英語質問箱の利用 大学は学問をするところです.学問は,基本的に,自分でするものです.人か ら教わるのは,いわば,時計の振り子をふってもらう初期の段階にとどまり,少 しでも動き出したら,あとは自分の足で歩いていきます.とはいうものの,歩み を進めれば進めるほど,わからないことが多くなってくるのも事実です.そうい うときに相談に乗ってくれる人が身近にいるかどうかが,その大学が良質の教育 研究環境を提供しているかどうかの一つの目安になるでしょう. 千葉大学には,英語の勉強や履修について質問する窓口が言語教育センターに あります.さらに,英語そのものに関する質問を受け付ける窓口がウェブに設置 されています.「英語質問箱」というウェブです(http://f.chiba-u.jp/english/ index.html).英語を読んでいるとき,あるいは英語を書いているときに,ふと 疑問が浮かぶことがあります.たとえば, 「わたしは千葉大学の学生です」と自 己紹介する場合に,I am a student at Chiba University. とはいうが,*I am a student of Chiba University. とはいわないのは,なぜなんだろう.主語以外の 表現を文頭に出すと,主語・助動詞の語順が入れ替わる場合と入れ替わらない場 合があるけれども,どうやって使い分けるのだろう,などなどです(これらは実 際に寄せられた質問です) .知識としては知っているが,なぜそうなるのといわ れると,はたと困ってしまう, そんな疑問にお答えするのが「英語質問箱」です. 英語質問箱はインターネット上にある以上,学外からもアクセスできます.こ のウェブは,千葉大学の学生だけではなく,全国のさまざまな人たちにも利用さ れています.学校関係者はもちろんのこと,英語で仕事をしている一般社会人ま で,じつにさまざまな方から質問が寄せられています. 英語の勉強で一番つまらないのは,そこに知的興奮が感じられない場合です. 知覚動詞を能動態で用いた場合は補文に不定詞標識の to が出てこない(I saw John cross the street.) の に た い し て, 受 動 態 に す る と 出 て く る(John was seen to cross the street.).このこと自体は中学校で教わります.そして多くの 場合はそれで終わりです.あとになって,この2つの文は意味がちがうのだから, やたらに能動態と受動態を書き替えてはいけません,と言われて,ギョっとする のです.そして説明を受けて,はじめて,そういうことかと得心がいきます.例 としては小さいけれども,たったこれだけのことでもどれだけ英語の地平が広が るか計り知れません. 英語質問箱は英語の勉強が知的に楽しいものであることを教えてくれる「おも しろ学問講座」です.利用しない手はありません. (なお質問にあたっては,ウ ェブの注意事項をよくお読みください.問題集の解答を求めるというような問い 合わせには,千葉大学のウェブは応じません. ) ix
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