常温セラミック成膜装置の新商品化支援 生産技術部:保科 ● 背 公彦 景 当センターの技術シーズである常温セラミック成膜法は、セラミックス微粒子の衝突固着現象を基 本に、ナノレベルサイズで結晶化した緻密な膜を常温プロセスで得ることが可能であり、従来の成膜 プロセスにない大きな特徴を持つ革新的な手法である。 この常温セラミック成膜装置(図1)は、 平成 15 年に当センターと(独)産業技術総合 研究所からの技術移転により、㈱垣内を中 心とした県内企業グループが制作すること ができ、これまでに実験機レベルの装置で あるが3台の販売実績につながっている。 これまでの当センターでの研究開発にお いて、多くの課題があることが分かり、ま た成膜装置のユーザーからもそれらの解決 が望まれていた。 そこで、当センターと K 社との共同で、 常温セラミック成膜装置の新商品化を行い、 大手電器メーカーに販売することができた。 写真1 ● 今 開発のベースとなった常温セラミック成膜装置 後 現在は、常温セラミック成膜装置の生産機化を目指して、当センターと㈱垣内、高知工業高等専門 学校(㈱垣内がインターンシップで受け入れている学生)で研究を進めている(写真2)。 写真2 実験風景 33 ● 常温セラミック成膜装置の概要 試料ホルダー 基板 常温セラミック成膜装置の特徴 ○室温、常温でセラミックコーティン グができる。 ○膜の表面が滑らかなため、研磨仕上 げがほとんど不要。 セラミック膜 ガス 成膜チャンバー ○数 Pa オーダの低真空で OK。 ○装置がシンプルなため装置コスト ノズル が安い。 ○ランニングコストがきわめて安い。 ○ステンレスなどの鉄系材料やガラ 真空ポンプ ス、樹脂などに成膜することが可能。 振騰容器 成膜方法 振騰容器中のセラミック粉末を容器内で分散したエアロゾル状態にし、減圧された成膜チャ ンバー内に搬送され、スリット状のノズルを通して、基板に向けて噴射し膜を形成。 図1 常温セラミック装置の概略図及び特徴 34
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