「労使協議・目標面接制度を通じての 労働組合活動の提言」

第4期 ユニオン・イノベーション・リーダー養成
プログラム上級コース
「労使協議・目標面接制度を通じての
労働組合活動の提言」
(講師)
同志社大学社会学部産業関係学科
石田光男教授
(メンバー)(組織名五十音順)
エア・ウォーター労働組合
関西電力労働組合
島津労働組合
住友ゴム労働組合
ダイハツ労働組合
日東電工労働組合
パナソニックAVCネットワークス労働組合
パナソニック電工労働組合
マイカルユニオン労働組合
池田 勝
鈴木祐輔
松本 康
鷲谷公作
松島浩三
髙木智弘
戸島 亮
岩脇寛巳
本郷 仁
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第4期 ユニオン・イノベーション・リーダー養成
プログラム上級コース
発表の内容(発表者)
1.活動の経過
‥(戸島)
2.課題の発見
‥(松島)
3.労使協議
‥(松本)
4.目標面接
‥(岩脇)
5.まとめ
‥(戸島)
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プログラム上級コース
【1.活動の経過】
■活動期間: 2010年11月~2011年7月
11 / 4
11 / 18
12 / 2・3
2 3
1 / 13
4/ 7
5 / 12・13
6/2
6 / 23
7 / 20
:
:
:
:
:
:
:
:
:
講義・グループワーク
講義・グループワーク
合宿
グループワーク
グループワーク
合宿
グループワーク
グループワーク
成果発表会
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【2.課題の発見】
4
(1)労働組合とは・・・・
そもそも労働組合って何?
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(1)労働組合とは・・・
・ 職場の仲間と相談して、会社へ問題点を訴え、
労使が対等の立場で話し合い、解決を図る。
この機能こそが労働組合である。
・ 職場の課題をみんなの声として会社に提言し改善
してもらうことができる。(賃金・労働条件など)
・ 経営に対するチェック機能をしっかりと働かせ、
職場の様々な声をしっかりと経営に伝えていく。
そして企業の健全な発展へと導いていく。
これが労働組合の役割である。
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(2)会社と労働組合の違い
会社
トップダウン(指揮命令)
立場、権限で行動
結果重視
経営数字(利益など)
労働組合
ボトムアップ(意見吸上げ)
信頼関係で行動
プロセス(過程)重視
安心感、モチベーション
価値観が違う中で、企業の継続的発展
⇒雇用の安定
(3)会社と組合の接点
集団的
経営スローガン
労使協議
(団体交渉)
理念・風土醸成
非公式的
集団性が持つ
利点をどのように
活かしていくか。
公式的
職場レベルの
コミュニケーション
目標面接
集団の中の個を
いかに
活かしていくか。
日常的な会話
個人的
公式的な接点である労使協議と目標面接の
ルールと運用を検討していくことが重要
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(4)労使協議と目標面接の課題
【労使協議の問題点】
⇒形骸化している
本音で議論できていない
その場限りでフォローされず次につながらない
組合員は無関心,参加者も当事者意識がない
【目標面接の問題点】
公平性に欠ける面がある
参加できていない人がいる
労使協議 目標面接について
労使協議と目標面接
納得性を高め、全員参加を実現することが重要
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【3.労使協議】
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(1)労使協議の現状の問題
 労使協議が形骸化している
 本音で議論できていない(建前,利害関係で)
 その場限りでフォローされず次につながらない
 経営に関して,会社の一方的で言いなり
 組合員は無関心,参加者も当事者意識がない
 批判や否定ばかりで建設的な意見がでない
 納得性のある協議が展開されない
 etc.
 労働組合の機能が低下している?
 内部告発が増えている(赤福,白い恋人,・・・,そして九電)
労使協議に魂を入れ活性化!!
ついでに労働組合の機能も回復。。。
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(2)理想的な労使協議とは
労使協議のあるべき理想の姿って?
お互いに信頼しあい,
課題に対し
本音で本質的な議論
ができる
疑問に感じたことを
素朴に質問できる
監視役の立場では
組合も対等に,
職場の実情を踏まえ
何でも言える
相手の批判ではなく,
思いやりをもって,
労使で知恵を出し合って
解決に向かう
労働組合の役割は?
会社に
職場の実情を伝える
企業の
こと
健全な発展のための監視役
であること
労使が
本音で議論できる
ようにもっていくこと
全員が参加意識をもち,全員が協議に納得する
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(3)労使協議における
(3)労使協議における納得性
納得性と
と参加
労働組合
自分の声が会社に届いたと感じること
決まったことが実現され,経営に活かされること
問題があったときに相談できる(信頼できる)
会社
職場(組合員)の声であること
内容が経営や企業の発展につながること
労使が協調する(労働組合が協力してくれる)
「納得性の向上と全員参加の実現」につながる要素
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(4)労使協議の理想の姿
(4)
労使協議の理想の姿に向けて
に向けて
全員が参加意識をもち,全員が協議に納得する
全員共通の何かを用意すれば・・・
参加が高まる
事前に職場の意見(声)を集めやすい
参加者全員(労使とも)が議論に集中できる
決まった事が周知されやすく,目標達成までフォローされやすい
納得性が高まる
職場の声を根拠として,本音で議論できる
決まったことをそれぞれの立場で実行しやすい
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(5) 労使協議のルール制定
全員共通の何か
KPI
ルール① KPI
KPIを労使で設定する
を労使で設定する
ルール② 各労使協議で,KPI
各労使協議で,KPIを管理する
を管理する
職場(地区)の労使協議では,KPIの異常をチェックする
中央の労使協議では,KPIの異常を議論する
KPI
KPI((Key Performance Indicator=
Indicator=重要業績評価指標)
重要業績評価指標)
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(6)ルール ① KPI
KPIを労使で設定
を労使で設定 KPI
KPIとは
とは
KPI = 働き方のモノサシ
労働組合の得意分野を労使協議に持ち込む
 KPI
KPIといっても,一般的なKPIより分かりやすいKPI
論点が明確で協議内容が分かりやすい,本音の議論がしやすい
お互いが思いやりをもって,否定や批判じゃなく,建設的な意見が
でやすい
分かりやすいKPIと一般的なKPIは関連付け
組合として,事業活動との相互影響度の観点でリンクさせておく
会社も今後の事業の発展につながるのであれば異論はないはず
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分かりやすいKPI
組合(
従業員)
から見た重要度合い
組合の重要視するレベル
が会社のそれよりも高い
⇒ここをしっかりと管理す
ることが、納得性にも
つながる。
出退勤時間 労働時間
目標面接
実施率
異動
希望率
従業員
満足度
賃金
異動率
職場ヒヤリ 通勤災害
ハット率
発生率
メンタル
発生率
株価
(時価総額)
休職率
組合活動
関与度
資格
取得率
社内研修
受講率
年休
取得数
利益
成長性
海外駐在率
資産
商品数
海外駐在員
研修受講率
シェア
キャッシュ
販売
従業員数
事業への影響・貢献度
●高い (今後の事業への影響が大きい)
●中程度
●低い (事業の結果であり
影響という意味では小さい)
グローバル
比率
一般的なKPI
会社はここの部分を良くする
ことが必須
⇒組合から言わなくても会社
は取り組んでいる
会社から見た重要度合い
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事業活動への影響度
向上を図ることで事業へ好影響を与える項目
目標面接
実施率
●高い
●中程度
●低い
会社から見た重要度合い
社内研修
受講率
海外駐在員
研修受講率
グローバル
比率
向上を図ることで事業へ好影響を与え、
またその結果向上する項目
休職率
株価
(時価総額)
シェア
成長性
異動率
海外駐在率
異動
希望率
メンタル
発生率
従業員
満足度
商品数
キャッシュ
資産
利益
職場ヒヤリ
ハット率
従業員数
賃金
出退勤時間
労働時間
通勤災害
発生率
販売
資格
取得率
組合員から見た重要度合い
組合活動
関与度
年休
取得数
事業活動とは別に向上に取り組むべき項目
分かりやすいKPIと一般的なKPIを
事業活動の結果である項目
事業活動からの影響度
事業活動との相互影響度の観点でリンクさせておく
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(7)ルール① KPI
KPIを労使で設定
を労使で設定 設定方法
労使が納得して共通の分かりやすいKPIを設定
目標
戦略
KPI
数値で示す
労使双方の
視点で検討
労使共通の
KPIを設定
具体例.
労使協定の
違反者ゼロ
組合
・職場パトロール
・残業申請チェック
会社
・業務負荷の見直し
と改善
・要員配置見直し
・週残業時間
・出退勤時間
・労使協定超の
残業者数
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(8)ルール② KPI
KPIの管理
の管理 管理方法
地区(職場) KPIの異常をチェックする
会社からKPIの現状値の報告
KPIに異常がないかを分かる範囲でチェック
上部の協議会へ結果のフィードバック
(地区(職場)協議会⇒事業部会⇒中央経営協議会)
中央(社長) KPIの異常を議論する
目標に対する現状値のギャップを指摘し,前向きな提案・議論
方針という形で,職場末端の従業員まで結果を周知
(経営方針戦略⇒事業部方針⇒部門方針)
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(9)ルール② KPI
KPIの管理
の管理 KPI異常の例①
KPI異常の例①
「週残業時間」,「労使協定超の残業者数」が増えて
きている
一部の人に負荷がかかりすぎていないか?

納期遵守のためだと思うが今後の見込みはどうか?
開発遅れで納期が間に合わないと,シェア達成が遠ざか
るので,増員と負荷の平準化の対策が必要である
「(事業部間)異動率」が全然上がってこない
このままでは業務が人に付き,業務が属人化してしまう
業務の標準化を進めるために,例えば,社内資格制度を
整備して,人材のローテーションを活性化していきながら,
属人化を排除していこう
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(9)ルール② KPI
KPIの管理
の管理 KPI異常の例②
KPI異常の例②
グローバルといいながら「海外駐在員率」が低い
グローバル化というなら,海外駐在員は公募制にするな
どの施策も考えられないか?公募制にすれば,駐在員の
モチベーションアップにもつながるのでは?
「目標面接実施率」が低下してきている職場がある

職場の上司は実施する意義を理解しているのか?
制度が形骸化しているのでは?今一度,実施の徹底とと
もに,考課者研修,被考課者研修の実施も検討していこ
う
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プログラム上級コース
【4.目標面接】
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(1)理想の目標面接制度とは何か?
■目標面接制度は・・・「目標管理」の確認の場
(会社組織の発展のためのツール)
PLAN(目標設定)→DO(目標遂行)→CHECK(成果評価) →ACTION(反省)
目標面接と目標管理の関係
目標面接制度
Connection
目標管理
(目的) 組織のさらなる発展
(行動) 考課者が定める組織目標の達成に向け、被考課者自らが、
そのプロセスに積極的な参加を行うことが重要
(結果) “被考課者”“考課者”がお互いに思いの入ったプロセスとする
ことで、目的である「組織のさらなる発展」を達成することができる
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プログラム上級コース
(2)目標面接制度と納得性
■目標面接制度の中心的な存在“被考課者”
(被考課者の「考え・思い」)
仕事の成果を制度の中で正しく評価してもらいたい
(不安要素)
①目標面接のルールが見えない
②目標面接をむかえるまでにプロセスが見えない
(その結果)
目標面接制度に対しての「納得性」が高まらない
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プログラム上級コース
(3)目標面接制度と参加
■目標面接制度の中心的な存在“被考課者”
(被考課者の「考え・思い」)
仕事さえしていれば評価されるだろう“受身的”
(不安要素)
①目標面接のルールが見えない
②目標面接をむかえるまでにプロセスが見えない
“被考課者”は目標面接制度において中心的な
存在のはずなのに意識の中では他人まかせ
(結果的に)
目標面接に「参加」していない
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プログラム上級コース
(4)ルールの制定
目標面接制度がさらに良くなるためには
(ポイント)
■“個別化”から“集団”へ
・目標面接制度のルールを正しく運用するため
・当事者(被考課者、考課者)の納得性と参加意識を高めるため
目標面接制度は、個別活動になりがち。そのため、制度の実態が見えにくくなる。
集団でサポートすることで、制度が正しく運用されるようにする。結果、納得性や参加する
意識が高まってくる
そのためには第3者による確認の場(正しく運用されているか)が必要
ルール①考課アンケート(組合)
ルール②アンケート結果の共有(労使)
ルール③目標、戦略、KPIを設定したうえで、業務を実施。
KPIは中間面接などでもチェックする。(例の作成)
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プログラム上級コース
(5) ルール③の例
KPI
KPIの設定
の設定 例えば。。。
働き方に関する項目を設定
• WLB、ダイバーシティなど働き方に関する項目を設定する
ことで、組織共通のテーマに向けた取り組みの進捗が確認
できるのではないか?
“労働時間”“仕事効率化”“多様な働き方に向けた提案”
“組織目標達成に向けた自己啓発(キャリア開発とは別)”
組織がさらに良くなるための取り組みや、そのプロセスを項
目としてあげることで、目標面接が見える化してくるのでは
ないだろうか?
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第4期 ユニオン・イノベーション・リーダー養成
プログラム上級コース
【5.まとめ】
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プログラム上級コース
労使協議
組合
会社
目標面接アンケート結果の共有
労使協議
内容報告
納得性向上
全員参加実
現 目標面接
職場課題の報告
職場
(組合員)
労使協議と目標面接を中心に、組合
労使協議と目標面接を中心に、組合--会社
会社--職場の連携強化
⇒コミュニケーションの活性化、やりがい・働きがい
コミュニケーションの活性化、やりがい・働きがいUP
UP
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プログラム上級コース
新たなルールを提案
労使協議:分かりやすいKPIの設定と管理
目標面接:考課アンケートの実施と共有
KPIを用いての目標と進捗管理
労使協議と目標面接の納得性向上と全員参加を実現
やりがいUP
働きがいUP
生産性UP
雇用安定・給与UP
業績向上
日本経済の発展
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プログラム上級コース
ご清聴ありがとうございました
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