を認めることを申し合わせました。つ みこころが天に行なわれるとおり地にも行なわ きましては、 どうぞ共同の 「主の祈り」 を、 広く教会の れますように。 公祷や個人の祈りで試用してくださいますようお願 わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。 いいたします。 わたしたちの罪をおゆるしください。 わたしたち なお、 この 「主の祈り」は、 テキストにある通りの形 も人をゆるします。 式を尊重してくださいますようお願いいたします (1 わたしたちを誘惑におちいらせず、 行ずつの祈りで、 それをベタ打ちにしないでくださ 悪からお救いください。 い。見本をご参照ください) 。 この共通訳「主の祈り」は現時点では 「案」 で、 今 国と力と栄光は、 永遠にあなたのものです。 後、 聖公会とローマ・カトリック教会の「主の祈り」共 アーメン 1999年7月15日 第136号 《 速 報 版》 (7) □出版物のご案内(1999年1月∼7月) ・『第51 (定期)総会後常議員会決議録』 (6 月20日付発行) ・『日本聖公会法憲法規』 (6月25日付発 行)...................................................630円 ・『古今聖歌集増補版 ’ 95』 (第3刷、 7月 15日付発行)...................................917円 ・『1 998年沖縄週間 沖縄の旅 パートIV「共 に主にある平和を―痛みと悲しみを心に刻 んで―』 (3月15日付、 正義と平和委員会 発行) ・『―正義と平和パンフレット2―戦争のない 時に生まれたかった』 (6月20日付、 正義 と平和委員会発行)........................100円 ・『草津のタルピッ〈月あかり〉―在日韓国朝 鮮人ハンセン病者の証言―』 (4月4日付、 日韓協動委員会編・聖公会出版刊) ・『第17 回部落解放セミナー《報告》 「差別・ 被差別の現実と未来への展望―視点の転 回を」』 (7月10日付、 部落差別問題委員 会発行) 日系「聖十字教会」へ図書の寄贈を! カナダ・バンクーバーにある日系聖公会の「聖十字 教会」の所澤基喜司祭より日本語のキリスト教関係書 籍の寄付協力依頼がありました。同教会は96年の歴 史がある教会ですが、一度消えかかった日系人への 宣教を再開し、 現在は教会学校、 青年会、英会話教室 など活発な活動をしておられるそうです。 教会または家庭にて寄贈可能な書籍がありました ら、 是非ご協力いただきたくお願いいたします。 希望書籍――日本語の聖書、 キリスト教関係の 小説、教会学校関係、音楽関係(日本語の楽譜、 テープ、 CD) 、信徒教育書など 送付先― ―Rev. Motoki Shozawa, 4580 Walden St., Vancouver B.C. V5V 3S5 CANADA へ送付代負担のうえ直接送付してください。 (渉外主事 丸山悦子) □日本聖公会・各教区報の中から ☆毎月、 広報主事宛に送っていただく各教区報の中から、 ご 紹介しており ます。 薬物依存症と教会 覚醒剤の中毒症状としては、 様々な妄想、 幻覚、 幻聴、 或いは身体的な苦痛などがあり、 そして犯罪の発生率や 精神病症状発現率も非常に高いことが知られている。 何 中部教区報「ともしび」第319号(1999年7月 1日発行) 司祭 テモテ 野村 潔――近年、 薬物による依 存者、 殊に覚醒剤中毒者の数が急増している。 しかも、 こ の数年はより低年齢化している、 かつては、 純度の高い 高額な覚醒剤を暴力団の売人が直に売るケースが多 かった。 90年代に入ると暴力団の手先となったイラン人 が街頭に立つことが多くなり、 彼らは純度の低い少量の 薬を5千円から1万円ぐらいの価格で販売するようになっ た。 その結果、 青少年が簡単に入手できるようになったの である。最近では携帯電話やインターネットの普及によっ て、 益々、 薬物の販路は拡大してきている一方で、 麻薬、 覚醒剤の売買は、 地下に潜ることになり、 一般の人の目に は見えにくくなってしまった。 しかしながら、 薬物依存症や 中毒者の数は、 確実に増え続けているのである。 年か前、 薬物依存者が新幹線の中で無差別殺人事件 を起こしたが、 原因は覚醒剤中毒による被害妄想だった と言われている。 WHOでも定義しているように、 薬物依存 は病気である。 しかし、 日本では薬物依存について未だ 研究過程にあり、 依存者を支援する公的機関は設置さ れていない。 そう した中で、 1985年、 薬物依存から回復し た人々によって、 「ダルク」 (Drug Adiction Rehabilitation Center) という薬物依存者のための民間リハビリ施設が 東京に創設された。 ダルクの目的は、 薬物依存者の、 身体的、 精神的、 社会 的援助を提供することによって、 依存症からの回復に手 助けをし、 薬物に依存しない自立した生き方のプログラム を提供することである。 この方法は、 依存者自身の回復し たいという意志によってしか、 回復はあり得ないという現実 認識に基づいている。 つまり強制入院などでは、 この問題 (8) 《速 報 版》 1999年7月15日 第136号 は解決できないのである。 ダルクでは、 回復するための場、 目の出所の際、 彼を迎える者は一人もいなかった。 そして 時間、 回復している仲間のモデルを提供しつつ、 12のス 彼は孤独と罪悪感から逃れるため、 覚醒剤を打ち続ける テップに基づいたプログラムによって、 依存者に新しい生 ようになった。 それによってもたらされた様々な被害妄想、 き方の方向付けを行っている。 そのプログラムでは、 人間 幻覚、 幻聴から逃れるため、 彼は日本中を逃げ回ってい は薬物依存に対して無力であることを認め、 人間個人の た。 そんな時、 彼はダルクと出会うのである。彼はダルクの 意志の力を超えた偉大な力 (神) の存在に気づき、 そして プログラムに参加する中で、 共通の苦しみをもつ仲間に支 祈り と黙想によって神の意志を求めるといった内容が含ま えられながら、 人間としての生命の尊さに気づき、 そして少 れている。 しずつ偉大な力を信じることができるようになったと言う。 以来、 ダルクでは、 絶望とも思われていた薬物依存者 彼は、 今、 薬物依存から回復し、 カトリックで洗礼を受け、 ダ の回復への道を拓く先駆的な働きを続け、 この間、 全国 ルクのカウンセラーとして薬物依存者の支えになってい に16ケ所のダルクを開設した。 その背景にはカトリック教 る。 会による貢献があった。 各地のダルクの開設に尽力した人の中に、 「スマイル」 薬物依存によって、 多くの青少年が生命を失い、 深刻 な犯罪が引き起こされている現実の中で、 ダルクの働き と呼ばれる1人の薬物依存者だった人がいる。 彼は暴力 は、 今日的な 「悪」 と闘う教会のひとつの在り方を私たちに 団の組員として、 3度、 刑務所暮らしを体験している。 3度 示しているように思う。 (中部教区教務局長)
© Copyright 2024 Paperzz